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2007年12月30日 (日)

日中首脳会談 福田首相北京大学で講演

                     (12月29日 朝日新聞 より)

【福田首相 北京大学講演要旨】

 訪中の目的は、昨年秋以来、力強い足取りで発展しつつある日中関係の基盤をより強く踏み固め、新しい段階に引き上げることにある。
 歴史上、日中両国が共に、今ほどアジアや世界の安定と発展に貢献できる力を持ったことはない。中国の皆さんに伝えたいのは「日中両国は、アジア、世界の良き未来を築き上げていく創造的パートナーたるべし」という私の強い信念だ。
 長い歴史の中で不幸な時期があっても、しっかりと直視して、子孫に伝えていくことがわれわれの責務だ。戦後、わが国は一貫して平和国家としての道を歩み、国際社会に協力してきたことを誇りに思っているが、自らの過ちに対する反省と、被害者の気持ちを慮(おもんぱか)る謙虚さを伴なったものでなくてはならない。過去をきちんと見据え、反省すべき点は反省する勇気と知恵があって、はじめて将来に誤りなきを期すことが可能になる。同時に、日中の歴史を俯瞰(ふかん)する時、長い、実り多い豊かな交流があったことを忘れてはならない。
 両国は互いの友好のみに安住する国であってはならない。互いの政治的、経済的重要性を真正面から見据え、地域や国際社会における諸課題解決のために、いかに協力できるかを議論すべき時だ。
 両国間には克服すべき課題も存在する。日中という大国同士で、すべての問題で考え方や立場が一致することはあり得ない。相違点を冷静に議論し、共に対応していくことが不可欠だ。相互理解や相互信頼がまだまだ足りない。日中関係の歴史や様々な経緯、国際情勢の流れに思いをいたさない大局観の欠如、折々の感情に流されて、ことを進める危険性も指摘しておかなければならない。
 近い国同士だからこそ、互いになぜ相手は自分のことをよく分かってくれないのかといういら立ちが生じがちだ。互いをいかに理解すべきかという基本的な認識が揺らいでいる。極めて短期間に大きな発展を遂げた中国、巨大な存在として出現した隣人に対して、日本側では、どのようにお付き合いすべきなのか心の準備ができていない面がある。中国側でも、日本が国際社会でより大きな政治的役割を求めていることに、複雑な感情があるように見受けられる。
 私たちは、改めて相互理解を深める努力が必要だ。私は三つの交流、①青少年交流②知的交流③安全保障分野での交流-を強化していくことが、対話・理解・信頼の好循環を生み出す最善策であると考えている。
 日中は互いの文化や伝統を共有し、その中で互いによって立つ基盤を共有してきた。人権、法治、民主主義といった普遍的価値を共に追求することも重要だ。
 中国の偉大な作家、魯迅はその作品『故郷』で次のように書いている。
 「思うに希望とは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。共に歩き、共に道を造り、共に私たちの未来をつくりあげていこう。

【共同記者会見要旨】

<歴史認識、台湾問題>
福田氏  わが国の立場は日中共同声明にある通りで、何ら変更していない。台湾の独立も支持していない。心から平和解決を望み、対話の早期再開を強く希望する。一方的な現状変更の試みは支持できない。台湾の住民投票をめぐって緊張が高まることは望んでいない。一方的な現状変更につながっていくのであれば(住民投票は)支持できない。
温氏   歴史問題と台湾問題に正しく対処することは中日関係の政治的基盤を強化するうえで極めて重要だ。福田首相が台湾の国連加盟の賛否を問う住民投票を支持しない立場を表明したことを評価したい。

【住民投票問題 首相「不支持」
               台湾、「支え」なくし衝撃】

 日中首脳会談で福田首相が台湾名義の国連加盟の是非を問う住民投票に対し、「一方的な台湾海峡の現状変更につながるのであれば、支持できない」と発言したことに対し、総統選と同日の3月22日の住民投票を推進する陳水扁政権に強い衝撃が走った。米国や中国から台湾への圧力が強まるなか、日本が反対を表明していなかったことが台湾の「支え」だったからだ。
 台湾外交部(外務省)は28日、「住民投票は台湾海峡の現状を変えるものではなく、日本や国際社会は台湾人の知恵を信じてほしい」との声明を出し、衝撃を和らげるのに躍起になった。
 日本側の台湾窓口、交流協会台北事務所の池田維代表も同日、台湾の黄志芳外交部長らと面会。「現状変更があればという前提つきで、根本的な立場の変更ではない」と説明したという。
 台湾の住民投票に対してはライス米国務長官が「挑発的行動」と批判。フランスのサルコジ大統領も「正当化できない」と述べるなど、包囲網は狭まる一方。その中で日本は「台湾の国連加盟は支持しないが、住民投票は台湾住民の民主的権利」としていた。
 野党国民党からの批判をかわすうえでも日本の姿勢はありがたく、民進党の総統候補の謝長廷氏は今月の訪日時、「もし日本が住民投票に反対すれば民進党には打撃だ」と漏らしていた。
 小泉、安倍政権のもとでは、台湾観光客のビザ免除や運転免許の相互承認など日台関係が地道に強化されてきた。台湾側は「72年の断交以来、最高の日台関係」と評価していた。
 だが福田政権になって日本の姿勢が変わる可能性を台湾も察知。福田首相訪中前に日本の国会議員など様々なパイプを通じ、中国に譲歩しないよう水面下の働きかけをしていた。
 この日、陳総統の外交政策ブレーンは「事前の情報では福田首相はあそこまで踏み込むという話しではなかった」とこぼした。

