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2007年8月28日 (火)

安倍改造内閣 政策見えぬ空虚な船出

【編集委員 星 浩】
                      (8月28日 朝日新聞 より)

 にぎやかな内閣改造劇を遠目で眺めれば,この騒動が政治大乱第2幕の序章に過ぎないことが分かる。
 第1幕は,参院選での自民党の歴史的惨敗だった。敗因が「安倍政権と民意とのズレ」にあったことは,自民党自身が総括文書で認めている。
 年金問題で国民の不安が募っている時に安倍首相は「憲法改正」を争点に掲げる。格差拡大に苦しむ参院「1人区」から悲鳴が出ているのに,なすすべがない。都市部では改革に対する自民党の熱意に疑問が生じたが,それには明確な答えを示せない。そして自民党を率いた安倍首相の責任は問われないのか-。
 あくまで続投するという安倍氏が,こうした民意とのズレを正しつつ挙党一致の態勢を整えることが,内閣改造の目的だったはずである。
 結果はどうか。外交路線や歴史認識で安倍氏と立場が隔たる福田康夫,谷垣禎一両氏らを取り込むことはできなかった。町村信孝,伊吹文明,高村正彦,額賀福志郎各氏ら恭順の意を示した派閥会長クラスを登用。政権延命のための多数派づくりという狙いが見える。
 地方の反乱にどう応えるのか。構造改革路線との折り合いをどうつけるのか。安倍氏や新閣僚から,具体的な処方箋は聞かれなかった。参院選の直後に「首相は退陣すべし」と威勢の良かった人が,一転して入閣に応じる光景も寒々しい。何よりも,この改造を経て,どんな政策を断行するのかが見えてこない。安倍政権の出直しは,空虚なものとなった。
 政治大乱の第2幕は,与党が政策を競い合う舞台である。臨時国会で焦点となるテロ対策特別措置法は,日米同盟と国連中心主義との兼ね合いを論じ合う格好のテーマだ。イラクで輸送活動を続ける航空自衛隊の撤退問題も,合わせて爼上に乗せる必要がある。
 年金制度の抜本改正,政治資金の透明化拡大,農業再生など論争の材料は尽きない。
 参院選で大きく傷ついた安倍内閣が,改造後も浮揚のメドが立たなければ,いずれ総辞職を余儀なくされる。自民党は新総裁を選んで出直すことになる。一方,民主党は参院を主戦場に政府・与党を攻め立てる。参院選のマニフェスト(政権公約)を肉付けする作業が求められるが,与党側は財源問題を突く作戦だ。
 与野党の真剣勝負を民意はどう判断するのか。内閣改造で始まった政治大乱の第2幕は,参院の解散・総選挙という最終章まで続く。

【自民党,賛否が交錯 森元首相皮肉「お友達残った」】
                   (8月28日 日本経済新聞 より)

 自民党内では27日,内閣改造・党役員人事を巡り賛否が交錯した。森嘉朗元首相は神戸市内の講演で「実務型でいい顔ぶれだ」としつつも,石原伸晃政調会長の起用や渡辺喜美行政改革担当相の留任などについて「『お友達内閣』の年中・年長(組)の皆さんが残っている」と皮肉った。
 参院選の惨敗にも触れ「(改造は)地方に対する姿勢が見えない」と指摘。総務相への増田寛也氏の起用は「改革派だ。必ずしも田舎をわかった人ではない」と述べた。
 三人が入閣した津島派の津島雄二会長は記者団に「できるだけ広く人材を求めて挙党態勢でやっていこうという気持ちは受けとめられた」と評価。山崎派の山崎拓会長は,甘利明経済産業相の留任と遠藤武彦氏の初入閣について「適材適所に近い努力の跡が見られる」と語った。
 入閣ゼロの谷垣派の谷垣禎一会長は「力があり能力がある人をうまく使っていくことも大事だ。そういう点で若干残念だ」と不満をにじませた。

【外れた矢野氏,直接抗議】

 従来通り2ポストを確保した参院側も不満がくすぶっている。参院が最優先の入閣候補として推した矢野哲朗前参院国会対策委員長は27日夜,首相に電話して入閣から漏れたことを約25分にわたり抗議した。
 「政治家・矢野を否定することになる。明確な説明をしてほしい」と迫る矢野氏を首相はこうなだめた。「矢野さんが悪いわけではない。人事全体のことを考えた。もし続投すれば,次は必ず起用する」

