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2012年10月14日 (日)

大手法律事務所の拡大路線に転機

【私の意見】Up63

 日本の五大法律事務所と言えば、大きい順に①西村あさひ、②長島・大野・常松、③アンダーソン・毛利・友常、④森・浜田松本、⑤TMI総合と言われています。これら大手事務所は司法修習生を青田刈りして著名大学卒に限定した新人弁護士を多数採用し、大手法律事務所の弁護士でなければ人(法律家)でないほどの勢いでした。この勢いは銀座通り法律事務所のような自らは国内案件しか扱わない法律事務所の将来は先細りのように思わせるものがありました。私は4つ位の法律事務所の弁護士数はもう400名を越えていると思っていました。今回日経記事を見て、400名を越えているのは西村あさひだけだと知り驚きました。記事を見て国内における法務市場が大手法律事務所においても頭打ちというのは予想外でした。
 国内における法務市場が頭打ちというのは、国内案件しか扱わない法律事務所にも良い環境とは言えませんが、国内案件に関するかぎり、大手法律事務所が特別すぐれているわけではありません。むしろ訴訟事件など裁判所を主たる舞台とする事件処理では、海外案件から大きくなった大手事務所の弁護士よりも、国内案件を中心としてきた法律事務所の方が経験豊富な弁護士が少なくありません。双方の腕力は互角と言っていいと思います。
 銀座通り法律事務所では、国際人権関係は大手事務所に応援を求めませんが、国際ビジネス関係は依頼人の承諾を得て大手法律事務所の手助けを得るように努めています。不案内な分野を独力で処理して依頼企業に迷惑をかけるわけにはいかないからです。これからはその意味で国内案件中心の法律事務所と大手法律事務所の協業が大切だと思います。以下に日経記事をご紹介します。

【法律事務所、拡大路線に壁】
             (2012年10月8日 日本経済新聞 より)

 企業法務を請け負う大手法律事務所の拡大路線が転機を迎えている。日本企業の海外進出や法曹人口の拡大を背景に伸びてきたが、2008年のリーマン・ショックで環境が激変。法務市場の伸びが頭打ちになったほか、顧客企業をめぐる利益相反などで、手掛ける案件が制限されるなどの問題も生じている。大手事務所の現状を探った。

【大手、海外に活路探る 企業案件、不況・震災で減少】

 国内第2位の陣容を抱える長島・大野・常松が来年1月、シンガポールに現地事務所を開く。「日本企業のアジア進出に伴う法律関連業務を支援するほか、今後増加が予想される資本提携、ライセンス契約などをめぐる紛争解決の需要を開拓する」(藤縄憲一マネージングパートナー)と意気込む。

<2度目の挑戦>

 実は、長島・大野にとってシンガポール進出は2度目の挑戦。1996年に、東南アジア全般の業務を統括する拠点として「アセアン・オフィス」を開設したが、97年からのアジア通貨危機で日本企業のアジア進出に陰りが出たため、99年に撤退した。
 「対照的に当時、日本では金融機関の破綻処理や外資による日本買いなどで東京事務所の業務が忙しくなったこともあり、シンガポールに弁護士を置く余裕が無くなった」と同事務所の玉井裕子弁護士は振り返る。しかし、リーマン・ショックによる景気低迷を受け国内の法務市場の伸びが鈍化。2度目のシンガポール進出に踏み切った。
 リーマン・ショックを契機に国内市場では、リスクの見えにくい複雑な金融商品に対する不信感がまん延。活況だった金融分野の法務関連業務が落ち込んだほか、外資による日本への投資意欲も低下した。11年の東日本大震災も追い打ちをかけた。大手法律事務所の売り上げは年間150億~250億円程度と言われるが「年10%程度だった事務所の売り上げの伸びも鈍化している」(藤縄弁護士)という。
 五大事務所の弁護士数は今年3月末時点で減少に転じた。2000年以降事務所で大量採用したアソシエイト(雇用弁護士)が、働き次第で高い報酬が得られるパートナー(共同経営者)になれずに退職していることが主因のようだ。
       ( 中 略 )
 活路を求めて始めているのが、日本企業の海外進出に伴う法律関連業務の開拓だ。長島・大野のほか、森・浜田松本、アンダーソン・毛利・友常、西村あさひなども、アジアを中心に海外拠点の拡大や弁護士の派遣に力を入れ始めている。
 今年4月に名古屋に進出したTMIや8月に大阪と名古屋に事務所を開設した西村あさひなど、地方への進出も目立つ。こちらも海外進出する地元企業の法務関連業務を取り込むのが狙いだ。
 海外展開にも課題は多い。日本の弁護士資格しかない場合、海外で現地の法律にもとづくアドバイスはできない。日本企業の進出支援だけでは結局、現地事務所との橋渡し役にとどまり、報酬も限られる。
       ( 中 略 )
 日本の法律事務所は従来、国内市場の規模が十分だったため、海外進出する必然性が低かった。数年前までは外資系事務所が扱える案件を限定する参入規制もあった。
 こうした恵まれた状況がなくなった今、実績が乏しい日本勢が海外で、すでにシェアを握る欧米大手にどのように対抗していくのか。専門家集団の力量が問われている。
 (瀬川奈都子)

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コメント

言葉の用法ですが、「青田刈り」ではなく「青田買い」が正しいと思います。

投稿: 通りすがり | 2013年10月 8日 (火) 19時03分

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