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2007年9月30日 (日)

アシックス会長鬼塚喜八郎氏ご逝去

(9月30日 朝日新聞 より)

 スポーツ用品メーカー、アシックス会長の鬼塚喜八郎(おにつか・きはちろう)さんが29日、心不全で死去した。89歳だった。通夜と葬儀は近親者のみで行う。後日、アシックスが社葬を行うが、日程は未定。

 77年、スポーツ関連3社が合併して誕生した「アシックス」の社長に就任。世界屈指の総合スポーツ用品メーカーに育てた。92年から会長。05年から日本バスケットボール協会の会長を務めた。同社のスポーツシューズブランド「オニツカタイガー」は、多くのオリンピック日本選手団の足元を支え、現在では、若者の間でファッションアイテムとしても人気となっている。

【私の思い】Up63

 私は2006年12月のブログで“雲の上の人”という見出しで鬼塚喜八郎氏のことを次のように書きました。

 私にとって鬼塚氏は常に雲の上の人です。
 雲の上の人というのは、鬼塚氏が㈱アシックスを始め世界のスポーツ業界のトップリーダーにあるということからではなく、鬼塚氏のもつ人間としての大きさ、気高さ、あたたかさ、やさしさからくるものです。
 私は公害事件,薬害事件,労働事件を通し,弁護士として企業のもつ“暗”あるいは“負”の部分に向きあうことが多かったのですが,鬼塚氏によって企業の“明”あるいは“正”の部分を知ることができました。

 私は今でもウィングが左に傾斜しがちですが,あんな立派な経営者がいるという鬼塚氏への思いが,私の企業や企業経営者に対するバランス感覚を正しく維持する最大の力となっています。

 わが国から立派な経営者がたくさん生まれました。このブログでも故盛田昭夫氏(4月1日ブログ)や故平岩外四氏(5月24日ブログ)のことを掲載させていただきました。鬼塚喜八郎氏は私にとり、最も親しい立派な経営者でした。私はオニツカ㈱が㈱ジィティオ、ジェレンク㈱と合併し㈱アシックスとしてスタートした1977年以来弁護士として㈱アシックスの法律問題に携わらせていただきました。その頃は私はまだ30代前半の若輩者で鬼塚社長(当時)は文字通り私にとっては雲の上の人で、会社のいろんな祝賀会に出席したときに一出席者として一礼を交わさせていただくだけでした。それでも私のことをよく覚えていて下さり“いやぁ、清水先生!”と親しく声をかけて下さった鬼塚社長の夢でいっぱいのお姿が懐かしく思い出されます。

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2007年9月24日 (月)

小泉改革政治の終わりと日本の存在感

【安倍辞任の衝撃】
【日本の存在感 低下懸念(日経ワシントン支局長実 哲也)】

                   (9月17日 日本経済新聞 より)

 コイズミ時代はやはり例外だったのか-。
 安倍晋三首相の唐突な退陣と、派閥の領袖の影が見え隠れする後継者選びを眺める米国では、そんな失望感が漂う。

<米国に戸惑い>
 トップが強い指導力で改革を進め、世界の中で積極的な役割を果たしていく。そうした小泉純一郎前首相のスタイルに、米国人は政権の内外を問わず、良い印象を持った。
 「小泉後も基本的な姿勢は続くという思い込みが米国にはあった」と知日派のキャンベル元国防副次官補は言う。米国やオーストラリア、インドなど「民主主義の価値観を共有する国々」との協調を前面に出す安倍首相への期待感はとくに強かった。
 それだけに、ブッシュ大統領との会談で「テロとの戦い」へ向けた協力を力強く約束してからわずか4日後の辞任表明には、失望以前にあぜんとしたというのが正直なところだろう。日本の政治家への不信感につながった可能性もある。
 「台頭しつつあるのは、1990年代のように、力のない首相が次から次へと登場しては政争が繰り広げられる時代に逆戻りするのでは、という静かな不安だ」(キャンベル氏)
 米国にとっては、強い指導者なき日本の針路も心配の材料だ。イラク戦争は米国の世論を二分しているが、アフガニスタンでの対テロ作戦は政権だけでなく、野党・民主党も含めて「よい戦争」と受け止められている。日米同盟の象徴といえる対テロ協力が首相を退陣に追い込むほどの争点になるとは想定していなかったのが実情だ。
 経済改革の修正を求める動きが与野党を問わず強まっていることにも戸惑っている。日本ウォッチャーの1人は「小泉改革を熱狂的に支持した日本人はどこへ行ったのか」と首をかしげる。
 米国では、小泉政権以降、外交、安全保障、経済という三つの柱で日米間のコンセンサスができてきたとの認識があった。だが、その認識が揺らぎ、日本を微妙な距離感を持って見るムードが出始めている。

<世界は止まらず>
 政治の漂流がもたらすのは、日米関係のすきま風だけではない。世界の中での日本の存在感も薄めかねない。
 「日本は発言力を高める機会を失いつつある」。英タイムズ紙は安倍首相辞任をこう評した。今後、自民総裁選で優位に立つ福田康夫元官房長官や民主党の小沢一郎代表らが、政治ばかりか経済に関してまで時計の針を逆戻りさせるようなことがあれば、国際的な役割を果たすことはもちろん経済大国の座すらあやしくなりかねない。
 世界は立ち止まってはくれない。
 自民党の総裁選びの間に、北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議が開かれる見通し。北朝鮮の核施設の無能力化へ進むかどうかの重要な節目となる協議は、日本の司令塔が不在の中で進むことになる。世界各国の首脳が集う国連総会にも「日本の顔」は登場しない。
 膠着(こうちゃく)状態にある世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)では、日本が積極的な役割を果たしていないとの批判が根強い。音無しの構えを続ければ、日本への信頼感は薄まるばかりだろう。
 韓国が米国に続いて欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉に動くなど、世界はさらに前に動いている。企業の直接投資や優秀な人材を世界からいかに集めるかの競争も激化する一方。経済がグローバル化する中で、「競争」や「市場」を重視した経済政策を進めることは日本の繁栄に不可欠だ。
 民主主義国に政争や論争は付きもの。だが、世界の流れから目を背け、内向きの論議に明け暮れれば、日本の影響力は低下の一途をたどる。日本から世界にどんなメッセージを発していくのか。次の政権は、そこにも十分目を配る必要がある。

