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2009年4月

2009年4月26日 (日)

搾取国日本 外国人研修生死者最多33人

               (09年4月25日 日本経済新聞 より)

【昨年度 心疾患や自殺など】

 来日した外国人の研修生や技能実習生が病気などで死亡するケースが増えている。国際研修協力機構によると2008年度の死者数は33人で、前年度の21人から大幅に増えて過去最多となった。心筋梗塞(こうそく)など心疾患による死亡が急増しており、健康管理体制の不備を指摘する声が出ている。
 昨年4月、ある中国人実習生の男性(33)は午前6時に鳴った目覚まし電話のアラームを止めると、そのまま再び寝入った。30分後、普段なら起きてくるはずの時間に起きてこないことを不審に思った同室の男性が様子を見に行くと、実習生の顔色は蒼白(そうはく)。病院に搬送したが急性心不全で死亡した。
 翌5月にはやはり中国出身の男性実習生(38)が起床してこなかったため、同僚が起こそうとしたところ、すでに亡くなっていた。急性心筋梗塞とみられるという。

<健康管理体制 不備の声も>

 外国人研修生・実習生の支援事業を行っている国際研修協力機構には、こうした死亡事例の報告が相次いでいる。08年度に亡くなった33人の死因で最多は「脳・心疾患」で、全体の46%に当たる15人。前年度の2.5倍に増えた。
 統計を取り始めた1992年度から99年度まで年間死者数は2~9人だったが、00年度以降は01年を除き2ケタに。04年度以降は毎年20人以上になった。累計死者数は212人。脳・心疾患が66人と最多だったほか、自殺も20人に達した。
 出身国別にみると中国が134人と最も多く、続いてインドネシア39人、フィリピン19人、ベトナム14人。同機構は「正確な比較はできないが、心疾患の発生率は同年代の日本人のほぼ2倍になっているとみられる」と分析。
 研修生の受け入れは、ここ数年、年間約7万人前後で推移している。外国人の研修制度を巡っては、実務研修が労働と区別しづらく、事実上安価な労働力として利用されていた実態が明るみに出るケースが続出。賃金の未払いを巡る訴訟も各地で起きている。劣悪な環境が健康を害しているとの指摘も出ている。

【ITで進む中国人頼み】
              (09年4月26日 日本経済新聞 より)

 埼玉県川口市芝園町は日本で中国人の比率がもっとも高いとみられる町だ。人口の36%が外国人で、その大半は中国人。この町で異変がおきている。
 「帰国する人と2、3人すれ違った」。この町に長年住む張建国氏(仮名)はこう語る。町の中国人は学歴が高く、IT(情報技術)企業で働く人が多い。「国でチャンスを探すよ」。1人は別れ際、張氏にこう言い残して去った。

 不況は日本で働く外国人も直撃した。IT技術者の派遣などを手がける張氏の会社も仕事が減り、一時は50人近くいた技術者が10数人まで減った。
 外国人の技術者はこのまま減り続けるのか。経済産業省は「長い目でみてITの人材不足は解消されない」(情報処理振興課)と否定的な見方を示す。
 根拠は産業の情報化だ。ソフトウェアの大きさはプログラムの行数で測ることができる。車に使われるプログラムは推計で1000万行超。2015年には1億行に増えるという。
 これを支える人材は日本人だけでは足りない。情報サービス産業協会などによると、05年の情報工学系の卒業者は中国が33万人で、日本は2万2千人。この差は人口比では説明できない。中国は国家戦略で教育制度を整えた。インドは24万人だ。
 中国の進学率が高まれば、IT人材はさらに増える。車の例でみたように情報化はもっと進む。IT人材の量と質は産業のインフラと言ってよく、今のままだと日本企業の国際競争力を損ないかねない。
 そこで外国人の活用が必要になる。海外の企業に開発を外注することも多くなるだろう。これも相手は中国が中心になる。
 難点もある。電機メーカーによると、米政府は米国に輸出する企業に、先端技術の開発に共産主義国の人がかかわらないよう求めている。知的財産権の侵害を心配する企業もある。情報産業に詳しい国士舘大学の梅沢隆教授は「システムを発注するとき外国人が関与しないように求めることがある」と話す。

