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2013年8月 5日 (月)

お墓の権利 散骨や夫と別の墓に埋葬は可?

【お墓をめぐるトラブル】

 銀座通り法律事務所にお墓の権利をめぐる争いが時々相談としてもちこまれます。家庭裁判所で審判事件として争われる案件もあります。それだけ社会全体が豊かになったことの反映であるとも言えます。食うや食わずの時はお墓はどちらかというと負の財産で、墓の手入れをしたり祭祀を司ることは敬遠されていて、戦前の民法(旧民法)の時代の慣習に則り、戦後であれ家督相続人となった本家の長男が不承不承執り行っていました。
 相談の中には、「私は死んでまで夫と一緒の墓に入りたくない」、「実家で実父母と同じ墓に入れてほしい」という方も少なくありません。

【民法の規定】

 民法は相続の効力「総則」として次のとおり規定しています。

(相続の一般的効力)
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

(祭祀に関する権利の承継)
第897条 ① 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
 ② 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

(共同相続の効力)
第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

 相続財産は相続人が共同相続します。相続人は、夫が死亡したときは妻と子です。民法899条で、系譜、祭具及び墳墓の所有権は、一般の相続財産から分離して、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するとしています。戦前の旧民法の時代は家督相続人たる家長が祖先の祭祀を主宰していましたが、憲法24条2項が「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と規定しており、民法897条の慣習も旧民法時代の慣習ではなく、個人の尊厳と両性の平等を基本として定まるものとされています。慣習も戦前の家長制度による慣習ではなく、日本国憲法下での個人の尊厳と両性の平等を基本とすることを前提としていると思います。家庭裁判所の審判例でも内縁の妻が祭祀の承継者に決定された例があります。

【被相続人の指定】

 民法897条1項ただし書きで、慣習よりも被相続人の指定が優先されます。したがって妻が自分のお墓を夫もしくは夫の実家のお墓とは別にしたいと考えているのであれば、妻の祭祀の承継者を指定し、指定を受けたものが妻の遺志にもとづき夫とは別の墓に埋葬することは可能です。妻の意思は遺言によって明確にすることもできます。実家の墓は実家の墓を主宰している人(兄、弟など)が居ますから、その了承が必要だとは思いますが・・・。

【散骨(自然葬)について】

 海や山に焼骨(遺灰)を撒く、いわゆる「散骨」について、国は、「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない。この問題については、国民の意識、宗教的感情の動向等を注意深く見守っていく必要がある。」との見解を示しています。
    (中 略)
 散骨は「墓地、埋葬等に関する法律」に規定されていない行為であるため、法による手続きはありませんが、念のため、地元の自治体に確認することをお勧めします。
    ( 東京都福祉保健局ホームページ より)

 これまでに散骨(自然葬)を選んだ著名人に次の人たちがいます。

沢村貞子、周恩来、鄧小平、石原裕次郎、立川談志、エドウィン・ライシャワー、マリア・カラス、フリードリヒ・エンゲルス  ( wikipedia より)

 

 

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