新聞記事

2013年9月15日 (日)

問う 集団的自衛権「タカ派の平和ボケ危険」

【問う 集団的自衛権「タカ派の平和ぼけ危険」 軍事ジャーナリスト田岡俊次氏】
                (2013年9月14日 朝日新聞 より)

 ---米国は,集団的自衛権の行使容認に熱心な安倍晋三首相を評価していると思いますか。
 「今の米国の国家目標は財政再建と輸出倍増だ。そのために,巨大市場を抱える中国を封じ込めるのではなく,抱き込もうと努力している」
 「行使容認は中国の猜疑心を招きかねない。もはや米国にとって集団的自衛権は無意味で,日本の動きに冷淡な態度を示さざるを得ないだろう。日本は1人だけ泳ぐのが遅い水泳選手が,ターンを終えたほかの選手たちと反対方向に泳いでいるようなものだ」
 ---歴代政権は「行使できない」という立場です。
 「そう解釈してきたのは『自衛隊は自国の防衛にしか使いません,海外に出ることはありません』と強調し,合憲性を訴えるためだ。米国から海外派遣を迫られた時に,逃げる理屈としても都合がよかった」
 「憲法にも国連憲章にも,武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては放棄する,とある。米国に『あなたのやっていることは国際紛争を解決するための手段だから加われません』とストレートに断れば角が立つが,集団的自衛権が認められていないから,といえば圧力をそらせる。それを信じた一部の米国人が『集団的自衛権を認めてくれ』と言い,一部の日本人がそう思いこんだ。」
 ---首相は安全保障環境の悪化を指摘しています。
 「冷戦時代のソ連の脅威に比べればましだ。北朝鮮が核を使う確率は低い。核を持っているのは攻撃を受けないため。自分から使えば米国や韓国の反撃でつぶされるから,一応抑止はきいている」
 ---中国はどうですか。
 「中国が尖閣諸島の領有権を主張しながらも『棚上げでいい』と言うのは,日本の実効支配を認めるに等しい。互恵関係回復に妥当な落としどころだ。首相は中国包囲網をつくろうとしているようだが,米国,韓国,豪州は加わらず,成功しないだろう。安全保障の要諦は敵を減らすことだ。敵になりそうな相手はなんとか中立にすることが大切で,あえて敵を作るのは愚の骨頂だ。タカ派の平和ぼけは本当に危ない」 (聞き手・山下龍一)

<たおか・しゅんじ>
 1941年生まれ。68年から朝日新聞で防衛庁担当。編集委員,米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員を歴任。現在は軍事ジャーナリスト。

【私の意見】Up63

 オバマ大統領がシリアに対する限定的な武力攻撃を決断しましたが,米国民の多くはこれに反対しています。米国は他国のために派遣される兵士の命・自国の経済的負担の重さと真剣に向きあわざるを得ません。好調な経済のもとで経済的協力の負担しかない日本や,日本国民が向きあうものとは越えがたい相違があります。自分の息子,夫,恋人が戦地に向かい命を失うリスクを承知の上でシリアに日本の兵員を送りこむ決意が,日本の政治家や日本国民に本当にあるのでしょうか。
 集団的自衛権という抽象的で甘美な言葉の中に,戦争,死という苛酷な現実をもみかくし,心地良い言葉だけが一人歩きしているように思います。中国,韓国と正面から向きあうことなく集団的自衛権という抽象的な表現のもとで憲法9条の解釈変更を迫るのは,田岡氏が指摘するとおりタカ派のきわめて危険な平和ボケ以外の何ものでもありません。
 これを封じる国民的世論を喚起していかなければいけないと思います。ただ、より危険なことは、タカ派政治家のみならず,かなりの国民も平和ボケの状態で危険水域をさまよっているという現実です。

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2013年5月 9日 (木)

正社員削減は日本経済再生を逆走の道!

【私の意見】Up63

 第2次安倍政権が誕生して、規制改革会議や産業競争力会議が息を吹き返しています。下記に5月4日の朝日新聞記事と日本経済新聞記事を引用します。
 私は朝日新聞記事にあるように、正社員を減らし非正規労働者との中間的存在となる限定正社員を増やすことは、解雇しやすい労働契約の拡大につながると思います。
 日本経済新聞は次のように述べています。

「日本の現状を見れば。労働市場改革は避けて通れない。開廃業率は米国、英国に比べて低調。いわゆる社内失業者は最大600万人いるとされる。雇用の流動化の仕組みを欠き、企業が余剰人員を抱えたまま産業の新陳代謝が進まない」
「痛みを伴う改革を棚上げする政治体質を脱しない限り、いつまでたっても矢は経済再生の的には当たらない」

はたしてそうでしょうか。日本の上場企業の大多数は財政体質が年々強化され、金融機関からの借入金への依存度はとても小さくなっています。労働分配率を減らし、世界の企業群の中でも決してひけをとらない強靭な体質をつくりあげています。
 その上何よりも強いのは日本企業の製造する製品の質の高さ、日本企業が提供するサービスのきめこまやかさです。それは戦争に敗れた廃墟の中から、社長も一労働者も一体となってよりよいモノづくり、よりよいサービスの提供に励んできたからです。一部の利口な幹部たちの力に頼るのではなく、一労働者、一女子社員が製品とサービスのカイゼンをめざした成果です。利口なエリートたちの発想は似たりよったりで、彼らだけで世界で勝ち抜けられると思うのは大間違いです。社員を正社員、限定正社員、非正規労働者に階層分けすることは、結局社員総体のモラルを低下させ、斬新な発想の芽をつむ結果になります。日本経済再生のためにこそ、より一層正社員を大切にするべきであり、これを削減するのは経済再生の道を逆走するに等しいものだと私は思います。

【限定正社員 光も影も 職種や地域限定、政権が推進策】
                   (2013年5月4日 朝日新聞 より)

 正社員だけど、モーレツではなく、働く職種や地域が限られる。仕事がなくなれば解雇される可能性もある――。そんな「限定正社員」を広げる議論が安倍政権で進む。「働きやすさ」を高めるねらいがあるが、「解雇しやすさ」につなげる思惑ものぞく。

