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2007年9月19日 (水)

福田康夫氏 脱「小泉・安倍」鮮明に

                (9月15日 日本経済新聞夕刊 より)

【「靖国神社参拝せず」】

 自民党総裁選に出馬した福田康夫元官房長官は15日午前の記者会見で、小泉・安倍路線の修正を意識した発言を繰り出した。靖国神社に参拝しない意向を明言したほか、構造改革路線の修正にも柔軟な姿勢を示した。参院選で惨敗した安倍晋三首相の政権運営を見直し、挙党態勢の構築を急ぐ狙いがあるとみられる。

【集団的自衛権、見直しには慎重】

 福田氏は議員外交に力を入れるなど、かねて外交問題への取り組みをアピールしてきた。特に中国との関係強化に腐心し、靖国参拝の是非について質問した記者に「あなたも友達が嫌がることはしないでしょ」と述べるなど、真っ先に中韓両国への配慮を示した。
 在任中、毎年参拝した小泉純一郎前首相や「行く行かないか明言しない」などとした安倍首相とは一線を画した格好。中韓などが先行きを注視している集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しについても、積極派の首相に比べ慎重だ。仮に福田氏が首相に就けば、外交・防衛政策を巡って「脱小泉・安倍」が鮮明になるとみられる。
 福田氏は内政問題でも、安倍政権に批判的な党内各派の意見を取り入れる姿勢をにじませた。都市と地方の格差を広げたとして党内に不満が渦巻く構造改革路線については「方向性は今でも同じ」としながらも、「改革を続けていけば問題が生じる」と指摘した。
 地方活性化に向けて党主導の政策立案を重視するとみられ、小泉、安倍両氏が「改革のエンジン」として活用した経済財政諮問会議の位置づけも変わりそうだ。
 「政治とカネ」の問題を巡っては、1円以上の支出に領収書添付を義務付ける政治資金規正法の再改正に慎重だ。ただ、ルールの明確化を進め、第三者によるチェックの必要性には言及している。麻生太郎幹事長との違いが浮き彫りになったのは、郵政造反で落選した前議員への対応。復党に前向きとされる麻生氏とは異なり「現職議員重視」の方針を明確にした。

【ビデオ通じて華商大会「参加」 福田氏、中国重視示す】

 神戸で15日開幕した「第9回世界華商大会」の開幕式で、福田康夫元官房長官のビデオメッセージが流れ、参加者から驚きの声が上がった。福田氏は「世界経済は国境を超えて広がっており、先陣を切っている皆様との交流は大いなる刺激である」と述べ、中国社会との関係を重視する姿勢を示した。福田氏はもともと大会に出席予定だったが、自民党総裁選のため欠席となり、大会側がビデオメッセージを用意した。

【テロ特措法、民主と議論  福田氏会見要旨】

福田康夫元官房長官の記者会見の要旨は次の通り。
 [総裁選に立候補した理由] 思いもよらない出来事が起き、いろんなことを考え適切に処理する必要がある。責任を持ってこの難局に立ち向かわないといけない。
 [閣僚・党役員人事の方針] 難しい状況なので全員で全力をあげる方向で人事をやるのは当然だ。
 [小泉改革路線] 方向性は今でも同じだが、改革を続けていけば問題が生じる。丁寧に改革を修正していく。
 [政治とカネ] (領収書などの)記録は全部残さないといけないが、すべて公開することはない。第三者がチェックできるようにする手もある。
 [靖国参拝] 相手が嫌がることをあえてする必要はない。
 [集団的自衛権] (行使を禁じている憲法解釈見直しは)慎重に検討しないといけない。
 [テロ対策特別措置法の延長問題] 国会が中断して議論の時間が少なくなり、あまり変わったことはできない。民主党ともよく相談する必要がある。
 [復党問題] 原則は大事だが、個々の選挙区事情もある。現職議員は大事にするとの考えて対処したい。

【北朝鮮問題は数少ない争点 
                対話の福田 圧力の麻生】

                     (9月16日 朝日新聞 より)