【私の意見】Up63

 政治家としての安倍晋三氏の識見・力量,また一個の人間としての安倍晋三氏の懐の深さ具合は,まあこの程度だろうなというのが率直な思いです。この組閣人事にはいささかの感動もありません。テロ特別措置法に反対する小沢民主党と比べると,安倍政権は米国のブッシュ政権同様もうすでにレイムダックの様相を呈しています。

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2007年8月23日 (木)

公務員に増えるうつ病 欠ける助け合い

【「心の病」自治体でも増加 
           仕事量増えた/職場の助け合い減った】

                      (8月23日 朝日新聞 より)

 自治体の半数近くで、過去3年間にうつ病や神経症などの「心の病」になる職員が増えていることが、社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所のアンケートでわかった。企業と同様、自治体でも1人あたりの仕事量が増えて職員同士の助け合いが減り、職場のストレスを高めているようだ。
 社会経済生産性本部が今年4月、全国の都道府県や市区町村など1874自治体にアンケートを郵送、727自治体から回答を得た(回答率39%)。同研究所は、これまで企業などを対象にメンタルヘルスに関する調査を実施してきたが、自治体は初めて。
 過去3年間の心の病の増減傾向を尋ねたところ、48%の自治体が「増加傾向」と答えた。36%が「横ばい」で、「減少傾向」は4%しかなかった。特に規模の大きい自治体では、その傾向が強く、職員数3千人以上の自治体では79%が増加傾向にあった。同研究所が06年に行った企業アンケートでは、3千人以上の66%が「増加傾向」と答えており、自治体の方が13ポイント高い。
 また、回答したうち98%の自治体が「住民の行政を見る目が厳しくなっている」と感じていた。95%が「1人あたりの仕事量が増えた」、49%が「職場での助け合いが減った」と感じていた。
 「職場での助け合いが減少した」という自治体では、心の病が増加した割合が56%。「減少していない」自治体では40%だった。
 同研究所は「仕事量の増加や職場での助け合いの減少が心の病につながる傾向は、自治体も企業も同じだ。自治体の場合は住民の目も厳しく、その大変さを職員がバラバラに受け止め孤立してしまうと、今後も心の病が増える可能性は高い」と分析している。

【進む職場の荒廃・腐敗した管理者の心】

 地方公務員だけでなく、国家公務員の間でもうつ病が増えています。公務員は身分が保障されており、よほどのことがない限り免職されたり降格されることはありません。お互いに身分を保障されているのだから助け合って生きていけばよいと思うのですが現実はそうではありません。働くうつの人の弁護団に相談があり、私が担当した2つの事件についてご紹介します。以下は私の論文の引用です。

1 国家公務員A君(男性、24歳)
  新人研修終了後、女性の多い職場に配属される。職場に馴染もうと努力するが、「男性のくせに 覇気がない」などのセクハラ発言を受け、ストレスがたまり、メンタルクリニックに通い薬を服用し始めた。職場で服用しているのを上司に見つかり、診療所に連れていかれた。診療所の医師は“少し様子をみましょう”という鷹揚な対応であったが、配属先は条件付採用期間である6ヵ月以内にA君を退職させることを決め、A君に上司数名(年齢はいずれも40歳以上)で依願退職を迫り、依願退職をしなければ分限免職をする旨おどした。
  弁護団に依頼があり、私たちが代理人として配属先を訪ね、退職強要をやめるよう求めた。しかしながら配属先は強硬に“依願退職しなければ分限免職をする。分限免職になれば本人に傷がつくので、退職するのが本人のため”というおどしに終始し、とりつく島がなかった。私たちは本庁に掛けあえば何とかなるだろうと思い、分限免職が認められる事案ではないので配属先を指導して欲しい旨要望したが、本庁の管理者は、本庁も同じ考えであるとの態度をとった。法的には分限免職が認められるとは到底思えなかったが、条件付き採用期間中の公務員が争うには訴訟しかなく、数年に及ぶ訴訟期間は裁判は勝ってもA君がボロボロになることを懸念した。A君は他の試験をめざすこととなり、結果としては依願退職をした。A君が私たちに対して自分を評価し、応援してくれる大人がいることを知って、元気が出てきたと言ってくれたのがせめてもの救いであった。