【私の感想】Up63

<講演にはガッカリ>
 北京大学における福田首相の講演「自らの過ちに対する反省と、被害者の気持ちを慮(おもんばか)る謙虚さを伴ったものでなくてはならない。過去をきちんと見据え、反省すべき点は反省する勇気と知恵があって、初めて将来に誤りなきを期すことが可能になる」は、加害当事国の首相の発言ではない。第三者的立場の学者の評論のようで、福田さんにガッカリ。自民党内のタカ派や日本国民に高まりつつある愛国主義を意識してこんな中途半端な講演になったと思いますが、自民党内で主流になりつつある右翼的政治家が福田さんの後継を狙っていることを思うと、ここはもっと村山談話を継承し、さらに発展させる講演をしてほしかったと思います。「日中という大国同士」という決めつけも、尊大で福田さんらしくありません。アジアの他の国は小国と言っているようなものです。

<中国と台湾>
 中国との友好関係を重視する立場から、台湾の独立に反対するというのが欧米諸国の基本的スタンスです。
 私個人の見解としては台湾の将来は台湾に住む人たちが決めるのが正しいと思います。台湾が中国の主権に属すると言っても、歴史をさかのぼると台湾は生まれながらに中国と一体の国とは言えません。第二次大戦で蒋介石が逃げてきて中華民国を樹立したのですが、台湾の住民にとっては蒋介石もよそ者。戦後62年がたち台湾に住む人々の住民自治を認めるべきだと思います。ただし、この点については中国との信頼関係を確立できていない微妙な立場にある日本の首相としては「台湾の住民投票支持」と踏み込むことができなかった事情はわからないでもありません。

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2007年12月25日 (火)

政府途上国開発援助と改革と国家の品格

【途上国援助 じり貧を食い止めよう】
                     (12月23日 朝日新聞 より)

 かつて世界一の座にあった日本の政府途上国援助(ODA)が、3年後には世界6位に転落する。経済協力開発機構(OECD)がこんな推計を発表した。
 06年時点の実績値では米国、英国に次ぐ3位だった。これからは独仏に抜かれ、イタリアにも追いつかれる。
 日本は91年から10年連続、ODA世界一だった。信じられないような凋落ぶりである。国連機関への拠出額も軒並み、順位を下げている。
 来年度の予算原案では、技術協力や無債資金協力に使われるODA予算は約7千億円。今年度より4%少なくなる。昨年決めた「骨太の方針」は、ODA予算を11年度まで毎年2~4%ずつ削るとしている。
 これだけ長期にわたる削減が、国際社会での日本の存在感、発言力をどれだけ損なうことか。真剣に考えるべき時だ。
 欧米諸国は近年、ODA増額へ大きくかじを切っている。00年に国会で合意されたミレニアム開発目標の達成を目指し、多くの先進国は途上国支援に本腰を入れているのだ。
 そのなかで、日本は逆に一貫して援助を削減してきた。いまやODA予算が一般拠出に占める割合は、今年度1.6%にすぎない。国民1人あたりのODA負担額は1万円強。先進22カ国中で17位という低さである。
 このじり貧状態を放置してはならない。少なくとも従来の機械的な削減には終止符をうち、中期的な増額に向けて青写真を描くべきだ。国家予算を考えるうえで、途上国支援の優先順位があまりにも低すぎる。
 厳しい財政事情のもとで、人を助ける余裕はない、ということかもしれない。だが、途上国支援は単なる人助けではない。日本が国際社会で発言力を持ち、尊敬され、頼りにされる国であるための国家戦略の重要な手立てなのだ。
 私たちは今年5月、日本が今後とるべき戦略として「地球貢献国家」をめざすべきだという提言社説を発表した。
 貧困や紛争などの解決や地球環境のため、いわば世界の世話役として積極的な役割を果たしていく。平和憲法を持つ国として非軍事の手法を重視し、民生の分野で貢献していこうという提言である。
 ODAはそのための大事な手段だ。なのにこの10年でODA予算は4割も減り、一方、防衛予算は毎年ほぼ同じ規模を保っている。海外から見れば、日本はどんな国を目指すつもりなのか、首をかしげたくなるのではないか。
 来年には洞爺湖サミットが開かれる。地球温暖化防止をめぐる合意づくりが大きな課題となる見込みだが、世界の貧困対策もそれと並ぶ重要性を持つ議題だ。
 この面で日本はどのような役割を果たすつもりなのか、福田首相には明確なメッセージを発してもらいたいと思う。ODA予算の削減を続けるばかりでは、話にならない。

【一段と戦略問われるODA】
                  (12月23日 日本経済新聞 より)

