2008年5月 5日 (月)

医師も教師も名ばかり管理職 是正勧告等

【医師について名ばかり管理職と是正勧告/滋賀県立病院に労基署】
独立行政法人 労働政策研究・研修機構/メールマガジン労働情報NO.430:2008/4/25 発行より)

 滋賀県守山市の県立成人病センター(河野幸裕病院長)で、管理職の医師が、権限がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」の状態に置かれているとして、大津労働基準監督署が労働基準法に基づく是正勧告をしていたことが23日、分かった。

 名ばかり管理職をめぐっては、未払い残業代の支払いを求める訴訟や労働審判が相次いでいる。公立病院にも同様の問題があることが明らかになったが、センターを運営する県病院事業庁関係者は「医師不足が要因となっている」と説明している。

 大津労基署は内部告発を受け、今月11日、センターに立ち入り調査。同事業庁から事情を聴き、勤務日誌など関係書類を調べた。

 この結果、部長以上の管理職の医師で、勤務終了後5~6時間の残業が常態化。月数回の夜間当直では、夜間診療や急患対応に追われ、当直が明けても深夜まで連続勤務する場合も多かったが残業代は支払われていなかった。

 さらに一般の医師も同様の勤務状態にあったが、一日8時間の法定労働時間を超える残業をさせる場合、労使協定を結んで労基署に届け出なければならないとの労働基準法の規定も守られていなかった。

 同事業庁の谷口日出夫庁長は「勧告を受けたのは誠に遺憾。今後、専門家を交えて協議し早急に対応したい」と話している。

 センターは、がんや循環器、脳神経疾患などの三大生活習慣病に対する拠点病院として1970年に創立。4月1日現在で、病床数は541、常勤の医師77人。2006年度の入院患者は延べ約13万8,000人。外来患者は約22万8,000人。

(共同通信)4月 24日

【教諭自殺、公務災害と認定/東京高裁が逆転判断】
独立行政法人 労働政策研究・研修機構/メールマガジン労働情報NO.430:2008/4/25 発行より)

 静岡県内の小学校の養護教諭だった尾崎善子さん=当時(48)=が2000年に自殺したのは、過重な仕事が原因でうつ病を発症したためとして、母親が公務災害と認めるよう求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は24日、うつ病による自殺と公務との因果関係を認定。請求を棄却した1審判決を取り消した。

 浜野惺裁判長は「尾崎さんは経験したことのない事態に次々と遭遇し、精神的に深刻な危機に陥り、抑うつ状態になった」と認定。「担当する特別支援学級に、行動に問題がある男児の体験入学を進める重圧で、うつ病を発症して自殺したと認められ、公務との間に相当の因果関係がある」と結論付けた。

 高裁判決によると、2000年1~2月、尾崎さんの特別支援学級に、友人に突然暴力を振るうなど行動に問題がある男児が体験入学。尾崎さんは、ほかの児童をけったり、髪の毛をつかんだりする男児の対応に悩み、その前後にうつ病となり、同年8月に自殺した。

 母親は、地方公務員災害補償基金静岡県支部で公務災害ではないと認定されたため、この処分取り消しを求め提訴した。

(共同通信) 4月 24 日

【京都地裁 教員の月67~108時間の超勤を残業と認めず 超勤100時間超の教員についてのみ京都市に55万円の支払いを命令】
               (MSN 産経ニュース 2008.4.23 より)

 違法な残業を行わせたうえ健康保持のための安全配慮義務を怠ったとして、京都市立小、中学校の教員ら9人が市に総額約3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。中村哲裁判長(異動のため辻本利雄裁判長が代読)は、残業そのものの違法性は認めなかったものの、残業が月100時間を超えた教員について「勤務が過重にならないよう管理する安全配慮義務を怠った」として、市に55万円の支払いを命じた。

 ほか8人の請求は棄却した。原告、被告とも控訴する。

 判決によると、原告側は授業の準備や部活動の指導などで月に約67~108時間の超勤があったと指摘。「教職員の残業を原則禁止する給特法に違反する」と主張し、慰謝料や未払いの賃金の支払いを求めた。

 判決で中村裁判長は残業について「自発的、自主的な側面がみられる」として違法性は認めなかったが、「市は教員が心身の健康を損なうことがないよう、勤務時間を管理する義務がある」と指摘。残業が月100時間超と、原告で最長だった中学校教員(47)について「校長は時間外勤務が極めて長時間に及んでいたと認識、予見できたのに改善措置を取らなかった」として安全配慮義務違反を認定した。

【私の意見】Up63

1 前回のブログで教師は名ばかり管理職と述べましたが、医師の世界も長時間労働が当然視されています。教師・医師→聖職→黙々と働くのが当たり前であり善である、という公式の中で、残業手当も支給されず黙々と働かされているのが多くの教師や医師の実態です。働くのは善ですが、8時間を超える労働は労働の質が低下し悪に転化します。働かないことは善というラテン系の美徳が日本人には欠けています。

2 京都地裁の判決には全く納得いきません。各自治体の条例では「教育職員については、原則として正規の勤務時間を超える勤務はさせないものとする」「正規の勤務時間を超える勤務をさせる場合は、臨時又は緊急にやむを得ない必要があるときに限るものとする」と既定しており「京都市教職員の給与等に関する条例」第27条の2にも明確に規定されています。京都地裁は残業が当然視され残業をせざるを得ない教育現場の実態に目をつぶっています。政府、自治体が国民の基本的人権を侵害しても許される環境を日本の司法が支えていると思うことが少なくありません。本件もその一つだと思います。