2 地方公務員B氏(男。37歳)
  3年前にうつ病になり7ヵ月間病気休暇ののち、3ヵ月間職場復帰訓練を受けて復職した。その後1年余り支障なく普通に勤務していたが、労働組合の支部長に立候補し当選したのを捉え、所属長が抗うつ薬を飲んでいるから病気が治癒していないとして内科の産業医に強引に面接させた。産業医による保健指導という名目のもとに翌日より出勤停止措置をとった。精神科医の主治医は就業可能との診断をしており、弁護団に依頼。出勤停止措置は地方公務員法上根拠がなく、明白な違法措置である。直ちに撤回を求めるとともに、産業医との面接を希望したが実現せず、逆にB氏に無断で産業医と所属長が主治医に会い、診断の変更を求めるという患者の人権侵害行為を行った。さらにB氏に対し、詫び状を出させるなど管理者としての支配的立場を利用して事態をごまかそうとした。最終的には所属長もあきらめ、7ヵ月後に復職させた。その直後B氏は夜間勤務を命ぜられ、仕返しとしか思われない処遇により、うつが一層重くなり、今なお苦しんでいる。

 日本の企業や官庁は十数年にわたりストライキも団交もなく、すべてが整然と組織的かつ効率的に動いているようにみえる。しかし、うつの労働者をサポートして驚いたことはすさまじく進行する職場の荒廃である。
 A君の上司であった40歳以上の国家公務員の男女数名は、集団的官僚主義の中で粛々と働き、異端と思えるものは目をつりあげて排除に走った。B氏を排除するため違法行為を重ねた所属長と産業医は、不承不承復職を認めたのち、うつ病に悪い職場へのリベンジ配転を強行した。後でこれを聞いた私の心は凍りそうであった。

【日本人の心の質】

 以下も私の論文の引用です。

 小泉構造改革は政府と経済界が一体となって人をコストとみなし、平然とリストラを行い、職場では成果主義を強調し、人と人を競争させた。その結果、職場がギスギスとしたものになり、過労死やうつ病やうつ病による自殺を生んだ。政府・経済界と「学者」の責任は大きいが、それに乗って足の引っ張り合いを演じた日本人の心の質も問い直してみる必要がある。
 日本の労働者は組織の中で、組織を優先することしか学んでおらず、すぐそばの隣人を思いやることに欠落している。集団主義の中で戦後62年間に多くの国民の心の中に形成された他者に冷淡な人間性を改善することは容易ではない。
 人は社会的動物であり、他者に役立っていると思えるときに本当の喜びを感じる。かなりの日本人は真の喜びを見失っているように思えてならない。職場で傷ついている同僚・部下を一人ひとりが大切にし、上司の過ちを正し、経営者に対し、歪んだ職場環境の是正を求める以外に閉塞感に満ちた職場環境を改善する道はない。

【私の意見】Up63

 ① 政治家は3~4流でも公務員は1流
 私の意見はほぼ論文で述べました。別の視点から少し付け加えますと朝日新聞の記事にもありますように、公務員を見る住民の目や国民の目が厳しくなったことも事実です。しかし最近の社会保険庁の解体劇にしても、政府は自らの失政を生身の人間(公務員)をスケープゴート(生けにえ)にして責任を転嫁し、問題の本質を隠蔽することが少なくありません。それに乗っかって“そうだそうだ、あいつらはたいして働いていないのにいい給料をもらっている”とはやしたてる日本国民の心の質も大きな問題です。私は戦後62年間日本の公務員は世界的レベルでも総体的には一流の仕事をしてくれたと思います。そうでなければ、3流、4流の政治家が日本経済にしろ医療を含む公衆衛生にしろ世界一級に仕上げることなどできる筈がありません。
 自らの無能を棚にあげて“諸悪の根源は官僚にある!”“日本の民主主義のために官僚支配を打破する!”と政治家があおると賢いわが日本国民はこれに同調してやんやの喝采を送るのがいつもの風景で、私はもう見あきました。
 
 ② 日本国民の民主主義力が問われる
 とはいえ私も日本の官僚制度に改善すべき本質的問題があることを否定するものではありません。私が言いたいのは制度としての問題点と生身の人間の問題をごちゃまぜにせずに、冷静に判断しなければいけないということです。これは日本国民の民主主義力の問題です。

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2007年8月17日 (金)

アフリカ支援 日本停滞

                      (8月15日 朝日新聞 より)

