政治 経済

2012年9月 1日 (土)

公正社会は韓国が上 首相の甘い歴史認識

【ブログ長期お休みのおわび】

 ブログを長期にわたり休んでしまいました。体調を崩したわけではありません。この間多忙であったことも事実ですが、それにしても休みすぎ・・・。時折のぞいて下さる方々の期待を裏切って申し訳ありませんでした。以前のように週1ペースをキープしたいと思います。これまでよりも気楽な発信を増やしたいと思います。

【公正社会は韓国が上】

 日本人は韓国社会は日本の後をついてきているものとばかり高をくくっているところがありました。どうしてどうして今や韓国の方が日本よりはるかに公正な社会になりつつあります。韓国では、前大統領や現大統領の親族が刑事訴追を受けることがたびたび報道されます。これは韓国の民主政治の遅れではなく、韓国の自浄作用の強さを反映するものと思います。韓国ではキムデジュン、ノムヒョンという2人の人権派弁護士が大統領になりました。この間に韓国社会は一挙に民主化が進み大統領であっても刑事訴追を受ける社会となりました。国民間の貧富の差についても最近のジニ係数を見ると韓国の方が貧富の差が小さいという調査結果があります。私がかかわっている障がい者差別禁止法も韓国ではEU並のものが成立しています。女性の社会進出も日本より進んでいることを日本の女性から聞きました。日本では自民党時代の首相よりも保守的な野田首相が韓国並みの障がい者差別禁止法をつくるとは考えられません。半導体分野でも、スマートホンなどあらゆる分野で日本は韓国に負けつつあります。これはウォン安からではありません。韓国社会はすぐれた製品を生み出す力を内在しているからだと私は思います。

【従軍慰安婦問題をさけて逃げ続けた野田首相】

 竹島問題のきっかけは従軍慰安婦についての野田首相のはぐらかす対応にあると思います。「お互い知恵を出し合って解決しましょう」という生半可な返事をして、結果的に何も知恵を出さなかった野田首相の歴史認識の低さが今日の日韓対立のベースにあると思います。過去のあやまちを逃げいていて、竹島問題が発生すると強権的に対応するのは今の日本のリーダーとしてはふさわしくないと思います。後述の記事で元米国国務副長官アーミテージ氏は「事実はただ一つ、それは悪いことであり、実際に起こった。そして日本人の何人かが責任を負っている。それで話は終わりだ」と言っています(「8月25日日経新聞)。悪いことを悪かったとなぜ言えないのか、私は野田首相は政治家として自ら泥をかぶる人だと多少評価しつつありましたが、日韓激突の現実を思うと日本のリーダーの資質が低すぎてはずかしい限りです。

【日韓修復の糸口は?元米国国務副長官アーミテージ氏】
                   (8月25日 日本経済新聞 より)

 米国の代表的知日派であるアーミテージ元国務副長官とナイ元国防次官補が共同座長として先にまとめた対日政策に関する最新の報告書(アーミテージ・ナイ3)は、急速に悪化している日韓関係の改善に米国が乗り出すべきだと提言した。提言の狙いなどを米ワシントンでアーミテージ氏に聞いた。

 ――歴代の米政権は日韓関係への言及や介入を表面的には避けてきた。なぜ、この時期にその「慣習」を破ったのか。
 「政治家は世論の支持率を上げるため、ナショナリズムを使う。北朝鮮がその刃を双方の喉元に向けているにもかかわらず、重要な民主国家の同盟相手が互いの刃を突き付け合っているのは不健全だ」
 「我々は中国を平和的に(アジアの)大国として迎える努力を続けているが、この地域に強固な民主主義が達成された場合にのみ、実現可能だ。現状のように二つの民主国家がお互いににらみ合っていては、実現は到底おぼつかない」
 ――日韓のあつれきは激しさを増している。
 「日韓双方が道を踏み誤った、というのが我々の評価だ。李明博大統領はいくつかの問題を抱えている。青瓦台(大統領府)、彼の家族などを取り巻くスキャンダルだ。それが対日強硬姿勢の引き金になっている。日本も民主党政権になって弱さを露呈した。鳩山由紀夫氏は日米関係を傷つけ、菅直人氏は東日本大震災と原子力発電所の事故に忙殺された。野田佳彦首相も国民の間では不人気だ。結果、日韓双方とも身動きが取れない」
 ――報告書は米国による日韓関係の「和解工作」に言及した。具体的には。
 「米国は領土紛争にはいかなる立場も取らない。その上で、私が考えているのは日米韓3カ国の有識者による非政府間会合を開き、次に政府当局者と民間人の双方が出席する準政府間会合に格上げしながら、進展を図る枠組みだ」
 「日韓、そして米国でも近く新しい政府が発足する。オバマ政権が継続したとしても、顔ぶれは一新される。物事を始めるのに最高のタイミングだ。この機会を利用しない手はない」
 ――従軍慰安婦や歴史認識にも触れるのか。
 「状況に応じて取り組まなければならない。事実はただ一つ。それは悪いことであり、実際に起こった。そして、日本人の何人かが責任を負っている。それで話は終わりだ」
 「冷静な歴史を教えることから始めればいい。歴史はすでに起こったことであり、今さら変えられない。ただ、その大部分を過去のものとし、前を向くことは可能だ」
 「我々はこの問題に対処しなければならない。(米国は)日韓両国による和解を望んでいる。両国には長期にわたる戦略的な目的を常に頭に置いてほしい」
 (聞き手は編集委員 春原剛)

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2012年3月21日 (水)

ユニクロ銀座店と銀座通り法律事務所三軒隣

20120321ginzadorilawuq【ユニクロ世界最大の旗艦店「ユニクロ銀座店」】
  (3月16日 産経ニュース より)

 ファーストリテイリングは16日、カジュアル衣料「ユニクロ」では世界最大となる旗艦店「ユニクロ銀座店」を東京・銀座にオープンさせ、午前10時に開店する前から約1000人が並ぶにぎわいを見せた。小売店でも百貨店などで「日本最大」に集客効果を期待するケースがある。ただ長引く不況と少子高齢化で、消費の市場は先細りが指摘される。果たして「最大」は吉と出るか凶と出るのか。

 「近所のユニクロより洗練されていて品数も多く、また来たい」。埼玉県からユニクロ銀座店に友人と来た主婦(43)はそう話す。

 ユニクロはアジアを中心とした海外展開を進めており、ファーストリテイリングは銀座店を「ブランド戦略」の一環として位置づけている。日本有数の商業地である銀座に世界最大の旗艦店を置き、「ユニクロ」ブランドを世界にアピールし、世界各国で集客につなげる狙いだ。

 12階建てで総売り場面積が約5千平方メートル、6カ国語対応、世界的人気ブランド「アンダーカバー」との共同企画商品も扱う。「年商は目標100億円」と柳井正会長兼社長の鼻息は荒く、「銀座は『ジャパニーズ・ドリーム』の象徴。アジアでも最高の場所で、銀座店は世界でナンバーワンになれる」と意気込む。

 百貨店やショッピングセンターで、「最大」を一つの看板とすることは多い。

 日本最大級として約8万6800平方メートルの松坂屋名古屋店(名古屋市)を傘下に持つJ・フロントリテイリングは、「何かを探す際に、まずはあの店に行こう、と思ってもらえる」とメリットを強調する。

 「海外のスーパーブランドは、その地域で最大の集客が見込める店舗にしか出ない」(大手百貨店)ともいい、売り場の“華”を獲得する上でも、スケールメリットが重要になる。

