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2007年9月24日 (月)

小泉改革政治の終わりと日本の存在感

【安倍辞任の衝撃】
【日本の存在感 低下懸念(日経ワシントン支局長実 哲也)】

                   (9月17日 日本経済新聞 より)

 コイズミ時代はやはり例外だったのか-。
 安倍晋三首相の唐突な退陣と、派閥の領袖の影が見え隠れする後継者選びを眺める米国では、そんな失望感が漂う。

<米国に戸惑い>
 トップが強い指導力で改革を進め、世界の中で積極的な役割を果たしていく。そうした小泉純一郎前首相のスタイルに、米国人は政権の内外を問わず、良い印象を持った。
 「小泉後も基本的な姿勢は続くという思い込みが米国にはあった」と知日派のキャンベル元国防副次官補は言う。米国やオーストラリア、インドなど「民主主義の価値観を共有する国々」との協調を前面に出す安倍首相への期待感はとくに強かった。
 それだけに、ブッシュ大統領との会談で「テロとの戦い」へ向けた協力を力強く約束してからわずか4日後の辞任表明には、失望以前にあぜんとしたというのが正直なところだろう。日本の政治家への不信感につながった可能性もある。
 「台頭しつつあるのは、1990年代のように、力のない首相が次から次へと登場しては政争が繰り広げられる時代に逆戻りするのでは、という静かな不安だ」(キャンベル氏)
 米国にとっては、強い指導者なき日本の針路も心配の材料だ。イラク戦争は米国の世論を二分しているが、アフガニスタンでの対テロ作戦は政権だけでなく、野党・民主党も含めて「よい戦争」と受け止められている。日米同盟の象徴といえる対テロ協力が首相を退陣に追い込むほどの争点になるとは想定していなかったのが実情だ。
 経済改革の修正を求める動きが与野党を問わず強まっていることにも戸惑っている。日本ウォッチャーの1人は「小泉改革を熱狂的に支持した日本人はどこへ行ったのか」と首をかしげる。
 米国では、小泉政権以降、外交、安全保障、経済という三つの柱で日米間のコンセンサスができてきたとの認識があった。だが、その認識が揺らぎ、日本を微妙な距離感を持って見るムードが出始めている。

<世界は止まらず>
 政治の漂流がもたらすのは、日米関係のすきま風だけではない。世界の中での日本の存在感も薄めかねない。
 「日本は発言力を高める機会を失いつつある」。英タイムズ紙は安倍首相辞任をこう評した。今後、自民総裁選で優位に立つ福田康夫元官房長官や民主党の小沢一郎代表らが、政治ばかりか経済に関してまで時計の針を逆戻りさせるようなことがあれば、国際的な役割を果たすことはもちろん経済大国の座すらあやしくなりかねない。
 世界は立ち止まってはくれない。
 自民党の総裁選びの間に、北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議が開かれる見通し。北朝鮮の核施設の無能力化へ進むかどうかの重要な節目となる協議は、日本の司令塔が不在の中で進むことになる。世界各国の首脳が集う国連総会にも「日本の顔」は登場しない。
 膠着(こうちゃく)状態にある世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)では、日本が積極的な役割を果たしていないとの批判が根強い。音無しの構えを続ければ、日本への信頼感は薄まるばかりだろう。
 韓国が米国に続いて欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉に動くなど、世界はさらに前に動いている。企業の直接投資や優秀な人材を世界からいかに集めるかの競争も激化する一方。経済がグローバル化する中で、「競争」や「市場」を重視した経済政策を進めることは日本の繁栄に不可欠だ。
 民主主義国に政争や論争は付きもの。だが、世界の流れから目を背け、内向きの論議に明け暮れれば、日本の影響力は低下の一途をたどる。日本から世界にどんなメッセージを発していくのか。次の政権は、そこにも十分目を配る必要がある。

【「満州事変の日に日系店開業」
           中国・湖南 誤情報で300人騒ぐ】

                     (9月20日 朝日新聞 より)