【「満州事変の日に日系店開業」
           中国・湖南 誤情報で300人騒ぐ】

                     (9月20日 朝日新聞 より)

 満州事変76周年の18日、中国湖南省長沙市の日系百貨店に地元の学生や市民ら約300人が集まり、日本製品の不買を訴えるなどした。百貨店がこの日、新店舗を開業するという誤った情報がネット上に流れ、学生らの反日感情をあおったとみられる。
 抗議があったのは、滋賀県を中心にスーパーを展開する平和堂(本社・同県彦根市)が長沙市東塘地区で開店準備を進める百貨店。事前に動きを察知した公安当局が朝から出動し現場を警戒。衝突や投石などはなく、夕方までに沈静化したという。
 9月初旬からネットの掲示板に「『国辱の日』にあえて開業させるのは、日系企業の挑発だ」などとして、抗議を呼びかける書き込みが相次いでいた。
 平和堂本社中国室の担当者は「満州事変記念日に開業などあり得ない選択だ。18日開業という話をしたことはないし、そもそも当局の営業許可がまだ下りていない。市民に受け入れてもらうための努力を続けているのに心外だ」と話した。

【アジア外交に期待 福田総裁誕生】
                     (9月24日 朝日新聞 より)

 安倍首相に代わり、今後の日本外交のかじ取りをしていくことになった福田康夫・自民党新総裁。靖国神社の参拝はしないと表明するなど近隣諸国にも配慮を見せる新リーダーの誕生を、中国や韓国、北朝鮮といったアジアの隣国、テロ特措法延長問題の行方に注目する米国の関係者らはどう見ているのか。

<米国 「現実主義」手堅い印象>
               
(ワシントン小村田義之)
 米国とのパイプを持ち、中国など近隣諸国にも配慮を示す福田氏の登場を、米政府や知日派の関係者は基本的に歓迎、アジア外交の進展に期待感が出ている。ただ、日本政治の不安定化も予測されており、将来的な不透明感への懸念はぬぐえない。
 米政府関係者は自民党総裁選の結果に祝意を表し、「彼の政権と一緒に働くことを楽しみにしている」とコメントした。福田氏はブッシュ大統領や父の元大統領と関係が良く、ベーカー前駐日大使とも親しい。「日米蜜月」を演出した小泉前首相や、米国流の戦略を掲げた安部首相の派手さはないが、手堅い印象が期待につながっている。
 グリーン前米国安全保障会議(NSC)上級アジア部長は福田氏を「現実主義者だ。日米同盟の重要性を理解している」と評価。「北朝鮮や中国に対し、より実際的な対応をするのではないか」と期待する。
 上院外交委員会のスタッフは、福田氏が靖国神社の参拝や従軍慰安婦問題など、近隣諸国を刺激する問題と結びついていない、と指摘。「日本の近隣外交に柔軟性が出れば米国にも日本にも良いことだ」と見る。
 一方で同スタッフは、少子高齢化や年金など国内問題が山積する日本では「次の政権で日米同盟の基礎を発展させることは、誰が首相でも難しい」とも語った。
 カルダー米ライシャワー東アジア研究所長は「イタリアのように、(日本政治は)政権がくるくる変わった90年代の構図に戻るのではないか」と指摘。テロ特措法の延長問題でも、野党などの反対論に懸念を示した。日本にとってシーレーンの確保は極めて重要であり「(インド洋上で活動する)テロ特措法への反対は戦略的な現実を反映していない」と言う。福田氏が新首相になった後、当面の外交課題となるこの問題への対応が注目されている。

 【私の意見】Up63

 日経ワシントン支局長は小泉前首相を過大に持ち上げすぎだと思います。小泉前首相が強いリーダーシップをもったすぐれた政治家などとはとても思えません。中国湖南省で起きた反日の動きは氷山の一角です。中国の公安当局が抑え込んでいるから今のところ沈静化を保っていますが、中国人の中に日本政府や日本人に対する不信が一触即発の危機を秘めており、小泉、安倍路線がなおも続いていれば中国政府も反日感情を抑え込むのをいつかあきらめて、放り出したことでしょう。米政府や米国内の知日派が福田氏の登場を基本的に歓迎しているのは当然です。米政府や米国人は日本が戦前型の国家に戻ることを許さないという強い思いをもっています。この点を見誤ったのが従軍慰安婦に関する安倍発言でした。
 日経ワシントン支局長は「日本の発言力」の低下や「日本の繁栄」を懸念していますが「世界の流れから目を背け、内向きの論議に明け暮れ」たのはむしろ小泉政治の時代であり、安倍政治の時代であったと思います。視点が「経済」「日本の繁栄」だけにとらわれていると世界の潮流の中で、日本という国家のありようを大きく見誤り、ひいてはそのことが日本企業の海外での経済活動にも深刻な影響を与えることを看過してはいけないと思います。

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2007年9月19日 (水)

福田康夫氏 脱「小泉・安倍」鮮明に

                (9月15日 日本経済新聞夕刊 より)

【「靖国神社参拝せず」】

 自民党総裁選に出馬した福田康夫元官房長官は15日午前の記者会見で、小泉・安倍路線の修正を意識した発言を繰り出した。靖国神社に参拝しない意向を明言したほか、構造改革路線の修正にも柔軟な姿勢を示した。参院選で惨敗した安倍晋三首相の政権運営を見直し、挙党態勢の構築を急ぐ狙いがあるとみられる。