<家庭重視も可・解雇簡単に?>

 政府が注目するのは、転勤や配転、残業もありの正社員と違い、職種や勤務地などを限った働き方だ。いまでも導入する企業は珍しくない。経済成長につながるとして、経営者や学者らでつくる政府の規制改革会議などが普及策を検討し、6月にまとめる成長戦略に盛り込まれる見通しだ。
 背景には、いままでの正社員のあり方に不満を持つ働き手や企業の存在がある。働き手にすれば不本意な転勤や長時間の残業を拒めず、公私のバランスをとりにくい。企業にすれば仕事がなくなっても解雇しづらいため、非正規労働者を多く雇ってしまう。
 そこで、正規と非正規の中間のような働き方が広がれば、「正規と非正規に二極化した働き方の解消につながる」(規制改革会議)というわけだ。規制改革会議は限定正社員の利点に、非正規労働者の雇用の安定▽子育てや介護と両立した働き方の促進▽女性の活用▽転職市場の拡大を示した。
 ただ経営側には「雇ったあとに正社員と同じ丸抱えでは困る」との考えがある。雇用の保障度合いが正社員と同じでは、導入する利点が薄れるためだ。規制改革会議は限定正社員の雇用ルールを政府が明確にすることを求めている。
 焦点は、どんな場合なら退職させられるかだ。経団連は、労使が「仕事がなくなれば終えられる雇用契約」の導入で合意していれば、従来の正社員より雇用が守られないことを法律に書き込むよう主張。一方、連合は「解雇しやすい働き方が広がる」(幹部)と警戒する。(山本知弘)

【雇用改革 尻すぼみ 人材流動化は棚上げ】
            (2013年5月4日 日本経済新聞 より)

 政府が成長戦略に盛り込む雇用改革は、どの政策を選ぶかで議論が迷走した。夏の参院選での得票を意識し、優先したのは人の移動を促す助成金。人材の新陳代謝に必要と企業が望んだ解雇規制の緩和は不人気政策のため立ち消えになった。痛みを伴う改革を棚上げし、日本経済の競争力強化という本丸の議論にはたどりつかない。

<野党から批判>

 「次の標的はうちだろう」。第2次安倍晋三内閣が発足して間もない今年初め。日銀法の改正をちらつかせる安倍首相から、大胆な金融緩和を強く迫られる日銀の姿を見て、厚生労働省幹部は警戒心を強めていた。消えた年金記録の問題で前回の自公政権が選挙に大敗して政権交代した記憶も残る。 
 折しも経済財政諮問会議など民間人を交えた政策決定の場が続々と立ち上がった。担当部局は民間議員向け「ご説明ペーパー」を作り始めた。抵抗勢力扱いされたくない。政権失速のきっかけを作ってはならない。組織防衛本能が省内を覆った。
 転機は3月15日の産業競争力会議。民間議員は企業が正社員を解雇しやすくなるルール整備を求めた。だが、野党は「解雇」の文字だけに反応し「安倍政権はクビ切りを容認」と批判。首相は国会で弁明に追われた。
 今ある助成金を組み替える案なら野党の攻撃をかわせる。首相の防御策として厚労省は代替案を用意していた。従業員を一時休業させる企業を支援する「雇用調整助成金」を減らして転職支援への助成に切り替える。首相は防御策を選び、「失業なき労働移動」の看板を掲げた。
 競争激化に直面した日本企業は解雇しにくい正社員を増やせず、非正規労働者で人手を補ってきた。最大の犠牲者は若年フリーター層だ。解雇規制が緩めば企業は必要な時に正社員を雇いやすくなり、非正規との格差は縮む。なのに国会の議論は単に解雇がいいか悪いかという狭い議論にとどまる。すでに雇われている正社員を守る解雇規制が人材の流動化を阻み新たな雇用機会を奪う負の側面からは目を背けた。

<ちらつく選挙>

 ある政府会議の委員は「官邸から『解雇の話は難しいから参院選後に』と言われた」と明かす。厚労省幹部の一人は「解雇ルールは民間議員が勝手に言い出しただけ。決めるのは首相だ」。官邸主導は省庁が自らに都合のよい政策を選ぶ隠れみのになった。
 日本の現状を見れば、労働市場改革は避けて通れない。開廃業率は米国、英国と比べて低調。いわゆる社内失業者は最大600万人いるとされる。雇用の流動化の仕組みを欠き、企業が余剰人員を抱えたまま産業の新陳代謝が進まない。
 政府は解雇や労働時間規制の議論を参院選後に再開するという。法改正には1年ほど検討が必要で「法案をまとめる頃には次の衆院選がちらつき、激変を避ける空気が強まる」(厚労省幹部)。痛みを伴う改革を棚上げする政治体質を脱しない限り、いつまでたっても矢は経済再生の的には当たらない。
 

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2013年4月 9日 (火)

「幸せの国」ブータン 農業の父は日本人

               (2013年4月7日 日本経済新聞 より)

 国造りの理念に「国民総幸福(GNH)」を掲げ、「幸せの国」として注目を集めるヒマラヤの小国ブータン。この国の農業の礎を築いたのが日本人だということはあまり知られていない。西岡京治氏がその人。1980年に外国人で初めて「ダショー」という最高級の称号を国王から与えられ、死してなお尊敬を集める。西岡氏がブータンで活動を始めてほぼ半世紀。足跡をたどった。
 国際空港があるパロから首都ティンプーへ車で1時間半。谷間を縫うように走る道すがら、棚田やリンゴの果樹園がいくつも見えた。アスパラガスや大根、トマト、日本風のナシを売る露店も並ぶ。「ダショー・ニシオカがブータンの農業の全てを変えた。彼がこの地にまいた種への感謝を我々は忘れない」。労働人的資源省のソナム・テンジン次官(57)は称賛する。