【障害者雇用のフロントランナー、ユニクロの理念】
        (2010年7月5日 日経ビジネスオンライン より)

 従業員数5000人以上の大企業の中で、障害者の法定雇用率が最も高いのはどこか。それは、カジュアル衣料品ブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングである。2009年6月1日現在の雇用率は8.04%。障害者雇用促進法が定めた1.8%の法定雇用率をはるかに上回り、産業界の中でも突出した水準を達成している。このことは障害者問題に詳しい人を除けば、意外に知られていない事実であろう。

 ファーストリテイリングが積極的な障害者雇用に乗り出したのは、業容が急拡大する一方で法定雇用率が1%台に低迷していた2001年3月。柳井正社長(現会長兼社長)の号令一下、「1店舗1人」の障害者雇用を目指す取り組みを開始し、翌2002年には一気に6%台の雇用率を達成。

 それ以降、現在まで着実に雇用実績を伸ばしてきた。その推移は、ユニクロそのものの急成長とまさしく軌を一にする。

<あくまでも戦力としての雇用>

 注目すべき点は2つある。1つは、すべての人が現場の店舗に配属されており、ファーストリテイリングは特例子会社を設置していないこと。もう1つは、全盲の人と車いす使用者が、現在は在籍していないこと。

 これらはファーストリテイリングの障害者雇用に当たっての考え方を明快に示している。一言で言えば、「障害者の採用は福祉目的で行っているのではなく、あくまでも企業の戦力になってもらうため」「障害のあるなしに関係なく、ユニクロで力を発揮でき、継続して働いてもらえる人」なのだ。

 ファーストリテイリング東京本部CSR部産業カウンセラーの重本直久さんは「障害のある人の中には残念ながら、当社には活躍できる場所がない方もいらっしゃいます。そうした人たちを雇用率目的で採用するといようなことは一切ありません」と、方針を説明する。

【ユニクロで買い物をした後法律相談はいかが!】

 ユニクロ銀座店は以前には小松ストアがテナントを集めて直営しており、1階にはエノテカのスタンドバーがあり、時折私はシャンペンをひっかけていました。そこにユニクロが入るということを聞いて楽しみがなくなるようでちょっとさびしく思いました。
 でも柳井正会長兼社長は日本を代表するすぐれた経営者、障害者雇用率の高さはやはり並なものではありません。
 銀座通り法律事務所とユニクロは三軒隣、ユニクロ銀座店の成長にあやかりながら、銀座通り法律事務所も質量ともに伸びることができればと願っています。
 ユニクロで買い物をしたあと、銀座通り法律事務所でサクッと法律相談というのはいかが?(相談料30分5000円) ただし、原則として事前申し込みをお願いします。

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2010年4月21日 (水)

GDP逆転と蜘蛛の糸 日本人と独創性

【私の意見】Up63

 日本経済新聞に掲載された2つのコラム記事を興味深く読みましたのでご紹介します。脱亜入欧から脱欧入亜へという言葉を耳にすることが多くなりました。「脱亜から入亜」が成長市場アジアで業績(シェア)を拡大するという発想の域を出なければ、きっとお釈迦様は蜘蛛の糸をお切りになることでしょう。明治維新以来133年の間に日本人はアジアの中でも世界の中でも飛び抜けてあったかくって住み心地のいいポジションを手に入れました。このポジションを手に入れたのは日本人の自己努力の賜などとうそぶいていてはアジアからもヨーロッパからも閉め出されるでしょう。さてさて20年もたてば日本も成熟した国になっているのでしょうか。

【GDP逆転と蜘蛛の糸】
         (10年4月14日 日本経済新聞 大機小機 より)

 「いざなぎ景気」といわれた高度成長の真っ盛り、日本の国内総生産(GDP)は仏・英・西独を追い越し、1968年(明治百年)に世界第2位の経済大国になった。60年代の実質成長率は年率10.9%と現在の中国並みであった。
 70年代、80年代になると実質成長率はそれぞれ年率4.3%、3.7%と半分以下のペースに落ちる。ただ、サミットの一員になり、さらには「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とおだてられ、自国の経済運営に自信を持ち始めるのは、むしろこのころからである。世界の人々も90年代初頭まで、日本経済の快進撃ぶりに目を見張っていた。
 それはむしろ高度成長を終えた後に円高が続き、ドル建てでみると成長率は70年代19.9%、80年代12.2%と60年代の16.8%と変わらぬ勢いだったからである。経済をドル建てでみていた欧米人は、30年も続く2ケタ成長に恐怖を覚えたことだろう。一時は「円高不況」におののいた日本人も、ドル建てでみた自分の背丈の大きさにのぼせ上がってしまったのである。
 それから40年、今年中にもGDPで中国に追い抜かれると、日本では危機意識が高まっている。他方において、人民元は過小評価されており、早晩切り上げられると考える人が多い。ニクソン・ショックやプラザ合意後の日本のように、高度成長の成果を取り入れる形で元高が進み、中国のGDP規模は一挙に日本との差を広げることになるだろう。
 GDPの日中逆転は、長い間アジアで経済的優位を誇ってきた日本人が神経過敏になりやすい話題である。しかし、今まで10倍の人口を擁する中国のGDPが日本より少ないことの方が異常だったのである。中国人の1人当たりGDPが、いつまでも日本人の10分の1以下にとどまっているはずがない。同様のことは他のアジア諸国の国民についても言える。
 日本人はお釈迦様の差し伸べた「蜘蛛(くも)の糸」を頼りに、仲間に先んじて欧米並みの極楽へのぼり着いた。さらにそこへ向かって、細い糸を30億人が登ってくる。「この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。下りろ、下りろ」とわめいた途端に手元で糸がぷっつり切れる。アジア人がみんなで極楽にたどり着いたとき、人徳と研さんを積んでさえいれば、日本人をさらなる高みに押し上げてくれる。それが唯一の成長戦略だ。(パピ)

【独創性がないという思い込み】
       (10年4月15日 日本経済新聞 夕刊 十字路 より)

 日本人は独創性がないという説がある。確かに古代は中国大陸文化の摂取に努め、明治維新以降は欧米へのキャッチアップに明け暮れた。特に戦後は米国企業を徹底的にベンチマークしながら製品改良に努めてきたため、独創性は二の次とされた感がある。
 大陸は創造、島国は模倣というのがちまたの類型的解釈だが、現実はそうとも限らない。実際、今の中国は近代化を急ぐ過程で模倣に徹している。模倣は固有の文化というより文明の戦略なのだ。
 昨年、米ビジネスウィーク誌の世界優良企業調査では、任天堂が米グーグルやアップルを抑えて世界一となった。ものづくり大国日本にとって、こうしたサービス系企業が選出されたのは画期的だ。同社はアイデアだけが勝負の世界で、海外でも大成功した。
 今や漫画やアニメ、ゲームは世界に冠たる日本の輸出商品である。この他にも、アジア市場では日本発の食品や化粧品、雑誌、服飾や音楽などが成功を収めつつある。日本はこうした分野では模倣者ではなく、立派なトレンドセッターとして認知されている。
 日本の都市型大衆消費文化は極めて差別性が高い。「ジャパン・クール」といわれる現象も決して際物ではない。日本ブランドは品質に繊細さやデザイン性を加味して海外市場では独特の訴求力を持ち始めているが、意外と自分の魅力は気づきにくい。
 歴史的に見ても日本人は独創性が低いわけではない。江戸時代、堂島の米相場では世界に先駆けて先物取引を開始したし、浮世絵はフランス印象派のジャポニズムに影響を与えた。実はこれらも海外で再発見された独創的文化だ。
 日本はハード主体の工業品以外の世界では勝てない、独創性がないという思い込みは、世界の競争相手からすれば思うつぼだ。自虐的な文化史観にとらわれると格好の成長機会を見失う。日本企業が自信をもって独創性を発揮すべき時代が到来している。(テルモ株式会社経営企画室副室長 佐藤慎次郎)

