福田外交 アジア・アフリカと共に歩む
【私の意見】
福田康夫首相の外交政策を中心に関連記事を並べました。記事の数が多いので最初に私の意見を述べます。興味のない記事はとばしてください。
1は、5月22日第14回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞主催)での晩餐会で福田首相が行った演説の記事です。
2は、この演説を「その言やよし」とした朝日新聞の社説です。
3は、5月23日に「アジアの未来」で高村外相が講演した内容です。
4は、同じ時に竹中平蔵元金融相が講演した内容です。
5は、日本政府がアフリカにコメ約2万トンの食糧援助を決めたことに関するものです。
6は、南アフリカの反アパルトヘイト活動で84年にノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ツツ名誉大主教の「アフリカ支援 感染症対策日本が先導を」という意見記事です。
7は、日本の対外純資産が250兆円を越え過去最高を更新したこと、17年連続で世界最大の債権国になったことの記事です。
8は、日本の平和指数は140カ国・地域の中で世界5位という高い位置にあるとするロンドンからの記事です。
小泉元首相の対外援助削限ケチケチ外交と靖国神社参拝強行外交、安倍前首相の従軍慰安婦否定発言と軍事大国化推進外交で、アジアの国や人々に日本政府や日本人への不信と軽蔑と警戒感が広がりました。福田首相は支持率が20%を割り、国民の人気はあまりありませんが、私は福田首相の考えや政策がアジアやアフリカの人々の信頼を回復する上で大きな役割を果たしていると思います。
3の高村外相の「日メコン外相会議」も納得できます。「日本企業にとっても必ず良い効果が見込める」とも言っていますが、福田・高村外交は利権外交(利権のための海外援助)とは趣が違うと思います。4の竹中平蔵氏の講演は日本の競争力を高めるという視点で一貫していて論理矛盾はないのですが、“日本だけ強くなって他の国はどうでもいいの?”という疑問が相変わらず残ります。法人税率を下げても最後に人々の手にわたるときに平等であれば問題はないのですが、小泉・竹中改革は大企業を強化し富裕層を優遇するばかりで、多くの人々をワーキングプア化し、障がいのある人や老人を追いつめる政策を徹底的にとりました。後期高齢者医療も小泉・竹中改革で決めたことであって、福田さんはこの負の遺産の処理に追われています。
次は民主党政権に変わるかもしれません。福田さんはそのことを覚悟しながらも、淡々と小泉・安倍の負の遺産を処理しているように思います。ねじれ国会で苦労をしながら日本の外交を日本の国際的地位にふさわしいものに改めようとする福田外交に私は賛辞を送ります(あまり福田さんをほめると9条の会の仲間の人たちからは“自衛隊を海外派遣できる恒久法を福田さんが作ろうとしているのではないか”と怒られますが・・・)
1【アジア 共に歩む】
(5月23日 朝日新聞 より)
<福田首相外交政策 防災協力訴える>
福田首相は22日、東京都内でのシンポジウムで演説し、首相就任後初の包括的なアジア外交政策を発表した。太平洋を人や物資が行きかう「内海」に見立て、経済連携の強化を提唱。相次いだ自然災害を受けて防災協力に意欲を見せるなど「共に歩む」絆づくりを訴えた。30年後までを見通した日本のアジア外交の基本に位置づけたい考えだ。
「太平洋が『内海』となる日へ」と題した演説は、首相の父の故福田赳夫元首相が1977年に発表した、東南アジア外交に関する基本原則「福田ドクトリン」を踏襲。日本とアジアのあるべき姿を「良いことを分かち合い、問題には共同で当る同僚同士のような関係」と表現した。
首相は交通の発達で「太平洋は今や地中海のサイズに縮まってきており、これからさらに小さくなる」と強調。「開放」をキーワードに、「日本自身が開かれた多様性に生きることを原点」とすると述べた。
アジアで日本が果たすべき具体的な行動として「5つの約束」を表明。①ASEAN(東南アジア諸国連合)共同体実現の断固支持②日米同盟の強化③平和協力国家としての尽力④知的・世代的交流の強化⑤気候変動問題への取り組み-を挙げた。
ASEANは東アジア・太平洋の「地域協力の要」として「日本、中国、韓国に協力と統合のメッセージを発し続けた」と指摘。日本として将来的にASEAN担当大使やASEAN代表部を設置する考えを示した。今後30年間を「アジア格差解消の30年」と宣言。メコン地域などへの支援強化を打ち出した。
日米同盟を「アジア・太平洋の安定装置」と位置づける一方、日本が「平和協力国家」として「苦労を惜しまず汗をかいていく」と表明。インド洋での給油活動などテロとの戦いを続けるとした。
ミャンマーでのサイクロン被害や中国での四川大地震などを受け、「防災協力外交」の追求にも言及。アジア各国の緊急援助隊同士をネットワークで結び、鳥インフルエンザへの対応でも連携する「アジア防災・防疫ネットワーク」の構築を呼びかけた。
