不信時代 企業や人信用できず家族を信用
【企業や人「信用できぬ」6割 「家族を信用」は97%
政治・社会意識 本社世論調査】
(3月21日 朝日新聞 より)
いまの日本には「信用できない企業が多い」と思っている人は60%。「信用できない人が多い」も64%で、企業や人への不信感が目立つ-朝日新聞社が全国3千人を対象に2月~3月上旬に郵送で実施した全国世論調査(政治・社会意識基本調査)で、世の中の信用・信頼が揺らいでいる実態が浮き彫りになった。政治家や官僚への信用は18%と低く、教師や警察は60%台。裁判でさえ72%だが、家族には97%の人が信用をよせている。
度重なる食品の偽装問題の影響もあってか、「信用できる企業が多い」は29%にとどまり、「信用できない企業が多い」は60%を占めた。
日本で売られている食品について「ほとんど信頼できる」は4%と少ないが、「ある程度信頼できる」は63%あり、「信頼」は合わせて7割近い。「あまり」「ほとんど」信頼できないは計30%だった。
一方で、偽装問題などで一度信用を失った会社の製品を再び「買ってもよい」と思う人は38%で「買いたくない」が55%と半数を超えた。
仮に食品会社に勤めていたとして賞味期限の偽装の事実を見聞きしたとき、「上司や同僚に相談する」は70%に達し、「警察やマスコミに通報する」も13%あった。「とくに何もしない」は10%と少ない。
いまの世の中には「信用できる人が多い」と思う人は24%で、「信用できない人が多い」が64%にのぼった。「たいていの人は、他人の役に立とうとしている」と受け止める人も22%と少なく、「自分のことだけ考えている」が67%を占めた。
生活と密接な関係がある12の項目を挙げてどれくらい信用しているかを聞くと、「信用している」と「ある程度信用している」を合わせた信用度は、①家族97% ②天気予報94% ③新聞91% ④科学技術86% ⑤医者83% と上位5位が8割を超えたが、政治家と官僚はともに18%で最下位だった。
<マナーの低下「感じる」9割 ごみ分別・電車内の通話・地面に座りこむ>
他人との信頼を築くために「マナー」は欠かせない要素といえる。調査では、マナーについてさまざまな角度から聞いてみた。まず、日本人はマナーをよく守る国民だと「思う」人は28%にとどまり、「そうは思わない」が64%にのぼった。昔に比べて公共マナーの悪い人が増えたと「大いに思う」人は63%を占め、「ある程度思う」(30%)を合わせ9割以上の人が、マナーの低下を実感していた。
マナーが悪いと感じるものを複数回答で選んでもらったところ「ごみを分別せずに出す」が72%で最も多く、「バスや電車内で携帯電話で通話する」「人が往来する地面に座りこむ」がともに68%で続いた。「地面に座りこむ」は20代と30代では一番多く挙げられた。「人前で化粧をする」(52%)行為には、男性よりも女性のほうが批判的だった。
一方、刑事裁判の仕組みを大きく変える「裁判員制度」についても聞いてみた。もし裁判員に選ばれたら「必ず参加したい」人は10%しかおらず、「できれば参加したい」も26%と低い。20代~40代は参加意欲がやや高めだが、それでも半数に満たない。制度導入によって裁判への「信頼が増す」との回答も23%で、「そうは思わない」の69%を大きく下回った。死刑制度については「廃止したほうがよい」は8%で「そうは思わない」が86%と大半を占めた。
<家族を結びつけるのは 若者ほど「精神的なもの」>
家族は信用できる存在-。ほとんどの人がそう受け止めるなか、では家族を結びつけているものは何か。5つの選択肢から1つを挙げてもらったところ、「精神的なもの」が39%とトップで、以下「血のつながり」33%、「一緒に暮らすこと」18%、「経済的なもの」3%、「名字や戸籍」2%の順だった。
女性は「精神的なもの」が44%と高めなのに対し、男性は「血のつながり」が37%と最多で、「精神的なもの」は34%だった。
年代による差も特徴的だ。「精神的なもの」は20代~30代の若い世代で55%を占め、特に女性は63%と際立つ。年代が上がるにつれて減る傾向にある。これに対し、「血のつながり」は逆に年代が上がると増え、40代~50代では男性35%、女性29%、60代以上では男性42%、女性40%でともに最多だった。
ふだんの家庭生活にもう少しあったほうがよいと思うものを7つの言葉から1つ選んでもらうと、最も多かったのは「思いやり」で24%。次いで「会話」19%、「くつろぎ」15%、「笑い」9%、「自由」7%、「しつけ」5%、「親の権威」4%だった。
目だった男女差はないが、ここでも年代による差が出た。「おもいやり」は高齢者ほど多く、60代以上では男女とも3割近い。「会話」も高齢層ほど多くなる傾向にあるといえそうだ。「くつろぎ」は女性で年代差が目立ち、60代以上では9%と少ない。一方、「笑い」は50代の男性で15%と高いのが目をひいた。