【1964年から指導 「生き方語り継がれる」】

 大阪府立大農学部の修士課程を終えたばかりの西岡氏が海外技術協力事業団(現国際協力機構=JICA)から派遣されたのは、日本とブータンの国交樹立前の64年。欧米の植民地になったことがないブータンは鎖国状態にあり、辺境の地だった。
 西岡氏は標高2300メートルのパロ渓谷に入植。日本から限られた種や道具を持ち込み、野菜や果物を育て、試行錯誤を繰り返しながら日本式栽培法に一から取り組んだ。
 手順や指示を無視したり、嘘をついたりする農民や助手に時には手を上げることもあった。「でも彼への信頼は絶大だった。物々交換と自給自足の生活から『換金農業』へ人々の生活スタイルまでも変えた」と教え子の一人、ペマ・ドルジ氏(48)は力を込める。
 76年から5年間は活動拠点を最貧地域の中部シェムガンに移した。マラリアを恐れて山頂付近で焼き畑を行い、移動生活を続ける地元民に、麓に下りるよう説得。水田耕作を教え、往来を分断する川に橋を架け、数千人を低地に定住させたことは政府内でも今も語り草だ。
 生き方を語り継ごうという動きも広がる。パロで西岡氏が切り開いた農場は現在、日本からの無償資金で送られた農業機械の使用法の指導や補修を行う農業機械化センター(AMC)と国立種苗生産所となり、ブータン農業の最大拠点だ。その一角に、遺品や当時の映像が見られる記念室が最近完成した。国内だけでなく、日本やタイなどからも援助機関や農業関係者の訪問が絶えない。
 「西岡氏の歴史は、ブータンの開発の歴史そのもの。こんな男の存在を次世代のブータン人こそ知っておくべきだ」とは西岡氏の活動をまとめた著作のあるツェリン・スィーゲイ・ドルジ氏(38)。日本への留学経験がある同氏は、日本でも西岡氏ゆかりの土地を訪ね歩いて情報や写真を集め、先ごろ出版した。
 92年、59歳でブータンで客死し、葬儀は国を挙げて行われた。日本から駆けつけた妻、里子さん(77)に、GNHの哲学を生み出した第4代ワンチュク国王がそっと声をかけた。「ミセス・ニシオカ、肉体は古い服のようなものだと思いませんか」。輪廻(りんね)転生の仏教信仰に根ざした慈愛の言葉。里子さんは言う。「夫の魂は今も生き続けています」
 (パロで、岩城聡)

【私の意見】Up63

 アジアで地道に活動してアジアの人たちに感謝される日本人がいるのは誇りです。アフガニスタンやパキスタンのペシャワール会で活動する中村哲医師も西岡京治氏とともに私たちが誇れる日本人です。

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2013年4月 2日 (火)

日本流、中国で収穫期 きめ細かさ 日常に浸透

【ハウス食品やセコム、黒字転換】
               (2013年3月28日 日本経済新聞 より)

 中国で事業展開する日本企業が相次ぎ業績面で収穫期を迎える。食品など生活に根ざした商品やサービスが受け入れられている。ハウス食品は2012年度、セコムは13年度に中国事業が初めて黒字化する見通しだ。尖閣諸島問題などで日中間の緊張感は高まっているが、独自性と時間をかけて築いた高品質なイメージが「日式(日本流)」の普及を支えている。

<「日本流」サービスは中国で収益化がすすむ>

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 ハウス食品は中国のカレールー製造・販売事業が13年3月期に1億2000万円の営業黒字に転換する見通しだ。前期は3500万円の赤字で05年の進出以来、初の黒字となる。
 とろみがあり甘口の品ぞろえもある「バーモントカレー」など日本式のカレーを販売。中国ではなじみのない商品だったが、店頭での販促活動で現地に浸透した。今期の売上高は前期比3割増の13億円に達しそうだ。
 セコムの中国事業は14年3月期に営業損益が数億円の黒字に転換する見通しだ。北京や上海など18都市で、監視カメラを取り付け警備員が駆けつける日本式の警備サービスを提供。都市部のオフィスビルや工場で契約件数を伸ばし、売上高は55億円程度と今期から1割伸びる。「カメラの製造から監視、緊急対処まで一貫しているサービスが普及している」(前田修司社長)という。
 教育・娯楽の分野でも日本流のきめ細かいサービスが人気だ。ベネッセホールディングスは中国事業が14年3月期に黒字化する。幼児向けの通信教育「こどもちゃれんじ」の中国版「楽智小天地」を展開。就学前児童の通信教育サービスがなかった中国で、年齢別のコースや教材を教育熱心な富裕層に普及させることに成功した。
 ショッピングモールの増加で、屋内遊園地を展開するイオンファンタジーも中国事業が拡大する。親子が商業施設内でともに楽しむことができるスタイルが消費者に受け入れられ、15年2月期にも営業損益が1億円程度の黒字になりそうだ。
 早くから事業を開始した企業では中国事業が柱のひとつに成長したケースもある。TOTOは1979年に進出して衛生陶器の高級ブランドとしての地位を確立。2013年3月期の中国での営業利益は前期比10%増の80億円と日本に次ぐ。
 成功企業は中国の都市部で増えている中流階級の消費意欲を取り込んでいる。日常生活に浸透しているため、政治的な日中の対立に左右されにくいケースも多い。コンサルティング会社ニーズ(東京・中央)の肖敏捷主席エコノミストは「衣食住に関しては、安全性など品質が重要視される」と話す。
 生活必需品以外の分野では日本ブランドというイメージが強いと、苦戦するケースもみられる。日本発を全面に打ち出していた化粧品大手の資生堂は12年7~9月期以降、中国事業が落ち込んでいる。小売りの一部でも昨年の反日デモ以降、伸び悩む店舗がある。

【私の意見】Up63

 日本製品や日本流サービスは、高品質・安全・清潔・きめ細やかという点で、中国にかぎらず世界中で定着しつつあります。私が中・高校生の頃は、戦前の日本製品は“安かろう、悪かろう”と言われていたと習いました。工業製品ではMade in Germanyが高品質の代表でしたが、今ではMade in Japanの方が幅をきかしつつあります。これは社長も一従業員も“良質なモノづくり”や“良質なサービス”の提供を常に考えてきた賜物だと思います。それは会社が、社長が、部長が、一人ひとりの社員を家族同様に大切にしてきたからでもあると思います。今内閣府規制改革会議は正社員を少なくし、解雇をしやすい非正規雇用や準社員を増やそうとしています。解雇が無効でも金銭で解決できる制度も検討しています。しかし、正社員を減らし、非正規雇用を増やしたり、準正社員制度によって社員相互の労使条件に格差を設けることは、日本企業の強みであった社長から工場の一労働者まで会社のよりよき製品・よりよきサービスを追い求める基盤を失い、結局会社の競争力を失わせます。賃金コストを減らすことばかり考えていては企業はやがて沈むでしょう。グローバル化の今こそ、社長以下全員が社員一人ひとりを大切にして荒波を乗り越えるべきです。これを持ち続けるかぎり日本の企業も日本の経済も余裕をもって、世界のトップランナーグループを走ることができるでしょう。