【集団的自衛権、見直しには慎重】

 福田氏は議員外交に力を入れるなど、かねて外交問題への取り組みをアピールしてきた。特に中国との関係強化に腐心し、靖国参拝の是非について質問した記者に「あなたも友達が嫌がることはしないでしょ」と述べるなど、真っ先に中韓両国への配慮を示した。
 在任中、毎年参拝した小泉純一郎前首相や「行く行かないか明言しない」などとした安倍首相とは一線を画した格好。中韓などが先行きを注視している集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しについても、積極派の首相に比べ慎重だ。仮に福田氏が首相に就けば、外交・防衛政策を巡って「脱小泉・安倍」が鮮明になるとみられる。
 福田氏は内政問題でも、安倍政権に批判的な党内各派の意見を取り入れる姿勢をにじませた。都市と地方の格差を広げたとして党内に不満が渦巻く構造改革路線については「方向性は今でも同じ」としながらも、「改革を続けていけば問題が生じる」と指摘した。
 地方活性化に向けて党主導の政策立案を重視するとみられ、小泉、安倍両氏が「改革のエンジン」として活用した経済財政諮問会議の位置づけも変わりそうだ。
 「政治とカネ」の問題を巡っては、1円以上の支出に領収書添付を義務付ける政治資金規正法の再改正に慎重だ。ただ、ルールの明確化を進め、第三者によるチェックの必要性には言及している。麻生太郎幹事長との違いが浮き彫りになったのは、郵政造反で落選した前議員への対応。復党に前向きとされる麻生氏とは異なり「現職議員重視」の方針を明確にした。

【ビデオ通じて華商大会「参加」 福田氏、中国重視示す】

 神戸で15日開幕した「第9回世界華商大会」の開幕式で、福田康夫元官房長官のビデオメッセージが流れ、参加者から驚きの声が上がった。福田氏は「世界経済は国境を超えて広がっており、先陣を切っている皆様との交流は大いなる刺激である」と述べ、中国社会との関係を重視する姿勢を示した。福田氏はもともと大会に出席予定だったが、自民党総裁選のため欠席となり、大会側がビデオメッセージを用意した。

【テロ特措法、民主と議論  福田氏会見要旨】

福田康夫元官房長官の記者会見の要旨は次の通り。
 [総裁選に立候補した理由] 思いもよらない出来事が起き、いろんなことを考え適切に処理する必要がある。責任を持ってこの難局に立ち向かわないといけない。
 [閣僚・党役員人事の方針] 難しい状況なので全員で全力をあげる方向で人事をやるのは当然だ。
 [小泉改革路線] 方向性は今でも同じだが、改革を続けていけば問題が生じる。丁寧に改革を修正していく。
 [政治とカネ] (領収書などの)記録は全部残さないといけないが、すべて公開することはない。第三者がチェックできるようにする手もある。
 [靖国参拝] 相手が嫌がることをあえてする必要はない。
 [集団的自衛権] (行使を禁じている憲法解釈見直しは)慎重に検討しないといけない。
 [テロ対策特別措置法の延長問題] 国会が中断して議論の時間が少なくなり、あまり変わったことはできない。民主党ともよく相談する必要がある。
 [復党問題] 原則は大事だが、個々の選挙区事情もある。現職議員は大事にするとの考えて対処したい。

【北朝鮮問題は数少ない争点 
                対話の福田 圧力の麻生】

                     (9月16日 朝日新聞 より)

 数少ない両氏の違いが垣間見えたのは、記者会見の最後の質問。北朝鮮による拉致問題への対応を聞かれた時だった。
 「昨今の状況は、お互いに、交渉する余地がないような、非情に固い状況になっている」。慎重に言葉を選びながらも、福田氏はこう言った。「交渉の意欲が向こうに伝わる方法はないか。『対話と圧力』の基本姿勢の上に前進をはかる工夫を考えたい」
 福田氏が小泉内閣の官房長官当時、副長官は安倍首相だった。02年9月の小泉首相の1回目の訪朝を主導するなど、「対話」を重視する福田氏と、北朝鮮に対する強硬姿勢で国民的人気を博し、「圧力」を前面に出す安倍氏とは、北朝鮮政策を巡りしばしばぶつかった。「圧力」に傾きすぎた政策を「対話」に引き戻したい-。福田氏の発言には、こうした思いがにじむ。
 一方の麻生氏。「(北朝鮮が)圧力がなければ対話に行かないということは、経験則でかなり出てきた。日本のこの数年の対応は決して間違っていなかった」。外交政策について、考え方の近い安倍首相の路線を引き継ぐ姿勢が鮮明だ。
 靖国神社に代わる国立追悼施設については、官房長官時代に熱心に取り組んだ福田氏が、「いつか出来てほしいなと思っている」。ただ、「国民がいらないものをつくるわけにはいかない。タイミングを選ばなければいけない」と慎重な言いぶりも、
 麻生氏は「追悼施設が出来たから靖国神社がなくなる、というわけにいかない」と福田氏の構想を牽制しながら、靖国神社の非宗教法人化という持論を繰り返した。

