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2009年9月21日 (月)

弁護士大激変! 過払金請求訴訟の宴

【特集記事】

 週刊ダイヤモンドが2009年8月29日号で「弁護士大激変! -2万5041人の意外な実態」という特集記事を組みました。

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【弁護士大激変! 2万5041人の意外な実態】

 1950年に6000人足らずだった弁護士人口は、昨年2万5000人を突破した。少子高齢化にもかかわらず2029年には約7万5000人に増える見通しである。弁護士の劇的な増加、活動領域の広がり、そして意外な格差拡大。知っているようで知らない弁護士業界の内情を徹底調査、激変する法曹ビジネスの実態を浮き彫りにした。

【過払い金返還請求の宴】

 ~消費者金融などのいわゆるグレーゾーン金利分を返還させる「過払い金返還請求」。いまや一大ビジネスに成長した過払い問題を通じて、これからの弁護士のあり方を問う。~

<弁護士や司法書士の派手なCM>

 2006年1月。最高裁判所は事実上、「グレーゾーン金利」を認めないとする判決を出した。出資法による上限金利は29.2%(当時)。これを超えれば完全に違法だが、利息制限法の上限金利(15~20%)を超えたぶんについてはグレーゾーンとして曖昧にされてきた。
 ところが、最高裁判決が出たことで、グレーゾーン金利分を取り戻す過払い金請求が消費者金融会社・クレジットカード会社などに殺到した。
 過払い金返還請求に関しては、通常は債務者が弁護士や司法書士を通じて消費者金融会社などに過去の取引履歴を照会。グレーゾーン金利分を計算して、過払い分を請求する。
 かつては消費者金融側がすんなり履歴照会や返還に応じないケースも多かったが、最高裁判決が出たことで、今では裁判せずとも、和解であっさり交渉が成立する場合が多い。
 弁護士や司法書士にとって、これほど簡単で儲かるビジネスはない。面倒な手続や交渉はほとんど必要ないうえに、ほぼ確実におカネが戻ってくるのだから、成功報酬を取りぱぐれる心配もない。
 消費者金融大手4社(アコム・武富士・プロミス・アイフル)の過払い金返還額は約3500億円に達している。弁護士の報酬金は返還額のおよそ3割。とすれば、この4社だけで1000億円強のカネが弁護士・司法書士に転がり込んだ計算になる。
 宴が始まった。多くの弁護士が目の色を変えて過払いブームに群がった。
 かつては「テレビをつければ消費者金融のCMばかり流れる」という批判が巻き起こったが、皮肉なことに今では弁護士や司法書士がアイドルやキャラクターを使ったCMで派手なアピール合戦を繰り広げている。億円単位の広告宣伝費を投じる弁護士・司法書士事務所も珍しくない。
 弁護士業界では「あのセンセイは“過払い御殿”を建てた、このセンセイはベンツを買った」という類いのうわさ話が乱れ飛んだ。
     (中略)
 貸金業法改正でグレーゾーン金利が廃止されたため、過払い金返還は期限付きビジネス。「すでにピークを過ぎた」との認識が弁護士業界では一般的だが、最後の需要掘り起こしに躍起だ。

<弁護士の本質を問う価値観の対立が激化>

 過払い金返還請求の宴は、悪徳弁護士の跳梁跋扈のみならず、弁護士業界内にある価値観の対立をも浮き彫りにした。
「弁護士は社会正義実現のために働くべきであって儲けることを考えるべきではない」という伝統的な価値観に対して、「弁護士も商売なのだから儲けることは決して悪いことではない」という価値観が台頭している。
 そして、この価値観対立は弁護士業界のなかではますます激しくなるだろう。司法制度改革で法科大学院が設置され、社会人経験者や法学部以外の学部出身者が続々と法曹を目指し、現在のペースが続けば弁護士の数は29年には7万5000人に達する(現在は2万5000人)。
 大企業のM&A、海外進出、資金調達ニーズに伴って、10年前には考えられなかった数百人規模の大手法律事務所が次々に誕生。初任給1000万~1500万というエリート新人弁護士が肩で風を切る一方で、就職先さえ見つからぬ年収200万円台の弁護士も少なくない。
 これでは、従来の年間500人前後という超難関の司法試験をくぐり抜け、弁護士の誰もが食うに困らなかった価値観は共有できない。
 話を過払い問題に戻そう。最高裁判決(それが妥当なものかという議論は措く)によって、過払い金返還請求は現実問題として弁護士業界にとってビッグビジネスとなった。
 これを「ビジネスチャンス」として前向きに評価するのか、社会正義を実現させる弁護士の理念を墜落させる違法行為・悪質行為の温床として切り捨てるのか。あるいは、両者の価値観をアウフヘーベン(止揚)する新たな価値観が生まれてくるのか。
 司法制度改革によって弁護子数が急増する大激変。その渦中に降ってわいたような過払い金返還請求の宴で問われているのは、その一点である。

