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2012年12月25日 (火)

弁護士激増は何をもたらすか

              (週刊新社会 2012年12月25日号 より)

【弁護士激増は何をもたらすか さいたま市で集会】

 近年、弁護士人口が急増したため、多くの新人弁護士が法律事務所に就職できない、また、法科大学院での高額な学費を借入金でまかなったことから、多くの新人弁護士が高額の借金を抱えたまま弁護士生活をスタートさせているといった問題が顕在化している。
 このため、こうした状況が続けば、弁護士の質の低下とともに、弁護士人口が過剰な米国のように不必要な訴訟が頻発し、あるいは何でも裁判で決着させようとする「訴訟社会」になっていくことが危惧されている。
 日本の弁護士人口は戦後間もない1950年当時は6000人弱で、50年後の2000年には約1万7000人余り、そのわずか10年後には3万4000人と倍増している。

【訴訟社会、事件の“焚き付け”も】

 このような弁護士急増・弁護士の借金問題が社会にどんな弊害をもたらすか考えようと11月17日、埼玉弁護士会(田島義久会長)はさいたま市で市民と弁護士による集会「訴訟社会!お望みですか?」を開いた。集会は昨年に続き2回目。
 官房長官を議長とする政府の法曹養成制度検討会議(座長=佐々木毅学習院大教授)は今年8月に第1回会議を開いてスタート、来年8月までに法曹人口、給費制度、法曹養成などの問題を一括審議し、意見を集約するとしているが、意見集約は事実上、3月終わりまでに行う方向だ。
 田島会長は冒頭あいさつで、「弁護士人口の急増は経済的ひっ迫問題と捉えられがちだが、そうではなく三権分立の司法権を構成する裁判官、弁護士、検察官の法曹三者が同じような力を持っていないと司法権は維持できない。弁護士激増で弁護士の質が落ちると、三者の力関係が崩れ、司法権が崩壊する危険性が高い。つまり、国家の統治機構に重大な問題が生じる可能性がある」と指摘した。
 また、法科大学院問題について、「法科大学院を維持するために弁護士を増やすという逆の発想でなく、弁護士、裁判官、検察官がどのくらい必要なのかという観点から考えてほしい」と述べた。
 集会はこの後、司法ジャーナリストの河野真樹さんが「弁護激増がもたらすもの」と題して基調講演、河野さんら4人によるパネルディスカッションが行われた。
 河野さんは基調講演の中で、「弁護士には人権問題など限りなく無償を求めるニーズがあるが、無償ニーズに対応するためには、弁護士を経済的に支えるシステムがなくてはならない」と述べ、弁護士が経済的に困窮する状態は市民にとってためにならないと指摘。
 さらに河野さんは、弁護士過剰によって競争が生じると、“事件の焚き付け”さえ起きかねない、社会の隅々まで弁護士が顔を出す社会でいいのかなどと問題提起。経済界にとって使い勝手のいい弁護士が、市民にとって良質で使いやすい弁護士が増えるということではないと指摘した。

【私の意見】Up63

 弁護士数が増えて、企業や自治体のイン・ハウス弁護士が多少増えました。これは社会全体にとっては好ましいことだと思います。ところが一部で経験の豊富でない弁護士が広告で事業拡大を図り、就職先に困っている新人弁護士を大量に採用するという現象が広がっています。法律事務所のマネージメント化です。規模からすると中型事務所となって、これら新興法律事務所によって地図が塗り変わりつつあります。新興法律事務所が伸びることはいつの時代でもあり、否定すべきことではではありませんが、お金儲けのための事務所経営が幅をきかすようになると、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士の使命(弁護士法第1条)が危うくなることは否定すべくもない現実となります。

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