【私の意見】
今回も世界経済と日本経済についてとりあげました。日本株が下落し続けていることから、マスコミは福田内閣による「改革」後退、経済無策が日本丸の沈没を招いているとの論調を強めています。ほんとうにそうなのでしょうか。
サブプライム問題に端を発した米経済の急減速は、バブル崩壊後の日本の比ではありません。破綻の規模が巨大であり、破綻の深さもまるで泥沼に足が吸い込まれていくような不気味さを感じます。1月31日から2月2日までの経済記事を並べてみました。12月までは日本経済も日本の大手企業も堅調に推移していることが伺えます。この中で銀行と証券会社の減益はありますが、米金融大手10社が07年後半だけで1千億ドルの損失を出したのと比べると日本の主要4行で6000億円(56億ドル)は桁が2つ以上違います。今年は日本経済も日本企業も米経済の急減速により大きな影響を受けることは避けられません。しかし日本企業はかつての米国一辺倒から、アジア・EUと幅広い国々にシフトしており、総体的に見れば日本経済も日本企業も足腰がしっかりしていると思います。ですから株価だけから日本丸が沈没するというマスコミの論調は皮相的で大げさすぎるというのが私の意見です。
以下新聞記事をご覧の上、私と一緒に考えていただければ幸いです。
【自宅失い 配給の列に
サブプライム震源地 雇用減少も追い討ち】
(1月31日 朝日新聞 より)
殺風景で人影が少ない商店や工場が立ち並ぶ一帯を抜けると、空のダンボール箱や大きな入れ物を持った人たちが長い列をつくっていた。米カリフォルニア州の都市ストックトン(人口約29万人)。困窮者に無料で食料を配る「緊急フードバンク」には、24日朝も配給が始まる30分前から、60~70人が寒い小雨のなか、無言で待つ。ぐずる赤ちゃんを抱いた20歳代の母親もいた。
一抱えのパンや牛乳、缶詰やクッキーなどをもらいに来るのは1日最大約260人。低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題の深刻化とともに、昨年秋から急に増え始め、前年より3割ほど多い。失業中などの新顔が3分の1を占める。
「4年半ここにいるが、最悪の事態だ。食と職に困った人が押し寄せてくる感じだ」と、総括のティム・バイアルさん。昨年のクリスマスには午前5時ごろから列ができ、長さは100メートルほどに達したという。
失業中のジョン・ラッセルさん(32)は、サブプライム住宅ローンを返済できず、友人宅に身を寄せる。月収2000~2500ドルのうち、金利上昇でローン負担が約5割増え、1200ドル余りに膨らんだ上に、住宅不況で失業。返済が滞り、差し押さえられた家を立ち退き、子供3人と妻は州南部の実家に戻った。
ストックトンは「サブプライム震源地」といわれる。州都サクラメント近郊としても住宅開発が急成長。同時多発テロがあった01年の景気後退を受け、03年までに政策金利が約46年ぶりに低い年1%に下がったことが強力な刺激となっていた。
昨年から本格化したサブプライムローン金利の上昇が直撃。差し押さえ手続き中の住宅の割合は99世帯に1件と全米平均の6倍強で主要都市圏のトップだ。
私のコメント:日本では住宅金融専門会社(住専)、不動産会社、ゴルフ場経営企業、金融機関の破綻はあっても、国民が家を失い、配給に列をつくったということはほとんどありませんでした。
<サブプライム問題>
低所得者層を主な対象にした高金利の融資が「サブプライム(準優良)ローン」。米住宅ローン総額約10.4兆ドル(約1100兆円)のうち11.5%の1.2兆ドル(約130兆円)を占める。
2~3年ぐらい前までのカネ余りでローン会社の競争が激化。借り手の収入額を実際以上に膨らませ、融資額を増やしたケースも少なくない。サブプライム住宅ローンの約4割を占めるのが変動金利型。契約当初は客寄せで6~8%の金利が2~3年後には11~12%に上昇する例もあり、途端に返済できなくなる利用者は多い。
全米の延滞率は07年7~9月期が過去最高の16.3%に上昇、同年には約129万件が差し押さえ対象になった。ピークの08~09年には約170万件(約3670億ドル)の金利が上昇し、約140万件が延滞・差し押さえに直面する懸念も出ている。
<米金融大手10社が1千億ドル超の損失>
住宅不況は米経済を大きく揺さぶっている。サブプライム問題で、米金融大手10社は07年後半だけで1千億ドル超の損失を出し、企業倒産も急増。米国市場を震源とする株安は日本や欧州、世界景気を支えてきた中国など新興国にも連鎖した。