 発展途上国を支援する政府開発援助(ODA)は、日本外交の重要は手段の一つである。ところが、財政の制約からその額が年々減り続けている。2007年版ODA白書は、円借款の返済分を差し引いた支出純額で見た昨年のODA実績が前年比15%減となり、米英に次ぎ第3位に転落したことを再確認した。
 援助での日本の地位低下は残念だが、やむを得ない面もある。白書も指摘するように今後はコストを減らし、対象プロジェクトを厳選しながら援助の量を確保するという難しい課題に挑まなければならない。
 経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の予測では、日本は今後も地位を下げ、10年にはドイツ、フランス、イタリアにも抜かれて、第6位に転落する可能性がある。
 日本政府は昨年7月に経済財政運営に関する「骨太の方針2006」を決定し、その中にODA予算を07年度から11年度までの5年間に毎年2-4%減らすことを盛り込んだ。08年度のODA予算もこの方針に沿って策定し、財務省原案は今年度比4%減とした。
 世界第6位への転落は決して現実味のない話ではない。ほかの先進国が対外援助の増額へ向け努力する中で、日本の立場は苦しい。
 とはいえ、いま財政再建の旗を降ろすわけにはいかない。11年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府目標は堅持しなければならない。財政の立て直しが進んでこそ、援助対策も安定的に進めることができる。
 ODA予算を再び増やせる日がくるよう期待したいが、当面は額の制約が続く。したがって日本は、これまで以上に援助を戦略的に進めなければならない。白書は官民の連携強化を促し、資源・エネルギーの確保、地球温暖化への対応など、対外援助での重要分野に言及している。
 日本は来年、アフリカ開発会議(TACAD)と主要8カ国(G8)首脳会議を主催する。アフリカ支援は対中円借款の新規供与を今年度で打ち切る中で、今後の重点項目となる。2つとも援助問題における日本の手腕が問われる大きな会議であり、成功を期待したい。

【改革が根付かない国】
                  (12月24日 日本経済新聞 より)

 [日本経済新聞コラムニスト:土谷英夫] 今日決まる08年度予算案と、先週決まった07年度補正予算案から透けて見えるのは、近づく総選挙へのおびえだ。東京都など大都市の法人事業税を一部召し上げ地方に配る。農家への補助金は上積み。高齢者医療費の負担増を凍結し、医師の診療報酬(本体)は8年ぶりに引き上げる。
 政府部門の改革の成績は財政収支に表れる。埋蔵金(特別会計の余剰金)取り崩しなどで新規国債発行を前年度より抑える粉飾をほどこしても、5年ぶりの基礎的財政収支(プライマリーバランス)の悪化は隠しようがない。バラマキ復活の動かぬ証拠だ。独立行政法人の改革も官の壁を崩せず小粒に終わった。
 だれが改革を損ねたか。国会の「ねじれ」後にカジを託された福田康夫首相よりも、郵政選挙での衆院3分の2超の与党議席と、いざなぎ超え景気という小泉政権の遺産を引き継ぎながら、改革のバトンをつなげなかった安倍晋三前首相の責任が重いだろう。広報担当の首相補佐官だった世耕弘成参院議員に聞いた。
 安倍政権は、市場志向の「小泉改革の継承者」と、憲法や教育基本法の改正を目指した「保守主義者」の2つの顔があった。その失敗を突き詰めると、推進者も、支持層も異なる2つの流れを融合できず「また裂き」にあったことだろう。改革も保守主義も後退し、あぶはち取らずだった。
 もっとも、野党政権なら改革が進むとも思えない。民主党参院選公約のバラマキ農政や絵に描いたモチの財政案は改革から遠い。改革のひずみと「格差」を責め立ててきたし、参院で野党を束ね郵政民営化見直し法案を通してもいる。ひょう変できるだろうか。
 なぜ改革が大切なのか。世界が一つの市場に統合されつつあるグローバル化-その波にうまく乗った国は栄え、乗り損ねた国は廃れる。波乗り競争に勝てる体制づくりが第一。第二に少子高齢化という人口構造の変化に応じて社会保障制度などを持続可能な仕組みに改修することだ。
 来年は総選挙があるはずだ。どんな組み合わせの政権でも、この改革を果たさないと、未来は開けない。

【私の感想】Up63

<世界の勝ち組>
 日経新聞のコラムニストは「なぜ改革が大切なのか。世界が一つの市場に統合されつつあるグローバル化-その波にうまく乗った国は栄え、乗り損ねた国は廃れる。波乗り競争に勝てる体制づくりが第一。」と力説しています。しかし、日本はグローバル化時代の経済競争では世界で最も波乗りに成功している国です。国内でリストラを敢行し、非正規雇用を増やして労働コストを削減しながら海外の最も低賃金の国々に工場を移し安い労働力を使い日本の企業は海外企業の追随を許さない地位を占めつつあります。これは小泉・竹中改革のおかげではありません。小泉・竹中改革の以前から日本は潜在的に強い経済力をもっており、資産的にも富んだ国でした。小泉・竹中改革は毎年3万人を超える自殺者、30代のうつ病、中高生の意欲と学力の低下という負の部分を増大させただけです。

<資本家国家日本>
 日本の貿易収支は年々黒字を積み重ねていますが、今では資本収支の黒字高の方が貿易収支の黒字高を超えています。前にも述べましたが、日本は世界に冠たる資本家国家となり、日本人総体は世界に冠たる資本家集団となりました。日本人全体が現在世界から稼いでいる利益は正直者へのごほうび、働き者へのごほうびの域をはるかに超えています。今の日本の繁栄は海外の資源を原材料として思う存分に使い、海外の労働者を低賃金で雇うことにより成り立っています。いくら弁明しても日本人の今の繁栄は、日本人がもともともっている資源と日本人自身の労働力を超えています。

<いつまでも最貧国の発想から抜け出せない>
 日本は第二次大戦後廃墟の中から出発しました。資本家国家となった今もなお戦後の成功物語を金科玉条に日本人と日本政府のありようを説くのはまちがっています。戦後の日本の成功物語は気のいいアメリカ政府と寛大な当時の中国政府の対日政策のおかげによる部分が多いと思います。いつまでも最貧国の発想から抜け出せない日本政府や経済人やマスコミにはうんざりする思いです。ノブレス・オブリージュ(富者の義務)は国家にも適用されることです。日本政府の財政赤字といっても海外に借金しているわけではなく、日本政府が日本国民から国債という形で借りているだけで、あくまでも国内問題です。途上国と言われているアフリカや南アジアの国々の悲惨な現状からするとお話にならない国内問題で、コップの中の嵐にも該当しません。国のありようについて、経済競争に勝つことだけでなく、もっと広い視点で考えていかないと、日本と日本人はエコノミックアニマルとしていつまでも世界から軽蔑され続けることでしょう。いつまでも自国は貧しい国であるという発想から抜け出せず、単純思考がマスコミの紙面で幅をきかす我が国の言論界のレベルの低さにはただただあきれるばかりです。