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2013年3月11日 (月)

中小企業円滑化法終了と弁護士サポート

【中小支援、事業再生に軸 6万社想定 倒産の急増を警戒】
                (2013年3月2日 日本経済新聞 より)

<中小企業金融円滑化法>

 2009年に当時の亀井静香金融相が主導して成立した。銀行や信用金庫、信用組合などは中小企業から申し込みがあれば、返済猶予など貸し付け条件の変更にできるだけ応じるよう求めている。これまで2回延長し、3月末に期限を迎える。貸し渋りや貸しはがしを理由にした企業の破たんが減った半面、経済力の弱い企業の温存につながったとの批判もある。

<円滑化法の期限切れに伴う対策>

・経営改善計画の策定支援
 会計士や弁護士、中小企業診断士らを活用。2万社を対象に「経営改善計画」を作る
・再生支援協議会を強化
 全国の「中小企業再生支援協議会」に専門家を派遣。3000社の経営改善をめざす
・地域経済活性化支援機構
 企業再生支援機構を改組。機構からの出融資1兆円を活用して事業再生に取り組む

円滑化法、今月で終了

 返済猶予を柱とする中小企業金融円滑化法が、3月末に期限切れを迎える。政府は金融支援から事業再生に軸足を移す構えだ。金融庁によると円滑化法を活用する企業は30万~40万社あり、事業再生や転業が必要な会社は5万~6万社とみられる。官民の対応次第で、日本の雇用の7割を支える中小企業に深刻な影響を与える恐れもある。

 十和田湖で遊覧船を運航する十和田湖観光汽船(青森市)。円滑化法を活用していたにもかかわらず、昨年に民事再生法の適用に追い込まれた。乗船客が減る中で過剰な債務に苦しみ、金融機関からの返済猶予でしのいできた。11年の東日本大震災や原子力発電所の事故の後は観光客が激減し、資金繰りが悪化した。
 松橋泰彰社長は追加融資を受けるため金融機関を回ったが「『返済猶予を受けているから』と断られた」と語る。客足の鈍る冬季を運休にするなど業務を効率化し、再建を目指すという。
 円滑化法の対象であっても倒産する企業が増えている。帝国データバンクの調べでは今年1月まで累計で653件。常に前年同月の水準を上回っている状態だ。
 政府は円滑化法の期限後に倒産が急増しないよう、事業再生の支援策を強化している。経済産業省は来週にも、全国の中小企業再生支援協議会に「経営改善サポートセンター」を設置する。
 町工場や商店などの中小・零細事業者は独力で経営改善計画を作るのが難しい。国からの認定を受けた税理士や弁護士らがセンターを訪れた経営者と改善策を話し合う。対象企業は2万社を想定。計画にかかる費用のうち3分の2を国が補助する。税理士や弁護士ら総勢4千人を対象に、どういう助言が適切なのかを巡り研修会も開く。
 やや規模の大きい企業には会計士や金融機関OBからなる中小企業再生支援協議会が直接、信用保証協会や政府系金融機関とも調整する。協議会の専門家を170人規模で増員し、全国で3千件の支援を目指す。
 中堅企業の再生は企業再生支援機構を改組した「地域経済活性化支援機構」が手掛ける。総額1兆円の出融資枠を活用して財務体質の改善や売り上げ増を支援する。
 対策が十分かどうかは不安も残る。「参院選後に政策スタンスが変化し、倒産が増えるリスクが考えられる」(帝国データバンク)との見方も出ている。金融庁は金融機関に今までと同様の融資姿勢を求めるが、対応が未知数な面もある。

【私の意見】Up63

 3月8日に「これからの時代の中小企業再生はどうなるのか?」というテーマで、独立行政法人中小企業基盤支援機構主催のセミナーが開催され、私も含めて銀座通り法律事務所の弁護士が参加しました。地域金融機関、信用保証協会の方のほか弁護士も多数参加しました。中小企業金融円滑化法が終了後中小企業が生きのびていくには、確実に実行できる「経営改善計画」を立て実行することに尽きます。全額返済が無理なときは債務免除を含めた「経営改善計画」を立て、金融機関に協力を求めていく必要があります。中小企業経営者の方は早めに弁護士や税理士にご相談いただいた方がよいと思います。

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2013年3月 3日 (日)

ユニ・チャーム アジア女性支援と韓国反日

【ユニ・チャーム 女性支援、すなわち販促 インドで講習会/サウジに専用工場】
                  (2013年2月28日 朝日新聞 より)

 インドや中東の女性たちの社会進出を促すため、ユニ・チャームが支援に乗り出した。生理用品の使い方を教えたり、女性専用の工場をつくったりして、女性の教育や仕事への参加を後押し。結果的に、自社製品の売り上げ増につなげるねらいだ。

 1月下旬、インド北部ハリアナ州の農村地帯。11~13歳の女子生徒約25人が集められ、初潮についての講習会が開かれた。体にどんな変化が起き、どう対応すればいいか。地元の女性が講師役を務め、ヒンディー語の冊子を使い、約3時間かけて説明した。
 これはユニ・チャームが国際協力機構(JICA)や現地NGOの協力で始めた取り組みだ。講師役の女性ボランティア100人を育成し、地域ごとに講習会を開催。4月末までに約1万人の女子生徒が受講する予定で、その後は地域を広げることも検討する。
 現地では知識不足もあって生理用品が普及しておらず、古布などで代用する人が多いという。同社CSR企画室の鍵谷泉さんは「生理中は学校を休んだり外出を控えたりする人が多い。衛生用品を使うことで社会進出につながる」と話す。
 ユニ・チャームは、1990年代半ばから中国や東南アジアへの進出を本格化させた。「もれない、むれない」といった中核機能のほかは極力簡略化した製品を開発し、現地生産することで価格を抑えた。約4千億円の売上高のうち、いまや3分の1をアジアが占めるようになった。次の狙いをインドに定め、10年に紙おむつと生理用品の工場を建設。今年中には第2工場が完成する予定だ。
 一方、サウジアラビアには昨年、従業員が全員女性の工場を建設した。現地では宗教上の理由から男女が一緒に働けないため、女性の就業率が低いという。雇用の場を増やして女性の経済力や地位を高め、女性用品や紙おむつの売り上げ増につなげたい考えだ。同社は「ビジネスできちんと利益を出すことで、社会貢献としての女性支援を続けていきたい」としている。