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2007年12月 2日 (日)

労働力人口2030年に1000万人減

                 (11月29日 日本経済新聞 より)
【厚労省推計】

 厚生労働省が28日まとめた推計によると、日本の2030年の労働力人口(15歳以上の就業者と求職者)は現在の6657万人から1070万人も減る。少子と高齢化は世界最速、先陣を切って人口減社会に突入し、働き手の減少ペースも類がない。“昔ながら”の仕組みでは社会の形を保つのが難しい。

【働く仕組み 変革必要に】

 日本の制度には働ける人まで働けなくしている面がある。例えば厚生年金では60歳以降も正社員などとして働くと、賃金に応じて年金が減ってしまう。慶応義塾大の清家篤教授は「働く意欲をそぐ制度。早く改める必要がある」と指摘する。企業の若者採用は新卒中心。パート女性の多くは夫の被扶養者にとどまるため「年収130万円未満」に仕事を減らす。人口増の時代から残る日本流を見直せば、1千万人分の「人材力」を引き出せるかもしれない-。

<高齢者1割で300万人>
 65歳以上の高齢者は現在約2700万人で、今後も増え続ける。
 一部の企業は高齢者活用に動き始めた。大手流通業のイオンは2月から定年を65歳に延長。トヨタ自動車は60歳以上の再雇用者に希望や業務内容に応じて4時間の勤務を認めている。
 現在65歳以上で働いている人は約500万人。2700万人のうち、あと1割が仕事に就いたとすると、「300万人」近い働き手が労働力不足を埋めてくれる。

<女性の潜在労働力350万人>
 日本は女性の力を十分に生かしていない。出産を機に女性の7割が仕事を辞める世界でも特異な国だ。在宅勤務や短時間勤務の充実で柔軟な働き方を用意し「引き留める」ことが第一歩となる。大手企業では制度が整い始め、帝人では長期勤続者がこの10年余りで23%から47%にまで伸びた。
 家事や子育てで仕事をあきらめている女性は「350万人」。柔軟な働き方ができれば潜在力が動き出す。

<ニートは60万人>
 18-34歳の働き盛りの人口は現在約2800万人。これが2030年には約1900万人と3割以上減る。
 仕事も学校にも行かず職業訓練も受けていないニートは62万人。定職につかない若者のフリーターは187万人。ニートは定職に就けるよう、フリーターは正社員など失業の心配なく働けるよう、再チャレンジの後押し策をもう一度盛り上げるときだ。

<先端技術磨けば百人力>
 人間に代わる労働力として期待されているロボット。すでに産業用分野で日本は世界一の「ロボット大国」。日本の産業用ロボット稼働台数は約37万台で北米やドイツを大きく上回る。
 介護や医療ロボットに商機を見出す会社も多い。セコムが食事支援ロボットを発売したほか、近く人間の手足の動きを助けるロボットスーツも登場する。日本ロボット工業会の予測では07年の日本のロボット出荷額は7600億円と過去最高を更新する見通し。日本の最先端が生きる。

<外国人向け制度づくり>
 高齢化で需要が高まる介護分野。政府はフィリピン人の看護師・介護士を受け入れる計画を進めていたが、フィリピン国会でいまだ認められず、「まったくメドが立たない」(厚労省)。
 経済協力開発機構(OECD)は日本が現在と同じ生産年齢人口を保つには年間50万人の外国人受け入れが必要と試算する。実際に日本で長期就業が認められた外国人は05年で約2万人。優秀な外国人が働くインフラを整えなければ、世界の人材争奪に出遅れる。

【識者の見方 年1%のマイナス成長も】

日本総合研究所ビジネス戦略研究センター・山田久所長
 労働力人口が2030年に1070万人減少した場合、日本経済は年1%程度のマイナス成長に陥る可能性がある。2030年を待たず、あと十数年後に実質成長率はマイナスに転じるだろう。
 労働力人口の減少によって、働いて賃金をもらう人が減り消費は低迷する。国内市場の衰退は避けられない。企業の海外移転が加速し、現場の担い手がいなくなれば製造業が競争力を保つのも難しくなる。少ない労働力人口が東京など大都市部に集中すれば地方の地盤沈下も進む。
 すでに一部の地方でみられる窮状は日本という国の未来かもしれない。成長率がマイナスになると税収が減る。国家財政はますます厳しくなり増税や行政サービスの縮小も覚悟しなければならない。
 労働力人口の減少を放置するわけにはいかない。技能が高い高齢者の再雇用は意味があるし、女性管理職の比率を増やし女性の働く意欲を高める必要もある。若者が多い非正社員の待遇改善も有効だ。減少ペースを国や企業、地域の工夫で抑え、一人ひとりの生産性を引き上げる。成長し続けるため、日本がやらねばならないことは明確だ。

【私の意見】Up63
                
<ムシのいい話>
 
中高年のリストラを行い、若者や女性の非正規雇用を拡大して労働コストの削減にまい進していながら、労働力不足となると手のひらを返したように高齢者を活用しよう、女性を活用しよう、ニートを活用しよう、外国人を活用しようというのはあまりにムシのいい話。なんとも無定見で、場当たり主義の国の労働政策にあきれます。