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2010年4月14日 (水)

「独立役員」東証上場187社が未確保

【東証の上場会社「独立役員」187社が未確保】
               (2010年4月6日 日本経済新聞 より)

<先月末 届出の9%>

 東京証券取引所は5日、一般株主の保護を目的に上場会社に導入するよう義務付けた「独立役員」の3月31日時点の設置状況を公表した。届け出済み2094社のうち「未確保」と届け出たのは、9%にあたる187社。3月期決算企業は、2011年6月末以降に未確保ならば上場規則違反となり、企業名公表などの措置が適用される。
 現在までに届け出済みの独立役員の合計は3595人。うち75%が社外監査役、25%が社外取締役だった。1社あたりの平均人数は1.7人。独立役員の人数が最も多かったのはソニーの12人。次いで三井物産、三菱商事、新生銀行、富士急行、西日本旅客鉄道(JR西日本)の各8人。
 未確保だったのは豊田通商、ダイハツ工業、久光製薬など187社。社外監査役と社外取締役の中に大株主や親会社・主要取引先の役職兼務者などしかいないため、「未確保」と届け出た企業も多いとみられる。

<独立役員>

 社外取締役・社外監査役のうち、経営陣からの独立性が高く、一般株主と利益の対立が生じない者。独立役員に法的根拠はないが、東証は昨年末、独立役員の導入を上場規則に盛り込み、3月末までに存否を届け出るよう求めた。

【弁護士清水建夫及び銀座通り法律事務所の企業サポート・企業法務】

<企業顧問弁護士と労働弁護士は二重人格?>

 私の30代の弁護士業務の中心は企業法務と企業再生にありました。その頃顧問契約を交わした企業との顧問契約は今なお続いています。会社法は資本金5億円以上または貸借対照表上の負債の部の計上額が200億円以上の企業を大会社と定義していますが(2条⑥)、私は現在5社の大会社と顧問契約を結んでいます。そのうち3社が東京証券取引所の第1部に上場している企業でそれぞれの分野で著名な企業です。私のブログをご覧になれば、私は労働弁護士(労働者の側に立つ弁護士)と思われる方が少なくないと思います。確かにその面はありますが、他面では企業弁護士でもあるのです。そんな二重人格は許されない!との声が聞こえてきそうですが、私の中では私の良心に恥じることなく両立しています。私は顧問会社の社長以下役員との信頼関係構築に努めるとともに、顧問会社の社員(従業員)の方との信頼関係の構築も大切にしたいと思っています。このことについては後日あらためて述べたいと思います。

<私は社外役員には就任しない方針>

 私はこれまでに社外取締役にも社外監査役にも就任したことがありません。ひとたび、会社にコンプライアンス違反などの有事が発生すると、社外取締役であっても社外監査役であってもそれぞれの責任の存否が問われ、ある意味で被告席に立たされます。企業の活動は多岐にわたっており弁護士業務を抱えながら企業活動のすべてを監視することは不可能に近いことです。社外役員に就任していなければ有事が発生したときに、被告席ではなく弁護人席で役員や社員をサポートすることができます。そんなことで私個人としては役員に就任しない方針です。

<コンプライアンス委員会の外部相談担当>

 私にとり企業弁護士として最も座り心地の良い位置は、コンプライアンス委員会の弁護士としての担当です。私は大会社のうち4社でコンプライアンス委員会担当弁護士に選任されています。コンプライアンス委員会担当ですと、法律の順守を基本に役員にも社員にも取引先等の関係先にも公平・公正に対応できますし、またそれが求められます。私は最近ではコンプライアンス委員会担当弁護士として受身で相談・苦情事例を待つのではなく、役員や社員に私の方から積極的に提案することにしています。これについても後日あらためて述べたいと思います。

【独立役員と弁護士】

<弁護士と社外監査役>

 弁護士で社外取締役又は社外監査役に就任している人は少なくありません。多くの弁護士は弁護士業務が多忙なので、社外取締役との両立はむつかしく、社内監査役に就任しています。企業における「コンプライアンス(法令順守:参照wikipedia)」、「コーポレートガバナンス(企業の経営を監視・規律すること、又はその仕組みをいう:参照wikipedia)」、「CSR(企業の社会的責任:参照wikipedia)」が重視されており、法律専門家としての弁護士が社外監査役に加わることは意義あることだと思います。

【東京証券取引所の業務規則改正と独立役員】

 独立役員は東京証券取引所が09年12月22日に業務規定を改正したことによるものです。同取引所は独立役員について次のように定めています。(株式会社東京証券取引所平成21年12月22日公表 「『上場制度整備の実行計画2009(速やかに実施する事項)』に基づく業務規程等の一部改正について)」:東京証券取引所ホームページより)

Ⅰ 改正概要
1.コーポレート・ガバナンスの向上に向けた環境整備
(1)(2)  (略)
(3)独立役員
① 独立役員の確保
・ 上場内国株券の発行者は、一般株主保護のため、独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいう。以下同じ。)を1名以上確保しなければならない旨を、企業行動規範の「遵守すべき事項」として規定するものとします。
・ 上場内国株券の発行者は、独立役員に関して記載した「独立役員届出書」を当取引所に提出することとし、当該届出書を当取引所が公衆の縦覧に供することに同意するものとします。
     (中略)
② 独立役員の開示
・ 上場内国株券の発行者は、独立役員の確保の状況(独立役員として指定する者が、以下のaからeまでのいずれかに該当する場合は、それを踏まえてもなお独立役員として指定する理由を含む。)を、コーポレート・ガバナンス報告書において開示するものとします。
     (a、b 略)
c 当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者及び当該団体に過去に所属していた者をいう。)
     (d、e 略)

【顧問弁護士の独立役員への就任】

 顧問弁護士が独立役員に就任することについては、上記②Cに該当するか否かが問題となります。すなわち「当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ている法律専門家」に該当するか否かです。これについて社団法人日本監査役協会監査法規委員会は10年2月26日「独立役員に関するQ&A」の中で次のような見解を述べています。(社団法人日本監査役協会 監査法規委員会 平成22年2月26日公表「独立役員に関するQ&A-独立役員届出書提出にあたっての監査役の実務対応-」:日本監査役協会ホームページより)

「『多額』の基準は会社法施行規則74条4項6号ロに従った解釈論となります。『多額』の報酬を受けていることで独立性について疑義が生じる理由は、社外役員が当該会社に経済的に依存し、その結果、財産を給付することを決定する権限を有する会社の業務執行者からの独立性が十分に確保されないおそれがあるからと考えられています(弥永真生『コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則』(商事法務、2007年)421頁)。『経営陣から著しいコントロールを受けうる』立場にあるのか否かが、判断の重要なメルクマールとなります(経済産業省『企業統治研究会報告書』(平成21年6月17日)参照)。」