【30年前サラ金地獄と闘った私の経験】

-22歳の高校女性教師と60歳の母親との命をかけた闘い-

 私は30年前、私が30代前半の頃にサラ金地獄で苦しむ依頼者のために闘いました。
 その頃は刑罰を科される高利(出資法違反)の上限が高く、貸金業者は依頼者をおどしながらきわめて高い利息をまきあげていました。
 サラ金地獄に苦しんでいた私の最初の依頼者は新卒高校女性教師(Kさん22歳)とその母親(Tさん60歳)でした。お金を借りたのはTさんです。Tさんは生活資金にわずかな金額を借りたのですがそれが金利でどんどんふくれあがっていき、とても返せる金額ではなくなりました。KさんはTさんに頼まれ連帯保証人になっていました。借りて1年後Kさんが高校の理科の教師となりました。サラ金業者はKさんをターゲットにして学校の行き帰りにつきまとったり、学校宛に電報を打つなどKさんを追いつめました。KさんとTさんは母娘二人暮らしで、Tさんは年金しか収入がなく、毎月の利息すらも返せませんでした。母娘の住む家の前に金を返せという貼り紙をされ、2人は「私たちには明日はない」と言いながら死も考えていました。当時は最高裁判所の救済判決もなくサラ金業者との闘いは困難をきわめました。私が貸金業者に強く主張すると直ちにKさんを待ちぶせ「借りたのは弁護士ではなくお前たち親子だ。借りたものは返すのがあたりまえだろう。」と迫りました。当時は貸金業者に対する取り締まりもゆるく、今のように弁護士が代理人についた場合は本人から取り立ててはならないとの行政規制もありませんでした。私が貸金業者に強く出れば直ちに貸金業者はKさんに強く出て脅すということが繰り返されました。
 私はKさんの勤める学校(私立)の教頭あてに「貸金業者の請求は不当であり、払う義務のないものだから、Kさんをあたたかく見守ってやってほしい。」と手紙を出し、学校の理解を得ることができました。
 貸金業者もT・Kさんへの貸金回収に時間をかけることを無駄と思ったのか、粘っているうちに私の提案にそって次々と示談が成立していきました。最もタチの悪かった最後の業者と解決したとき「ああ、よかった。これで二人は救われる」と心から安どしたのがつい昨日のようです。
 それからTさんとKさんと私は家族同様のつきあいをしてきました。Kさんは独身のままTさんと2人の生活をしていましたが、3年前47歳でがんで亡くなりました。Kさん一人を頼りに生きてきた高齢となったTさんは認知症が一挙に進み、老人有料ホームに入所しました。その後Tさんからは連絡が途絶えてしまいました。どうしているのかなと時折思いますが連絡するすべを知りません。まだ施設にいるのか、亡くなられたのか・・・。Kさんが一生懸命働いて貯めた数千万円の貯金(Kさんの退職金も含む)はどうなったのだろうか・・・?幸薄かった母娘を思い出すと胸が痛くなります。
 K・Tさんに限らず私にとりサラ金業者との闘いは手間がかかる仕事であるとともに、依頼者の人生を左右する闘いでした。弁護士としてやりがいのある仕事でもありました。
 週刊ダイヤモンドの指摘はある面で正しく、弁護士のあり方について、今後私たちが考えていかなければならない大きな問題だと思います。ただ、弁護士の数が増えれば悪徳弁護士が跳梁跋扈すると単純化するのもまちがいだと思います。とは言え、私たち弁護士の真価が問われる時代に入ったことは確かです。