<外国から見ればぜいたくな話>
 仕事はあるけれども人が足りない。人が足りないとマイナス成長になる!他の国から見ればなんともぜいたくな話です。

<インドネシアの少女リウ>
 半月ほど前にNHKの衛星放送でインドネシアの16歳のストリート・チルドレンの少女リウを追ったドキュメンタリー番組を見ました。リウは12歳頃までは両親と弟妹3人と一緒に生活し普通の生活をしていましたが、父親の会社が倒産し失職して、それ以降父親がリウを厳しく叱るようになりました。なぐるけるの暴行も絶えず、リウは父をきらってストリート・チルドレンになりました。リウはストリート・チルドレンの仲間と一緒にうまくもない歌をうたって人々から投げ銭をもらって食いつなぎ、建物の軒下など路上で寝ながら生活をしていました。リウの母親はリウをさがしあて、家にもどそうとしましたが、がんこな父親は“おれはまちがっていない”と言って自分の態度をあらためず、リウももどりませんでした。やがてかつての同級生が中学を卒業し、高校に進学するようになってリウの心にあせりがでてきました。母親の説得で中学卒業検定試験を受けましたが失敗し、リウは更に遠い所へと逃げていきます。自分もストリート・チルドレンだった少女(18歳位?)がストリート・チルドレンを家にもどすボランティアをしており、リウが家に戻る決断をするうえで彼女が大きな影響を与えました。父親の失職は3年たっても続いていますが、がんこだった父親も“おれが悪かった。帰りたいときはいつでも帰ってくればいい”と言って、リウに謝り、リウも次第に家にもどるようになりました。

<フィリピンの看護師、介護士>
 フィリピンでは外国で働く看護師、介護士の育成に力を入れている映像を見ました。フィリピンの若者は日本語も勉強していますが、日本はなかなか受け入れてくれないと嘆いていました。日本経済新聞の記事はフィリピン国会が認めてくれないとなっていますが事実は逆だと思います。

<日本を先頭にアジア諸国が成長という虚像>
 かつて日本を先頭にともに成長すると言われていた韓国、台湾、アセアン諸国を雁の群れに例え、群れをなして成長するアジア諸国と言ってきましたが、しかしこれは日本人に都合のいい表現であって、日本には多少自国を犠牲にしてでも群れから遅れそうなアジア諸国の成長を応援するという考えはありませんでした。今、日本にとってアジアは市場として重要であり、低賃金の生産拠点として重要ですが、他国の成長は日本政府や経済界にとってはcompetitor(競争相手)の台頭であって日本をおびやかすような存在は官民一体となってたたきつぶしています。その結果アジア諸国の中日本の一人勝ちが続いているというのが現状です。

<グローバル化の世界で日本人のありようが問われるのはこれから>
 リウがストリート・チルドレンになったことと日本企業の一人勝ちは決して無縁ではないという思いで私は映像を見ていました。外国人の受け入れにしても日本は世界に冠たる鎖国国家です。受け入れるにしても研修という偽りの名目のもとに低賃金で働かせるなどアジアの若者にとって日本は自分の国より収入が多いので働きたい国ではあるけれともやさしさの欠けている国と見られています。
 グローバル化社会の中で私たち日本人のありようが本当に問われるのはこれからです。

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2007年11月14日 (水)

労働契約法案審議に見る民主党の裏切り

【11月8日衆議院通過】

 私が3月28日のブログでこわ~い法律案と指摘していた労働契約法案が自民党、公明党に加えて民主党の賛成でいとも簡単に衆議院を通過しました。参院選で民主党が第1党となり民主党は労働契約法案と最低賃金の一部を改正する法律案を提出し、11月7日の衆議院厚生労働委員会では与党議員からの質疑に対し論陣をはっていました。ところが4時すぎにあっさりと自らの法案を撤回し、すぐさま水面下で与党とすりあわせてきた共同修正案を自ら提案し賛成多数で可決しました。“党首密室会談”を契機とし、民主党は姿勢を一変させ、自らの法案に執着することなく、政府案を抽象的な美辞麗句を並べるだけで合意し、結局政府案に収斂されてしまい、共同修正案を11月8日衆議院本会議で可決しました。

【政府案,民主党案,可決した修正案】

 政府案、民主党案、可決した修正案については以下リンク先をご参照ください。
 政府案と民主党が独自に提言した修正案についてはこちら([政府提出案と民主党提出案の比較](働く女性の全国センター)) 、民主党がこれらをあっさり撤回し共同提案した修正案についてはこちら([労働契約法案に対する修正案対照表](独立行政法人労働政策研究・研修機構))です。
 当初の民主党の独自案も労使対等でない労働契約の分野に民事法ルールをもちこむなどの多くの問題点がありましたが、労働者の立場に立とうとする姿勢が多少はありました。今回の民主党の対応はこれをかなぐり捨て、労働者や市民に対する明らかな裏切り行為です。