【資源外交 存在感増す中国 欧米諸国は軒並み増額】

 「アフリカ開発会議」(TICAD)やアフリカ支援が主な議題になる主要国首脳会議(G8サミット)の日本開催を来年に控え,日本のアフリカ支援策が改めて問われている。世界ではアフリカの貧困解消に大きな関心を持つ欧米諸国が援助を増やし,資源を求める中国なども支援を拡大する。だが,緊縮財政から途上国援助を削る日本では,援助に手詰まり感が漂う。貧しさにあえぐ人々と,地球市民としてどうやって手をたずさえるか。新たな知恵が求められている。

【アフリカ開発会議】

 対アフリカの支援や協力を話し合う国際会議。日本政府主導で国連開発計画などと共催し,アフリカ諸国首脳も招いて93年から5年ごとに開いてきた。来年5月,横浜で第4回会議(TICADⅣ)がある。

【アフリカの外交官から厳しい注文】

 アフリカの外交官からは「新しいTICADが必要だ。話し合ったことを実現するメカニズムが求められている」「TICADはアフリカについて話すだけのトークショーではない」などと,厳しい注文が相次いだ。
 在京のアフリカ大使でつくる「アフリカ外交団」も,外務省あて要望書で「TICADが,アフリカの発展にどのような影響を与え,現場に何をもたらすのかについて,疑問符をつけざるをえない」と指摘した。
 アフリカ外交団がいらだつのは,日本の対アフリカ援助に元気がないためだ。
 「金の切れ目が縁の切れ目。対アフリカ外交は手詰まり状況だ」。アフリカ外交を担う外務省の中堅幹部は,そう嘆く。
 途上国援助(ODA)全体の減額を反映して,対アフリカ援助額は00年から4年連続で減少。その後,小泉首相(当時)が05年4月,3年間でアフリカ向けODAを倍増させる方針を表明し,配分実績は04年の約6億5000万ドルから05年は11億4000万ドルに激増した。だが,この大半は債務免除と円借款分で,無償援助はほぼ横ばいだ。
 世界銀行によると,地球上で70年からの30年間に極度の貧困が3分の2近くに減ったのに,サハラ砂漠以南のアフリカでは1.4倍増えた。1日1ドル未満で暮らす貧困層は3億人で世界平均の2倍。「アフリカ問題」は数年来,G8サミットの主要課題で,欧米諸国は軒並み援助を増額した。日本は水をあけられる一方だ。

【アフリカと世界の格差】

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【庶民に届く援助 模索】

 ODAの司令塔とされる海外経済協力会議(議長・安倍首相)は,「経済成長によるアフリカの貧困削減」をテーマに,円借款で道路や電力施設などの経済インフラを整備するよう提言する。ODAと民間投資によるアジアの経済成長をアフリカで再現するため,経済インフラ整備で日本やアジアの民間企業を呼び込む狙いもある。
 アフリカ援助に詳しい神戸大学大学院の高橋基樹教授は,投資や貿易の促進には理解を示しつつ,アフリカを借金漬けにした過去の失敗を検証しないままの円借款再開には意義を唱える。「アフリカの貧困は,経済成長だけでは解消されない。成長の持続には,広く人々の貧困を削減することと,成長を促す支援策の循環を生み出すことが大切だ」と話す。
 市民の立場からアフリカ政策を提言するNPO「TICAD市民社会フォーラム」(TCSF,代表=大林稔・龍谷大教授)も成長促進への偏重がアフリカの格差を助長し,貧しい庶民が置き去りにされると懸念する。

【アフリカの声を聞け】

 日本の「国益」を基準にした援助を批判してきたTCSFのキャッチフレーズは,「アフリカの声を聞け」。来年に向けて10日に発表した提言書では,2013年までにアフリカ向けODAを05年の4倍に増やすことを要請した。
 援助の実施主体の一つである国際協力機構(JICA)も「これまでは援助が国と国との回路の中で止まって,一般の人々に届いていなかった」(黒川恒男アフリカ部長)。政府と草の根の人々の双方に力を入れる新たなアプローチを模索する。

【私の意見】Up63

 世界一モノとカネにあふれているニッポン。でも日本政府はニッポンの目先の利益を考えてしかカネを出しません。飢えや病気で今この瞬間にも命をなくしているアフリカの子どもたちの立場に立っての本当の意味の人道援助を行うという理念が本質的に欠落していて,残念です。

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2007年8月12日 (日)

地球を汚す 民主のネクタイ義務化提案

                      (8月10日 朝日新聞 より)