【ベトナムの幹部公務員養成 人事院、研修作りから支援】
                 (2013年3月2日 日本経済新聞 より)

 人事院はベトナムの幹部候補の公務員研修を全面支援する。カリキュラム作りからかかわり、講師も送って指導にあたる。これまでも途上国に専門家を短期間派遣したり、日本に研修生を招いたりした例はあるが、研修計画を土台作りから手伝うのは初めて。
 ベトナムのホーチミン国家政治行政学院と協力し、中堅公務員約500人を対象とする。6つのグループに分けて4カ月の研修を年2回実施し、3年かけて養成する。今年は1回目を3~6月、2回目を秋に予定する。
 日本からも各省庁の幹部やOB、有識者が参加して数日間の研修プログラムを実施。第1弾は人事院幹部が日本の公務員制度を講義する。優秀な成績者を国内に招いての研修も検討する。
 きっかけは日本の研修制度を視察したベトナム側から国際協力機構(JICA)への要請。アジアを中心に日本の行政の仕組みへの関心が高く、毎年多くの視察団を受け入れている。人事院は各国との関係強化に向けて「今後も要請があれば積極的に支援を検討したい」としている。

【韓国、冷めぬ「反日」 不買運動や竹島教育強化 】
                (2013年3月2日 日本経済新聞 より)

 日本の植民地時代の1919年に起きた「三・一独立運動」の記念日にあたる1日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は演説で、歴史問題で日本に「積極的な変化と責任ある行動」を取るよう求めた。韓国内では今なお反日感情がくすぶっており、日本製品の購入をボイコットする不買運動や、竹島(韓国名・独島)教育の拡大などの動きがみられる。
 「日本が反省するまで日本製品は売るのも買うのもやめよう」。「三・一独立運動」の拠点だったソウル市内のタプコル公園前では1日、自営業者ら100人以上が集会を開き、気勢をあげた。
 参加者は島根県が2月22日に開いた「竹島の日」式典に内閣府政務官や国会議員らが出席したのに反発。日本製たばこ「マイルドセブン」やキリンビールなどを購入しないように訴えるビラを通行人に配った。
 日本の植民地支配に関する展示をする独立記念館は28日に教育プログラム「独島学校」の開校式を開いた。学校では小学生や観光客らを対象に「体系的な知識を提供して独島が韓国領であることを教える」という。
 今のところ日本製品をボイコットするような反日活動は一部に限られている。1日の記念式典で朴大統領は日本の植民地支配に絡めて「加害者と被害者の立場は1000年の歴史が流れても変わらない」と語ったが、旧日本軍の従軍慰安婦問題や竹島問題には言及しないなど抑制的な姿勢ものぞかせた。政権交代の機会をとらえ、日韓関係を改善しようという思いは韓国にもある。(ソウル=小倉健太郎)

【私の意見】Up63

 日本の企業がすぐれた力をアジアやアフリカに提供するのは喜ばしいことです。日本の公務員制度も中立・公正で汚職が少なく、すぐれた制度だと思います。一方で韓国や中国に過ちを過ちとしてみとめない日本政府のごうまんな態度が続くかぎり、日本によって最も悲惨な思いをさせられた両国の国民の心を閉ざすだけだと思います。日本からはすぐれた企業がたくさん育ちましたが、政治家たちは敗戦直後の政治家たちよりも更に志の低い人たちばかりが幅をきかせるようになりました。悲しいことですが、これは日本国民の志の低さの反映でもあり、自業自得と言わざるを得ないでしょう。

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2012年12月25日 (火)

弁護士激増は何をもたらすか

              (週刊新社会 2012年12月25日号 より)

【弁護士激増は何をもたらすか さいたま市で集会】

 近年、弁護士人口が急増したため、多くの新人弁護士が法律事務所に就職できない、また、法科大学院での高額な学費を借入金でまかなったことから、多くの新人弁護士が高額の借金を抱えたまま弁護士生活をスタートさせているといった問題が顕在化している。
 このため、こうした状況が続けば、弁護士の質の低下とともに、弁護士人口が過剰な米国のように不必要な訴訟が頻発し、あるいは何でも裁判で決着させようとする「訴訟社会」になっていくことが危惧されている。
 日本の弁護士人口は戦後間もない1950年当時は6000人弱で、50年後の2000年には約1万7000人余り、そのわずか10年後には3万4000人と倍増している。

【訴訟社会、事件の“焚き付け”も】

 このような弁護士急増・弁護士の借金問題が社会にどんな弊害をもたらすか考えようと11月17日、埼玉弁護士会(田島義久会長)はさいたま市で市民と弁護士による集会「訴訟社会!お望みですか?」を開いた。集会は昨年に続き2回目。
 官房長官を議長とする政府の法曹養成制度検討会議(座長=佐々木毅学習院大教授)は今年8月に第1回会議を開いてスタート、来年8月までに法曹人口、給費制度、法曹養成などの問題を一括審議し、意見を集約するとしているが、意見集約は事実上、3月終わりまでに行う方向だ。
 田島会長は冒頭あいさつで、「弁護士人口の急増は経済的ひっ迫問題と捉えられがちだが、そうではなく三権分立の司法権を構成する裁判官、弁護士、検察官の法曹三者が同じような力を持っていないと司法権は維持できない。弁護士激増で弁護士の質が落ちると、三者の力関係が崩れ、司法権が崩壊する危険性が高い。つまり、国家の統治機構に重大な問題が生じる可能性がある」と指摘した。
 また、法科大学院問題について、「法科大学院を維持するために弁護士を増やすという逆の発想でなく、弁護士、裁判官、検察官がどのくらい必要なのかという観点から考えてほしい」と述べた。
 集会はこの後、司法ジャーナリストの河野真樹さんが「弁護激増がもたらすもの」と題して基調講演、河野さんら4人によるパネルディスカッションが行われた。
 河野さんは基調講演の中で、「弁護士には人権問題など限りなく無償を求めるニーズがあるが、無償ニーズに対応するためには、弁護士を経済的に支えるシステムがなくてはならない」と述べ、弁護士が経済的に困窮する状態は市民にとってためにならないと指摘。
 さらに河野さんは、弁護士過剰によって競争が生じると、“事件の焚き付け”さえ起きかねない、社会の隅々まで弁護士が顔を出す社会でいいのかなどと問題提起。経済界にとって使い勝手のいい弁護士が、市民にとって良質で使いやすい弁護士が増えるということではないと指摘した。