【働く女性の全国センター・全国労働組合連合会の緊急声明】

 働く女性の全国センターは,「パートや派遣、若者や女性の意見も聞かないで勝手に労働契約法の新設するのは、やめにしてください。働く人たちの声に耳を傾けない自民党・公明党・民主党が嫌いになってしまいます。」として緊急声明(緊急声明第2弾-11/8-)を出していました。同センターは就業規則による不利益変更の実例を具体的に紹介もしています。
 また、全国労働組合連合会は「最低賃金法と労働基準法、大型新法の労働契約法といった、労働者にとって重大な法案が、参考人招致もされず、一部政党による密室審議で粛々と進められ、政府案ベースに収斂されてしまった。その姿は異常であり、民主的な国会運営からはかけ離れたものといわざるをえない」という談話を発表しています。
 これらの団体こそが厳しい条件下で働く者の声を正しく代弁していると言えます。
 これに関する朝日新聞の記事をご紹介します。

【労働契約法案に警戒感 女性・非正規「就業規則 悪用も」】
                     (11月10日 朝日新聞 より)

 衆院を8日に通過した労働契約法案に、女性や非正規の働き手などの間で警戒する声が出ている。就業規則を労働契約とみなすとの内容に「就業規則の変更を悪用して労働条件が切り下げられるのでは」との不安が強まり、衆院での修正も小幅だったためだ。7日には全労連や全労協,女性ユニオンなどが共同で国会前集会を開いた。14日にも開き,悪用への歯止めを盛り込むことなどを求める。
 法案は、労働契約の基本的なルールや手続きを明文化するのが目的で、会社と社員の個別紛争の増加を背景に、労働側が制定を求めてきた。
 労働側は当初、有期契約の従業員の均等待遇など働き手を保護する内容を求めていたが、使用者側が反対。判例でルールが確定していることだけを明記することで連合も合意した。
 具体的には「就業規則の内容が合理的で周知させてあれば、働き手が合意した労働契約とみなす」ことなどが盛り込まれ、衆院も小幅な修正で通過した。これに対し、全労協や全労連は「判例の条文への反映のさせ方が不十分だ」と、法律の独り歩きを警戒。特に、労働者にとって不利益になる就業規則の変更を「内容が合理的で周知させてあれば可能」とする点について「だれにとって合理的なのか不明確。非正社員は就業規則作成に意見も言えない」と疑問視する。
 「周知」についても、衆院厚生労働委員会で7日、社民党の安部知子議員が「日雇い派遣の給料天引きを記した就業規則は会社のホームページに掲載されていた(のに労働者はよく知らなかった)。これで周知になるのか」と問題提起した。
 女性の待遇向上を目指す「働く女性の全国センター」は「女性は労組の少数派。就業規則を不利に変えられても反対しにくい」と反対声明を発表。「反貧困ネットワーク」の湯浅誠さんやシングルマザー問題に取り組む赤石千衣子さんらも賛同、「非正規労働者の紛争解決にも役立てたいなら、その声をもっと聞いて」と訴えている。
 日本労働弁護団の棗一郎弁護士は「個別紛争が増える中で労働契約法は必要で、まず小さく産んで大きく育てることだ。ただ、今回の法案の内容は極めて不十分。審議の拙速は避けるべきだ」と話している。

【私の意見】Up63

 小沢一郎民主党党首は市民や労働者の立場に立つ人物でなく、資本の側に立つ根っ子からの保守政治家であることが明白となりました。
 社会の片すみに追いやられている老人や若者や障害者や農民や地方に光をあててほしいと願った参院選の国民の声を聞いたふりをしながら、裏切った小沢氏の責任は重大です。連合も所詮は恵まれた大企業の労働者の代表にしかすぎないことが暴露されました。
 給油新法や自衛隊の海外派兵についての国民世論も支持の方向に、小沢氏の迷走を契機として一気に増加しています。
 国民も含め日本の保守化は参院選前よりもっと進んでしまったというのが私の正直な認識です。
 日暮れて道遠し。この国は行きつくところまで行かないと良質の国家に生まれ変わることができないのではないかという悲観的思考が私の頭の中でグルグルまわっている今日この頃です。

 

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2007年11月 4日 (日)

冬のボーナス前年割れ

【冬のボーナス前年割れ 民間予測4年ぶり1%前後】
                      (11月3日 朝日新聞 より)

 主な民間シンクタンクがまとめた民間企業のボーナス予想で、今冬の支給額が4年ぶりに昨冬より1%前後減る見通しになった。好業績が続く大手企業の支給額は増える見込みだが、原材料の値上がりなどで経営が厳しい中小企業が落ち込む見通しだ。
 今年夏のボーナスも3年ぶりに同1.1%減っており、景気回復下で続いた増加傾向が頭打ちになりつつある。
 各社が予測したのは、厚生労働省が毎年発表する「年末賞与」(従業員5人以上の事業所対象)の動き。昨冬は、1人平均で前年比0.1%多い43万3825円だった。
 この日までに主なシンクタンク6社が発表した今冬の予測は、1社が前年比の0.2%増としたほかは、0.5%~1.6%のマイナス。中小企業の業績動向のほか、支給額が高い団塊世代が退職する半面で、支給額が低いパート労働者が増えているのが影響。
 「企業の雇用不足感が弱まっている」(野村証券)、「企業が従業員重視から株主重視に進んでいる」(みずほ証券)といった要因もあるという。
 一方、日本経済団体連合会の調査では、大企業のボーナスは昨冬より0.69%増の90万1031円。さらに、三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、国家公務員のボーナスは同2.5%増の70万円の見込みで、企業規模間や官民の格差も開きそうだ。

