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2007年8月 3日 (金)

韓国女性労組「非正規」支援へ複合体

                    (8月1日 朝日新聞夕刊 より)

【越境する女性労組 非正規支援へ複合体】

 「韓国女性労働者会(KWWA)」「韓国女性労働組合」「働く女性のアカデミー」・・・・。
 ソウル市西部。6階建ての細長いビルの入居者表示に,「女性」をかぶせた組織名がずらりと並ぶ。女性労働の「複合連合体」が,そこにある。
 複合体誕生のきっかけは,97年のアジア通貨危機だ。失業者の急増に対応するため派遣労働も解禁され,女性を中心に不安定な非正規雇用が一気に拡大した。
 悲鳴の受け皿となったのがKWWAだ。軍事政権下に労働運動で解雇された女性らが,女性の労働運動支援を目指して87年に発足。そのホットライン「平等の電話」に通貨危機後,解雇された女性の相談が殺到した。
 自殺や一家離散など,男性の悲劇は次々報道された。「でも,女性は夫がいるから,と問題にもされなかった」。KWWA副代表のチョン・ムンジャさん(46)は振り返る。「理解を得るにはまず事実から」。アジア女性労働者委員会(CAW)事務局から戻って代表になったイ・チョルスンさん(53)らが失業対策本部をつくり,調査を始めた。
 夫の病気や母子家庭などで一家を担う女性が2割もいた。6割の女性が零細企業に働くため失業手当がない。地域の人脈頼みで仕事を探すので失業率も実際より低く出る。こうした実態を公表し,深刻さを訴えた。

【韓国女性労働者会が運営する自立支援センター】

 韓国南部の馬山。10人近くの女性がリサイクル用空きびんの選別に忙しい。KWWAが運営する自立支援センターだ。
 女性の失業に目を向けさせたKWWAは,当事者の支援にもその翼を広げた。政府の失業対策事業の委託を受け,この地区では介護や弁当作りも含め7事業を始めた。肉体労働中心だった事業に,女性もできる福祉・家事労働を取り入れた。
 労働教育の拠点「働く女性のアカデミー」と連携し,自信を失いがちな失業者のカウンセリングや職業訓練も行う。
 「失業で孤立感を味わっていたが,ここで仲間ができた」と40代の女性。「公営住宅の手付金が出せなかったときは,仲間が持ち寄ってお金を貸してくれた」
 失業から抜け出せたとしても安心ではない。ワーキングプアを生む非正規雇用は,働く女性の7割に。多国籍企業が集まる馬山の輸出加工区の女性行員の間では,「必要なときに必要な人手を」の労務管理で1ヵ月契約の細切れ雇用が横行。更新されない不安から月末に体調が悪くなる「月末ストレス」も広がる。

【非正規職保護法の施行・有期労働者の無期雇用化の実現】

 99年に発足した「韓国女性労働組合」も,そんな働き手の支援が目的。失業者でもパートでも会社と交渉できる労組が女性には必要,との現実主義が「なぜ女性だけ?」とのスジ論に勝った。
 結成直後,「43歳定年制で解雇される」と駆け込んだのがゴルフ場のキャディーたちだった。「社員でなく自営業」と会社は交渉を拒否した。「ここで負けたら後はないと必死でした」と同労組の委員長パク・ナムヒさん(44)。キャディー労組をつくり,議員やマスコミに働きかけて「実態は労働者」とキャンペーン。正社員と同じ定年に引き上げさせた。
 7月1日,活動に押される形で非正規職保護法が施行された。2年以上続けて働く有期労働者の無期雇用化や,正社員と同等の仕事をする有期労働者の差別禁止が盛り込まれた。政府も6月末,公務部門の非常勤職員のうち約7万人の無期雇用への転換を発表した。
 非正規化,サービス業化が進む韓国。「女性の問題に向き合っていたら,男性も含む新しい働き手の運動モデルができてしまった」。ナムヒさんは笑う。           (編集委員・竹信三恵子)

【私の意見】Up63

 日本の労働組合は企業別労働組合で,大企業の経営幹部の中には労組幹部を経験した人が少なくありません。経営者だけでなく労働組合も“わが社が他社に負けず勝ち残ることこそが第一優先”であり,会社がつぶれると元も子もないという共通認識のもとに労使協調の労働組合がほとんどです。ストライキという言葉は日本では今や死語に等しくなりました。これら労働組合の組合員は大企業の正規社員が中心で,労働者の組織率はとっくに20%を割っています。非正規の労働者の男性も女性もカヤの外で,日本の労働組合は会社と一体となって恵まれた労働者の既得権を守っているだけだという批判が生まれるゆえんです。
 衛星放送で韓国の労働者がデモやストライキを強行し,機動隊と激しくぶつかっている映像をよく見ます。闘わない日本の労働組合に対し韓国の労働組合は警察による逮捕をモノともせず闘っていると,その違いに驚きます。韓国女性労組についてのこの記事を見て韓国は女性たちも底辺に埋没しそうな女性労働者を支えながら複合運動体を築いていることを知りました。
 日本の場合は,女性はまだまだ男性の影に押しこまれ“家計を助けるために働く”という補助型にはめられています。日本ではゴルフ場のキャディの女性がストライキをしたり,団結して権利要求をするなどおよそ考えられません。そんなことが起ころうものならゴルフ場の会員である「紳士」たちが“わが名門ゴルフ場の名をけがすもの”とマユをひそめて,結果的には支配人とキャディーたちが職を失うのがおちでしょう。
 私は,でも,いつかある日,日本の女性労働者たちが一斉にゼネストをしてくれる日を夢見ています。男性たちは経営者に首根っこをつかまれていて,元気がなく多くを期待できませんが,今の閉そくした労働環境を打ち壊すのは女性労働者しかないのではないかと期待せざるを得ないからです。

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