【私の意見】Up63

 弁護士数が増えて、企業や自治体のイン・ハウス弁護士が多少増えました。これは社会全体にとっては好ましいことだと思います。ところが一部で経験の豊富でない弁護士が広告で事業拡大を図り、就職先に困っている新人弁護士を大量に採用するという現象が広がっています。法律事務所のマネージメント化です。規模からすると中型事務所となって、これら新興法律事務所によって地図が塗り変わりつつあります。新興法律事務所が伸びることはいつの時代でもあり、否定すべきことではではありませんが、お金儲けのための事務所経営が幅をきかすようになると、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士の使命(弁護士法第1条)が危うくなることは否定すべくもない現実となります。

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2012年12月11日 (火)

自立意欲 失う若者 仕事へ再挑戦 支援を

【重いバトン 都知事選2012】
              (2012年11月27日 日本経済新聞 より)

 29日の告示が迫る東京都知事選。新知事には厳しい就職環境が続く若者への支援策も託される。
 「私はかつてネットカフェ難民でした」。認知症の高齢者向けグループホームで働く介護ヘルパーの男性(32)が語りかける。20代で派遣の仕事を転々とした末、将来性があると考え介護業界へ。「精神的に疲れる」と苦労話の一方で「自分が現場で何ができるのか考えてほしい」との言葉に仕事への思いがこもる。
 11月上旬、東京都の就労支援施設「東京しごとセンター」(千代田区)の講演会で、就職活動中の若者約100人が農業や養殖業などの講師の体験談に耳を傾けた。「関心がなかった分野にも仕事はある。視野を広げて」(センター職員)
 だが「講師の熱意は感じたけど、今日聞いた仕事に就こうとは思わない」。参加者の男性(31)の表情は晴れなかった。

<生活保護受給へ>

 2004年設立のセンターは就職支援サービスをワンストップで提供するが、11年度末までに利用した延べ約100万人のうち、就職できたのは約8万人にとどまる。
 都内の4~6月の完全失業率は4.8%。この3年間は4%を超える水準が続く。特に若年層は深刻で05~11年は15~24歳で6.0~10.2%、25~34歳で4.7~6.5%で推移する。
 「人気が高いのは事務。営業やIT(情報技術)はつらそうと敬遠」。センター職員は若者の傾向を説明し「求人と求職のミスマッチに加え、就職後の定着にも課題がある」と話す。「就活や離職を繰り返すうちにやる気を失い、生活保護受給者になる恐れもある」

<「就活に疲れ…」>

 厚生労働省によると、都内の生活保護受給世帯のうち高齢、母子、傷病、障害者世帯以外で、就労可能層を含む「その他世帯」は10年に約3万。00年の3.7倍になった。全受給世帯に占める割合も約16%で00年の約8%から倍増した。
 「就活に疲れて精神的にまいってしまった」「リストラされ、再就職がかなわない」「仕事を求めて地方から上京したが見つからない」。新宿区生活福祉課によると、最近の生活保護申請ではこうした理由が目立つ。
 若者の就労をサポートしている特定非営利活動法人(NPO法人)「青少年自立援助センター」(東京都福生市)の職員は「なかなか採用に至らない若者は次第に自立の意欲をそがれていく」と指摘。「新知事は、疲弊した若者に再チャレンジの意欲を持たせることのできる支援に取り組んでほしい」と話している。

【私の意見】Up63

 「今頃の若い者は・・・」というのはいつの時代も中高年層が青年たちに浴びせてきた言葉です。私たちが若者であった時代には若者世代が政治や社会を批判すると、「尻のまだ青い者が生意気なことを言うな・・・」と非難されました。今はむしろ逆で“自立心を欠く”“志がない”“内向き”“いつまでも親のすねをかじって生活している”と非難されています。
 私は日本の若者が大好きです。若者の町“渋谷”で見る若者たちは無邪気で他人のことに全く関心がありません。今自分がこの町で今をどう楽しむかということにしか関心がないように私は感じられます。昔は若者同士でも“眼(がん)をつけた”“つけない”で傷害沙汰になることもありました。他人のことに無関心だから眼をつけることもありません。渋谷はとても安全な町です。
 青少年は大人たちの鏡です。中高年が資産と所得(収入)を独占しているために若者たちは自立しようにもできません。今の青年たちは正社員として就職しても年収が200~300万円にとどめられている割合が高く貯金どころではありません。多くの若者が結婚も結婚生活に意欲をもつゆとりがありません。男の子たちの草食化を言われていますが、一人前の仕事も与えられず所得も低所得であれば、女の子たちに結婚を申し込む自信がないのは当然です。また、女の子たちも二の足を踏むのも当然です。
 私たちの時代は30代後半には老いつつある親を超えて社会の中堅として自信を持って発言していました。今の若者たちが自立できないのは若者たちの弱さに原因があるのではなく財産と所得の主導権をいつまでたっても渡さない中高年世代に原因があると私は時々感じます。
 私たち中高年世代は、今の若者たちを信じ、伝承できるものは伝承して青年たちが主体性をもてる社会にしないと、やがてそのつけが私たちにかえってきます。

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2012年11月29日 (木)

若者の失業長期化 子供の安心誰に託す

             (2012年11月26日 日本経済新聞 より)

【若者の失業 長期化】

 失業期間が1年以上に及ぶ長期失業者の低年齢化が進んでいる。25~34歳の長期失業者数は2011年時点で28万人となり、20年前の7倍、01年と比べても3割増えた。学卒時に就職氷河期を迎えた人が定職に就けない傾向が目立つ。失業率の一時的な持ち直しも、働く意欲を失った若者の広がりが一因だ。若者の失業の定着は年金制度の維持などに影を落とす。