【私の意見】Up63

 福田康夫氏の登場は、自民党の振り子の法則が久々に機能して、日本でも大人の政治がようやく動き始めるのかなという期待をいだかせてくれます。私はこれまでに自民党政治に期待したことは一度もありませんでしたが、今回だけは福田氏の登場にエールを送りたい思いです。それほど、森、小泉、安倍と程度の低い宰相が続きすぎました。
 森喜郎氏の神の国発言以来7年6ヶ月私たち日本人は赤っ恥のかきっぱなしでした。知性を欠く右翼的政治家に煽られ、私たち国民も右翼的傾向となり中国人を嫌い、北朝鮮の人たちを蔑むようになってしまっていました。一体そんな資格が私たち日本人にあるのでしょうか。ドイツ人が自らの過ちを認めないでユダヤ人の人たちを嫌いだといっているのと同じです。ネオナチの思想です。実際にはドイツ人は正面から自らの過ちに向きあいましたが、日本人は向きあうことなく、涼し気な顔をして隣国を遅れた国というレッテルを貼ってきました。このことが自国の当面の利益を我慢してでもヨーロッパの共通の家(EU)をつくろうとするドイツと,強い経済力をもちながらアジアの国々をCompetitor(競争相手)としか見ない日本の違いとなってあらわれています。
 私は、そのうち日本は世界の嫌われ者となるということを本気で危惧しています。とりわけ東アジアにおいては日本企業に対する焼き討ちが再び各地で起こるのではないかと思ってきました。日本にとりアジアはCompetitor(競争相手)ではなく、むしろ日本の経済的繁栄はアジアの国々あってのものです。若い頃の私であれば日本人はアジアの人々を搾取していると断定したことでしょう。
 福田氏はあのとつとつとした話し方で、多分中国や韓国、そして北朝鮮とも対話を成立させるでしょう。逆にそのことが過去を含めて日本の過ちをあいまいにしてしまう危険があります。でもまあ、居丈高なこれまでの3人と比べてはるかにましなリーダーです。小沢民主党も手ぐすねをひいています。民主党も政策を是非競ってほしいと思います。ここ当分日本の政治は面白くなってきました。
 楽観するつもりはありませんが、ここしばらくは年齢的には私より少し上の二世・三世議員たちの動きを見てみたいと思います。

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2007年9月17日 (月)

偽装請負に是正指導 財界首脳の倫理観

                     (9月13日 朝日新聞 より)

【キャノンに是正指導 栃木労働局 宇都宮で偽装請負】

 キャノンの宇都宮光学機器事業所で違法な偽装請負があったとして、厚生労働省栃木労働局は12日、労働者派遣法にもとづき是正を指導した。同事業所で働く請負労働者が昨年10月、労働局に違反を申告していたが、キャノンはこれまで同事業所での偽装請負を否定。請負労働者でつくる労働組合との団体交渉にも応じていなかった。
 キャノンの製造現場では、実際は派遣労働者として働かせているのに、派遣元の人材会社との間で形式的に請負契約を結ぶ偽装請負が問題化。今年2月には、野党各党が御手洗富士夫会長の国会への参考人招致を要求。同事業所の請負労働者の大野英之さん(32)が、衆院予算委員会の公聴会で実態を語った。
 キャノン広報部によると、12日夕、労働局から文書で「労働者派遣に該当し、請負としては不適正」と指摘され、「状況を解消すること」「全社にわたって同様の状況がないか点検すること」を求められた。偽装請負で労働局がキャノングループに文書指導するのは8度目だが、これまでの指導は03年~05年に行われている。

【安倍首相の辞任と
         御手洗富士夫経団連会長のコメント】

<御手洗富士夫経団連会長>
 安倍首相と緊密な関係を築いてきた日本経団連の御手洗富士夫会長は12日夕、記者団に「本当に驚いた。(辞任は)予測していなかった」と漏らした。御手洗会長ら経団連首脳はこの日朝、臨時国会開会に当たって自民党首脳との懇談会を催したばかりだった。
 経済界は安倍首相に小泉政権からの構造改革路線の継続を期待、参院選で自民党が大敗しても経済3団体のトップが首相続投支持をすぐさま表明した間柄だ。それだけに衝撃も大きかったようで、御手洗会長は「(首相は)説明不足という風に私は思った」と不満を隠さなかった。ただ、「次の内閣も経済成長を持続させ、その中で財政再建するという基本路線は同じだと期待している」と指摘することも忘れなかった。

【経団連企業 政治献金26億円
              昨年キャノン、自民に4000万円】

                     (9月15日 朝日新聞 より)

 日本経団連は14日、会員企業による政治資金団体への06年分の政治献金総額が、前年比5%増の26.1億円だったと発表した。個人や政治団体による献金が減少する中、経団連企業の献金額は好調な業績を背景に3年連続で増加した。献金した企業数は、業界団体経由を含めて計約680社。経団連の御手洗富士夫会長が会長を務めるキャノンなど33社が新たに加わった。
 経団連は04年から政党の政策を評価し、その評価に基づいて献金するよう、加盟企業に呼びかけている。06年分の献金の政党別の内訳は、自民党が前年比5%増の25.3億円、民主党が同27%増の0.8億円だった。
 06年末の政治資金規正法改正により、外資比率50%を越す企業も政治献金が可能になった。キャノンが本体で献金を始めたのも、「外資規制」撤廃に伴うものだ。
 キャノンの政治資金団体への献金額は自民党に4000万円。トヨタ自動車の6440万円に次いで多い。キャノングループ全体では、自民党に11社が6100万円、民主党に2社が200万円を献金した。07年の政治資金については、自民党と民主党の政策の評価作業を進めている。

【私の意見】Up63

 いやぁー、キャノンが労働局からこれまで7回文書で改善指導を受け、今回8回目とはとてもとても驚きました。労働局が文書指導をするというのは余程悪質で目に余る場合です。しかもキャノンは請負労働者がつくった労働組合との団体交渉を拒否しているということですから労働者をボロ雑巾のように使い捨てをしているとしか思えません。私は何度かブログでこのことをとりあげましたが正直なところキャノンがここまでひどいとは思いもしませんでした。憲法は28条で労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保障しています。労働者のこれら労働基本権を無視し違法行為を重ねる会社の責任者が財界首脳というのもいかがなものでしょうか。
 経団連は故平岩外四氏が会長時代に企業献金を廃止しましたが(5月24日ブログ参照)その後復活させ、今の経済界のリーダーたちはカネで政治を買うという近視眼的な考え方しかもちあわせていないのではないかと危惧します。
 最近企業の社会的責任が強く言われていますが、経済人個人の社会的責任も厳しく問う必要があるのではないでしょうか。大きな利益を挙げている会社のトップを経済人のリーダーに選ぶ安易な発想は経済界も考え直したらどうでしょうか。経済人相互の間にももっと自浄作用があってしかるべきだと思います。故盛田昭夫氏(4月1日ブログ参照)や故平岩外四氏と比べると今の経済人に格の違いを感じざるを得ません。