                  (10月31日 日本経済新聞 より)

【今夏ボーナス1.1%減 3年ぶり 中小企業中心に抑制】

 厚生労働省が31日発表した毎月勤労統計調査によると,2007年夏の賞与(ボーナス)は40万7637円となり,前年比1.1%減と3年ぶりに減少に転じた。原材料高で収益が圧迫されやすい中小企業を中心にボーナスを抑える動きが強まったとみられ,個人消費が伸び悩む原因の一つになった可能性がある。
 賃金水準の高い団塊世代の大量退職が本格的に始まったことや賞与の少ないパートタイム労働者の増加も影響した。正社員の雇用者数が前年同期に比べて1%弱の伸びに対し,パート労働者は5%近く増えた。
 大企業を対象にした日本経団連の調査では今夏のボーナスは過去最高を更新。主に上場企業を対象とする日本経済新聞社の調べでも前年比2.5%増となり,5年連続のプラスだった。従業員5人以上の事業所を対象とする毎勤統計では中小企業の動向が大きく反映された格好だ。
 日銀も今月の金融経済月報で「グローバル化や財政再建,原材料価格上昇の影響を強く受ける中堅中小企業でボーナスの抑制傾向が続いている面もある」と分析している。
 業種別にみると製造業が51万1264円と1.7%増え,5年連続のプラス。非製造業では運輸業(8.0%減),医療・福祉(5.4%減),情報通信(4.3%減)など減少した業種が目立った。
 同時に発表した9月の1人あたり平均の現金給与総額(速報)は前年同月比0.5%減の27万3144円となり,2ヵ月ぶりに減少した。

【労働基準法改正案 今国会成立を断念
             与党 雇用2法案は成立を狙う】

 与党は31日,最低賃金のかさ上げなどを盛り込んだ雇用ルール見直し3法案のうち,一定時間以上の残業代の割増率を引き上げる労働基準法改正案の今国会成立を断念した。次期国会に向けた扱いについては会期末に協議する。最低賃金法改正案と労働契約法案の2法案の成立は目指す。
 衆院厚生労働委員会は同日の理事会で,11月2日に政府提出の雇用ルール見直し3法案と民主提出の最低賃金法改正案,労働契約法案の実質審議入りを決めた。自民,民主の同委理事は審議と並行して2法案の修正協議を開始。2法案については民主も理解を示しており,今国会成立の可能性も残っている。

【私の意見】Up63

 かつては元気な中小企業が日本経済をひっぱっていましたが,今は強すぎる大企業と経営に苦しむ中小企業という構図が定着してしまいました。このことが中小企業で働く労働者の給与減につながっています。働く人の71%は中小企業で働いていますから,圧倒的多数の国民が給与減,賞与減,倒産による失職という苦しい生活を余儀なくされています。国会では残業代の割増率の引き上げも見送られました。審議入りを決めた労働契約法案は労使対等の原則の確立というこれまた偽りのうたい文句をもとに労働者の保護をなし崩し的にとっぱらおうとするものです。労働者にとってマイナスはあってもプラスはありません。民主党案もこの本質を没却しており、結果的には労働者の首をしめる内容になっています。この点については後日もう少し詳しく述べたいと思います。

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2007年10月26日 (金)

男と女 賃金格差大国 日本

                     (10月26日 朝日新聞 より)

【同一価値労働同一賃金へILO「法律を」】

 「同じ価値の労働なら性別に関係なく同じ賃金」を定めた国際条約をめぐり,国際労働機関(ILO)と日本政府の意見が合わない。この原則を定めた条約を日本は批准しているが,原則を規定した法律が日本にあるかどうかがあいまいで,男女の賃金格差も依然大きいからだ。ILOは日本政府に,来月までに原則実現のためどんな措置をとるかを報告するよう求めている。

【同一価値労働同一賃金】

 違う仕事でも「価値」が同じなら同じ賃金とする原則。「同一労働同一賃金」だと,「司書など女性の多い仕事の賃金が安く,消防士など男性が多い仕事が高い」といった性別役割分業による格差を正せないため,考え出された。知識・技能,精神的・肉体的負荷,責任,労働環境の厳しさの4要素で職務を評価するのが一般的で,欧米で普及している。

【政府「労基法で整備済み」】

 「日本は男女の賃金格差ではあまり成績がよくないといえる」「日本はまだやらなければならないことがたくさんある」
 先月,スイスのILO本部を訪れた「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)」など日本の女性NGOを前に,平等担当コーディネーターのショーナ・オルネイさんは言い切った。
 日本政府は,男女の同一価値労働同一賃金を規定したILO100号条約を1967年に批准した。その際,労働基準法4条が「女性であることを理由に賃金において男性と差別的取り扱いをしてはならない」と定めており,新法がなくても条約を実施できるとした。
 しかし,ILOの条約勧告適用専門委員会は今年,「労基法4条は条約の原則を完全には反映していない」「男女の同一価値労働同一賃金の原則を法令の形で表明することの検討を希望する」との見解を公表した。
 6月の総会では日本政府,連合,経済界代表が招かれ,「客観的な職務評価手法を促進する努力の強化」を求められた。職務評価とは,同一価値労働同一賃金かどうかを判断する手法だ。
 厚生労働省の安藤よし子雇用均等政策課長は「労基法4条は同一価値労働同一賃金の原則を含んでおり,新しい法令は必要ない」と話す。03年に男女間の賃金格差解消のガイドラインは作成したが,職務評価については特に具体策を出してはいない。ILO見解も強制力はない。だが,ILOは日本政府の報告を審査し,さらに見解を出す可能性もある。

