障害者権利条約と立法行政司法改革の必要
【第17回職業リハビリテーション研究発表会 発表予定論文】
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構主催の第17回職業リハビリテーション研究発表会に私が発表する予定の論文を同機構に提出しました。2009年12月3日午後に発表します。題名と目次は次のとおりです。
[題名]
障害者権利条約の批准と同時に国内法・行政・司法の基本改革が必要
[目次]
1 障害による差別の撲滅に向けてのEUの先進的取組み
2.EU雇用均等一般枠組み指令の概要
3.「労働環境・労働条件の改造」を求める障害者権利条約と「障害者の改造」を求める国内法
4.厚生労働省の事業主に甘い運用が障害者の労働環境・労働条件を一層悪化させた
5.司法改革
6.労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会(中間整理)
7.労働政策審議会・在り方研究会の改組の必要
8.障害者自立支援法の廃止と立ち遅れた法制度の再構築
その内容は、添付のファイルをご覧下さい。長い論文ですが3、4、6、8はこれまでこのブログで紹介してきましたので、1、2、5、7を目を通していただければ幸いです。以下この関係について少し触れます。
■論文:「障害者権利条約の批准と同時に
国内法・行政・司法の基本改革が必要]
清水 建夫
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【EU時代の始まり】
第2次世界大戦を境にパクス・アメリカーナ(超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する平和)となりました。2008年を境にそのパクス・アメリカーナの時代も終わりを告げようとしています。米国の経済危機は小康状態を保っているように見えますが、相当数の米国民が過剰債務の状態から脱却しきれていません。経済のファンダメンタルは今なおぜい弱と言わざるを得ません。EUは米国に変わる新たな経済大国をめざしているのでもなければ軍事大国をめざしているのでも勿論ありません。EUは域内の国家と国民がそこそこの豊かさと安全の中で共存・共栄していくことに重きを置いています。市場原理主義・競争至上主義を基本として突っ走ってきた米国や日本と異なった理念のもとにEU各国は集まろうとしています。EUの理念が米国や日本などEU以外の国家・国民に影響を与える時代が始まりつつあるように思います。また、それを私は願います。
EUの障害による差別の禁止に対する取り組みも「障害による差別の撲滅」(1997年アムステルダム欧州理事会)、「障害に基づく差別と戦う」(2000年一般雇用均等枠組み指令)としており、表面的な言葉だけが美しく並んでいるわが国の法律や行政施策と比べてその意気込みも中味も根本的に異なります。
【司法改革】
2009年9月の衆議院議員選挙で国会の勢力図は大きく変わりました。立法・行政が大きく変化する機運があります。しかし、司法だけは旧来の保守性を堅持したままです。日本の司法はほとんどの場合刑事事件では官憲の立場に立ち、労働事件では企業の立場に立ち、国民の権利救済をことごとく拒絶してきました。日本の司法を国民の立場に立った司法に改革するのにはおそらく数十年を要すると私は思っています。
障害者の権利救済について独立した行政機関をつくり、そこに準司法的役割を担わせることは保守的な司法に刺激を与えるきっかけとなるかもしれません。その意味でも独立した準司法機関をどのように作るかは大切です。
【労働政策審議会・在り方研究会】
これまでは政府と経済界のための御用答申機関、御用研究会でした。新政権では、旧来型の審議会や研究会の廃止もしくは根本的見なおしを是非とも実行してもらいたいものです。
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