【民主、クールビズにも攻勢 ネクタイ義務化提案】

 民主党の攻勢はクールビズにも-。
民主党の西岡武夫参院議員運営委員長は9日の議運理事会で、本会議や委員会の審議中にネクタイ着用を義務づけるよう求めた。各派持ち帰って協議することになったが、西岡氏は「内閣に対する意見にもなる」として、政府が主導するクールビズの廃止論を唱えて牽制している。
 参院では、政府がクールビズを呼びかけた05年から、各派の合意に基づいて夏場の軽装を認めている。
 西岡氏は、会期末の10日に秋の臨時国会以降のネクタイ着用義務化の合意を得たい考えだが、自民党理事は「10日までは無理」などと反発。先例の変更も伴うため、「ケースをいくつか想定して覚書を作らないといけない」(民主党理事)との意見も出た。
 衆院では河野洋平議長の意向で本会議場内だけネクタイ着用を義務化。ちなみに民主党の小沢代表は、夏場でも国会内でネクタイを着用している。

【私の意見】Up63

 私は小泉前首相が日本を格差社会・分裂社会・軍事加担国家にした責任はきわめて重いと思います。私はとても好きになれません。でもクールビズだけは小泉氏の行った唯一良いことだと思っています。河野洋平衆院議長は従軍慰安婦のことに関する河野談話など良識があり、自民党の政治家の中では一番好感をもてる政治家です。ただクールビズについての河野氏の考えは同氏の良識が勝ちすぎて本質を見失っているかなと思います。
 クールビズはお気楽な服装ではなく地球にやさしい服装です。ネクタイを着用してかしこまって暑苦しい生活をすると冷房が必要になってきて結局地球の温暖化を促進するだけです。それに国会にしろ、企業にしろネクタイを締めていれば真剣で有益な議論や会話がされると考える発想そのものが個性的で創造的な芽をつんでいます。
 私は毎年6月1日になると待っていましたと衣替えをし、半袖シャツのクールビズで生活を楽しんでいます。私の仕事で最も厳粛な場所は裁判所の法廷ですが、法廷でもネクタイはつけません。裁判官は黒い法服とネクタイ姿で法廷に臨んでいますが、私は半袖ノーネクタイでつらぬきます。私は弁護士39年目に入っています。裁判官の99%以上が法曹としては私よりも後輩です。私がネクタイをはずさないと他の人は余計にはずせなくなります。年数だけはベテラン中のベテラン弁護士となった私が率先してクールビズを実行しないと、日本の社会は暑苦しくって地球にやさしくない社会に固定されてしまいます。
 クールビズで涼しく軽快な生活を経験してみるとネクタイを着用している背広姿の男性を見ると“アア、お気の毒に”と思ってしまいます。
 クールビズは見た目もいいなというのが私の印象です。国会も本会議であれ、委員会であれ、すごしやすい楽な服装で本音を出して意見をたたかわした方が国民のためになる結論が出る可能性が高い気がします。ネクタイをしめてかしこまって会議をしても硬直した考えしか出てこないでしょう。
 私としては10月以降もできればノーネクタイで過ごしたいという願望があります。でも秋以降もノーネクタイで過ごすには、おしゃれ感覚を求められ服装にかえってお金がかかるでしょうね。

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2007年8月 9日 (木)

集団的自衛権解釈変更 困難に 公明反対

                      (8月9日 朝日新聞 より)

【集団的自衛権 解釈変更困難に 公明側、反対を明言】

 安倍首相が意欲を見せる集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈の変更が当面、困難な見通しとなった。首相が設置した集団的自衛権を研究する有識者懇談会は、今秋にも行使容認を提言する方向だが、公明党の北側一雄幹事長が8日、憲法解釈の変更に反対する考えを明言したのに加え、参院の与野党逆転により自衛隊法改正など必要な法整備も難しいためだ。
 北側幹事長は会見で、憲法解釈の変更について「私どもは元々反対だし、参院で与野党が逆転しているので、そういうことができる状況ではない」として反対する意向を表明、法整備も難しいとの認識を示した。
 首相は懇談会に、公海上の米艦防護などに絞って集団的自衛権の行使が可能かどうか検討を指示。5月の国会答弁で「(新たな憲法)解釈にのっとって自衛隊が行動する場合は、根拠となる法律も当然必要だ」と述べ、法整備を前提とする考えも示している。
 自民党内の議論や内閣法制局によると、集団的自衛権の行使を容認する場合、行使の要件や手続を定める新規立法のほか、個別的自衛権の行使を前提にしていた自衛隊法に米国向けのミサイル迎撃などを加える法改正が必要となる。
 だが、公明党が反対している上に、民主党が国会で集団的自衛権の行使のための法整備に協力する可能性はない。政府内には憲法の解釈変更は「首相の国会答弁で足りる」との見方もあったが、この手法をとれば与党内からも拙速との反発が出るのは必至だ。