【私の意見】】
<孤立する日本人と家族>
朝日新聞が実施したこの世論調査は平均的日本人の意識をかなり正確に反映していると思います。政治家や官僚への信用が18%と低いのは当然のことで、私はむしろ健全なことだと思います。今の政治家や官僚を高く評価する結果が出る方が日本の民主主義の危機と言えます。
「信用できない企業が多い」と思っている人が60%いるのも企業による不正行為がたびたび取り上げられている昨今の状況から仕方がない数字かなと思います。
私が今回の調査結果の中で最も危惧するのは「信用できない人が多い」が64%を占め、その中で家族に対する信用度は高く「信用している」が74%、「ある程度信用している」が23%で、信用度計97%と群を抜いて高いということです。これだけを見れば日本人の家族は互いに信頼しあって言うことなし、ということにみえますが、実際はそうでないことは親子間、きょうだい間の殺人事件が毎日のように報道されることからも明らかです。
今回の調査結果は、日本人の他人は信頼できないけれど“私たち家族は別、お互いに信頼しあっている”という意識を反映しています。信頼しあっている家族が集まって日本人の集団ができあがっているのですから他の家族集団に属する人々も信頼していい筈ですが、調査結果はそうではありませんでした。いまの世の中には「信用できる人が多い」と思う人が24%に対して、「信用できない人が多い」と思う人が64%を占めました。
日本人が自分たち家族という閉鎖された小集団の中で孤立し、こぢんまりと生きている姿を反映しています。
<醒めた目で人や社会をながめる>
調査結果は「たいていの人は他人の役に立とうとしている」と受け止めている人も22%と少なく、「自分のことだけ考えている」が67%を占めたとしています。マナーについて日本人はマナーをよく守る国民だと思う人は28%にとどまり、「そうは思わない」が64%にのぼり、9割以上の人がマナーの低下を実感しているとのことです。このような回答をする日本人のほとんどは“自分はマナーを守っている”と思っているのだろうと思います。
政治家や官僚に不信感をいだいているにもかかわらず「政治にかかわりたい」と思う人は25%で、「かかわりたくない」人が68%を占め、参加意識は高くないという結果も出ています。
日本人の多くに共通することは“自分は潔く正しく生きて生きたし、これからもそうでありたい。他のひとはマナーが悪いけれども自分と家族は別。政治なんてあんなうす汚れた世界にかかわって自分も同じように見られるのは真っ平ご免。好きな人がやればいい”と醒めた目で人や社会をながめています。参加意識が高くないので、日本人の政治的・社会的成熟度はいつまでも低く、小泉劇場のようなものを仕掛けられると単純に乗せられてしまいます。
<無表情な日本人>
私はアジアにしろ、ヨーロッパにしろ、米国にしろ外国から帰って地下鉄に乗っていつも思うのは、なんて日本人は表情のない民族なのかとがっかりします。日本人は世界で一番安全なところに住み、必要なモノはあふれています。会社など自分の属している組織からはずされないかぎり、他者と交わることなく生きていけます。自分の所属する集団(会社や学校)での交わりはたとえ不本意であったとしても避けることはできませんが、その集団以外の人には無関心・無表情でも生きていけます。他者のために役立っていると思えるときに人は人としての喜びを感じるものですが、自分と自分の家族のためだけに生きても人としての喜びはごく狭いもので終わってしまいます。
<4歳の男の子から「おはようございます」とあいさつをされて赤面>
そういう私も平均的日本人の一人で、ご近所の人に会っても、向こう3軒両隣位は「おはようございます」とあいさつしますが、それ以外の人とは醒めた目をして知らぬ顔して通りすぎています。今まであいさつしなかった人に、突然あいさつするのも変なようで、あいかわらずよそよそしい人間関係が定着しています。
ある日家を出て都営地下鉄に乗るために坂をくだりかけたところ、これまで会ったことのない30代はじめ位のお母さんと4歳位の男の子が居ました。その横を私が無言で通りすぎようとしたところ、その男の子が大きな声で「おはようございます」と私にあいさつをしました。私はとまどいながら「おはようございます」と答えましたが、4歳の男の子に教えられたようで恥ずかしくなりました。冷め切った日本人同士の人間関係はまず身近なところからという教訓のように思いましたが、その後も私が他者とのコミュニケーションを図ろうと特別に改善・努力をしたわけではありません。ですから、正直なところ私もあまりえらそうなことは言えないのです。
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