「『多額』か否かの判定を含め独立役員に該当するのか否かは、経営陣からの独立性に照らして判定されますので、最終的にはあなたとX社との現実的な関係次第といえます。
会計士や弁護士など一定の資格要件を持って会社にアドバイスをしている人や専門 性の高いコンサルタントは、経営陣の利益を図るためにアドバイスを行うというよりも、会社と委任契約を締結した者として会社利益の最大化のために、業務執行者に対して内部からは言えない客観的意見を述べていることも実態として少なくありません。独立監査役としての職責と社外監査役としての職責との間には法的に差異がないと考えることも可能であることはQ3で述べたとおりですが、例えば顧問弁護士が社外監査役に就任すること自体、そもそも会社法上も否定されていません(吉戒修一『平成5・6年改正商法』(商事法務、平成8年)224頁)。」

 日本公認会計士協会は金融商品取引法に基づく会計監査による監査報酬は原則として「多額の金銭その他の財産に該当しない」としています。したがって顧問弁護士が経営陣からの独立性を危ぶまれるほど多額の報酬を受け取っている場合(これはまれなことと思います)を除き、顧問弁護士が独立役員に就任することは問題がないと私は考えます。

【後輩弁護士の独立役員への推選】

 私は今回ある顧問会社に後輩の弁護士を独立役員に推選しました。私自身は社外取締役も社外監査役も就任せずに今日に至りましたが、弁護士が企業の独立役員としてコーポレートガバナンス、コンプライアンスの視点から積極的に参加するのは企業にとっても当該弁護士にとっても有益なことと思います。そんなことから今後とも要請があれば独立役員への推選を積極的に行っていきたいと思っています。幸いに役員賠償責任保険も充実してきており、故意又は重過失がないかぎり、損害賠償請求を受けて家も貯金も失うという事態は防げそうで、安心して役員に就任できる環境が整ってきています。

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2010年3月29日 (月)

「西洋化」の終わりと岐路に立つ日本経済

(3月28日 日本経済新聞
        〔経済論壇から 東京大学教授 松井彰彦〕 より)

【私の意見】Up63

 明治維新以来“富国強兵”政策のもと欧米に追い付き追い越せと走ってきた日本国の経済は今歴史の大きな岐路に立っています。GDPで中国が日本を追い抜くときが来ました。韓国企業は欧米でもアジアでも日本企業を凌ぐ勢いで走り続けています。西洋の終焉(しゅうえん)は、アジアにおける日本の終焉でもあります。
 3年間日本経済新聞の「経済論壇から」のコーナーを担当してきた松井彰彦東大教授が、福田慎一東大教授に担当をバトンタッチするにあたり、まとめた記事を以下ご紹介します。
 松井教授は高等教育や科学技術研究の重要性を強調しています。その点はそのとおりなのですが、50年ほど前日本の中学生が数学でも理科でも世界一をとった頃と比べると何が違うのかというと、教育水準や研究投資の劣化というよりも、私は日本人全体の意欲の減退が最も大きいのではないかと思います。将来への夢をもたない子供たちや日々疲れ果てている大人たちに高等教育や科学研究の重要性をいくら強調しても、腹の底からのやる気を失っている子どもたちや大人たちの心を揺るがすことはできません。今の日本は、日本人同士が互いの足を無意味かつ無神経にひっぱりあっている社会になり変ってしまったと私の目には映ります。人々がお互いを信頼しあえる社会を築かないかぎり、世界に誇れる質の高い製品や文化が生まれる筈がないと思います。
 以下は松井教授の記事の引用です。

【中国のGDPがいよいよ日本を追い抜くときがきた】

 週刊誌の大学合格者ランキングも一段落し、間もなく新年度。入学や入社を間近に控え、期待と不安の入り交じった気持ちの人も少なくないだろう。新しい環境の下、多くのことを学ぶとともに、しばらくは様々な決断を迫られる緊張した日々が続くことになる。日本経済もそうした決断を迫られる「歴史の岐路」に立っているのではないか。
         □       □
 改革開放以来、格差の増大に目をつぶってひたすら成長を追い求めてきた中国の国内総生産(GDP)がいよいよ日本を追い抜くときがやってきた。
 国際公共政策研究センター理事長の田中直毅氏(中央公論4月号)は、近代化のチャンピオンとしての地位を中国に奪われた日本は、否が応でも「脱近代」を目指し、中国との差異化を求めていかなくてはならない立場に追い込まれたと指摘する。
 そうした差異化が特に重要となるのは産業界だろう。  (中略)

【近代化と脱近代化・脱工業化】

 近代化とは先進国へのキャッチアップの過程であり、脱近代化とはキャッチアップした後にいかに他国と差をつけていくかの過程のことである。早稲田大学教授の若田部昌澄氏(本紙「経済教室」3月1日付)は、アギヨン米ハーバード大学教授とダーラウフ米ウィスコンシン大学教授らの差異化への処方箋(せん)を紹介している。
 それによると、研究開発投資の場合、発展途上国では世界の知識の最先端にキャッチアップすることが成長の原動力になるが、既にキャッチアップが終わった先進国では研究開発によって新しい知識そのものを作り出していくことが望ましい。その際、教育の役割が大切なのは当然として、知識の最先端から距離がある場合は初等・中等教育の役割が大きく、日本のような先進国の場合は大学以降の高等教育の役割が大きいという。
 先進国にとって、脱近代化は同時に脱工業化の過程でもある。早稲田大学教授の野口悠紀雄氏(週刊ダイヤモンド3月13日号)は、先進諸国間でも脱工業化に成功した国と、そうでもない国の間の差が開きつつあると指摘する。前者の中心は付加価値の高い、高度の知識をベースにしたサービス産業で、「脱工業化社会の基礎をつくるのは、高等教育である」と述べている。 (中略)

【品質という日本が世界に誇れる資産を磨くには】

 しかし、先進国が競って未来への投資としての高等教育や科学技術予算を増やす中、日本はその流れに逆らうように、関連予算を削減してきた。伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏(文藝春秋4月号)は、品質という日本が世界に誇れる資産を磨くには、中間層の能力を高める教育と科学技術の振興が欠かせないのに、高度経済成長期に英国を上回っていた高等教育を巡る現状は「今は暗い」と述べ、このままでは日本が極東のただの島国になり、国民は貧しい生活を強いられかねないと警鐘を鳴らす。
 もちろん高等教育の充実には、その担い手である大学も、社会における自らの役割を真剣に考えなくてはならない。東京大学教授の金子元久氏(本紙「教育」3月22日付)は、グローバル化を背景に、各国の大学教育の質を巡る競争が熾烈になっており、大学には「新しい経済活動を創造し、支える人材をどのようにして育成するかが問われている」と述べている。

【西洋の終焉という歴史的転換期】

 米ハーバード大学のニーアル・ファーガソン氏(フォーサイト4月号)によると、現在私たちが直面している状況は、西洋の上昇の終焉という歴史的転換期であるという。彼が歴史学者として学んだのは未来は一つではないということであり、私たちの前には未来について複数の選択肢があるという。
 ファーガソン氏が描く未来図は二つ。一つは日本を含む西洋諸国が停滞し、非西洋諸国が伸長、中国が世界一の経済大国になるというもの。もう一つは先進諸国が様々な改革に成功し、経済復興を成し遂げる半面、格差が広がった新興国で政治不安が高まり、それが成長の重荷になるというシナリオである。
 このうち後者のシナリオが実現するかどうかについて、同氏は先進諸国の「人々が『厳しい選択』をするかどうかにかかっている」と述べている。