 ただし機密にかかわる高度な仕事は日本人がやればすむという単純な話でもない。「中国やインドは米国の手法を学び、日本よりも即戦力を育てている」(情報サービス産業協会)からだ。企業は「本当はもっと中国人を使いたい」(電機メーカー)というジレンマを抱えている。
 中国は同国でIT製品を販売し、製造する企業に技術情報を開示させる制度を作ることを考えている。もし実現するば技術情報をめぐって日米欧と中国の緊張が高まる。企業の悩みはますます深くなる。
 芝園町の技術者が日本を去るのは仕事がなくなったからだけではない。中国の成長力を考えればその方がいい生活ができると思い始めている。もう日本人が望む通りには優秀な人材はこないかもしれない。
 結局、日本経済の将来を左右するITに若者が十分集まってこないことが問題なのだ。「仕事はきついのに給料は安いというイメージがある」(梅沢教授)。印象を改め、教育制度を充実させるしかない。
 国際競争に勝つには外国人の活用が欠かせない。それは日本も優れた人材を育て、バランスをとれて初めてうまくいく。不況でやみくもに人を集めなくてすむ今だからこそ、考えるべきことが多くある。(編集委員 吉田忠則)

【私の意見】Up63

 日本で働く外国人特に中国人に関する2つの記事を紹介しました。最初の記事は健康管理も十分に行わないで、外国人を研修生という名目でやみくもに働かせた結果、過労死や自殺が増えているという記事です。
  国際研修協力機構や日本経済新聞が公表する位ですから目に余るものがあるのだと思います。研修生や亡くなった研修生に対する法的サポートがどの程度されているのか気になります。私も情報を集めたいと思いますが、何か情報をお持ちの方は教えていただけませんか。
 2つ目はIT技術者は日本人だけで足りず、中国人に頼っているが、中国人は母国に帰って働いた方が将来性があると考え、日本を去る中国人のIT技術者が増えているという記事です。このままでいけばIT製品やIT技術において中国が日本を凌駕する日がやがて来るだろうということです。
 日本は、明治政府の富国強兵政策以来、欧米に追いつき追いこせとしゃにむに走ってきました。その結果これまでは技術や製品の質において日本はアジアで抜きんでていました。しかし、日はいつか沈むと言われるように、日本という国はアジアの中で着実に沈みつつあります。アジアの人々を差別し、冷遇してきた日本人はいつかアジアの人々から厳しいしっぺ返しを受るかもしれません。
 ところで、私たち一人一人の日本人にとり、日本人であろうが外国人であろうが、日本というこの島で生活し、働く人々がみんな公平・平等に労働に対する対価を得、豊かで楽しく生活できる社会をめざせばいいことです。日本人が外国人よりよい生活をする必要は何もありません。日本製品が外国でシェアを増やし、日本企業の売り上げが伸びても外国人が日本人に感謝し、日本人を尊敬してくれることはありえません。日本にいる場合も母国に帰った場合も日本人とともに豊かな生活を享受できたと外国人が実感できたときにはじめて日本人は感謝され、日本人にも好意をもってくれるでしょう。日本人が嫌いだという中国人が多いのは日本人の中国人に対する対応に問題があるからです。
 日本人が日本人の幸福だけを考えて生きる時代はもう終わりました。外国人とともに豊かであたたかい社会を築くことこそが、21世紀に私たち日本人が生きていく唯一の道だと思います。

(追伸)
 このところ新聞もろくに目を通せない毎日が続いていましたが、やっとヤマを越えてきたかなというところです。これからはもう少しまめにブログを更新できると思います。

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2009年4月15日 (水)

労働裁判に登場しない障害のある労働者

【おわび】

 ブログを1週間に1度更新するとお約束していましたが、長い間お休みしてすみませんでした。このところオリジナル記事を書く時間がなかなかとれません。

【労働裁判に登場する障害者と登場しない障害者】

(1) 労働裁判に登場する障害者のほとんどは正規雇用の労働者です。その中でも解雇無効や休職後の復職拒絶による退職扱いを争って労働者としての地位の確認を求める事案に登場するのは中途障害の労働者ばかりです。障害又は疾病によって職務遂行能力の低下を理由として解雇されたり、復職を拒絶されるからです。
(2) それでは、採用時にすでに障害のある労働者は安定した雇用環境の下で働いているのでしょうか。結論は逆で、むしろきわめて不安定で劣悪な雇用形態のもとで働かされています。