 満州事変76周年の18日、中国湖南省長沙市の日系百貨店に地元の学生や市民ら約300人が集まり、日本製品の不買を訴えるなどした。百貨店がこの日、新店舗を開業するという誤った情報がネット上に流れ、学生らの反日感情をあおったとみられる。
 抗議があったのは、滋賀県を中心にスーパーを展開する平和堂(本社・同県彦根市)が長沙市東塘地区で開店準備を進める百貨店。事前に動きを察知した公安当局が朝から出動し現場を警戒。衝突や投石などはなく、夕方までに沈静化したという。
 9月初旬からネットの掲示板に「『国辱の日』にあえて開業させるのは、日系企業の挑発だ」などとして、抗議を呼びかける書き込みが相次いでいた。
 平和堂本社中国室の担当者は「満州事変記念日に開業などあり得ない選択だ。18日開業という話をしたことはないし、そもそも当局の営業許可がまだ下りていない。市民に受け入れてもらうための努力を続けているのに心外だ」と話した。

【アジア外交に期待 福田総裁誕生】
                     (9月24日 朝日新聞 より)

 安倍首相に代わり、今後の日本外交のかじ取りをしていくことになった福田康夫・自民党新総裁。靖国神社の参拝はしないと表明するなど近隣諸国にも配慮を見せる新リーダーの誕生を、中国や韓国、北朝鮮といったアジアの隣国、テロ特措法延長問題の行方に注目する米国の関係者らはどう見ているのか。

<米国 「現実主義」手堅い印象>
               
(ワシントン小村田義之)
 米国とのパイプを持ち、中国など近隣諸国にも配慮を示す福田氏の登場を、米政府や知日派の関係者は基本的に歓迎、アジア外交の進展に期待感が出ている。ただ、日本政治の不安定化も予測されており、将来的な不透明感への懸念はぬぐえない。
 米政府関係者は自民党総裁選の結果に祝意を表し、「彼の政権と一緒に働くことを楽しみにしている」とコメントした。福田氏はブッシュ大統領や父の元大統領と関係が良く、ベーカー前駐日大使とも親しい。「日米蜜月」を演出した小泉前首相や、米国流の戦略を掲げた安部首相の派手さはないが、手堅い印象が期待につながっている。
 グリーン前米国安全保障会議(NSC)上級アジア部長は福田氏を「現実主義者だ。日米同盟の重要性を理解している」と評価。「北朝鮮や中国に対し、より実際的な対応をするのではないか」と期待する。
 上院外交委員会のスタッフは、福田氏が靖国神社の参拝や従軍慰安婦問題など、近隣諸国を刺激する問題と結びついていない、と指摘。「日本の近隣外交に柔軟性が出れば米国にも日本にも良いことだ」と見る。
 一方で同スタッフは、少子高齢化や年金など国内問題が山積する日本では「次の政権で日米同盟の基礎を発展させることは、誰が首相でも難しい」とも語った。
 カルダー米ライシャワー東アジア研究所長は「イタリアのように、(日本政治は)政権がくるくる変わった90年代の構図に戻るのではないか」と指摘。テロ特措法の延長問題でも、野党などの反対論に懸念を示した。日本にとってシーレーンの確保は極めて重要であり「(インド洋上で活動する)テロ特措法への反対は戦略的な現実を反映していない」と言う。福田氏が新首相になった後、当面の外交課題となるこの問題への対応が注目されている。

 【私の意見】Up63

 日経ワシントン支局長は小泉前首相を過大に持ち上げすぎだと思います。小泉前首相が強いリーダーシップをもったすぐれた政治家などとはとても思えません。中国湖南省で起きた反日の動きは氷山の一角です。中国の公安当局が抑え込んでいるから今のところ沈静化を保っていますが、中国人の中に日本政府や日本人に対する不信が一触即発の危機を秘めており、小泉、安倍路線がなおも続いていれば中国政府も反日感情を抑え込むのをいつかあきらめて、放り出したことでしょう。米政府や米国内の知日派が福田氏の登場を基本的に歓迎しているのは当然です。米政府や米国人は日本が戦前型の国家に戻ることを許さないという強い思いをもっています。この点を見誤ったのが従軍慰安婦に関する安倍発言でした。
 日経ワシントン支局長は「日本の発言力」の低下や「日本の繁栄」を懸念していますが「世界の流れから目を背け、内向きの論議に明け暮れ」たのはむしろ小泉政治の時代であり、安倍政治の時代であったと思います。視点が「経済」「日本の繁栄」だけにとらわれていると世界の潮流の中で、日本という国家のありようを大きく見誤り、ひいてはそのことが日本企業の海外での経済活動にも深刻な影響を与えることを看過してはいけないと思います。

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