【過去の成功体験に決別を】

 日本の政策や制度は未だに過去の成功体験に縛られているといっても過言ではない。欧米より短期間に近代化に成功してしまったがゆえに、制度や意識の転換が追いつかなかったことが、停滞の主因であろう。どの大学に入るかにばかりに焦点が当てられ、大学で何をするかには注目が集まらないことも、高度成長期の残渣(ざんさ)の一つである。
 しかし、歴史を見ても時代の変化に適応できない(できなかった)組織や国家は衰退するのみである。私たちは過去の成功体験にすがるのではなく、新入生は新入社員のように、謙虚な気持ちで自国をみつめ、厳しい選択を採る必要に迫られていることを肝に銘じなくてはならない。先行きが見えない時代だからこそ、小手先の弥縫策(びほうさく)ではなく、私たち自身が一人ひとりの能力を地道に伸ばしていくことがますます重要になっていることを銘記して、3年間にわたる経済論壇の筆を擱(お)くことにしたい。

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2010年3月23日 (火)

御手洗会長の退任と岐路に立つ経団連

【御手洗冨士夫氏の誤算】

 御手洗氏がトヨタ自動車の奥田碩氏の後を継ぎ日本経済団体連合会の会長に就任したのが2006年5月のことです。小泉政権から安倍政権への移行期です。日本経済団体連合会は奥田氏の代から政治献金を再開し御手洗氏はこれを継承し、自民党政権に一層肩入れしました。2006年9月26日に安倍晋三内閣が登場すると安倍氏の著書「美しい国へ」に呼応するように、御手洗経団連は「希望の国、日本-ビジョン2007-」を2007年1月に発行しました。その中で経済団体としては異例の憲法9条の改正にまで踏み込み

「憲法改正案に関する国民的な合意を形成する。改正案の内容については、日本の理念や伝統、国際社会において日本が果たすべき役割などを踏まえ、幅広く検討する必要がある。改正にあたっては、第9条第1項に規定されている平和主義の基本理念は堅持しつつ、戦力不保持を謳った同条第2項を見直し、憲法上、自衛隊の保持を明確化する。自衛隊が主体的な国際貢献をできることを明示するとともに、国益の確保や国際平和の安定のために集団的自衛権を行使できることを明らかにする。同時に憲法改正要件の緩和を行う。」

と記述しました。安倍首相と3回にわたり経済ミッションとして海外を訪れる蜜月ぶりでしたが、安倍晋三氏がわずか1年で政権を放り出し、御手洗経団連は頼みの軸足を失ってしまいました。その後の福田政権、麻生政権と自民党政権が続いたもののキャノンの偽装請負問題や多額の脱税で逮捕された「大光」社長大賀規久氏との不透明な関係がマスコミでとりあげられ、キャノン及び御手洗氏自身の威信が大きく落ち、当時野党であった民主党が偽装請負で御手洗氏の証人喚問を求めるなど苦しい立場に追い込まれました。2009年9月民主党政権となり政権与党との距離ははるか彼方になってしまい、「財界総理」として「政権総理」に働きかけるどころか「財界総理」としての影響力も低下しました。意中の候補者に次期会長への就任を要請しましたが、次々と断られました。

【財界の明日は】
       (朝日新聞 3月21日
            御手洗冨士夫氏のインタビュー より)

--会長在任中、経済は世界的な不況に陥り、政権も交代しました。就任時に考えていたことはできましたか。
  「激動の時代だった。残念ながら日本が世界の中で後退していくことを感じざるを得なかった。会長として27回海外に行き、25カ国を回った体験を通じて、日本が遅れていると感じた。2006年の就任直後は景気が良くて先行きに希望が持てた。まだ小泉政権の改革路線の慣性があって、それをさらに深化させようとしていた。御手洗ビジョン『希望の国、日本』もその流れだった」

〔私のコメント〕
 小泉政権の改革路線と「希望の国、日本」をまだ捨てきれないのですね。

--経団連は政治献金に関与することをやめます。奥田経団連では「お金も出すが口も出す」と言っていましたが、なぜやめたのですか。
  「政策評価に基づく政治献金を促すことが無理になった。去年の9月に政権交代したからだ。今までは1年ごとに政策を評価した。ところが昨年は、自民党は前半が与党で後半が野党。野党だった民主党が与党だ。政権の実行能力が高くなる与党は当然、政策評価の得点が上がるから、自民党が有利だった。今回は逆になってしまう。これまでの制度は、自民党長期政権を前提にした政策評価システムだったことに気づかされた。50年も続いたから空気みたいになっていた。政権交代で初めて経団連の政策評価に欠陥があることがわかった。このままでは政権交代のたびに混乱が起きる。それでこれまでの政策評価をやめたわけです」

〔私のコメント〕
 自民党長期政権が終わった以上経団連のあり方も変わってほしいものです。

--グローバル化によって、企業が成長しても、その果実のうち国の取り分も個人の取り分も減っています。国民益と企業益の隔たりが拡大していませんか。
  「1つの原因はやはりグローバリゼーション。『雇用』が流出した。安い雇用を求めて海外に行ってしまったからだ。海外からは安いものが流れ込んだ。国内では値上げができず、もうからない。企業が成長しているといっても、国内では成長していない。縮小しているばかり。雇用も増えず、給料もあまり上がらなかった。しかし、企業は成長してるじゃないかと批判された。確かに連結では成長しているが、単体では成長していないという現実があるにはある」

〔私のコメント〕
 「連結では成長しているが単体では成長していない」というのは株主総会の紋切り型の回答のよう。「財界総理」たるものはひろく人々の生活に憂いをいだいてほしいものです。

--もっと企業を理解してもらう必要がありそうですが、企業と国民とのコミュニケーション不足がありませんか。
  「コミュニケーションが十分でない。だから非常に残念に思う。そもそも今の時代、従業員を搾取したりいじめたりする経営者は存在できません。会社が生き残るには、どのように条件を良くして従業員を幸せにできるのかという競争です。そうでないといい従業員は集まらないし、いい商品も生まれない。ところが100件に1件ぐらい搾取する会社が出てくると、大企業の悪、エゴと批判される。このごろ社会とのコミュニケーションをよくしろ、と特に言っているのはそのためだ」

〔私のコメント〕
 偽装請負、派遣切り、期間工切りは新しい形の搾取でありいじめであると言えないでしょうか。

【キャノンを創業した御手洗毅氏の理念と実践】
                          (wikipediaより

御手洗 毅(みたらい たけし、1901年3月11日 - 1984年10月12日)は実業家。キヤノン初代社長。また、太平洋戦争以前は産婦人科医として御手洗産婦人科病院を開業。

来歴・人物

1901年、大分県に生まれる。実家は代々医師の旧家。1928年、北海道大学医学部卒業。上京して日本赤十字病院に勤務。731部隊の石井四郎と師を同じくする。
1933年11月、吉田五郎や内田三郎らの創設した精機光学研究所に共同経営者として参画。内田とは、産婦人科医として内田夫人の出産を通じて親交が始まる。
内田がシンガポールに赴任するなどしたため、1942年、御手洗自身が社長に就く。
太平洋戦争による空襲で御手洗の経営していた産婦人科病院は焼失し、戦争終了後はキヤノン経営に注力した。医師であった事から医療用機器の開発を推進し、その後現在も続く開発・製造の原点となった。
1967年、「右手にカメラ、左手に事務機」のスローガンを掲げ、キヤノンの多角経営を宣言した。
1974年、前田武男に社長の座を譲った。1977年、前田の死去に伴い賀来龍三郎が社長に就任するとともに名誉会長となる。1984年10月12日死去。享年83。