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2007年12月21日 (金)

福田内閣支持 急落31%

                     (12月21日 朝日新聞 より)

【本社世論調査 衆院比例投票先 民38% 自23%】

 朝日新聞社が19、20の両日実施した全国世論調査(電話)によると、福田内閣の支持率は31%と今月1、2日の前回調査の44%から急落し、不支持率は48%(前回36%)と半数近くに増えた。福田内閣で不支持が支持を上回るのは初めて。「いま総選挙の投票をするとしたら」として聞いた比例区の投票先は民主が38%(同32%)で、自民の23%(32%)に大差をつけた。これほどの差は安倍内閣当時もない。年金記録問題への対応などで政府や自民党への逆風が強まっている。臨時国会の焦点である補給支援特措法案についても参院での再議決で成立をめざすことに否定的な見方が増えた。

 福田内閣の支持率は発足当初は53%で、歴代内閣でも比較的高い水準だった。その後も4割台を維持していたが、発足3ヶ月で安倍内閣末期の水準にまで落ちた。不支持の理由では「政策の面」が57%と際立って高い。
 年金記録問題では、宙に浮いた5千万件のうち照合困難な記録が約2千万件にのぼることが明らかになった。このことについて「公約違反だと思う」は60%で、「そうは思わない」の30%を大きく上回った。年金記録問題への福田内閣の取り組みを「評価する」は36%にとどまり、「評価しない」は46%。福田内閣のもとで国民の年金への不信が解消に向かうと期待できるか、と聞くと、「期待できない」が72%に達し、「期待できる」は17%にすぎない。
 発足当初の調査では、福田内閣の年金問題への取り組みに「期待する」は67%と高かったが、内閣の実行力に疑問符をつけているといえそうだ。
 こうした状況で、総選挙の時期などをめぐる見方にも変化が出ている。「早く実施すべきだ」は39%(前回34%)とやや増え、「急ぐ必要はない」は48%(同55%)だった。民主支持層は「早く実施すべきだ」が69%、自民支持層は「急ぐ必要がない」が71%と対照的だった。望ましい政権の形は「民主中心」が41%(同36%)に増え、「自民中心」は28%(同37%)に減った。
 政党支持率は自民27%(同31%)に対し、民主25%(同23%)。そのほかの政党は公明3%、共産2%、社民1%など。

【政権求心力 低下は必至】

《解説》
 福田内閣の支持率が急落し、政権運営上の危険水域とされる30%に迫った。参院で野党に多数派を握られ、ただでさえ綱渡りの国会運営を強いられているだけに、世論の「福田離れ」で政権を取り巻く環境はさらに厳しいものとなりそうだ。
 「正直言って、いいことないですね。ここんとこね。まあ、やむを得ないかなと思っています」。福田首相は20日夜、内閣支持率の下落について、首相官邸で記者団にこう語った。ただ、「間違ったことをしているとは思っておりません」とも付け加えた。
 63%で始まった安倍前内閣の支持率は9ヵ月後の07年6月、年金記録問題や松岡農水相(当時)の自殺などが響いて30%にまで下落。参院選までこの水準から復調できず、自民党惨敗につながった。町村官房長官が「何とか4割台を維持できれば」としてきたラインを一気に割り込んだことで、首相の求心力の低下は避けられそうにない。

【私の意見】Up63

 私は自民党支持者ではありませんが、福田康夫首相は歴代の自民党の首相の中では上等な方だと思っています。特に、森、小泉、安倍と続いた国粋主義的、右翼的首相のために赤っ恥をかき続けたことを思うと、今は少しほっとしています。中国や韓国、北朝鮮の人々を苦しめたことに福田さんは心を痛めている人物だと思います。小沢民主党党首はアフガンであれば国連の安全保障理事会の決議があるので自衛隊をアフガンに派遣して武力行使をしてもよいと言っていますが、憲法9条の解釈については福田首相は小沢一郎氏より、拡大して解釈することに厳格な立場をとると思われます。その意味ではかつての自民党のハト派政治家の良い部分多く持っている政治家だと思います。それにもかかわらず、国民の支持が低下している理由は何なのでしょうか。私は、①日本国民は深くものを考えずあきっぽい、②年金など、目先のことには敏感に反応するが大きい視野で国家のありようを考える力を備えていないことに最大の理由があると思っています。そのように言うと福田さんに甘いと言われるかもしれません。ただ福田さんは背水の陣内閣を自認し地道に行動していますが、その分思い切ったことをやってくれそうにもなく、その点では私にとっても物足りないものがあります。やはり本質的には保守政治家です。

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2007年12月 9日 (日)

二十四の瞳の島に異形の国際投信ブーム

                   (12月8日 日本経済新聞 より)

【日本人とおカネ 第1部 危うき奔流
                なぜ売れる異形の投信】

 おカネにまつわる日本人の価値観が大きく変わろうとしている。預貯金に偏っていた保守的な個人マネーは国境を一気に跳び越え、いや応なくリスクと向き合い始めた。そこには危うさも見え隠れするが、個人マネーをうまく生かすことができれば日本の活力を高めることさえできる。