【コース別人事 隠れみの】

 日本の女性社員の賃金水準は男性正社員の66%で,欧米諸国よりはるかに低い。パートの場合は半分以下だ。
 東京都の木村敦子さん(50)らは95年,総合商社兼松を相手に訴訟を起こした。年内にも控訴審判決が予定されている。
 「コース別人事で『一般職』に仕分けされ,何年働いても27歳の男性総合職の賃金を超えない。残業も引きうけ,仕事もさして変わらないのに」と木村さん。一審ではコースの違いにすぎないとされ,敗訴した。
 98年には,労働事件などを担当する裁判官でつくる協議会が「実定法上,同一労働同一賃金の原則を定めた規定も見あたらない」との見解でほぼ一致。賃金格差を判断する手がかりとして,男女別の賃金規定の有無などを挙げた。
 労働基準監督署でも,05年の約12万件の定期監督のうち,4条違反の指摘はわずか10件。ある監督官は「露骨な男女別賃金は激減し,コースの違いやパートを理由とするものがほとんどで摘発しにくい」と話す。

【職務給転換に落とし穴】

 内外の批判を受けて,経営側も,性別にかかわりなく「職務」で評価する賃金制度への切り替えを強調し始めた。日本経団連国際協力センターの鈴木俊男参与は,6月のILO総会で「かつては70%が(年功制度など)属人的な賃金で,30%が仕事に対する賃金だったが,最近は逆転した」。日本経団連も5月,「今後の賃金制度における基本的な考え方」で「仕事,役割,貢献度」を軸にする賃金への転換を求めた。
 しかし,森ます美昭和女子大教授は「貢献度を評価基準に含む日本型職務給では,主観的な裁量が幅をきかせかねず,性差別の解消につながらない」と言う。
 名古屋銀行のパート,坂喜代子さん(55)は1年契約を更新して28年間働き,退職行員の仕事を引き継ぎ,転勤も命じられた。今年5月,パート労働法が改正されて「正社員と同じ仕事,転勤あり,無期雇用」のパートに正社員と同じ待遇が義務づけられ,この条件に合うとして銀行側と待遇改善の交渉を始めた。
 だが,同行は「行員は指揮命令,パートはその実行で仕事が違う。転勤も別の職場で再契約しただけ」と主張。坂さんは「これでは会社の言いなりです」と警戒する。
 朝倉むつ子早大教授は「客観的な評価で賃金紛争を解決するために,専門家に職務評価を委託できる仕組みを労働審判制度に作ってはどうか」と提案する。「同一価値労働同一賃金の立法化だけでなく,使いこなす手段を作らないと,絵に描いたモチになる」

【私の意見】Up63

 厚労省の安藤よし子雇用均等政策課長が,労基法4条があるから「新しい法令は必要がない」と言っていることはうなづけません。労基法4条の規定「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」の表現は一見明快ですが抽象的なため,これが現実に機能していないところに問題があります。これを現実に実効性あるものにするのが厚労省の役割です。労基法4条違反には6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する旨の刑罰規定があるわけですから(労基法119条1号),厚労省が労基法4条で十分だと思うのなら労基法4条違反を理由に労働基準監督署に告発をさせる位の気迫で事にあたるべきです。
 私は40年間さまざまな形で女性と一緒に働いてきました。知識,技能,精神力,体力,責任感のどれ一つをとっても男性と女性の差は全くないというのがまぎれもない事実です。“差は全くない”とわざわざ言い立てること自体が女性の方に失礼なことですよね。
 にもかかわらず,日本の企業や官庁において女性が正当に評価されていないこともまぎれもない事実です。私が顧問弁護士として大企業の株主総会に出席していつも思うことは男一色の世界だということです。取締役,監査役に女性が就任している例はまだまだ希です。株主席には一般株主として女性の出席も目立つようになりましたが,株主総会をリードしている株主はあくまで男性です。
 女性や若い人を登用している企業の社内の雰囲気は明るく発想も柔軟だなというのが私がいつも感じるところです。私は株主総会に出席するたびに経営陣にもっと女性を登用した方が良いというのですが,大多数の企業は本気にはならないようです。

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2007年10月 9日 (火)

派遣規制 労働側が攻勢 登録型禁止を

                      (10月5日 朝日新聞 より)

労働者派遣法の改正をめぐり,規制強化を求める労働側の攻勢が際立ってきた。一貫して規制緩和を勝ちとってきた経営側だが,格差問題への批判の高まりや参院選での野党大勝で,形勢は逆転。労働側が不安定な登録型派遣の原則禁止などを掲げて攻勢を強める一方,経営側は「風向きが悪すぎる」と,改正自体に及び腰だ。