経営哲学

実力主義と家族主義を旨としていた。GHQ(Go Home Quickly)などの標語を掲げ、家族あっての仕事という当時の日本の企業としては珍しい考え方を社員にといた。1959年には他社に先駆けて完全週休2日制度をキヤノンに導入した。
海外指向も強く、初期からキヤノンの海外展開を進めた。また自分の子供達を高校からアメリカに留学させている。5代目社長となる彼の息子の御手洗肇は、マサチューセッツ工科大学へ進学している。

〔私のコメント〕
 毅氏はアメリカで視覚障害の少女が視覚障害者サポート機器オプタコンを使って点字ではなく普通の文字をすらすら読んでいるのを思い出し、部下にオプタコンの製造を命じたとのことです。キャノンは毎年1億近い赤字を計上しながらも、日本だけでなく欧米各国にも輸出し大いに喜ばれたとのことです。(ドリームゲートホームページ内「その時、偉人たちはどう動いたのか?」御手洗毅 より)

【私の意見】Up63

 創業者のことを知り、キャノンは立派な会社であり、私たちが誇るべき日本の企業だとあらためて思いました。冨士夫氏にとって毅氏は叔父にあたり、ウィキペディアには冨士夫氏のキャノン入社の経緯について「1961年3月中央大学法学部法律学科卒業。在学中より司法試験を目指すが失敗し、同年4月、叔父御手洗毅が創業者の一人であったキヤノンに入社。」と記述されていました。なんだ。キャノンに入社するまでは私と同じ人種だったんだと思うと一寸がっかりしました。毅氏の息子の御手洗肇氏(wikipesia)が1995年に急逝し、冨士夫氏は急遽社長に就任しました。冨士夫氏のもと企業の業績は伸びたものと思いますが(これも先人達が築いた磐石の経営基盤のおかげと言えますが)、キャノンはダーティーな企業というイメージが広がってしまったのは残念です。創業者の毅氏はキャノンの現状をいったいどのような思いで見つめているでしょうか。
 キャノンの本社は創業の地なのでしょうか、大田区下丸子3丁目30番2号にあります。私が時々訪ねる大田区障害者就労支援センターは大田区下丸子4丁目6番16号にあります。キャノン本社とは目と鼻の先の距離です。キャノンが誇れる日本の企業として信用を取り戻してくれることを心から願っています。

 

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2010年1月24日 (日)

経団連会長に米倉氏 国民益踏まえ提言を

【経団連会長に米倉氏 国際派の住友化学会長】
                 (2010年1月24日 朝日新聞 より)

 日本経団連の次期会長に、米倉弘昌・住友化学会長(72)を充てる人事が23日、固まった。経団連関係者が明らかにした。今月中にも内定し、5月の定時総会で正式に就任する。
 米倉氏は2004年から08年まで経団連副会長を務めた後、同会長の諮問機関である評議員会の議長に。会長に次ぐポストで、経済界をまとめる手腕が評価されたとみられる。経団連は自民党と親密な関係にあった。次期会長は鳩山政権と、政策議論をいかに進めるかが課題になる。
 06年に就任した御手洗富士夫会長(74)は、5月で2期4年の任期を終える。後任にはグローバル化に適応できる人物を条件に挙げていた。
 米倉氏は住友化学社長時代に、サウジアラビアの国営石油企業と合弁で石油精製・石油化学の一貫プラントの建設に合意。海外展開を本格化させた。米国留学や海外駐在も経験し、石化業界きっての国際派として知られる。

<米倉 弘昌氏(よねくら・ひろまさ)>

 東大法卒、1960年住友化学工業(現住友化学)に入り、2000年に社長、09年4月から会長。

【「国民益」踏まえ提言を】

 日本経団連の次期会長に固まった米倉弘昌・住友化学会長の使命は、鳩山政権との間合いを定め、健全な政策協議が進められるような信頼関係を築くことだ。その前提として、自民党政権を支えてきた企業献金を見直し、個人献金を中心に据えた政治献金の風土づくりを目指すべきである。
 昨年誕生した鳩山政権と経団連との関係は、お互いの腹のさぐり合いが続いている。政権の基本政策「コンクリートから人へ」は、企業などの供給サイドを強くするという政策から、消費者の購買力を高めるために手当を厚くするという需要サイドに配慮したものだ。
 鳩山政権は企業の競争力アップを目指した自民党政権のような成長戦略とは一線を画しており、経団連との政策協議よりも、連合などの労働組合との協議を優先させた。
 しかし、経団連加盟の大手企業首脳は「弱体化した自民党が政権に復帰する可能性は薄く、民主党とのパイプを太くしなければならない」と指摘。経済産業界省や財務省、総務省などとの意見交換の場を徐々に広げていたが、自民党政権時代ほどは密接な関係を築けずにいる。
 鳩山政権にとって、世界的な景気低迷とデフレの下で日本経済の立て直しを急がねばならない。そのためには経済の実態に沿った政策を立案しなければならず、経済団体との意見交換は不可欠だ。
 経団連は、民主党との円滑な政策協議を進めるには、企業益ばかりを前面に出すのではなく「国民益」を踏まえた政策提言をする組織にならなければならないだろう。
 また、鳩山政権は「政治とカネ」の関係で揺れ、3年後をめどに企業・団体献金の廃止を模索している。これまで企業献金の中心にいた経団連は政権交代と会長交代を好機として、企業献金の廃止に踏み出し、政治と経済界との新しい関係の構築に取り組むことが問われている。  (編集委員・安井孝之)

【私の意見】Up63

 米倉次期経団連は国民目線を持った経済界に変わることが何となく期待できそうな気がします。このブログで私はたびたび財界に批判的な意見を述べましたが、それは小泉政権以降、時の政権と一体となって目の色を変え人件費コストを削減し、国民益を軽視した財界の批判です。経済界は経済界という立場からのバランスのとれた要望をもつのは当然のことで、そこまで否定するつもりはありません。

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2009年12月31日 (木)

動き出す「非小沢」 民主七奉行 巻き返しへ

【動き出す「非小沢」 民主七奉行 巻き返しへ】
                   (12月30日
朝日新聞 より)

 民主党の小沢一郎幹事長が党運営だけでなく鳩山内閣の政策決定にも影響力を及ぼすなか、小沢氏と確執を生じてきた次世代リーダー格の「七奉行」が動き出した。政権交代後、初めてとなる会合を今月に開催し、「非小沢」の立場から発信を強めている。 (渡辺哲哉)
 「党で全く議論をしていない。国民の理解を得られない」。今月22日の記者会見で、七奉行の一人で元党代表の前原誠司国土交通相が不満をあらわにした。
 来年度予算案の編成作業中、小沢氏が鳩山由紀夫首相に対し、高速道路の無料化を掲げるマニュフェストに反し、党要望として有料で建設を続ける提案をつきつけたからだ。さらに前原氏は25日、89ダム事業の凍結につながる方針を表明。全国からの陳情を「全国民の要望」と主張し、公共事業の場所選びにも関与を図る小沢氏を牽制した。
 小沢氏が党代表となった2006年以降、「非小沢」の中核となってきた七奉行。だが、政権交代で岡田克也外相ら4人が政府の役職につく一方、党常任幹事会メンバーは玄葉光一郎衆院財務金融委員長だけとなり、「分断統治された」(岡田氏周辺)。
 5月の党代表選で、鳩山氏を推す小沢グループに対抗して、七奉行の大半は岡田氏を支持、このため首相の指導力不足で小沢氏の存在感が増すことへの不安が特に強い。
 玄葉氏は22日の講演で、予算編成について「誰が仕切るかはっきりせず、小沢さんが出てきた」と指摘。後見人の渡部恒三前最高顧問を交えた10日夜の会食では七奉行から「鳩山さんの精神状態は大丈夫か」といった声も出た。
 七奉行の一人は新人を集めて党運営への不満を聴き、議員立法や国会質問を制限する執行部に改善を求めている。「小沢さん一辺倒はよくない。みんな相当ストレスがたまっている。幹事長に意見を言う場を党内につくるべきだ」と話す。