 数少ない両氏の違いが垣間見えたのは、記者会見の最後の質問。北朝鮮による拉致問題への対応を聞かれた時だった。
 「昨今の状況は、お互いに、交渉する余地がないような、非情に固い状況になっている」。慎重に言葉を選びながらも、福田氏はこう言った。「交渉の意欲が向こうに伝わる方法はないか。『対話と圧力』の基本姿勢の上に前進をはかる工夫を考えたい」
 福田氏が小泉内閣の官房長官当時、副長官は安倍首相だった。02年9月の小泉首相の1回目の訪朝を主導するなど、「対話」を重視する福田氏と、北朝鮮に対する強硬姿勢で国民的人気を博し、「圧力」を前面に出す安倍氏とは、北朝鮮政策を巡りしばしばぶつかった。「圧力」に傾きすぎた政策を「対話」に引き戻したい-。福田氏の発言には、こうした思いがにじむ。
 一方の麻生氏。「(北朝鮮が)圧力がなければ対話に行かないということは、経験則でかなり出てきた。日本のこの数年の対応は決して間違っていなかった」。外交政策について、考え方の近い安倍首相の路線を引き継ぐ姿勢が鮮明だ。
 靖国神社に代わる国立追悼施設については、官房長官時代に熱心に取り組んだ福田氏が、「いつか出来てほしいなと思っている」。ただ、「国民がいらないものをつくるわけにはいかない。タイミングを選ばなければいけない」と慎重な言いぶりも、
 麻生氏は「追悼施設が出来たから靖国神社がなくなる、というわけにいかない」と福田氏の構想を牽制しながら、靖国神社の非宗教法人化という持論を繰り返した。

【私の意見】Up63

 福田康夫氏の登場は、自民党の振り子の法則が久々に機能して、日本でも大人の政治がようやく動き始めるのかなという期待をいだかせてくれます。私はこれまでに自民党政治に期待したことは一度もありませんでしたが、今回だけは福田氏の登場にエールを送りたい思いです。それほど、森、小泉、安倍と程度の低い宰相が続きすぎました。
 森喜郎氏の神の国発言以来7年6ヶ月私たち日本人は赤っ恥のかきっぱなしでした。知性を欠く右翼的政治家に煽られ、私たち国民も右翼的傾向となり中国人を嫌い、北朝鮮の人たちを蔑むようになってしまっていました。一体そんな資格が私たち日本人にあるのでしょうか。ドイツ人が自らの過ちを認めないでユダヤ人の人たちを嫌いだといっているのと同じです。ネオナチの思想です。実際にはドイツ人は正面から自らの過ちに向きあいましたが、日本人は向きあうことなく、涼し気な顔をして隣国を遅れた国というレッテルを貼ってきました。このことが自国の当面の利益を我慢してでもヨーロッパの共通の家(EU)をつくろうとするドイツと,強い経済力をもちながらアジアの国々をCompetitor(競争相手)としか見ない日本の違いとなってあらわれています。
 私は、そのうち日本は世界の嫌われ者となるということを本気で危惧しています。とりわけ東アジアにおいては日本企業に対する焼き討ちが再び各地で起こるのではないかと思ってきました。日本にとりアジアはCompetitor(競争相手)ではなく、むしろ日本の経済的繁栄はアジアの国々あってのものです。若い頃の私であれば日本人はアジアの人々を搾取していると断定したことでしょう。
 福田氏はあのとつとつとした話し方で、多分中国や韓国、そして北朝鮮とも対話を成立させるでしょう。逆にそのことが過去を含めて日本の過ちをあいまいにしてしまう危険があります。でもまあ、居丈高なこれまでの3人と比べてはるかにましなリーダーです。小沢民主党も手ぐすねをひいています。民主党も政策を是非競ってほしいと思います。ここ当分日本の政治は面白くなってきました。
 楽観するつもりはありませんが、ここしばらくは年齢的には私より少し上の二世・三世議員たちの動きを見てみたいと思います。

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