【「1年以上」28万人、20年で7倍 年金制度維持に影】

 若者の雇用拡大や年金の不信解消は12月の衆院選で重要な争点となる。まずは生活に必要な資金を手当てしながら職業訓練をする制度の充実が求められる見通しだ。本格的な仕事に就く前に、軽作業の場を設ける「中間的就労」で経験を積む仕組みを促す声もある。
 総務省がまとめた7~9月の労働力調査(詳細集計)で25~34歳の長期失業者は28万人となり、11年と同じ水準だった。今年4~6月にいったん23万人まで減ったものの増加基調に転じた。7~9月の長期失業者全体に占める割合は27%強で過去最高水準となった。
 正規・非正規を問わず1年以上、職業に就いていない長期失業者は10年に100万人を超え、11年には117万人に増えた。かつて多かった55~64歳の長期失業の割合は1991年の27%から11年に21%まで低下。代わって25~34歳の割合が最大となった。35~54歳の長期失業者も加えると全体の6割を占める。
 バブル崩壊後の90年代前半から00年代半ばに企業は採用を絞り、08年の金融危機(リーマン・ショック)が就職難に拍車をかけた。この間は現在の25~34歳が就職活動をしていた時期と重なる。若者の自立を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「育て上げ」ネット理事長の工藤啓氏は「若者は就職で失敗を続けると動かなくなる。日本の若者の失業期間は長い」と分析する。
 最近1カ月に求職活動をしなかった人の割合は失業者全体の平均23%に対して、長期失業者は38%に高まるという10年のデータもある。首都大学東京の村田啓子教授は「若いうちに失業期間が長くなると、再就職がしにくくなる」と指摘する。
 長期の失業は生活保護につながりやすい。保護を受ける世帯数は増加傾向にあるが、中でも若者が分類される「その他世帯」は01年度の6万2千世帯から今年8月に28万5千世帯まで増えた。
 若者の就職難が長引くと、月々の給料から保険料を納められず、将来の低年金や無年金の恐れが強まる。90年代前半に15%程度だった国民年金保険料の未納率は、11年度に41%と過去最高だった。中高年層が経済的に自立できなければ、生活保護費の膨張で国民負担が増す循環も予想される。
 慶応義塾大学の太田聰一教授は「年金も医療も現在のシステムは、若い人がきちんと働いて保険料を納めることで成り立っている。そこが弱体化すると、社会保障財政の面からみても望ましくない」と語る。

【子供の安心 誰に託す シングルマザーや病児の親 深夜託児・就職支援を】

 生活に苦しむシングルマザーや病気の子供を育てる親らが、12月16日投開票の衆院選に大きな関心を寄せている。境遇はそれぞれ異なるが、有権者である親たちは一様に「せめて子供たちが安心して暮らせる社会にして」と願う。選挙権のない子供たちの将来を左右する大事な機会でもあり、「子供のための1票」をだれに託すべきか、目を凝らしている。
 18日、千葉市内で開かれたシングルマザーを対象にした今後の生活設計を学ぶ勉強会。20~40代の15人が講師の発言を真剣に聞き入った。
 参加した同市のパート従業員の女性(38)は3年前に離婚。現在は、事務職で生計を立てながら、保育園に通う長男(5)を1人で育てる。
 今の収入では子供の将来のための貯蓄のほか、大学や専門学校の学費を捻出する余裕はない。「少ない負担で子供たちが資格をとり、手に職をつけられるようなシングルマザーへの支援策を政治には期待したい」と訴える。
 厚生労働省によると、2010年の全国の母子世帯の平均収入は291万円。同年の国民生活基礎調査の平均所得の半分程度と生活は苦しい。
 「働きたいのに子供を預けられる施設がない」と話すのは、同市の看護師の女性(45)。小学生の子供2人を母親に預け、夜勤をこなした。今年6月から、母親の負担を減らすため、勤務体系を昼勤に変更。月収は5万円以上減った。投票の基準として、「深夜でも安心して子供を預けられる制度づくりに積極的かどうか」をあげる。
 治りにくい病気と向き合う子供の親たちも、政治に注文をつける。東京都文京区の社会福祉士、檜垣君子さん(54)には先天性心疾患を抱える高校3年生の長女(18)がいる。大学は推薦入試を受けており、現在合格発表待ち。大学卒業後は障害者枠で就職できる企業は限られ、「娘は病気と一生付き合う。政治家は障害を抱えていても安心して働けるような政策を打ち出すべきだ」と訴える。
 虐待や死別などで、親と暮らせない子供も将来が見通せない環境に置かれている。
 東京都多摩地区のある児童養護施設には3~18歳の50人が生活する。現行法では施設で預かるのは原則、18歳以下。男性園長(63)は「就職しても戻る家がなく、建設業など住み込みの職種に限られる」と明かす。
 適性がなく、すぐに勤務先を辞めて音信不通になる人もいるといい、園長は「住宅を格安で提供するなど将来の自立を後押しする政策を実行してくれる政党や候補者に投票したい」と話す。

【私の意見】Up63

 私は、日本は世界の中で物質的にも経済的にも最も豊かな国だと思っています。地震や台風などの自然災害は多いですが、アジアの温帯モンスーン地域に属し、水(雨)や緑(樹木)に恵まれています。四季があり気候は温暖です。まわりは海で海洋資源にも恵まれています。世界一安全な国です。人口1億2665万人(2012年3月)は世界10位で人口面でも中等国に属し決して小国ではありません。あらゆる面でそこそこの国で1億2665万人が生きていく上ではいろんな面でありあまる国だと思います。
 そんな中で、日本の明日を築くうえで重要な若者が失業や低賃金で苦しんでいる現実を理解しないと日本はやがて沈んでいきます。シングルマザーや病児の親が生活に苦しんでいるというのも、こんな豊かな国でなぜと思います。若者やシングルマザーに手厚い保護をしても、この国が沈没するとは到底思えません。経済にも自然にも恵まれているこの豊かな国で大切にしなければならないのは何かを真剣に見つめなおす時がきています。     

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2012年11月20日 (火)

トルコ人「ミヤザキ」忘れない 地震で死亡

【「ミヤザキ」忘れない トルコ地震 日本人死亡1年】
              ( 2012年11月18日 日本経済新聞 より)