30日発表された米国の昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)の伸び率は急減速し、米景気後退(リセッション)への強い懸念を反映した。
ストックトンにある困窮者が無料で宿泊できる非営利団体(NPO)「ホームレスのためのシェルター」に身を寄せる家族数は、この1年間で前年同期より約15%多い計約450世帯。運営者のジョン・レイノルズさん(56)は「ホームレスは今後も増え、ひどい時期を迎えそうだ」と警戒している。
サブプライム住宅ローン問題の危機の広がりは予想を超え、さらに深刻化している。米経済は急ピッチで減速し、新興国や日本も不安の連鎖に巻き込む。
【米国「貸し渋り」老舗倒産 大型開発も中止危機】
(2月1日 朝日新聞 より)
<老舗倒産>
「昨年10月から銀行団に融資の借り換えをお願いしてきたが、受け入れてもらえなかった」
米住宅関連メーカーで創業100年を超える老舗プロベックス社のマック・プリジャー副社長は振り返る。融資継続の望みが絶たれた同社は1月18日、連邦破産法11条に基づく会社更生法手続を申請し、倒産に追い込まれた。
<大型開発中止>
全米屈指の観光地ラスベガス。巨大ホテルやカジノが並ぶメーンストリートに面した一角で、新たな大型施設「コスモポリタン・リゾート・アンド・カジノ」の建設工事が進んでいる。
ところが、開発を進めてきた米著名デベロッパーのイアン・ブルース・アイクナー氏のもとに1月16日、大手銀行から融資の継続ができない、との通知が届いた。
短期の資金繰りに行き詰ったとみられ、「最近の金融市場や不動産市場の厳しい状況は我々の制御不能だ」とアイクナー氏。新たな融資銀行などが見つからなければ、開発は宙に浮く恐れがある。09年に開業予定の2棟の52階建て「ツインタワー」は、まだ地上5階ぐらいまでの鉄骨をさらしたままだ。
地元の調査会社は、4年後には複数の新設ホテルの開業で約4万室増える見込みと言うが、「完成が危ぶまれている施設は他にもある」との声も広がっている。
<金融保証会社の信用不安>
一方、サブプライム問題で、今年に入り、新たに「モノライン」と呼ばれる金融保証会社の経営不安が浮上。米当局が救済策に乗り出したが、失敗すれば「世界の銀行が最大1430億ドルの追加増資を迫られる」(英バークレーズ・キャピタル)との試算も出てきた。米金融大手10社は07年後半だけで1千億ドルの損失を出し、資本増強に追われたが、さらに資本が毀損する恐れが出てきた。
金融機関は損失が拡大した昨秋以降、資本増強だけでは自己資本比率を健全な水準に保つのが難しいため、分母にあたる資産の圧縮を急いでいる。
<リセッション>
空前の好決算が相次いだ米企業の業績も昨年後半に失速。頼みの個人消費も07年の年末商戦は、百貨店など小売り大手の売上高が5年ぶりの低水準にとどまるなど振るわない。消費の減速は明らかで、企業業績や設備投資には暗雲が漂う。
サブプライム問題をきっかけにした「貸し渋り」の拡大。企業経営者たちは「リセッション(景気後退)」の足音に耳をそばだてながら、金融機関の動向に神経をとがらせている。
私のコメント:05年末の日本の対外純資産は180兆6990億円で過去最高水準です。15年連続で世界最大の債権国です(イミダス2007版より)。国民は1400兆円の貯金がありました。今は株とあわせて1500兆円の金融資産があります。「失われた10年」と言われ、日本では悲観的な見方が支配的でしたが世界の中で日本経済をみつめると何も失っていなかったのです。今も同じだと思います。
【負のらせん EU懸念 新興国に影響じわり】
(2月1日 朝日新聞 より)
<EU>
ドイツ政府は08年の成長率について、昨春時点の2.4%を秋に2.0%に引き下げ、1月に入って1.7%に再び下方修正した。
低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題が最初に飛び火した欧州。金融機関は巨額の損失を出し、金融市場の動揺が続く中、1月下旬、創業140年を超す英国靴売り大手「ドルシス」が経営破綻した。景気の先行き不安を感じ取った消費者は財布のひもを固くし、売上不振に拍車がかかった。
景気後退とインフレが同時に進む(スタグフレーション)最悪のシナリオに対する懸念も台頭し始めた。