【法改正へ 逆転国会追い風】

 「これまでは派遣法の改悪阻止がスローガンだったが,今度は私たちの側から労働者のための抜本改正を目指そう」。4日,労働者団体が参院議員会館で開いた集会。個人で入れる労組でつくる全国ユニオンの安部誠事務局長はこう訴えた。
 集会には約160人が参加。野党議員を招いた討論会では,「格差,貧困の原因は労働分野の規制緩和が最大の要因」などと政府を批判し,国会でも規制強化を求めていくとの発言が相次いだ。
 厚生労働省の諮問機関,労働政策審議会の部会では9月から,労使代表らによる派遣法の改正論議が本格化。厚労省は年末をめどに改正案の骨子となる建議をまとめ,来年の通常国会への改正案提出を目指している。
 労働側が最も強く求めるのは,派遣会社に労働者が登録し,派遣先が決まった時だけ雇用契約を結ぶ「登録型派遣」の原則禁止だ。派遣が終わると無収入になる不安定な働き方だからだ。登録型派遣を専門性が高い26業務に限定し,日雇い派遣も禁止するよう主張する。登録型で働く人は延べ193万人。改正が実現すると,かなりの人を企業が直接雇用するか派遣会社で常用型で雇うかしなければならなくなる。
 日雇い派遣に象徴される不安定な働き方は,99年の派遣対象義務の原則自由化や,04年の製造業派遣の解禁で普及した。労働側には「これまで譲歩しすぎた」(連合幹部)との反省もあり,一挙に巻き返す考えだ。
 強気の背景には,連合を支持母体とする民主党が参議院で多数を占めたことがある。野党は,偽装請負で行政指導を受けたキャノンの御手洗富士夫会長(日本経団連会長)を参考人招致し派遣法の問題点を追求する構えだ。規制緩和の急先鋒だった政府の経済財政諮問会議も,後ろ盾だった安倍前首相が辞任。福田新首相は4日の代表質問で,派遣労働の規制強化を求められ,必要な見直しを検討する方針を示した。
 激しい逆風で,事前面接の解禁などを目指していた経済界は一転弱腰に。登録型の原則禁止には明確に反対しているが,批判が強い日雇い派遣では「規律の強化には反対しない」(経営側委員)。格差批判の高まりで最低賃金の大幅引き上げをのまされた苦い経験もあり,「派遣法改正でもどんな無理難題を押しつけられるかわからない。改正見送りが最善の選択だ」(中小企業団体)との本音も漏れる。

-労働派遣法をめぐる主な論点-
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[厚生労働省資料などから作成]

【労働法学者 西谷敏教授「規制が支える自己決定」
                 (2004年11月 法律文化社)】

 労働者派遣について労働法学者の西谷敏教授は上記著書で次のように述べている(79頁)。

 労働者派遣は、労働者を雇用する者が使用せず、使用するものが雇用しない、という本質的な問題を含んでおり、派遣労働に特有の問題はすべてそこから派生している。そこで、この法律が制定された当初は、派遣が認められる業務範囲を限定することによって弊害を最小限にしようとし、業務の限定を解除した99年法は、派遣を一時的・臨時的労働力需要に対応するものとして、期間の面から限定しようとした。ところが、2003年改正は、派遣の範囲を拡大(製造業への派遣の解禁)するとともに、期間の限定を廃止もしくは大幅に緩和することによって、そもそも労働者派遣に限界をもうけようという発想そのものを正面から否定する結果となった。派遣労働は新たな時代の自由な働き方であって、積極的に位置づけられるべきものという「発想の転換」がなされたのである。しかし、有期契約の拡大や裁量労働についてもそうであるが、それらは基本的には使用者にとっての「自由な働かせ方」を意味するにすぎず、それを労働者の「自由な働き方」の拡大と説明するのは、すりかえにすぎないというべきである。

 また、同教授は、経営者の目先の利益のため労働の規制緩和がやみくもに進められてきたとして次のように指摘している(89頁)。

 この間,進行してきた規制緩和は,経営者にとっての目先の必要性のみに促されて強行されてきた感があり,戦後労働法制の基本理念への考慮の点でも,労働や労働者の変化の実証的研究の点でも,きわめて不十分といわざるをえない。まさに理念と実証を欠いたままやみくもに規制緩和が進められてきたというのが実態である。こうした労働法制再編の最大の問題は,その行き先が見えないことである。仮に労働法的規制が「悪」であるというのであれば,労働法そのものが解体されるべきことになる。

 総合規制改革会議は資本の意図を直截に反映させる構造になっていたことも指摘している(83頁)。

 総合規制改革会議や規制改革・民間開放推進会議においては,財界代表が責任者を務め,委員15人中10人ないし13人中8人を財界人が占めており(残りは研究者),資本の意図を直截に政策に反映させる構造となっている。労働政策の基本は,厚生労働省に設置された労働政策審議会やその労働条件分科会などの論議を経ないままに,まずこれらの機関答申などで決定され,それをふまえて閣議決定がなされる。したがって,各省庁や審議会の改正作業は,少なくとも公式には,すでに決定された基本方針の具体化を主たる任務とすることになる。