<「小沢」対「非小沢」の攻防>

《2008年》
 
9 月 小沢一郎氏が民主党代表に無投票で3選。野田佳彦広報委員長、枝野幸男元政調会長が立候補を検討したが断念。
《2009年》
 5 月 小沢氏が公設秘書の違法献金事件で代表を辞任。前原誠司副代表や仙谷由人元政調会長らが早期の決断を要求。党代表選で鳩山由紀夫幹事長が小沢グループなどの支援で岡田克也副代表に勝利。国会議員の投票で124対95.
 10月 仙谷行政刷新相が担当する事業仕分けに若手議員が加わることを小沢幹事長が認めず。仙谷氏は小沢氏におわび。
 12月 小沢氏主導でまとめた党の予算要望で、高速道路会社による高速道整備について前原国土交通相が拒否。   (肩書は当時。)

【「政権を取り、民主暗くなった」 渡辺恒三氏、党の現状に危機感】

 民主党の渡部恒三前最高顧問は朝日新聞のインタビューで小沢幹事長に権限が集中する党の現状に懸念を示した。
----予算編成では小沢氏が鳩山首相に公約違反となるガソリン税などの暫定税率分維持などを求めました。
 「出てくる必要はなかった。陰でこっそり電話するのが小沢の役割だ。鳩山にリーダーシップがないことを証明するようになってしまった。事業仕分けでも当選1回の議員は口出すなとか、大変な間違い。最初から発言するなというのは大政翼賛会だ」
----前原国交相や樽床伸二衆院環境委員長ら「七奉行」と定期的に会食しています。
 「衆院副議長の時、玄葉君にこれからの党を担う人を紹介してくれと言って、気の合う七人が集まるようになった。おれは(自民党竹下派で)小沢を誘って七奉行となった。今の七人も日本の政治の中枢になり、非常に誇りだ。心の友だ。また(会合を)やるよ。ばんばん。」
----反小沢の集まりでは。
 「そんな小さいのは一人もいない。小沢に機嫌取りもしないし、反対もしない」
----いまや党内で小沢氏に苦言を呈するのは渡部氏ぐらいです。
 「そんな状態で明日の民主党はない。おれらが自民党で1年生の頃は幹事長に党運営で文句を言った。民主党は政権を取ったら元気がなくなった。暗い感じがする」
----今のままで来年夏の参院選に勝てますか。
 「勝つ。自民党が負けてくれる。心配なのは、自民党も民主党もダメならば、政治不信になる。民主主義の危機だ」 (聞き手・高橋福子)

【私の意見】Up63

 自公政権に代わって民主・社民・国民新党政権に変わり多くの国民が鳩山由紀夫内閣に期待をいだいてきました。私も期待してきました。
 しかし、鳩山内閣の政策決定が小沢氏の意向に左右されるというのは民主政治と明らかに反します。民主的でない民主党というのは民主党が一野党の時代であればお笑いギャグですますことができたでしょうが、政権党となれば日本の政治が一人の人物の意向で、しかも密室で決められていくことになります。
 七奉行から「鳩山さんの精神状態は大丈夫か」といった声も出たということですが、安倍晋三氏も鳩山由紀夫氏も三代目のお坊ちゃん宰相、そのような声が出る素地があるのでしょうか。
 渡部恒三氏は今のままでも来年夏の参院選で「勝つ。自民党が負けてくれる。」と明言しています。小沢氏は参院選で圧勝するための戦略・戦術を周到に練っているようです。票さえあつめればいいんだという発想は国民をこけにするものですが、そういう国民も六十数年間政治を観客席からながめることしかせず政治的惰眠をむさぼってきました。小沢氏の密室政治も「あれあれ、変だよね」とながめるだけです(私もそうです。)。小泉純一郎政権や安倍晋三政権の時は何でも反対を貫けば一応それなりに筋は通ったのですが、鳩山内閣の時代は国民の側からのより積極的で建設的な働きかけが必要です。しかし私たち国民の側にその力量が備わっていず、なかなか足が前に出ないのが悲しい現実です。

<2010年もよろしくお願いします>

 2009年は私の拙いブログを覗いていただきありがとうございました。2010年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2009年12月13日 (日)

繁栄ニッポンとメインストリーム化と国民

【国民のメインストリーム化?】

 メインストリーム(主流)化という言葉は普通は障害者や少数民族など社会的少数者を中心にすえた社会のあり方を問い直す言葉です。
 民主主義国家で国民のメインストリーム化というのは言葉の意味からも自己矛盾です。日本国憲法は前文で次のように国民主権を高らかに謳っています。

[日本国憲法前文]
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 国民の国民による国民のための政治が行われる国で国民のメインストリーム化なんて変な話です。変な話ですが、戦後64年間日本国民はメインストリームを占めたことがないというのが私の思うところです。

【金満国ニッポン】

 「戦争の廃墟の中から立ち上がった私たち日本人は・・・」という下りは、日本人が日本民族を立志伝的に好んでよく使う言葉です。確かに戦争で国土はことごとく廃墟と化しました。そこから日本はめざましい経済成長を遂げアメリカに次いで世界第2位の経済大国となりました。第2位どころか金満という意味では世界一と言えます。日本の純資産残高は15年連続して世界一で世界最大の債権国です。08年の純資産残高は225兆円です(財務省ホームページ:平成20年末 本邦対外資産負債残高の概要)。日本の貿易収支が少し落ちたと言っても所得収支とあわせ経営収支は一貫して常に高い水準で黒字です。09年4月~9月で7兆円、どんどん日本の純資産が増えています。

【社長のツルの一声で決まる日本の社会 日本のメインストリームは経済界の重鎮】

 日本の企業は企業内民主主義よりも社長を中心にした集中を重視します。どんなに大きな企業でも議論はしますが最後は社長の決断(ツルの一声)ですべてが決まります。副社長とか専務取締役がいても社長の方針に黙々と従っています。社長は取締役会で選任されますが、選任された後の取締役会決議は多数決というよりも社長が何を選択するかで決まります。会社が経営に行き詰ったような時にたまに社長解任劇がありますが、これは例外中の例外です。日本の代表的企業はほとんどが東京証券取引所の第一部に上場していますが、その数は1700社位です。日本で労働に従事している人は、自営業者や会社経営者を含めて6,385万人です。東証一部上場企業等の社長はその0.0027%にすぎません。言いかえれば大企業の社長は37,600人に1人にすぎません。一方労働者(雇用者)は5,524万人で労働に従事している人の86.5%を占めています(厚生労働省ホームページ:「平成21年度版労働経済白書」17頁)。国民の国民による国民のための政治を行うためにはまず第一に労働者のための政治を行うべきが当然ですが、これまで日本ほど経済界しかも一部の輸出型企業経営者の顔色をうかがって政治を進めてきた国は他にないと思います。その意味で日本のメインストリームは常に経済界の中枢を占める人たちです。