さらに、アジア地域が「世界最大の温室効果ガス排出センターとなるのがほぼ確実」として、ポスト京都議定書の枠組み合意などを通した低炭素社会の実現など、気候変動分野での協力も訴えた。
<「対等に利益追求」を意識>
福田首相が太平洋を「内海」とする国々の連携を呼びかけたのは、「日米同盟の強化とアジア外交の共鳴」を目指す自らの外交方針を、より具体的なイメージに発展させる狙いがある。
さらに、首相は地域での連携を「学びあい、触発しあう関係」と位置づけた。アジア各国の経済成長は著しく、世界全体のGDPのうち太平洋地域は約6割を占め、域内の貿易額も5割近くに達する。地球温暖化や格差、防災・防疫など、国境を越えた連携が必要な問題も増える一方だ。
「共に歩む」姿勢を鮮明にした演説は、日本がアジアで唯一の経済大国として地域を引っ張った時代から、対等な関係でお互いの利益を増進し合う時代に移ったことを強く意識した内容になっている。
2【アジア演説 福田さん、その言や良し】
(5月24日 朝日新聞 社説 より)
アジアは世界史の主役に躍り出た。この地域のネットワークをさらに勢いあるものとするため、日本は他のアジア諸国や米国と一緒になって汗をかいていく-。
福田首相がアジア太平洋地域の政治家や有識者を前に、都内でこんな演説をした。今後のアジア外交の基本について、考えをまとめたものだ。
この演説からは、近年の日本外交が犯した二つの失敗の反省がうかがえる。ひとつは小泉首相時代の「日米さえよければ」という対米一辺倒から抜け出したことだ。中国との関係改善を軌道に乗せた自信がその背景にある。
もうひとつの失敗は、安倍前首相や麻生元外相の「価値観外交」である。自由や民主主義という言葉を前面に押し立てるあまり、アジアなどの反発や疑心を招いた。
演説では、北朝鮮の核や中国、ミャンマーの人権問題に対しては静かな語り口に終始した。抑制的すぎるとの批判もあるかもしれないが、強い言葉が必ずしも外交上の効果を生まないことも、首相が学んだ教訓なのだろう。
首相は、日本の目指す将来像として「困った時に頼ってもらえる国、一緒に協力しようと思ってもらえる国でありたい」と語った。世界やアジアの平和のために、苦労を惜しまず汗をかく「平和協力国家」として自らを鍛えていくとも述べた。
30余年前と比べると、日本の国際的地位も大きく変化し、担うべき役割や責任も様変わりだ。それを果たすには大変な覚悟がいる。だが、まずはこの福田演説、その言やよしである。
3【外相高村正彦氏 ASEANとの経済関係を強化】
(5月24日 日本経済新聞 より)
1月にカンボジア、ラオス、ベトナムなどのメコン地域の外相を招いて「日メコン外相会議」を初めて開催した。日本はメコン地域を「希望と発展の流域」にする目標を立てており、経済協力の重点対象として政府開発援助(ODA)を注いでいく。
日本企業にとっても貿易や投資などの面で必ず良い効果が見込めるはずだ、ちなみに(この地域の開発に力をいれている)中国とは政策対話を開き、政策の擦り合わせや情報の共有を図ろうとしている。
ミャンマーは今月上旬にサイクロンが上陸し大きな被害を受けた。日本は緊急の物資とお金について計13億円を支援している。さらに人的支援の受け入れを決断することを期待する。
2009年は「日メコン交流年」であり、人の交流は「信頼」を醸し出す。その上に「発展」を目指すため、民間投資を含んだオールジャパンの支援体制にしていきたい。日本企業がメコンのフロンティアで活躍できるようにする。
メコンとの取り組みは「日本・メコン地域パートナーシップ・プログラム」と称し、3つの柱で構成される。民主主義や法の支配といった基本的価値をもり立てること、地域経済の統合と連携の促進、日本とメコン地域間の貿易・投資の拡大だ。
東南アジア諸国連合(ASEAN)にとって後発のメコン地域を伸ばすことはASEAN全体の利益であり、わが国自身の利益ともなる。
ASEANが力を入れているのは域内格差の是正だ。日本は今後ともASEAN統合の支援、重層的な経済連携協定(EPA)による経済関係強化を通じ、ASEANにとってパートナーであり続けたい。
4【日本経済研究センター特別顧問竹中平蔵氏 誘致庁設立、投資呼び込め】
(5月24日 日本経済新聞 より)
アジア各国では1997年の通貨危機を経て貯蓄率が上昇し、経常黒字と外貨準備の拡大が進んだ、その結果、アジアから米国への投資が進み、現在のサブプライム問題を招く要因にもなった。
アジアが潜在的に抱えるリスクは4つある。「スタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)危機」「短期資金の流入増による市場の脆弱(ぜいじゃく)化」「人口が多い国での非効率性の温存」「人口減少による市場の縮小」だ。
日本はアジアで健全な競争が進むように自らの改革に取り組むべきだろう。4つ提案したい。
まず、羽田空港の能力倍増を実現すること。羽田を24時間稼動させれば、東京はアジアのハブとなり、金融センターとしての地位も高まる。国内他地域の結び付きも強まり、国内経済の活性化にも役立つ。