<グロソブの島>
 香川県小豆島。瀬戸内に浮かぶこの島で「グロソブ」が爆発的に売れている。世界の債券に投資する投資信託で正式名称はグローバル・ソブリン・オープン。国際投信投資顧問が運用する。島での残高は100億円を突破。人口対比で日本全体の3倍の「濃度」で保有している計算だ。
 「妹に勧められた。毎月2万円余りの配当金が年金生活の足しになる」(66歳女性)。証券会社のセミナーで、島民は海外経済動向に花を咲かせる。さながら「国際投資家の島」だ。

【「不思議の国」映すブーム】

 かつて6万人を抱えた島の人口はいまや3万2000人余り。65歳以上の高齢者の割合は約3割を占める。そうめん、観光などを除けば産業は乏しい。過疎が進行するこの島は日本の近未来図でもある。
 手をこまねいていれば、少子高齢化で日本の衰退は避けられない。だが、逆風をはね返す手はある。1500兆円の個人金融資産だ。有効に使えば別の景色がみえてくる。それを先取りするかのような小豆島の投資機運。だが、そこには「不思議の国ニッポン」も垣間見える。
 たとえばグロソブの人気の秘密になっている毎月の配当金。配当分は運用に回らず、投資成績はその分下がることを知らない人も多い。運用開始から10年。仮に毎月分配せず、「複利」で運用を続ければ、設定時1万円の価格が6日時点で約1万5000円に上昇した計算だ。しかし、実際の価格は8000円弱で、分配金(5000円強)を考慮しても累計約2000円を取り損ねている。急激な円高になれば損が出る恐れもある。
 長期の運用成果が投資の尺度となる欧米には毎月配当する商品はほとんど見当たらない。世界に類をみない異形の投信だ。
 神奈川県藤沢市の遠藤崇(仮名、29歳)は2月にグロソブを20万円買った。理由は「有名だから」。年金のように分配金をもらえるため、高齢者には魅力だが、「資産形成を目指す若い世代には向かない」(ファイナンシャルプランナーの前川貢)。本来、年齢や家族構成に応じてマネープランは十人十色。なのにグロソブのような分配型の販売比率は公募投信全体の49%にのぼる。
 投資初心者が一気に新興国株や外国為替を売買するのも不思議だ。営業マンから好調な数字を見せられると納得して買ってしまう。
 横並びと新しもの好き。こうした投資行動の背景には日本人独特の「おカネ観」がある。立教大学大学院教授の内山節(57)は「日本人は、もの作りでおカネを得ることは評価するが、おカネがおカネを生む運用にはためらいがある」と話す。儒教的な倫理観からおカネは「卑しい」と考え、真剣に向き合ってこなかった。

<成熟への段階>
 そんな風土にふってわいたのが将来への不安だ。終身雇用の崩壊、年金危機、そして少子高齢化社会-。「なんとかなるさ」でやってきた免疫のない日本の家計には、流行の金融商品やのうけ話が魅力的に映る。
 横浜市の会社員、北康広(仮名、40)は1990年代、流行のIT(情報技術)株を組み入れた投信に飛びつき数百万円投資したが、気がつけば半値以下。以来、時間と資産の徹底した分散投資に転換した。国内外の株式と債券で運用する投信を少しづつ買い、通算の投資収益率は30%を上回る。試行錯誤して痛い目にあうことも日本人とおカネの関係が成熟に向かううえで必要なステップかもしれない。
 リスクを理解し、多様な物差しで金融商品を評価する。こんな人が増えれば、金融資産を生かした新たな国づくりの扉を開くことができる。

【私の意見】Up63

 小豆島は私にとってとても思い出の多い島です。生まれは神戸ですが0歳から6歳まで広島県の小さな島ですごした幼少期の私にとり、小豆島は瀬戸内海に浮かぶ大きな島でした。小学校1年生の12月に私たち一家は再び神戸にもどり、小学校(神戸市立若宮(わかみや)小学校)6年生の時に全校生で映画「二十四の瞳」を観賞しました。主人公の大石久子先生の多くの教え子や小学生の娘が亡くなり、私には悲しい映画でした。中学(神戸市立鷹取(たかとり)中学校)3年生の時、修学旅行ではじめて小豆島を訪れました。紅葉した寒霞渓を名物のガイドのおじいさんがかん高い声で「ワガァー、カンカケイワァー」と自慢していました。大学(早稲田大学)3年生の夏、中央大学の学生の姉と一緒に経営していた小さな塾の塾生の小中学生を引率して、十数名で小豆島でキャンプをしました。海水浴をした土庄(とのしょう)海岸は青松白砂の美しい海水浴場でした。
 私にとり小豆島の人たちは素朴でおだやかで親切な人たちという印象しかありません。“えっ!小豆島が国際投資家の島?”とても驚きました。 
 そもそも「貯蓄から投資へ」はニッポン人が進むべき正しい道なのでしょうか。将来への不安をおカネがおカネを生む運用ではたして解消できるのでしょうか。“将来への不安”は政府が作り出した不安であり「貯蓄から投資へ」も政府が人為的に作り出した方向です。投資にはリスクをともないます。日経記事は「リスクを理解し、多様な物差しで金融商品を評価する。こんな人が増えれば、金融資産を生かした新たな国づくりの扉を開くことができる」としていますが、そんな器用な人はどんなにふえても全体の少数です。利に聡い一部の人たちだけは金融商品で利益を蓄積するでしょうが、多くの人々は小豆島の多くの住民と同じです。投資と言えばカッコよく聞こえますが簡単に言えば儲ける為におカネを賭けることです。投資に成功して仮に儲けたとしても、それは儲けた人個人の問題であって社会に新しいものを何も生み出しません。一方で儲ける人がいれば他方で損をする人がいます。おカネを必要とする人におカネを供給するのだから間接的に社会に貢献しているという弁明には私個人としてはとても賛同できません。日経新聞が推奨する“新たな国づくり”にも賛同できません。
 小豆島の人たちは、何も国際投資家にならなくとも美しい自然を生かして世界の島として生きていくことができます。小豆島が「グロソブ」でわきかえっていることを、二十四の瞳の著者の坪井栄さんや主人公の女教師大石久子先生が知ったらきっと嘆き悲しむと私は思います。