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2007年9月13日 (木)

安倍首相 突然 辞任表明

(9月12日 朝日新聞 夕刊より)

【安倍首相辞任表明】

 安倍首相は12日午前、辞任の意向を固め、自民党の麻生太郎幹事長ら複数の自民党幹部に伝えた。午後2時から首相官邸で記者会見し、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊のインド洋での給油活動の延長に向け、民主党の小沢一郎代表に呼びかけた首脳会談を断られたことを受け、「局面を転換しなければならない。新たな首相のもとでテロとの戦いを継続していかなければならない」と辞任の理由を説明した。昨年9月の就任以来、「政治とカネ」を巡る問題や失言で閣僚の辞任が相次ぎ、今年7月の参院選では自民党が惨敗し、参院で与野党が逆転した。8月末に内閣改造を行ったが、その後も閣僚が辞任するなど、政権運営が完全に行き詰まっていた。首相の退陣を受け、自民党は後継を選ぶ総裁選を実施する。

【「政策遂行できぬ」】

 首相は会見で「国民の支持、信頼のうえに、力強く政策を遂行することができなくなった」とも語った。首相は臨時国会が召集された10日、所信表明演説で、参院選敗北の「反省」を口にしながらも、「改革を進めるため」として続投の決意を示したばかり。代表質問当日に辞意を表明するという極めて異例の退陣の仕方に、首相としての資質に対する疑問を最後まで国民に与えることになった。
 首相は12日午後1時から衆院本会議で開かれる代表質問に出席する予定だったが、同日午前、自民党幹部に「私は辞任するので、代表質問に答えるわけにはいかない」などと伝えた。
 首相は政権を取り巻く厳しい状況が続くなかで、これ以上政権を維持することはできないと判断し、臨時国会の実質的な論戦が始まる代表質問を前に退陣の判断を固めたと見られる。
 安倍氏は岸信介元首相の孫で参院山口4区選出、当選5回。北朝鮮の拉致問題に対する厳しい姿勢で、国民的な支持を集め、小泉内閣のもとで党幹事長や内閣官房長官などを歴任した。
 昨年9月の総裁選で、麻生現幹事長、谷垣元財務相を大差で破り、小泉内閣の改革路線を引き継ぐ形で首相に就任した。「戦後レジームからの脱却」を掲げ、通常国会で、「愛国心」条項を新設した改正教育基本法、防衛庁の省昇格法、憲法改正の手続法である国民投票法などを成立させた。
 しかし、首相就任後、初めての本格的な国民の審判となった今年7月の参院選で、年金問題や閣僚の相次ぐ失言や不祥事などによる逆風を受けて惨敗。参院で与野党の勢力が逆転し、民主党が第1党となった。
 しかし、続投を表明。8月27日に内閣改造を実施したが、わずか8日間で遠藤農水相が政治とカネの問題を巡って辞任に追い込まれるなど、政権の求心力を失っていた。

【首相、目をうるませ会見】

 永田町に辞任のニュースが流れて1時間あまり、辞意表明した安倍首相は午後2時、首相官邸で会見に臨んだ。会見場に現れると、ゆっくりとした足取りで壇上にあがった安倍首相は、やや疲れた様子で、「えー、本日、総理の職を辞するべきとの、決意をいたしました」などと語り始めた。目はうるんでいた。「政策を力強く前に進めていくことは困難な状況になった」と語った。

【安倍政権の歩みと、首相の発言】

Abehatugen7913

【テロ特措法と「心中」選んだ】
       ジャーナリストの田原総一朗さんの話

 安倍首相は政権から「逃げた」という批判が出ると思うが、それは少し違う。私は安倍首相はテロ特措法と「心中」する道を選んだのだとみる。おじいさんの岸信介元首相が安保条約と心中したのと同じで、安倍首相も文字通り「一身を賭して」テロ特措法を守ろうとしたのだろう。私はそのことは評価したい。ただ、岸元首相は気力の面ではるかに強かった。それだけの強さは安倍首相にはなかったのではないか。

【なぜ今なのか 間、抜けている】
           精神科医の香山リカさんの話

 安倍首相はすべてのタイミングがずれている。多くの人が遅かれ早かれ辞任するとは思っていただろうが、なぜ国会が始まる今なのか。間が抜けている。首相は偏差値世代の優等生のような常識的な面がある。しかし、政治家は人の心や雰囲気、効果的なタイミングを読む力も必要だ。辞任後に誰が出てきても、自民党の混乱を収拾できるとは思いにくいが、民主党も次の政権を担う準備があるような感じもしない。政治の混乱はますます深まるだろう。

【選んだ自民にも責任 ■ 二世・三世、懐が浅い】

●識者に聞く
 突然の辞任劇に識者からは、首相の資質への厳しい意見が出た。
 草野厚慶大教授(政治学)は「なってはいけない人が首相をしていたことを再認識させられる」と話す。「政治キャリアが浅いまま首相に就き、窮地に陥ると責任を投げ出してしまう。こんな人を総裁にした党の責任は大きい」
 プロデューサーの残間里江子さんは「首相になることが人生の大きな目標で、シナリオはそこで終わっていたのでは」とあきれる。
 ノンフィクション作家の佐野眞一さんは「『美しい国』『戦後レジームからの脱却』などの言葉は胸に響かなかった。彼が考えるより世間は広くて深い」。二世、三世の政治家が増え、「懐の深さを感じなくなった」という。
 次の首相について佐野さんは「教育にせよ、環境にせよ、百年先の日本をどうするか、歴史観を持った人」と注文をつける。ジャーナリストの魚住昭さんは「小泉首相が壊したアジア諸国との関係修復、都市と地方の格差縮小、窮者を救うなどの政策を進める人を選ぶべきだ」。一方、草野教授は自民党の人材難を指摘したうえで「公明党の存在意義が改めて問われる。今後も与党にとどまるのかどうかを注目したい」と強調した。
 元衆議院議員秘書のジャーナリスト上杉隆さんは「誰が総裁になろうと、解散総選挙で国民の信を問うのが筋」と主張。そのうえで「森首相が小泉首相に交代しただけで一気に支持率が上がった例もある。世論の動向をにらみつつ、解散のタイミングを計るのだろう」と観測を述べた。

