労働契約法案審議に見る民主党の裏切り
【11月8日衆議院通過】
私が3月28日のブログでこわ~い法律案と指摘していた労働契約法案が自民党、公明党に加えて民主党の賛成でいとも簡単に衆議院を通過しました。参院選で民主党が第1党となり民主党は労働契約法案と最低賃金の一部を改正する法律案を提出し、11月7日の衆議院厚生労働委員会では与党議員からの質疑に対し論陣をはっていました。ところが4時すぎにあっさりと自らの法案を撤回し、すぐさま水面下で与党とすりあわせてきた共同修正案を自ら提案し賛成多数で可決しました。“党首密室会談”を契機とし、民主党は姿勢を一変させ、自らの法案に執着することなく、政府案を抽象的な美辞麗句を並べるだけで合意し、結局政府案に収斂されてしまい、共同修正案を11月8日衆議院本会議で可決しました。
【政府案,民主党案,可決した修正案】
政府案、民主党案、可決した修正案については以下リンク先をご参照ください。
政府案と民主党が独自に提言した修正案についてはこちら([政府提出案と民主党提出案の比較](働く女性の全国センター)) 、民主党がこれらをあっさり撤回し共同提案した修正案についてはこちら([労働契約法案に対する修正案対照表](独立行政法人労働政策研究・研修機構))です。
当初の民主党の独自案も労使対等でない労働契約の分野に民事法ルールをもちこむなどの多くの問題点がありましたが、労働者の立場に立とうとする姿勢が多少はありました。今回の民主党の対応はこれをかなぐり捨て、労働者や市民に対する明らかな裏切り行為です。
【働く女性の全国センター・全国労働組合連合会の緊急声明】
働く女性の全国センターは,「パートや派遣、若者や女性の意見も聞かないで勝手に労働契約法の新設するのは、やめにしてください。働く人たちの声に耳を傾けない自民党・公明党・民主党が嫌いになってしまいます。」として緊急声明(緊急声明第2弾-11/8-)を出していました。同センターは就業規則による不利益変更の実例を具体的に紹介もしています。
また、全国労働組合連合会は「最低賃金法と労働基準法、大型新法の労働契約法といった、労働者にとって重大な法案が、参考人招致もされず、一部政党による密室審議で粛々と進められ、政府案ベースに収斂されてしまった。その姿は異常であり、民主的な国会運営からはかけ離れたものといわざるをえない」という談話を発表しています。
これらの団体こそが厳しい条件下で働く者の声を正しく代弁していると言えます。
これに関する朝日新聞の記事をご紹介します。
【労働契約法案に警戒感 女性・非正規「就業規則 悪用も」】
(11月10日 朝日新聞 より)
衆院を8日に通過した労働契約法案に、女性や非正規の働き手などの間で警戒する声が出ている。就業規則を労働契約とみなすとの内容に「就業規則の変更を悪用して労働条件が切り下げられるのでは」との不安が強まり、衆院での修正も小幅だったためだ。7日には全労連や全労協,女性ユニオンなどが共同で国会前集会を開いた。14日にも開き,悪用への歯止めを盛り込むことなどを求める。
法案は、労働契約の基本的なルールや手続きを明文化するのが目的で、会社と社員の個別紛争の増加を背景に、労働側が制定を求めてきた。
労働側は当初、有期契約の従業員の均等待遇など働き手を保護する内容を求めていたが、使用者側が反対。判例でルールが確定していることだけを明記することで連合も合意した。
具体的には「就業規則の内容が合理的で周知させてあれば、働き手が合意した労働契約とみなす」ことなどが盛り込まれ、衆院も小幅な修正で通過した。これに対し、全労協や全労連は「判例の条文への反映のさせ方が不十分だ」と、法律の独り歩きを警戒。特に、労働者にとって不利益になる就業規則の変更を「内容が合理的で周知させてあれば可能」とする点について「だれにとって合理的なのか不明確。非正社員は就業規則作成に意見も言えない」と疑問視する。
「周知」についても、衆院厚生労働委員会で7日、社民党の安部知子議員が「日雇い派遣の給料天引きを記した就業規則は会社のホームページに掲載されていた(のに労働者はよく知らなかった)。これで周知になるのか」と問題提起した。
女性の待遇向上を目指す「働く女性の全国センター」は「女性は労組の少数派。就業規則を不利に変えられても反対しにくい」と反対声明を発表。「反貧困ネットワーク」の湯浅誠さんやシングルマザー問題に取り組む赤石千衣子さんらも賛同、「非正規労働者の紛争解決にも役立てたいなら、その声をもっと聞いて」と訴えている。
日本労働弁護団の棗一郎弁護士は「個別紛争が増える中で労働契約法は必要で、まず小さく産んで大きく育てることだ。ただ、今回の法案の内容は極めて不十分。審議の拙速は避けるべきだ」と話している。
【私の意見】
小沢一郎民主党党首は市民や労働者の立場に立つ人物でなく、資本の側に立つ根っ子からの保守政治家であることが明白となりました。
社会の片すみに追いやられている老人や若者や障害者や農民や地方に光をあててほしいと願った参院選の国民の声を聞いたふりをしながら、裏切った小沢氏の責任は重大です。連合も所詮は恵まれた大企業の労働者の代表にしかすぎないことが暴露されました。
給油新法や自衛隊の海外派兵についての国民世論も支持の方向に、小沢氏の迷走を契機として一気に増加しています。
国民も含め日本の保守化は参院選前よりもっと進んでしまったというのが私の正直な認識です。
日暮れて道遠し。この国は行きつくところまで行かないと良質の国家に生まれ変わることができないのではないかという悲観的思考が私の頭の中でグルグルまわっている今日この頃です。
| 固定リンク
「労働問題」カテゴリの記事
- 連合の「雇用における障害差別禁止法」案(2009.07.06)
- 障害者の正社員扱いを求める訴訟を検討(2009.06.29)
- 障害者にも解雇の嵐 実習訓練さえ中止(2009.02.22)
- 社会参加型のユニオンを作ろう!(2009.02.10)
- 派遣・中小社員 雇用悪化 しわ寄せ(2008.09.14)



コメント