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2007年12月 5日 (水)

OECD15歳学力調査 応用力 日本続落

                      (12月5日 朝日新聞 より)

【数学6→10位 科学2→6位 読解力も14→15位】

 経済協力開発機構(OECD)は4日、15歳を対象に06年に実施した国際的な学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。3回目となる今回は57カ国・地域が参加し、知識・技能を実生活に応用できるかどうかを主眼に合計40万人、国内は約6千人の高校1年が受けた。日本は、「読解力」で前回(03年)14位から15位、「数学的リテラシー(応用力)」では6位から10位に順位を落とした。
 先行して公表された「科学的リテラシー」でも2位から6位に下がっている。

 今回受験した生徒は現行の学習指導要領が施行された02年春に小学6年だった。文科省は順位が落ちたことを「課題として受け止める」とし、指導要領の改訂で理数の授業増や各教科で言語力の育成などを盛り込む方針。これが、調査で浮かんだ課題への対策の中心となる。
 国際的にみると、読解力では韓国が1位(前回2位)、数学的リテラシーでは台湾が初参加で1位、科学的リテラシーではフィンランドが前回に引き続き1位だった。
 今回最も力を入れて調べた科学的リテラシーを詳しくみると、日本は「証拠を用いる」能力で2位だったものの、「疑問を認識する」で8位、「現象を説明する」で7位と、自ら課題を設定し説明する力に弱点があった。
 PISAではアンケートも実施。科学に興味・関心や楽しさを感じている日本の生徒の割合は、さまざまな質問でOECD平均を軒並み下回った。

【科学への関心、日本最低】

 経済協力開発機構(OECD)による3回目の国際学習到達度調査(PISA)の結果が4日、公表された。科学的リテラシー(応用力)と数学的リテラシーの2分野で順位を4つ、読解力でも1つ下げた。全般的に見て、成績の低落傾向にまだ歯止めはかかっていない。成績上位国と比べ、理解度が低い層が目立ち、学習に対する意欲や関心は最低レベルといった課題も見えてくる。

<科学的応用力 6位転落、意欲も課題>
 PISAでは問題の難易度や正答率を考慮し、解答者がどの程度の理解度を示しているか、段階分けしている。今回の06年調査でもっとも重点的に調べた科学的リテラシーの分野では、最も高いレベル6から1未満までの7段階。レベル2未満では日ごろの生活に適応できない心配があるという。
 日本は今回、レベル6が2.6%とOECD平均の1.3%の倍。この最上位層が最も多かったのはニュージーランド(4.0%)で、以下、フィンランド、イギリス、オーストラリア、日本と続く。一方、日本のレベル1未満は3.2%(OECD平均5.2%)、1は8.9%(同14.1%)だった。
 OECD平均との比較ではなお好成績と言えるが、成績上位国と比べると弱点が見えてくる。
 科学的リテラシーで前回に引き続き1位になったフィンランドは、レベル1未満が0.5%、1が3.6%。前回3位で今回は2位に上がった香港も、1未満が1.7%、1が7.0%にとどまる。日本の成績を上げるには、理解度の低い子どもたちをいかに減らすかが課題となる。
 
 PISAでは、テストに加え、科学に関する関心や意欲をアンケート方式で調べている。こちらの調査でも日本は低い結果となった。
 例えば、「科学についての本を読むことが好き」は36%で、参加した57カ国・地域中最下位。「科学に関するテレビ番組をみる」「科学に関する雑誌や新聞の記事を読む」はともに8%で、やはり最も低かった。
 理科の授業について、「習った考えを日常の問題に応用するよう求められる」11%、「クラス全体で討論などする」4%は、いずれも最下位。
 文部科学省は「小中ではかなり力を入れ各種調査で関心や意欲が上がっているが、高校はまだそこまで至っていない」と説明するが、「それにしても低すぎる」と課題があることは認める。カリキュラムにはなお見直すべき点がありそうだ。

<数学的応用力・読解力 低位層の多さ目立つ>
 点数はOECD平均で毎回500点になるよう調整されている。各国の得点の変動を統計処理してみると、数学的リテラシーでは、インドネシア、メキシコ、ギリシャ、ブラジルが前回より成績が上昇。逆に、日本、フランス、オランダなど9カ国は下がった。
 読解力では今回、香港、韓国、ポーランドが前回から上昇。特に韓国は22点伸びて556点となり、フィンランドを上回って首位に。一方、スペインやノルウェーなど6カ国は下がった。
 日本の読解力の得点は前回も今回も498点で、横ばいだった。ただし懸念もある。前回03年調査と共通で出題された28題をみると、平均正答率が62%から60%に低下。正答率が5ポイント以上変化した問題は7問あり、うち6問は下がった。
 数学的リテラシーと読解力でも、科学的リテラシーと同様に、成績上位国と比べた日本の低位層の多さが目立つ。
 レベル1未満とレベル1の合計は、数学的リテラシーで13.0%、読解力では18.4%となる。一方、2分野でそれぞれ1、2位を分けたフィンランドと韓国をみると、数学的リテラシーがフィンランド5.9%、韓国8.8%、読解力ではフィンランド4.8%、韓国5.7%。日本との差は明らかだ。