【私の意見】Up63_2

 9月は夏休みあけで、裁判の日程が最も集中する月です。私はヘビー級訴訟事件4件の準備のためこの1ヶ月間新聞をほとんど目を通すことができず、私の部屋には開かれもしない新聞が小さな山となっています。しかしこの間に政局は一挙に動きました。安倍首相の辞任は時間の問題と思っていましたが、この放り出し方は一国のリーダーとしてはあまりにもお粗末すぎます。ダタッ子が “ボク、もういやんなっちゃった!” と言っておもちゃを放り投げているのと変わりがありません。まあでも、日本の軍国主義化を強力に推し進めようとした人物が首相の座をおりたことは世界の平和のためにも、日本国民のためにも良かったとほっとしています。もちろん安倍氏が首相をやめても強い軍隊を求める政治家はたくさんいますので、油断することはできません。「朝まで生テレビ」の司会をしている田原総一朗さんのコメントを見て、この人は大声で生テレビを仕切っているけれど“この程度の政治感覚の人か”とあらためて認識させられました。歴史や平和に対する日本人の向き合い方も田原氏の程度かもしれないという懸念をあらためて感じさせられました。

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2007年9月 6日 (木)

あれぇ? 経済界,安倍政権とすきま風

【経営の視点 経済界,安倍政権とすきま風】
                                            (9月3日 日本経済新聞 より)

 安倍改造内閣がスタートした。背水の陣で臨む安倍晋三首相に対し,経済界は「重要政策課題の解決にリーダーシップを発揮して欲しい」(日本経団連の御手洗富士夫会長)と引き続き支持する姿勢を崩さない。だが参院第1党となった民主党を従来以上に意識せざるを得なくなっており,経済界でも政権の求心力低下は避けられない情勢だ。
 内閣改造の直前,アジア三カ国を歴訪した首相に御手洗氏を団長とする企業首脳200人あまりが同行した。今春の中東5カ国歴訪でも経団連使節団だ同行しており,このところ首相と「財界総理」そろっての外遊が定番となった感がある。
 ただ,表向きとは裏腹に経済界と首相の間にはすきま風も吹き寄せる。2月に菅義偉総務相(当時)に退任通告を受けた生田正治・前日本郵政公社総裁(元商船三井会長),内閣改造3日前に事実上更迭された村瀬清司・前社会保険庁長官(元損害保険ジャパン副社長)と経済界から政府系機関に送り込まれたトップが相次ぎ不本意な退場を余儀なくされた。「4年も苦労した生田さんへの心遣いが感じられない」「年金不祥事のスケープゴートだ」といった現政権への批判が経済界から聞こえてくる。
 郵政造反組の自民党復党など,小泉内閣以来の改革路線に疑念を抱かせるような動きも波紋を広げている。参院選での自民党大敗後には「構造改革をやれる人なら必ずしも安倍首相でなくてもいい」(経団連幹部)との声も漏れはじめた。

<民主党をじわり意識>
 改造内閣の先行きは前途多難だ。秋の臨時国会では雇用ルール改革を巡る与野党攻防が注目の一つ。大手機械メーカー首脳は「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用除外)制度の導入は大きなチャンスを逃した。今の国会情勢では当面無理」とため息をつく。政府・与党の戦術のまずさから「残業代ゼロ法案」との批判を受け,今春の法案提出が見送られたことを悔やむ。
 先週,キャノンは宇都宮光学機器事業所(栃木県)で働く業務請負会社の労働者82人に期間社員(6か月ごとに更新,最長2年11ヵ月)での採用を申し入れたと発表した。同事業所では一部の請負労働者が偽装請負があったと主張し,栃木労働局に是正指導を求めていたが,キャノンは同局の判断を待たずに事態の早期打開に動いた。
 この問題を巡っては今年2月,請負労働者の代表者が衆院予算委員会の公聴会に出席し「正社員への道を開いてほしい」と語った。さらに実現しなかったが,民主党がキャノン会長である御手洗氏の参考人招致を求めた経緯がある。今回の動きについてキャノンは「問題はなるべく早く解決したいとの思いからであり,参院選の結果とは無関係」と説明する。
 民主党の支持母体の連合はパートや派遣など非正規労働者の待遇改善を運動方針に掲げる構えをみせており,「ワーキングプア(働く貧困層)」などの問題が,より大きな政治問題となる可能性が高い。経済界にも民主党へのアプローチを強める動きが出始めており,「対決」から「対話重視」への路線転換は,政界と経済界に共通した流れになりつつあるようにみえる。

【今、若者たちへ 君に伝えたい私の経験
                      キャノン会長 御手洗富士夫氏】

                                            (9月3日 日本経済新聞 より)

 みたらい・ふじお 1961年中央大学法学部卒、キャノンカメラ(現キャノン)入社。66年キャノンUSA出向、79年同社社長。81年キャノン取締役。89年帰国、キャノン専務。95年同社社長。2006年より同社会長。

若者たちへのメッセージ“しっかりした価値観と
   公徳心を持つ尊敬される「真の国際人」をめざせ”

