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2007年12月30日 (日)

日中首脳会談 福田首相北京大学で講演

                     (12月29日 朝日新聞 より)

【福田首相 北京大学講演要旨】

 訪中の目的は、昨年秋以来、力強い足取りで発展しつつある日中関係の基盤をより強く踏み固め、新しい段階に引き上げることにある。
 歴史上、日中両国が共に、今ほどアジアや世界の安定と発展に貢献できる力を持ったことはない。中国の皆さんに伝えたいのは「日中両国は、アジア、世界の良き未来を築き上げていく創造的パートナーたるべし」という私の強い信念だ。
 長い歴史の中で不幸な時期があっても、しっかりと直視して、子孫に伝えていくことがわれわれの責務だ。戦後、わが国は一貫して平和国家としての道を歩み、国際社会に協力してきたことを誇りに思っているが、自らの過ちに対する反省と、被害者の気持ちを慮(おもんぱか)る謙虚さを伴なったものでなくてはならない。過去をきちんと見据え、反省すべき点は反省する勇気と知恵があって、はじめて将来に誤りなきを期すことが可能になる。同時に、日中の歴史を俯瞰(ふかん)する時、長い、実り多い豊かな交流があったことを忘れてはならない。
 両国は互いの友好のみに安住する国であってはならない。互いの政治的、経済的重要性を真正面から見据え、地域や国際社会における諸課題解決のために、いかに協力できるかを議論すべき時だ。
 両国間には克服すべき課題も存在する。日中という大国同士で、すべての問題で考え方や立場が一致することはあり得ない。相違点を冷静に議論し、共に対応していくことが不可欠だ。相互理解や相互信頼がまだまだ足りない。日中関係の歴史や様々な経緯、国際情勢の流れに思いをいたさない大局観の欠如、折々の感情に流されて、ことを進める危険性も指摘しておかなければならない。
 近い国同士だからこそ、互いになぜ相手は自分のことをよく分かってくれないのかといういら立ちが生じがちだ。互いをいかに理解すべきかという基本的な認識が揺らいでいる。極めて短期間に大きな発展を遂げた中国、巨大な存在として出現した隣人に対して、日本側では、どのようにお付き合いすべきなのか心の準備ができていない面がある。中国側でも、日本が国際社会でより大きな政治的役割を求めていることに、複雑な感情があるように見受けられる。
 私たちは、改めて相互理解を深める努力が必要だ。私は三つの交流、①青少年交流②知的交流③安全保障分野での交流-を強化していくことが、対話・理解・信頼の好循環を生み出す最善策であると考えている。
 日中は互いの文化や伝統を共有し、その中で互いによって立つ基盤を共有してきた。人権、法治、民主主義といった普遍的価値を共に追求することも重要だ。
 中国の偉大な作家、魯迅はその作品『故郷』で次のように書いている。
 「思うに希望とは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。共に歩き、共に道を造り、共に私たちの未来をつくりあげていこう。

【共同記者会見要旨】

<歴史認識、台湾問題>
福田氏  わが国の立場は日中共同声明にある通りで、何ら変更していない。台湾の独立も支持していない。心から平和解決を望み、対話の早期再開を強く希望する。一方的な現状変更の試みは支持できない。台湾の住民投票をめぐって緊張が高まることは望んでいない。一方的な現状変更につながっていくのであれば(住民投票は)支持できない。
温氏   歴史問題と台湾問題に正しく対処することは中日関係の政治的基盤を強化するうえで極めて重要だ。福田首相が台湾の国連加盟の賛否を問う住民投票を支持しない立場を表明したことを評価したい。

【住民投票問題 首相「不支持」
               台湾、「支え」なくし衝撃】

 日中首脳会談で福田首相が台湾名義の国連加盟の是非を問う住民投票に対し、「一方的な台湾海峡の現状変更につながるのであれば、支持できない」と発言したことに対し、総統選と同日の3月22日の住民投票を推進する陳水扁政権に強い衝撃が走った。米国や中国から台湾への圧力が強まるなか、日本が反対を表明していなかったことが台湾の「支え」だったからだ。
 台湾外交部(外務省)は28日、「住民投票は台湾海峡の現状を変えるものではなく、日本や国際社会は台湾人の知恵を信じてほしい」との声明を出し、衝撃を和らげるのに躍起になった。
 日本側の台湾窓口、交流協会台北事務所の池田維代表も同日、台湾の黄志芳外交部長らと面会。「現状変更があればという前提つきで、根本的な立場の変更ではない」と説明したという。
 台湾の住民投票に対してはライス米国務長官が「挑発的行動」と批判。フランスのサルコジ大統領も「正当化できない」と述べるなど、包囲網は狭まる一方。その中で日本は「台湾の国連加盟は支持しないが、住民投票は台湾住民の民主的権利」としていた。
 野党国民党からの批判をかわすうえでも日本の姿勢はありがたく、民進党の総統候補の謝長廷氏は今月の訪日時、「もし日本が住民投票に反対すれば民進党には打撃だ」と漏らしていた。
 小泉、安倍政権のもとでは、台湾観光客のビザ免除や運転免許の相互承認など日台関係が地道に強化されてきた。台湾側は「72年の断交以来、最高の日台関係」と評価していた。
 だが福田政権になって日本の姿勢が変わる可能性を台湾も察知。福田首相訪中前に日本の国会議員など様々なパイプを通じ、中国に譲歩しないよう水面下の働きかけをしていた。
 この日、陳総統の外交政策ブレーンは「事前の情報では福田首相はあそこまで踏み込むという話しではなかった」とこぼした。

【私の感想】Up63

<講演にはガッカリ>
 北京大学における福田首相の講演「自らの過ちに対する反省と、被害者の気持ちを慮(おもんばか)る謙虚さを伴ったものでなくてはならない。過去をきちんと見据え、反省すべき点は反省する勇気と知恵があって、初めて将来に誤りなきを期すことが可能になる」は、加害当事国の首相の発言ではない。第三者的立場の学者の評論のようで、福田さんにガッカリ。自民党内のタカ派や日本国民に高まりつつある愛国主義を意識してこんな中途半端な講演になったと思いますが、自民党内で主流になりつつある右翼的政治家が福田さんの後継を狙っていることを思うと、ここはもっと村山談話を継承し、さらに発展させる講演をしてほしかったと思います。「日中という大国同士」という決めつけも、尊大で福田さんらしくありません。アジアの他の国は小国と言っているようなものです。

<中国と台湾>
 中国との友好関係を重視する立場から、台湾の独立に反対するというのが欧米諸国の基本的スタンスです。
 私個人の見解としては台湾の将来は台湾に住む人たちが決めるのが正しいと思います。台湾が中国の主権に属すると言っても、歴史をさかのぼると台湾は生まれながらに中国と一体の国とは言えません。第二次大戦で蒋介石が逃げてきて中華民国を樹立したのですが、台湾の住民にとっては蒋介石もよそ者。戦後62年がたち台湾に住む人々の住民自治を認めるべきだと思います。ただし、この点については中国との信頼関係を確立できていない微妙な立場にある日本の首相としては「台湾の住民投票支持」と踏み込むことができなかった事情はわからないでもありません。

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