【私の意見】Up63

 2007年6月15日(金)のブログで1月14日の日本経済新聞の記事を引用して【小さな教育大国フィンランド学力世界トップ】としてとりあげました。その記事の一部をもう一度引用します。

 国際的な学力調査で、日本を上回る世界トップ水準を誇るフィンランド。人口わずか520万人、国土の4分の1は北極圏にある国が、学力で世界のトップに位置する原動力はどこにあるのか。少人数のクラスや集中的な補習でやる気を引き出す、受験競争とは正反対の「落ちこぼれ」を徹底的になくす取り組みが、小さな教育大国を支えている。

 「家庭の事情などで読解力が劣る子がいるのは当たり前」とカララハティ校長(62)が言うように、同国では補習は特別なことではない。全小中学生の2割が何らかの補習を受けており、幼稚園にも補習クラスがある。補習を受ける子も「私は勉強が遅れているのでこのクラスに入った」と恥ずかしがらずに話す。
 「重要なのは生徒のやる気をいかに引き出すか」ど同中学校で補習クラスを担当する教師、イハライネンさん(47)。補習での学習指導のみならず、生徒の集中力を高めるためのコンサルティングを行ったり、「生徒とのコミュニケーションが大切」と、インターネットなども使い家庭と連絡を取り合うことも。

教育省のピルフォネン部長は「資源のない小国なので人材を無駄にできない。問題を抱えた子どもを放っておかないことが最も重要だ」と強調する。

 日本も資源のない小国でしたが、外国の資源を活用しながら大国になりました。その間に私たちの足元が大きく崩れてしまいました。朝日新聞の社説は「十分な教員の数とともにその質を上げることが必要だろう」と述べていますが、これだけでは事の本質を見失うと思います。フィンランドの「問題の抱えた子どもを放っておかない」という考え方には、単に学力の問題としてとらえるのではなく、一人ひとりの子どもの尊厳を重んじ、一個の人間としての成長を後押ししようという気概があります。
 格差を容認し助長しているわが国のような社会では、成績の低い子どもたちについて“やる気のない、やっかい者”とのレッテルを貼りがちです。OECD15歳学力調査はわが国の社会が根の深いところから腐ってきている警告であることを、私たちは真剣に受けとめなければいけないときにさしかかっています。

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2007年12月 2日 (日)

労働力人口2030年に1000万人減

                 (11月29日 日本経済新聞 より)
【厚労省推計】

 厚生労働省が28日まとめた推計によると、日本の2030年の労働力人口(15歳以上の就業者と求職者)は現在の6657万人から1070万人も減る。少子と高齢化は世界最速、先陣を切って人口減社会に突入し、働き手の減少ペースも類がない。“昔ながら”の仕組みでは社会の形を保つのが難しい。

【働く仕組み 変革必要に】

 日本の制度には働ける人まで働けなくしている面がある。例えば厚生年金では60歳以降も正社員などとして働くと、賃金に応じて年金が減ってしまう。慶応義塾大の清家篤教授は「働く意欲をそぐ制度。早く改める必要がある」と指摘する。企業の若者採用は新卒中心。パート女性の多くは夫の被扶養者にとどまるため「年収130万円未満」に仕事を減らす。人口増の時代から残る日本流を見直せば、1千万人分の「人材力」を引き出せるかもしれない-。

<高齢者1割で300万人>
 65歳以上の高齢者は現在約2700万人で、今後も増え続ける。
 一部の企業は高齢者活用に動き始めた。大手流通業のイオンは2月から定年を65歳に延長。トヨタ自動車は60歳以上の再雇用者に希望や業務内容に応じて4時間の勤務を認めている。
 現在65歳以上で働いている人は約500万人。2700万人のうち、あと1割が仕事に就いたとすると、「300万人」近い働き手が労働力不足を埋めてくれる。

<女性の潜在労働力350万人>
 日本は女性の力を十分に生かしていない。出産を機に女性の7割が仕事を辞める世界でも特異な国だ。在宅勤務や短時間勤務の充実で柔軟な働き方を用意し「引き留める」ことが第一歩となる。大手企業では制度が整い始め、帝人では長期勤続者がこの10年余りで23%から47%にまで伸びた。
 家事や子育てで仕事をあきらめている女性は「350万人」。柔軟な働き方ができれば潜在力が動き出す。

<ニートは60万人>
 18-34歳の働き盛りの人口は現在約2800万人。これが2030年には約1900万人と3割以上減る。
 仕事も学校にも行かず職業訓練も受けていないニートは62万人。定職につかない若者のフリーターは187万人。ニートは定職に就けるよう、フリーターは正社員など失業の心配なく働けるよう、再チャレンジの後押し策をもう一度盛り上げるときだ。

<先端技術磨けば百人力>
 人間に代わる労働力として期待されているロボット。すでに産業用分野で日本は世界一の「ロボット大国」。日本の産業用ロボット稼働台数は約37万台で北米やドイツを大きく上回る。
 介護や医療ロボットに商機を見出す会社も多い。セコムが食事支援ロボットを発売したほか、近く人間の手足の動きを助けるロボットスーツも登場する。日本ロボット工業会の予測では07年の日本のロボット出荷額は7600億円と過去最高を更新する見通し。日本の最先端が生きる。