 コミュニケーションがどんなに容易になっても、本当に大切なことは一人ひとりが「真の国際人」になることです。そうでなければ世界で親しまれもしなければ尊敬もされません。
 それでは「真の国際人」とはどういう人でしょうか。
 もちろん語学は大切です。一生懸命に勉強してください。ただし、それだけでは十分ではありません。
 まず自分自身が持って生まれた血となり肉となっている文化、考え方、行動様式、生活習慣を正しく認識し、それらを他の国々の人々に説明できる人にならなければなりません。海外ではよく日本文化や歴史のことを聞かれることがあります。海外からも尊敬され信頼される人とはしっかりとした文化や価値観を持っている人です。
 しかし、だからといって自分の価値観にこだわって、他の価値観を受け入れない人は「真の国際人」とはいえません。知識や教養として外国の文化や行動様式、生活感覚などを理解し、他の国に行けば、その国の人間として無理なく生きることができる人こそが「真の国際人」です。多様な文化や価値観を理解し、適切な行動ができるようになってほしいのです。
 私自身、30歳のときにアメリカに赴任し、23年間の駐在期間に日本とアメリカの価値観や発想の違いに、ずいぶん驚かされました。文化や行動様式、生活様式の違いがわかって、現地の人々と言葉の真意をわかりあえる本当の会話ができるようになりました。アメリカで経験したことが、私の人生にもっとも大きな影響を与え、人生観や行動の幅を広げてくれたと思っています。
 もうひとつ「真の国際人」として大切なものがあります。海外の優秀な人に会うと、共通したあることに気がつきます。それは彼らがきちんとした「倫理観」を持っていることです。おそらく彼らの宗教的なバックボーンからくるものだと思います。日本にも、「公徳心」という、それに似た価値観があります。「卑劣なことはしない」「うそをつかない」「弱いものいじめをしない」「困っているときには助け合う」といった精神は世界共通に持つべきものです。
 若い皆さんが「真の国際人」となり、世界人類の幸福のために貢献してくれることを私は切に願っています。

【私の意見】Up63

 <経済界も一枚岩ではない?>
 前半の記事「経済界、安倍政権とすきま風」を読んだとき、正に“あれぇー?”というのが私の正直な気持ちでした。安倍首相が昨年7月に出した著書「美しい国へ」と日本経済団体連合会(会長御手洗富士夫キヤノン会長)が今年の1月に発表した「希望の国,日本ービジョン2007-」は一卵性双生児のようにそっくりです。「教育再生,公徳心の涵養」と「憲法改正」を「希望の国,日本」を実現するにあたって不可欠であるとして,「新しい教育基本法の理念に基づき,日本の伝統や文化,歴史に関する教育を充実し,国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む。」「憲法改正案に関する国民的な合意を形成する。改正にあたっては,第9条第1項に規定されている平和主義の基本理念は堅持しつつ,戦力不保持を謳った同条第2項を見直し,憲法上,自衛隊の保持を明確化する。自衛隊が主体的な国際貢献をできることを明示するとともに,国益の確保や国際平和の安定のために集団的自衛権を行使できることを明らかにする。同時に憲法改正要件の緩和を行う。」と言い切ったのには驚きました。経済団体がなぜここまで踏み込んで時の総理と歩調を合わせるのかとても疑問でした。キャノンが請負契約を期間契約に変更したのは,記事でも指摘されているように、参院選で野党が過半数をにぎった途端,御手洗会長が国会喚問を受ける前にドタバタと態度を変えたとしか国民の目にはうつりません。日本経済団体連合会は参院選が終わるまでは安倍首相との蜜月ぶりを誇示していましたが、安倍晋三氏が敗北した途端すきま風というのはずいぶん変わり身が早いなと感じさせますが、経済人の中でも安倍路線と一体の御手洗路線に疑問をもつ人が増えてきたということかもしれません。

<「卑劣なことはしない」「弱いものいじめをしない」と言われても・・・>
 後半の記事、御手洗会長の若者たちへのメッセージは、同じ日の日本経済新聞にキャノンの広告欄として掲載されていました。私は日本経済団体連合会の会長が奥田トヨタ自動車会長から御手洗氏に変わると聞いたときは、国際感覚のある人が経済界の代表になることはとてもよいことだと思って期待していました。しかし、現実に御手洗氏が会長になってからの言動は安倍総理のコピーのようなものばかりで期待を裏切るものばかりでした。「希望の国、日本」は、御手洗氏が強調する「真の国際人」のビジョンとしてはむしろ国粋主義的な色彩が濃く打ち出されており、外国や外国人を上から見おろす基調となっています。「倫理感」とか「公徳心」とか「卑劣なことはしない」とか「弱いものいじめをしない」とか言われても、キャノンの請負労働者が偽装請負だとして栃木労働局や国会に訴えている事実の前には空虚な響きしか残りません。そもそもかつてのわが国の経済界のリーダーたちは道徳っぽい言葉を並べる前に、自分の会社のために汗を流してくれる人たちを無邪気に愛していたように思います。

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2007年9月 3日 (月)

取締役報酬6030万円 21%増

【取締役報酬が21%増 昨年度6030万円
            好業績で押し上げ 主要100社調査】

                   (8月28日 日本経済新聞 より)

 上場企業の取締役報酬が増えている。主要企業が2006年度に支払った1人あたり取締役報酬額は6030万円と05年度に比べ21%伸びた。業績連動型の報酬制度が広がり、ここ数年の業績好調を反映している。会社法の施行に伴い、昨年度からストックオプション(株式購入権)を取締役報酬に含め始めたことも増加要因だ。
 3月決算の上場企業のうち、3月末時点の時価総額上位100社の有価証券報告書を調べ、前の期と比較可能な97社を集計した。役員賞与や退職慰労金を含めた年間の報酬総額を取締役の人数で割って計算した。
 05年度の増加率は15%で、06年度はこれを上回った。06年度に1人あたりの取締役報酬が増えた企業は全体の67%にあたる65社。集計対象企業の06年度の経常増益率は7.4%で、取締役報酬の増加率はこれに比べ高い。労働経済白書によると、06年の現金給与総額は05年に比べて0.3%の伸びにとどまっており、従業員との報酬水準の差は拡大傾向にある。
 1人あたりの取締役報酬が最も多かったのは、カルロス・ゴーン社長が率いる日産自動車で2億7980万円。同社では「各取締役の責任を明確にしており、世界の多国籍企業と比較すると高額ではない」と説明している。
 取締役報酬は、一時的な退職慰労金に左右されやすい。退職慰労金を除く1人あたりの役員報酬額は27%増の4850万円。
 日本企業は米国企業と比べると報酬額は少ない。トヨタ自動車の1人あたり役員報酬と賞与金は監査役を含むベースで7726万と、約2300万円増加した。好業績による伸びに加え、昨年廃止した取締役退職慰労金相当額を月額報酬に組み込んだことも報酬増につながった。
 これに対して、業績不振が続く米ゼネラル・モーターズ(GM)の主要役員6人の報酬額は約41億円。1人あたりの報酬は6億8000万円にのぼる。米国の経営トップの06年の平均報酬額は約17億円との調査結果もある。
 米国では経営陣への高額報酬を監視するため、06年に開示ルールを強化。年次報告書で報酬額上位5人の過去3年分の報酬額を公表する。日本では内訳の開示は義務ではないが、米国では、給料、ストックオプションなどの内訳も開示する必要がある。