次に低率の法人税を適用する「スーパー特区」を設けること。日本の法人税は高く、企業競争力を阻害している。第3に投資誘致庁の設立だ。先進主要国でこうした組織がないのは日本だけ。アジアの政府系ファンドの資金を呼び込み、国内経済を強くすべきだ。
最後に東大民営化。世界の大学トップテンに名を連ねるのは私立大学ばかりだ。強い経済に強い大学は不可欠。優秀な研究機関である東大を政府の制約から解き放ち組織を活性化すべきだ。
5【対アフリカ コメ2万トン援助】
(5月22日 日本経済新聞 より)
<政府方針 緊急食糧支援 第1弾>
政府はアフリカ諸国などに5000万ドルを投じ、日本が保有するコメ約2万トンを中心に食糧援助する方針を固めた。23日に閣議決定する。4月に発表した1億ドル(約100億円)の緊急食糧支援の第1弾で、原則として世界食糧計画(WFP)を通じて援助する。28日からのアフリカ開発会議(TICAD)を控え、支援策を具体化する。
支援対象はスーダンやケニア、コンゴ共和国などアフリカ諸国を中心にアフガニスタンとパレスチナを含めた12の国と地域。支援先の要望に応じ、コメや小麦を援助する。コメはケニアなど5カ国向けに2万トン程度。国際貿易のルールで日本が義務的に輸入している「ニミマムアクセス米」や、有事に備えて備蓄しているコメを使う。
穀物の国際価格が高騰し、世界的な食料不足問題が表面化。政府は洞爺湖サミットの議長国として食糧問題の議論を主導したい考え。
6【デズモンド・ツツ名誉大主教◆アフリカ支援 感染症対策 日本が先導を】
(5月22日 朝日新聞 より)
アフリカは今も、植民地政策の遺産、人種差別と不平等に苦しみ、多くの人々が極端に不安定な生活を強いられ、経済成長の可能性も損なわれている。このことを私は常に世界の人々に訴えてきた。相互依存が深まる世界においては、アフリカの不安定化は、全世界を弱体化させ、また、危機を招くことを意味する。この点からも、日本が推進する「人間の安全保障」とうい理念が、この上ない価値を持つことは明らかだ。
日本はG8サミットに向けて指導力を発揮し、「アフリカ開発」議題の根底的な理念として「人間の安全保障」を堅持すべきである。90年代の日本の対外援助政策が世界に誇っていた誠実さと活力を取り戻し、「人間の安全保障」の一層の推進を実行に移すべきだ。
世界基金は、結核及びマラリア対策の援助資金全体の3分の2強を拠出し、エイズ対策においても主要な財源となっている。残念ながら、日本の世界基金への拠出額は第6位にまで低下した。世界基金は既存のプログラムを継続して実施し、3大感染症の解決に向けて目標を達成するために、日本と世界からの支援を必要としている。
G8サミットの主要議題に国際保健を掲げる決断をした福田首相に、心からの感謝を表明したい。日本は世界基金への支援を倍増し、新たに10億ドル(約1千億円)の拠出を誓約することで、大国としてのリーダーシップを確立すべきである。日本がこれまでの約束を果たし、国際保健問題の諸課題の解決に向けて指導力を発揮することを、世界の人々は待ち望んでいる。
7【対外純資産250兆円】
(5月23日 日本経済新聞 より)
日本の政府や企業、個人が海外にもつ資産から負債を引いた対外純資産残高は2007年末時点で、前年末比16.3%増の250兆2210億円となり、過去最高を更新した。増加は2年連続。外国債券への投資が増えたほか、保有する外国株式の価格上昇で評価額が膨らんだ。国際通貨基金(INF)資料によると、17年連続で世界最大の債権国となった。
対外資産と対外負債ともとも過去最高を更新したが、資産残高の伸びが上回ったため、差し引きの純資産残高が増えた。
対外資産残高は前年末比9.4%増の610兆4920億円。日本の低金利を背景に、金利が高い中長期の外債への投資が拡大した。邦銀による海外への貸し付けなどが増加したこともあり、初めて600兆円の大台を超えた。
8【平和指数 日本は世界5位】
(5月22日 朝日新聞 より)
<米97位 最下位イラク 英社調査>
世界の中で、日本は5番目に平和な国-。英国の調査会社がまとめた世界平和指数(GPI)で、日本は140カ国・地域の中でかなり高い評価を得て、G8の中で唯一ベスト10入りした。
1位はアイスランド、中国67位、米国97位で、最下位はイラクだった。
英誌エコノミストと同じグループのエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが20日に発表した。軍事費や近隣国との関係、人権状況など、単に戦争をしているかどうかだけではなく、平和な社会の実現に必要な24分野の指標を設定して割り出したという。昨年、121カ国を対象にしたのが最初で今年は2回目。
日本は犯罪やテロの懸念、人権尊重など多くの分野で最高の評価だったが、近隣国との関係や軍事能力の高さなどが平和度にはマイナスと見られたようだ。
ランキング高位には北欧諸国が目立つ。G8の中ではロシアが最下位とされた。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