<外国人向け制度づくり>
 高齢化で需要が高まる介護分野。政府はフィリピン人の看護師・介護士を受け入れる計画を進めていたが、フィリピン国会でいまだ認められず、「まったくメドが立たない」(厚労省)。
 経済協力開発機構(OECD)は日本が現在と同じ生産年齢人口を保つには年間50万人の外国人受け入れが必要と試算する。実際に日本で長期就業が認められた外国人は05年で約2万人。優秀な外国人が働くインフラを整えなければ、世界の人材争奪に出遅れる。

【識者の見方 年1%のマイナス成長も】

日本総合研究所ビジネス戦略研究センター・山田久所長
 労働力人口が2030年に1070万人減少した場合、日本経済は年1%程度のマイナス成長に陥る可能性がある。2030年を待たず、あと十数年後に実質成長率はマイナスに転じるだろう。
 労働力人口の減少によって、働いて賃金をもらう人が減り消費は低迷する。国内市場の衰退は避けられない。企業の海外移転が加速し、現場の担い手がいなくなれば製造業が競争力を保つのも難しくなる。少ない労働力人口が東京など大都市部に集中すれば地方の地盤沈下も進む。
 すでに一部の地方でみられる窮状は日本という国の未来かもしれない。成長率がマイナスになると税収が減る。国家財政はますます厳しくなり増税や行政サービスの縮小も覚悟しなければならない。
 労働力人口の減少を放置するわけにはいかない。技能が高い高齢者の再雇用は意味があるし、女性管理職の比率を増やし女性の働く意欲を高める必要もある。若者が多い非正社員の待遇改善も有効だ。減少ペースを国や企業、地域の工夫で抑え、一人ひとりの生産性を引き上げる。成長し続けるため、日本がやらねばならないことは明確だ。

【私の意見】Up63
                
<ムシのいい話>
 
中高年のリストラを行い、若者や女性の非正規雇用を拡大して労働コストの削減にまい進していながら、労働力不足となると手のひらを返したように高齢者を活用しよう、女性を活用しよう、ニートを活用しよう、外国人を活用しようというのはあまりにムシのいい話。なんとも無定見で、場当たり主義の国の労働政策にあきれます。

<外国から見ればぜいたくな話>
 仕事はあるけれども人が足りない。人が足りないとマイナス成長になる!他の国から見ればなんともぜいたくな話です。

<インドネシアの少女リウ>
 半月ほど前にNHKの衛星放送でインドネシアの16歳のストリート・チルドレンの少女リウを追ったドキュメンタリー番組を見ました。リウは12歳頃までは両親と弟妹3人と一緒に生活し普通の生活をしていましたが、父親の会社が倒産し失職して、それ以降父親がリウを厳しく叱るようになりました。なぐるけるの暴行も絶えず、リウは父をきらってストリート・チルドレンになりました。リウはストリート・チルドレンの仲間と一緒にうまくもない歌をうたって人々から投げ銭をもらって食いつなぎ、建物の軒下など路上で寝ながら生活をしていました。リウの母親はリウをさがしあて、家にもどそうとしましたが、がんこな父親は“おれはまちがっていない”と言って自分の態度をあらためず、リウももどりませんでした。やがてかつての同級生が中学を卒業し、高校に進学するようになってリウの心にあせりがでてきました。母親の説得で中学卒業検定試験を受けましたが失敗し、リウは更に遠い所へと逃げていきます。自分もストリート・チルドレンだった少女(18歳位?)がストリート・チルドレンを家にもどすボランティアをしており、リウが家に戻る決断をするうえで彼女が大きな影響を与えました。父親の失職は3年たっても続いていますが、がんこだった父親も“おれが悪かった。帰りたいときはいつでも帰ってくればいい”と言って、リウに謝り、リウも次第に家にもどるようになりました。

<フィリピンの看護師、介護士>
 フィリピンでは外国で働く看護師、介護士の育成に力を入れている映像を見ました。フィリピンの若者は日本語も勉強していますが、日本はなかなか受け入れてくれないと嘆いていました。日本経済新聞の記事はフィリピン国会が認めてくれないとなっていますが事実は逆だと思います。

<日本を先頭にアジア諸国が成長という虚像>
 かつて日本を先頭にともに成長すると言われていた韓国、台湾、アセアン諸国を雁の群れに例え、群れをなして成長するアジア諸国と言ってきましたが、しかしこれは日本人に都合のいい表現であって、日本には多少自国を犠牲にしてでも群れから遅れそうなアジア諸国の成長を応援するという考えはありませんでした。今、日本にとってアジアは市場として重要であり、低賃金の生産拠点として重要ですが、他国の成長は日本政府や経済界にとってはcompetitor(競争相手)の台頭であって日本をおびやかすような存在は官民一体となってたたきつぶしています。その結果アジア諸国の中日本の一人勝ちが続いているというのが現状です。

<グローバル化の世界で日本人のありようが問われるのはこれから>
 リウがストリート・チルドレンになったことと日本企業の一人勝ちは決して無縁ではないという思いで私は映像を見ていました。外国人の受け入れにしても日本は世界に冠たる鎖国国家です。受け入れるにしても研修という偽りの名目のもとに低賃金で働かせるなどアジアの若者にとって日本は自分の国より収入が多いので働きたい国ではあるけれともやさしさの欠けている国と見られています。
 グローバル化社会の中で私たち日本人のありようが本当に問われるのはこれからです。

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