【厚生労働省編 「労働経済白書」 2006年度版】

<拡大する非正規雇用>
 総務省統計局「労働力調査(詳細結果)」によると、2006 年1 ~ 3 月期の役員を除く雇用者5,002 万人のうち、正規の職員・従業員が3,340 万人(役員を除く雇用者に占める割合66.8 %、前年同期差0.9 %ポイント低下)となっているのに対し、パート・アルバイト、契約社員、派遣社員等の非正規の職員・従業員は1,663 万人(役員を除く雇用者に占める割合33.2 %、前年同期差0.9 %ポイント上昇)となっている。長期的な推移をみると、1990 年代半ば以降、非正規の職員・従業員割合は上昇幅が大きくなり、パート・アルバイトの割合は、95 年の17.3 %(825 万人)から2001 年の23.0 %(1,152 万人)へ上昇している。派遣社員の割合は、統計が継続して取れる2000 年の0.7 %(33 万人)から2006 年1 ~ 3 月期の2.4 %(121 万人)まで上昇している。

<事業所は、労務コスト削減のために非正規を活用>
 (独)労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」により、事業所が非正社員の割合を高めている理由を見ると、「労務コストの削減のため」が最も多く、約8割となっている。
 職場の中において非正規雇用比率が上昇している要因は、企業のコスト意識の高まりを主因とするものであり、業務マニュアル化やソフトウェアの活用による作業の標準化が進んだことを理由としてあげる事業所は少ない。

<若年層における非正規雇用比率の高まりに伴い今後の所得格差の拡大が懸念される>
 このように、今のところ我が国社会においては、世帯単位でみた所得格差の明確な拡大傾向は認められないと考えられるが、1990 年代を通じて若年層において非正規雇用比率が大きく上昇したことから、収入の低い労働者の割合が高まっており、今後の行方が懸念される。
 先に見たように正規雇用と非正規雇用の間には賃金格差があるが、年齢階級別に非正規雇用比率の変化をみると、1990 年代を通じて、特に、20 ~ 24 歳層において非正規雇用比率が大きく上昇している。20 歳台の収入階級別雇用者割合をみると、150 万円未満の収入の低い者の割合が増加するとともに、500万円以上の収入の高い者の割合も増加しており、収入格差の拡大の動きがみられる。また、非正規雇用比率の上昇に伴う低収入層の割合の上昇は、他の年齢層と比べても、特に、20 歳台で大きなものとなっている。

     年収入 階級別 雇用者構成
   Hakusyo0792
    資料出所 総務省統計局 「就業構造基本調査」

 さらに、正規雇用と比べ非正規雇用では職業能力開発の機会も十分ではなく、非正規雇用ではキャリア形成が十分ではないことから、非正規雇用の賃金は正規雇用に比べあまり上昇しない。
 収入の低い労働者が若年層において増加しているが、今のところ、収入の低い者の多くは親と同居していることなどから、こうした動きは世帯単位でみた所得格差の拡大に直接つながるものではないと考えられる。しかし、今後、これらの層が独立しなければならなくなった時に、所得格差が拡大したり、固定化することが懸念される。最近では、フリーターの減少など状況の改善がみられるが、景気の持続的回復傾向の中で若年者の正規雇用化の動きを推進し、若年者の職業的自立を通じて格差の固定化を招かないようにしていくことが重要である。

<低所得層で上昇する平均消費性向>
 低所得層において、将来に向けた生活設計や長期的な支出計画が立ちにくくなっていると危惧される。平均消費性向を年間収入階級別にみると低所得層ほど上昇が大きい。また、年間収入階級別にみた貯蓄率や貯蓄現在高は、年間収入の低い層ほど貯蓄率は低く、貯蓄現在高も少ない。所得の低い層の消費性向の上昇は、これらの層の貯蓄がますます難しくなってきていることを意味し、今後、貯蓄保有世帯の割合が低下することが懸念される。
 日々の生活には様々な出来事があり、家計支出には想定していなかった支出が急に求められることもある。貯蓄保有世帯の割合が低下するということは、こうした家計の不測の事態に対し許容度が低下することを意味する面もあり、かりに、それぞれの家計が、このような不測の事態を乗り切ることができなかったとすると、さらなる消費の切りつめなど、より厳しい事態へと進展していく恐れもある。

【私の意見】Up63

 1人あたり取締役報酬6030万円は年収150万円の人の40年分、年収200万円の人の30年分ということになります。20歳代の人の21.8%が年収150万円未満、30歳代の人の22.1%が200万円未満です。日本経済新聞は取締役報酬について日本企業は米国企業に比べ少ないと記述していますが、そんなことよりもこの国で働く人たち、とりわけ日本のこれからを担う20代、30代の人たちの現状を直視することの方が重要です。非正規雇用を拡大し(時には偽装請負などの違法労働をさせながら)、労働者の雇用の不安定化、賃金の低額化を推し進める一方、自己の報酬を21%も増やすことの是非を論じる必要があります。2006年版労働経済白書を引用したのはそのような視点から考察するためです。

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