【今なおエコノミックアニマル化を煽る日本のマスコミ】

 日本人はヨーロッパの人々からエコノミックアニマルと揶揄されてきました。ヨーロッパの人々の日本人に対する見方は今も変わりがないと思います。鳩山由紀夫政権は国民の生活重視・CO2削減による自然環境重視等の提案をし自民党政権による経済成長至上主義政策からの脱却を図ろうとしてます。しかし経済界や多くのマスコミは経済成長至上政策の推進を煽っています。
 12月13日の日本経済新聞は「日本株出遅れ鮮明-描けぬ成長、政策に不信感-」という見出しで次のように述べています。

 「世界的な株高基調の中で日本株が出遅れている。総選挙のあった8月末以降の株価騰落率をみると、主要20カ国・地域で日本株は唯一マイナスとなった。円高や増資に加え、鳩山由紀夫政権の経済運営への不信感から日本株投資を敬遠する動きが広がっている。日経平均株価は1万円台を回復したが、海外に比べ上値の重さは鮮明だ。」
 「日本株の足を引っ張った固有の要因のひとつは急速な円高。輸出産業の比重が高く経済への打撃は大きい。企業の増資が相次ぎ、株式が大量に供給されたことも響いた。
 さらに、市場心理を継続的に曇らせている大きな要因は、政策の不透明感だ。デフレや円高対策が急務となっている中で、鳩山首相は政治献金や普天間基地問題への対応に追われている。『経済政策の優先度が低いのではないか』(独アリアンツ傘下の運用会社RCMジャパンの寺尾和之氏)との不安は、時がたつごとに拡大している。」

 日本のマスコミはインフレになったらインフレで、円安になったら円安で政権を批判します。国の経済は国民の生活の基本であり、企業にとっても国民にとっても重要です。しかし経済成長の果実が大手企業や富裕層にのみ配られ、多くの国民は生活不安の日々を送らされてきました。今までの政策は明らかにまちがっていたと思います。大手の輸出型企業の保護・優遇政策はその企業どまりになっていて輸出型企業のみ強固となっています。強固になった輸出型企業が世界でシェアを増やせば日本人はますますエコノミックアニマルと揶揄されるでしょう。国民一人ひとりが果実を世界の人々と共有できてこそ経済成長に本来の値打ちがあります。

【負け犬根性】

 自公政権が倒れ、民主・社民・国民新党政権に変わりました。先にも述べましたように鳩山内閣は経済成長至上主義から国民に目線を置いた政策を進めています。フランスやイタリアやスペインなどのラテンヨーロッパの国では政権が交代すると新たな政権側についた人々はこれからの国の政治をどう変えていこうかとワイワイガヤガヤとにぎやかにはしゃぎます。
 日本の政権交代後私が労働者主体の会合に出て感じるのは、あいもかわらずみんな疲れ切った中で“討ちてしやまむ”の悲壮感がただよっているということです。国民の側に64年にわたり負け犬根性が染みついてしまい、メインストリームになりきれないのです。民主党がほんとうに国民(雇用者)のための政治をはたして実現してくれるかどうかまだまだ疑問は消えません。しかし国民の側に新政権をひっぱっていく意気込みがないと経済界と経済界の意向を反映するマスコミらによって簡単にひっくりかえされてしまいます。圧倒的多数を占める国民のメインストリーム化は簡単なことの筈ですが、簡単なことが簡単にできないほど経済界のご意向にそった政治が長年行われてきて国民の側にも意識改革ができていないように思います。さあ、メインストリームを闊歩しようぜ!

【御礼】Up63

 この3年間にブログを訪れて下さった方の回数が10万回を越えました。面白くもない私のブログを訪れて下さったことに心より感謝申し上げます。

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2009年12月 7日 (月)

労政審大迷走 障害と合理的配慮の議論

 【はじめに】 

 週一回はブログを更新したいと思っていましたが、今回果たせず失礼しました。
 労働政策審議会はいつも経済界の意向にそう答申を出してきました。委員の総とっかえが必要です。
 障害者権利条約の合理的配慮についての議論が大迷走していることは、次の記事から明白です。使用者やハローワークの担当者だけでなく障害者の親の側にも「働かせてもらえるだけまし」という気持ちがあります。障害者団体の代表のこの種の個人的な思いをもとに障害者側の意見を聞いたとして答申を急ぐ厚生労働省の姿勢は、民主党政権になっても全く変わっていないようです。

 【11月23日 福祉新聞 より】 

 障害者権利条約を批准するために雇用・労働分野で必要な法整備を検討している労働政策審議会障害者雇用分科会(会長=今野浩一郎・学習院大教授)の第41回会合が11日に厚生労働省で開かれた。
 条約が規定する合理的配慮をどのように法制度に盛り込むかが議題となっている。しかし、どのようなことが合理的配慮か、どの程度だと雇用主にとって合理的配慮を提供することが過度な負担となるのか、といった問題はケースバイケースのため「イメージがつかみにくい」という委員も多く、議論は進展していないのが実情だ。
 会合では、使用者側の新澤昌英・福島県中小企業団体中央会長が「通勤時の移動支援まで企業に義務付けるのはいかがなものかと思う。過度な負担とならないよう、社会が企業に助成してこそ合理的配慮を提供できると思う」と主張。
 また、障害者側の副島宏克・全日本手をつなぐ育成会理事長は「息子は長年働いても賃金が上がらなかったが、私は、差別というよりも楽しく働き続けられたことの方を評価したい。正規雇用とは違う賃金や勤務時間であっても雇用してもらいたいという願いは強く、なんでもかんでも差別だというガチガチの制度になると知的障害者の働く場がなくなってしまわないかと心配だ」と語った。
 これを受けて新澤氏は「中小企業としては副島委員の意見がよく理解できる。町工場などでも『なんとか雇ってほしい』と頼まれ温情で雇っているケースはたくさんある。がんじがらめにされると、せっかく本人にもこちらにもメリットがあるのに受け入れにくくなる』と応じた」。
 しかし今野会長は「個別具体的なことをここで議論するのは無理な話で、ガチガチにしようとはしていない」とフォロー。公益委員の岩村正彦・東京大大学院教授が「法律でガチガチにしようとしているのではない。大枠を決めて、ケースバイケースとなる具体的なことはガイドラインで示していこうというのが、研究会の中間整理だったはず」と取り成す場面もあった。
 さらに岩村氏は「障害者だから嘱託とするのは差別だというのが論理だが、副島委員の主張だと嘱託にしたことが合理的配慮なのだという説明になるのかもしれない。ただ、そのように海外に説明しても通じないだろう」と指摘した。
 なお、同日は、諸外国がどのように合理的配慮を法律に位置付けているかの説明が厚労省からあった。
 ドイツは社会法典で、重度障害者が雇用主に対して環境整備などを請求する権利が規定されている。フランスは労働法典で、雇用主が適切な措置を取ること、障害労働者が調整を要求できることが規定されている。米国と英国は障害者差別禁止法に合理的配慮が規定され内容が例示されているという。

 

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