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コメント

弁護士さんはそれほど増えているんですね。私たち全国「精神病」者集団は強制の廃絶精神保健福祉法廃止を訴えてきていますが、即座にできないとすれば、最低限、すべての強制入院患者および閉鎖病棟入院患者に公費で弁護士をつけろと要求してきました。
また国権を持って拘禁している以上、受刑者に対して同様外部の視察委員会、の存在と委員会しか開けられない投書医箱を院内に設置することが必要と感じております。
拷問等禁止条約の国内履行に向けてそうした訴えもされ日弁連の集会もあるようですが、英国では精神科病院の不服申し立てだけ引き受けても暮らせる金額が保証されるとのこと、弁護士さんが増えているならそれくらいと思いますが。

投稿: 長野英子 | 2009年9月21日 (月) 20時16分

私は解雇権濫用の訴訟を経験しました。その際、弁護士の社会正義に疑問を抱きました。報酬が少なく裁判に不利な(他の従業員にどうにでも証言させられる会社が相手)労働者の案件を受けてくださる弁護士のいないことに「これでは不当解雇が平然とまかり通り、小額のお金でお払い箱にしようとする会社が後を絶たないのも当然だ」と思い、同時に社会正義って何?と考えてしまいました。幸いにも、日本労働弁護団の阿部先生が引き受けてくださり、実質の勝訴を得ることができました。弁護士の仕事が利潤を求める商売となっている現状に怒りをおぼえます。                     

投稿: 滝田 | 2009年10月18日 (日) 12時39分

虚偽は正当な弁護士業務だ !

 日弁連・会長:宇都宮健児は、「虚偽(詐害行為)は正当な弁護士業務だ」と主張(議決)して、懲戒対象弁護士を擁護し、これを撤回せずに、裁判で争っております。

 弁護士を指導・監督する立場にある宇都宮健児のこの行為は、不法行為を教唆するものであり、国民への背任です。

 表向きは、社会正義の実現(弁護士法1条)を強調しながらも、裏陰では、「虚偽(詐害行為)は正当だ」と指導しているのですから.弁護士トラブルが急増するは当然です。
 
 日弁連・会長:宇都宮健児らは、提訴し、勝訴するための「虚偽は正当だ」との理念を抱き、当然のように実践する人間たちだということでしょう。

 そして、組織的な権力を得ている日弁連・会長:宇都宮健児らのこの裏影での卑劣な行為を国民は知ることができず、それをとがめる手段もないのです。

 国民は、日弁連・会長:宇都宮健児らのこの卑劣な事実を知るべきであり、この元凶者たちを排除すべきです。

法曹界に正義はありません。

投稿: 赤影 | 2011年2月19日 (土) 14時50分

弁護士は虚偽事由で提訴する!

実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。

危うし! 日本

投稿: | 2016年3月31日 (木) 09時26分


裁判官樋口英明らは、 「虚偽事由で提訴すること(訴訟詐欺)は正当だ」などと主張し実践する福井弁護士会らを相手の訴訟に対して、 「裁判では虚偽は到底許される」 などと被害者に判決言い渡したらしいです。
司法に正義などありません。

投稿: | 2016年4月14日 (木) 21時52分

>原発訴訟団の弁護士島田宏は、「国民の常識が司法に生かされ国民の安全と基本的人権が守られる時代の到来を期待しています」と述べた。 とありますが、そんな発言を本当にしているんですか?
弁護士の島田宏は、「虚偽事由で提訴したり侮辱したりすることは正当な弁護士業務」 と福井弁護士会長のときから胸を張って主張している人物です。
どうして平然とこの様なことを言えるのでしょうか。
しかも、あろうことか 消費者庁消費者教育員の職におり詐欺撲滅をうたい文句にしてるとか。
詐欺の件、疑うのであれば以下の件、本人に確認下さい。

弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。

投稿: | 2016年5月11日 (水) 09時39分

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