【障害者の雇用は5ヵ月連続で増加したが、法的救済を求める障害者増えず】

(1) 厚生労働省は09年3月31日、同年2月中に解雇された障害者は全国で前月比で82人増の計452人になった旨、集計結果を発表しました。景気悪化の影響で、同省は08年10月から障害者を対象とした毎月の解雇数を集計していますが、5ヵ月連続の前月比増となっています。また、08年度に解雇された障害者は累計で2233人で、07年度の計1523人より710人増。07年度の平均(約127人)からみると09年2月は約3.5倍です。
(2) 解雇の急増にもかかわらず障害者から弁護士への労働相談はほとんど増えていません。したがって、労働裁判を求める障害者もほとんど増えていません。その理由は障害者の雇用形態は有期契約(3ヵ月、6ヵ月、1年など)、アルバイト、パートの不安定な雇用形態(非正規雇用)が多いからです。不況を理由とする派遣切りや正規労働者の解雇を目のあたりにみて、多くの障害者は自身が非正規雇用のため労働裁判をあきらめているのが実情です。これについては日本政府の責任が大きいと私は思います。

【厚生労働省が率先して障害者の非正規雇用化を推進】

   厚生労働省は最近のように一般労働者に非正規雇用が増大する前から障害者雇用は非正規(有期)雇用でも障害者雇用促進法上の常用労働者にカウントしてよいとする運用を行ってきました。このため障害者の多くは契約社員か嘱託社員という不安定な低賃金労働で固定化されています。
  労働省職業安定局監修、日本障害者雇用促進協会編「障害者雇用ガイドブック」(平成11年版305頁)は常用労働者につき次のように記述しています。

 [常用労働者]                                                          
     雇用義務の算定の基礎となるのは、『常時雇用される労働者』に限定されますが、『常時雇用される労働者』とは、雇用契約の形式のいかんを問わず、事実上期間の定めなく雇用されているすべての労働者をいい、実体的に判断されるべきものです。                                                   
  具体的には、次のような労働者をいいます。                           
  ① 期間の定めなく雇用される労働者。                                 
  ② 一定の期間(例えば、1ヵ月、6ヵ月等)を定めて雇用される労働者であって、その雇用期間が反復更新され、事実上期間の定めのない労働者と同様の実態にあると認められる労働者。すなわち、過去1年を越える期間について引き続き雇用されている労働者又は雇い入れのときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者。                                          
  ③ 日々雇用される労働者であって、雇用契約が日々更新されて事実上期間の定めのない労働者と同様の実態にあると認められる労働者。すなわち、②の場合と同様に、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている労働者又は雇入れのときから1年を超えて雇用されると見込まれる労働者。

   これは、例えば日雇いであっても「1年を超えて雇用されると見込まれる労働者」であれば企業が1.8%の雇用義務を負う障害者の「常時雇用される労働者」にカウントするという取り扱いです。法の「常時雇用される労働者」というのは正規雇用すなわち①を指していることは明らかです。厚生労働省(労働省)自ら障害者を不利な条件で固定化させるもので、国による障害者差別と言えます。
   厚生労働省は本年2月10日日本経団連に「障害者の解雇数が増加傾向にあるなど、今後厳しい状況になることが懸念される」として雇用の維持や新たな雇い入れの促進、障害者を雇用する事業主や福祉施設での仕事の確保などを申し入れました。しかし、日本経団連にこれを受け入れる姿勢はありません。障害者の解雇の増加は解雇しやすい雇用形態を容認してきた厚生労働省の施策の結果です。
   世界不況を理由とする08年秋以降の派遣切り・期間工切りにあわてた厚生労働省は、障害のない労働者についてこれまでとは逆に非正規雇用の正規化に向けて旗を振るようになりました。障害者についても非正規雇用に固定する施策を直ちに改めるべきでだと思います。

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