欧州連合(EU)統計局は1月31日、ユーロ圏の消費者物価の上昇率が3.2%(1月分の速報値)だと発表。99年にユーロが導入されて以来、最大の上昇幅となった。
「物価がスパイラルのように上がっていく事態を受け入れることはできない」。欧州中央銀行のトリシェ総裁は時に、らせん状に指を動かしながら、物価上昇が次々と波及していく事態への懸念を強調する。
<新興国>
一方、世界景気を支えてきた新興国。ソファ、テーブル、タンス・・・。中国南部の広東省は、家具生産で全国の3分の1を占める輸出拠点だが、地元業界団体には工場経営者から不安の声が寄せられている。中国からの家具輸出222億ドル(07年)の半分前後を占める米国で住宅販売が低迷し続けると、「我々にも必ず影響が出る」(中国家具協会の朱長嶺副理事)という。
家具に限った話ではない。中国全体の対米輸出は07年に前年比14.4%伸びたとはいえ、12月だけ見れば伸び率は6.8%に急減速した。
株価の動きがそれを映し出す。1月22日の世界同時株安では上海、深圳での上場銘柄の過半がストップ安に。上海株は、このところ5%を超す急落を重ねている。
アジア諸国も同じだ。
<日本>
そして日本。6大金融・銀行グループの07年度のサブプライム住宅ローン関連の損失が、6000億円を超える見通しとなった。昨年11月時点から2倍になった。さらに国内では住宅着工件数の低迷が続き、関連産業にも影響が広がっている。石油製品や食品の値上がりも加わり、消費者心理は急速に冷え込みつつある。
不安の連鎖が広がる中、主要7カ国財務省・中央銀行総裁会議(G7)が9日、東京で開催され、新興国の代表も参加する。国際協調でどんな対策を打ち出すのか、世界が注視している。
【日本経済の現状】
1月31日~2月2日までの日本経済新聞と朝日新聞の日本経済に関する記事を並べてみました。
<実質1.5%成長予測 10-12月GDP年率 外需頼み、先行き不安 民間15機関平均>
(2月2日 日本経済新聞)
内閣府が14日発表する2007年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値について民間調査機関15社の予測が出そろった。予測平均は物価変動影響を除いた実質で前期比0.4%増、年率換算で1.5%増の伸び。2・4半期連続で潜在成長率(1%台半ばから後半)並みの成長を確保するとはいえ、中身は前期に続く外需頼み。先行きの不安を残す。
私のコメント:労働コストを下げるだけで、賃金をおさえているばかりでは内需の起こりようがありません。外需頼みは国策の結果です。
<上場企業、経常益10.7%増 昨年4-12月 新興国けん引 米景気の減速警戒 本社集計>
(2月2日 日本経済新聞)
企業収益の拡大が続いている。日本経済新聞社が1日発表分までの2007年4-12月期連結業績を集計したところ、連結経常利益は前年同期と比べ10.7%増えた。経済成長の続く新興国で事業展開する建設機械や自動車、海運などがけん引した。ただ米景気の変調や円高進行などで足元では減速感が強まっており、全体の8割の企業が08年3月期通気の予想を据え置いた。年明け以降の連鎖株安など収益環境の悪化から経営者は慎重姿勢を強めている。
<キャノンが最高益 07年12月期連結 デジカメなど好調>
(1月31日 朝日新聞)
<ホンダ売上高増 前年同期比11.9%>
(1月31日 朝日新聞)
07年4~12月期連結 売上高・営業利益のいずれも過去最高を更新
<車の輸出割合 56.5% 過去最高>
(1月31日 朝日新聞)
国内市場縮み、新興国需要拡大
<商社5社が過去最高益>
(2月1日 朝日新聞)
資源高騰などから
<ソニー・松下 純利益最高>
(2月1日日本経済新聞)
10-12月期 欧州・アジア好調
米は先行き不透明
<8大銀 45%減益>
(2月1日日本経済新聞)
4-12月 サブプライム重しに
みずほ関連損 3950億円 通期
<サブプライム 主要4行 損失6000億円超>
(2月1日 朝日新聞)
3月期見通し 信用不安広がる
<証券12社 減益・赤字に>
(2月1日日本経済新聞)
株安影響 法人部門が苦戦
準大手・中堅の健闘目立つ 新興国シフト実る
<日産、営業益9%増 4-12月 米国向け販売堅調>
(2月2日 日本経済新聞)
<トヨタ 中国新工場>
(2月2日 日本経済新聞)
吉林省に建設検討、年産100万台体制へ
<シャープ 10-12月 営業益6%増>
(2月2日 日本経済新聞)
液晶パネル、利益 5割稼ぐ
最近のコメント