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2011年4月19日 (火)

若者の正社員化春の兆し?

【私の意見】Up63

 4月18日の日本経済新聞に「若者の正社員化 春の兆し」という記事が載っていました。私はこれに敢えて?マークをつけました。その理由は、一つはこの記事は派遣社員から企業との直接雇用の形態としての有期雇用契約を正規雇用と位置付けている(記事末尾)点に誤りがあります。有期雇用契約は非正規雇用の一形態であって正規雇用ではありません。?マークをつけたもう一つの理由は正社員は中高年にとっては終身切符を約束されたとても居心地のいい住み処ですが、若年層の正社員は愚かな役員や愚かな中高年上司により「成績が挙がらない」「やる気がない」と言われて、正社員とはいえ安定した雇用形態ではないということです。なお、私は役員や中高年上司の全員が愚かであると言っているのではありません。中には若い社員を将来を担う人材として大切に育てようとする経営者や上司もいます。残念ながらこの十数年の間にそのような人は全体の多数派ではなく少数派になったということです。若い人たちが安定した雇用環境の下でのびのびと働ける社会を築きたいものです。
 以下、記事をご紹介します。(記事の一部を省略しました)

【若者の正社員化 春の兆し 紹介予定派遣が一役】
             (2011年4月18日 日本経済新聞 より)

 「ようやくみつけた理想の職場。ずっと働けることになってうれしかった」。東京都在住のYさん(26)は今年1月、人材派遣大手のパソナを通じて「紹介予定派遣」として働いていた民間健康保険組合に、念願の正規職員として採用された。

 紹介予定派遣は就職志望者が最長6カ月間、派遣社員として働き、企業と志望者の双方が合意すれば正社員などの直接雇用に切り替える制度だ。未経験の事務職で正社員の仕事に就きたかったYさんは、「紹介予定派遣はよいチャンスになった」と話す。
 「失われた20年」ともいわれる日本の景気低迷。企業はコストのかかる正社員を減らし、派遣社員など非正規雇用を増やす。労働者全体に占める非正規雇用の割合はすでに3割を超える。震災の影響もあり、若者にとって正社員の仕事は狭き門だ。
 もっとも、雇用の非正規化が進む中で、職場の中軸となる正社員を増やす必要性を感じる企業も出始めている。震災の逆風下で高コストの正社員を増やそうとする企業にとって、志望者をじっくり吟味できる紹介予定派遣は有力な採用方法だ。
 紹介予定派遣は、正社員を慎重に採用したいと企業とチャンスがほしい若者に配慮して、立法府と行政府が非正規雇用から正規雇用への道筋を付けた制度といえる。
            (中略)

【法で劣悪な環境にメス 製造現場では直接雇用に課題】

 正社員の採用拡大や法解釈の厳格化が進み、若者を取り巻く雇用環境は改善しつつある。ただ、非正規雇用だけが問題ではなく、正規雇用になっても問題が残る場合がある。震災はそうした問題を助長してしまうとの指摘もある。

<逆に雇い止め招く>

 ダイキン工業を雇い止めされた元有期雇用社員4人が昨年9月、従業員の地位確認を求めて大阪地裁に提訴した。ダイキンは大阪労働局の指導で、請負契約で就労していた約500人を直接雇用に切り替えていたが、原告らを期間満了で雇い止めしたためだ。
 原告らは直接雇用までの6~18年間、請負契約で就労していたが、直接雇用の契約期間は最長2年6カ月間。原告側は請負契約と同様に直接雇用についても雇用契約を継続するよう求めるが、ダイキン側は期間満了による契約終了は適法との立場だ。
 労働基準法は、事業完了に必要な期間を定めるものを除き、労働契約は3年間を超えてはならないと規定する。法律上は最長2年6カ月間の労働契約は適法といえるが、原告らは直接雇用される代わりに長年の仕事を失った。
 原告代理人の村田浩治弁護士はいう。「ダイキンに直接雇用を命じた大阪労働局の是正指導は原告らの雇用を安定させるという趣旨だった。長年の請負契約を有期雇用に切り替え、期間満了で雇い止めした経営判断は是正指導の趣旨に反する」
 製造現場の派遣社員は就労期間が原則1年間を過ぎると、法律上、企業に直接申し込み義務が発生する。このため、製造業では派遣社員の活用を避け、有期雇用社員を増やす傾向がある。製造業では非正規雇用よりも正規雇用の方が雇用が安定しない逆転現象が起きている。
 企業が若者を活用し始めたところに起きた大震災。未曾有の被害は社会の取り組みを後退させかねないが、「若者や高齢者などの積極的な活用が震災からの復興を早める」(森岡孝二関西大学教授)との指摘もある。人を活かす取り組みと法の運用を止めてはならない。

【欧州は「同一労働同一賃金」基本】

 日本では、正規雇用と非正規雇用の雇用条件の違いが格差問題の原因、と指摘されてきた。正社員が多い正規雇用には年功的な賃金や夏冬の賞与が支給される半面、派遣社員が中心の非正規雇用は賃金が時間単位で支給され、賞与もない場合が多いからだ。
 バブル崩壊後の日本企業は企業活動全般のコストダウンを進める中、雇用コストが高い正規雇用を減らし、雇用コストが低い非正規雇用を増やしてきた。賃金水準の低い一部の非正規雇用には収入が生活保護費を下回る逆転現象も出てきた。
 一方、欧州では雇用形態が異なっても仕事が同じならば賃金も同じという「同一労働同一賃金」が基本だ。欧州では職種と熟練度に応じた産業別の賃金体系が普及していたことに加え、賃金格差を禁じる欧州連合指令が発せられたことが背景にある。
 労働問題に詳しい龍谷大学の脇田滋教授は、「欧州でも正規雇用と非正規雇用の雇用条件の格差が大きい時代があったが、格差の放置は社会の二極化につながるという危機意識が『同一労働同一賃金』の徹底につながった」と指摘する。
 

 

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