【私の意見】Up63

 小泉純一郎元首相は自分の好みで選んだ人たちで諮問会議を開催し、「多様な働き方」とか「多様な雇用形態」といういかさまな表現のもとに、トップダウンで非正規雇用を拡大する労働政策をがむしゃらに進めてきました。しかし、その赴くところは財界の財界による財界のための政治を一瀉千里に走ったにすぎません。働く人の労働環境や国民の日々の生活などに心を痛める人では全くありませんでした。安倍前首相も御手洗日本経団連会長と一体となって同じ路線を走っていましたが参院選で破れ挫折しました。労働契約に「多様な」メニューが用意されれば、企業は安くていつでもクビにできる契約形態を選ぶのは自然の理です。労働者の側に多様なメニューを選択できる基盤があってはじめて「多様な働き方」が実現しますが、企業が採用の自由を盾に、低賃金の非正規雇用のメニューしか労働者に提示しなければ、労働者に選択の余地はありません。
 ところで、小泉元首相、安倍前首相が政権を去ったといっても、変わってしまったものを元にもどすのはそう簡単ではありません。それどころか福田内閣と厚生労働省は次の通常国会で障害者についても正規雇用枠を減らしパート労働と派遣労働を増やそうとしています。
 ねじれ国会だからとか、福田政権になったからと言ってゆめゆめ油断することはできないと改めて感じました。
 なお、西谷敏教授は労働法学者の中の労働法学者で労働法学界の重鎮です。たまたま高校3年生のとき私は同じクラス(神戸高校3年6組)でした。私にとってとても誇りです。

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2007年3月24日 (土)

労働事件と弁護士の役割

【おわび 9日間も更新せず失礼しました】

 3月はブログの更新がなかなかできず大変失礼しました。私のブログをのぞいて下さる方にとても感謝していますが、このところご期待を裏切り続けたことをおわびします。
おかげさまで3月の仕事のヤマは咋23日をもって越えることができました。今後はどんなに忙しくても週2日はブログを更新するよう心がけたいと思います。

【労働事件と証人尋問】

 今週は労働事件(解雇事件)が3件あり、そのうち2件はそれぞれが4時間に及ぶヘビーな証人尋問でした。うち1件は昨年12月27日のブログ記事でご紹介した佐藤治さんの解雇事件です。もう1件は国鉄清算事業団から国鉄労働組合の組合員であるということを主たる理由として1990年4月に解雇された1,047名に関する訴訟で現在日本最大の労働事件です。かつては弁護士の仕事と言えば法廷(裁判所)に行くことという感覚がありましたが、今では訴訟外での弁護士の仕事も増えています。しかし今なお弁護士の仕事の基本は訴訟であり、訴訟外の弁護士業務を行う上でも、仮に訴訟になれば勝てるか否かということが重要な判断指針となります。困難な訴訟事件は証人尋問や原・被告本人尋問で勝敗が決まることが少なくありません。とりわけ労働事件は労働者側の弁護士も使用者側の弁護士もあらゆる証拠を総動員して相手方を攻撃する緊張にみちみちた事件です。私は労働事件においては常に労働者側に立ちます。私が顧問契約をしている企業とは、仮に解雇事件やアスベストのような健康被害事件の当事者となったときは私以外の弁護士への依頼をお願いしています。労働事件の証人尋問は尋問当日も緊張しますが、その準備が膨大なものとなります。私は朝の電車で日経か朝日の朝刊を読む習慣にしていますがこの20日間ほどは電車の中でも証拠資料を読みあさっていました。ですから私の部屋には目を通せていない新聞がたまっています。

【解雇や退職扱いになる前の企業との交渉と弁護士の役割】

 労働事件の場合でも、労働者が解雇されたとか休職期間満了によって退職扱いをされたとかの事態が発生してはじめて弁護士が動くのが一般的でした。まだ労働者としての身分がある段階で弁護士が代理人として乗り込んで交渉するというのは稀で、かつてはその交渉は労働組合が引き受けていました。しかしながらほとんどの企業内労働組合は一人の労働者のために本気で所属企業と闘う気概はありません。解雇事件でも労働者が一人でがんばりますが、企業からさまざまな中傷を受け、力尽きてやめていっています。私はこれまで中途障害者になった労働者をやめさせようとする企業や官庁と労働者がやめさせられる前に直接交渉をおこなってきました。直接交渉をする場合には、やめさせようとする人事担当者を相手とせず社長に内容証明を送り、企業責任を求めることを基本としてきました。

【うつ病の労働者のサポート】

 2005年10月に働くうつの人のための弁護団を結成し、1年6ヶ月間うつ病の労働者のサポートをしてきました。うつ病の労働者をサポートする上で企業や官庁との直接交渉の重要性をますます感じました。うつ病の労働者は長時間労働やパワハラ、セクハラでうつ病になっています。原因は企業側にあるにもかかわらず追い討ちをかけるように“やめろ”という企業からの攻撃は一層うつ病を重くします。とても一人で耐えられるものではありません。うつ病の労働者に対する退職強要の動きをとめ、職場復帰を図るためには弁護士が介入してサポートすることが重要ですし、うつ病を改善する上でも意味が大きいと感じています。私もこの1年6ヶ月の間にたくさんのうつ病の労働者に会ってきました。お医者さんとは違った視点から“あゝこの人はもう働ける”ということが直観でわかるようになってきました。
うつ病の労働者を排除することしか考えなかった企業の姿勢にも最近少し変化が出てきています。私が“この人はもう大丈夫ですよ”ということが企業の人事担当者を安心させることもあります。労働事件は労働者と家族の生涯を左右する重い事件です。さまざまな形でサポートする必要性を日々感じます。

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