 トルコ東部ワン周辺で昨年11月に起きた地震で東京の非営利組織(NPO)職員、宮崎淳さん(当時41)が死亡してから1年余り。宮崎さんは直前の10月に発生し600人以上が犠牲となった別の地震の被災地支援に駆けつけていた。トルコ人のために命を落とした日本人――。親日国トルコでは、宮崎さんの名前を付けた施設が続々と出現。「忘れない」との思いを胸に、支援活動も続いている。

【地道な支援に感謝広がる 医院や学校、名前次々】

 宮崎さんはNPO「難民を助ける会」に所属。昨年10月のワン周辺の地震の緊急支援のために現地入りした。30世帯しかない山奥の寒村まで出向き「何が必要ですか」と丁寧に聞いて回る姿を、村人は今も覚えている。宮崎さんを取材した地元カメラマンのイフサン・オズトルクさん(49)は「世界中からワンに来た多くの救出部隊の中で、宮崎さんの活動は特に印象に残った」。地をはうような被災地支援は地元で大きく報じられた。
 しかし、直後の余震で宿泊していたホテルが倒壊し、死亡。トルコ中に衝撃が走った。ワンの村のイスラム教聖職者のアリ・セブディさん(29)は「知らせを聞いて、みんな泣いた」と振り返る。村では宮崎さんも立案に携わったパン焼き窯が今年5月ごろまでに完成。今も主婦が毎日、パンを焼いている。
 この悲報を受けて「ミヤザキ」と命名した施設が各地で相次ぎ誕生している。ワンのユズンジュユル大学付属の歯科医院は事件直後、「アツシ・ミヤザキ歯学部クリニック」に改名した。ムラット・エスキタシチオール副学部長(48)は「遠い国から命懸けでトルコを助けに来てくれた日本人に敬意を表するため」と狙いを話す。医院は地震で損壊し、今は「仮住まい」の体育館に1日約400人の患者が訪れる。同大では宮崎さんの功績を記録した冊子を作成する計画も進んでいる。
 イスタンブールの防災施設も事件直後に「アツシ・ミヤザキ交通教育・防災公園」と改名した。市民の防災意識が高まり、防災講習の受講者数は今年、例年の約7倍になったという。ワンでは4月、宮崎さんの名前を付けた公立小学校の建設が始まり、年内にも完成する。
 地道な支援も続く。「難民を助ける会」は宮崎さんが余震に巻き込まれてから1年となる今月9日、ワンの障害児を支援する計画を本格的に始めた。同日は障害児の私立学校に23台の車いすを寄贈。ファトマヌル・テクブダクさん(12)は「車いすでいろんなところに行きたい」とうれしそう。同会の五十嵐豪さん(35)は「宮崎さんも生きていたらトルコへの息の長い支援を続けていたはず」と話す。10月には同国南東部に流入するシリア難民の支援を始めた。
 宮崎さんと共に倒壊したホテルの下敷きとなり、奇跡的に救出された同僚の近内みゆきさん(33)は、11月から国際協力機構(JICA)のトルコ事務所(アンカラ)で勤務を開始した。「トルコで防災教育や耐震対策に力を入れたい」と考えたのがきっかけだ。「ミヤザキの名前はトルコで永遠に生き続ける」。宮崎さんの運転手を務めたベダット・バイラムさん(55)は思わずあふれた涙をふきながら語った。
(トルコ東部ワンで、花房良祐)

【トルコ銀2行に800億円融資枠】
             (2012年11月17日 日本経済新聞 より)

 (イスタンブール=花房良祐)国際協力銀行(JBIC)はトルコの大手銀2行に合計10億ドル(約810億円)の協調融資枠を設ける。アクバンクに5億ドル、ヤプクレディ銀に5億ドルを設定。2行を通じてトルコ企業の資金調達を支援し、日本企業のインフラ関連機器などの輸出につなげたい考え。
 ヤプクレディに設定する協調融資枠のうち、1億5000万ドル分は再生可能エネルギーの関連機器を支援する。トルコでは地熱発電の普及に力を入れており、国際協力銀はこの分野の需要があるとみている。これとは別にガランティバンクとトルコ輸出入銀行にも融資枠を設定する方向で検討する。

【私の意見】Up63

1 宮崎 淳さんはトルコ東部で発生した地震による被害者の救援のためトルコで活動中、2011年11月9日発生したマグニチュード5.7の地震によりホテルが倒壊し亡くなりました。
 トルコ全土で宮崎さんに哀悼の意が示され、トルコ大統領は天皇陛下に感謝の書簡を送りました。11月12日宮崎さんの遺体がトルコを離れるときイスタンブール空港でトルコ政府による追悼式典が催されました。ひつぎは日の丸に包まれ政府関係者や現地の救助隊員に見送られトルコを後にしました。

2 トルコは地理的にはアジアとヨーロッパの接点の位置にあり95%がアジアのアナトリア半島にあります。しかし、経済的、政治的にはヨーロッパの一員として参加し、NATO、欧州評議会などヨーロッパの地域機関に参加しています。そのような中で多くのトルコ人は日本が大好きで、1890年紀伊半島沖で当時のオスマントルコ帝国の軍艦が沈没した際、近隣住民が生存者を介抱してトルコ側に送り届けた「エルトゥール号遭難事件」がトルコの人々の日本人への親しみと感謝の起点になっているようです。宮崎 淳さんはトルコの人々の親日感を一層高めたと思います。

3 日本政府が100%出資する株式会社国際銀行がトルコの銀行に800億円を融資する件は、宮崎 淳さんの犠牲の上に乗ってトルコから一儲けしようとする魂胆が見えかくれしないでもありませんが、お互いに利用しあうことは悪いことではありませんからね・・・。トルコもEUの国々からは異端視されているかもしれません・・・。ちなみに国土は日本の2倍、人口は56.9%、GDPは21.2%、1人当たりのGDPは38.8%です。日本の物価の高さを考えるとトルコ人と日本人の生活水準は大差がないというところでしょうか。

4 トルコという個性の強い国が日本を愛してくれることはとてもありがたいことで、1年ぶりの記事を見て宮崎 淳さんへの感謝の気持ちをあらたにしました。

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