【小沢氏、反対伝える テロ特措法 駐日米大使と会談】

 民主党の小沢代表は8日、シーファー駐日米大使と党本部で初めて会談した。秋の臨時国会で焦点となるテロ対策特別措置法の対応について小沢氏は「アフガニスタンの戦争はブッシュ米大統領が『米国の戦争だ』と言って、国際社会の合意なしに米国独自で始めた。日本の直接の平和、安全と関係ない区域に米国や他の国と部隊を派遣して、共同の作戦をすることはできない」と同法の期限(11月1日)延長に反対する考えを重ねて表明した。
 シーファー氏はテロ特措法に基づくインド洋での自衛隊の給油活動について「日本が参加することで、(石油の安定供給など)日本の安全保障にも役立つ」と延長に理解を求めた。小沢氏は「米国を中心とした作戦は直接、国連安保理で認められていないという認識だ。国際社会の合意を取る努力を最初にしなければならない」と述べた。

 安倍首相は8日夜、「今後とも自衛隊の活動を続けていくことが期待されている。民主党側にも、こうした国際社会の期待、日本の責任についてお話をしていきたい」と語った。

【小沢代表、妥協せず】

 小沢氏  ブッシュ元大統領の時、私は自民党の幹事長で湾岸戦争があった。彼は国連決議まで開戦しなかった。国際社会の合意を取る努力を最初にしなければならない。
 シーファー氏  (小沢氏の著書の)『日本改造計画』で、日本が国際的な活動に、より積極的に参加しようと書いてある。日本が参加するチャンスだ。
 小沢氏自身が強調する「国際貢献」を引き合いにシーファー氏は延長への理解を求めたが、小沢氏は「米国を中心とした(アフガンの)作戦は直接、国連安保理で認められていない」。50分間の会談は平行線に終わった。

【韓国と北朝鮮 首脳会談開催 日本、薄まる存在感
               北東アジア安保 発言力低下も】

                       (8月9日 日本経済新聞 より)

 南北首脳会談の開催決定で、北朝鮮問題をめぐる国際舞台での日本の存在感は一段と薄まる。北朝鮮と米国、中国、韓国が担う構図が強まり、日本が北朝鮮政策のプレーヤーとして影響力を及ぼす機会は遠のきそうだ。北東アジア安保での発言力は低下しかねない。
 「核問題は6カ国協議で協議している。当然、韓国もそれを踏まえて対応すると期待している」。安倍晋三首相は8日夜、核問題の主舞台はあくまで6カ国協議だと強調した。麻生太郎外相に、拉致問題の解決に向けた「強い意志」を韓国に伝え理解を得るよう指示したとも明らかにした。
 核問題をはじめとする北朝鮮問題の包括決着の一環として、拉致問題も解決に導くのが政府の戦術。最終局面では「経済復興のため必ず日本の資金が頼られる」(政府高官)との読みがある。
 もっとも、最近の核問題は米朝協議の加速に続き、南北首脳会談の開催決定と6カ国協議以外の舞台回しが目立つ。
 政府は6カ国協議を将来、北東アジア安保の枠組みに発展させる構想を描いてきた。しかし、このまま日本を疎外する形で動きが活発化すれば、日本に不利に働く交渉が各国間で進みかねないと危機感を強めており、戦略の見直しを迫られる可能性もある。

【私の意見】Up63

 公明が軸足をそろりと平和シフトに移しつつあります。小沢民主党も安倍政権とは明確な一線を画し、テロ特措法の延期反対を貫く姿勢が明らかです。北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議では日本だけが殻にとじこもり、幼稚な外交は北東アジアにおいて外交をリードする力量は全く備えていません。経済復興のために日本の資金を頼りにしているなんて、おろかな思いあがりもいい加減にしたらどうかと思います。自民党内でも公然と安倍おろしの声があがってきました。安倍政権はどこから見ても息絶え絶えの状態です。「戦後レジームからの脱却」「美しい国、日本」を自信まんまんにしゃべっていた若き首相安倍晋三氏は、あっという間に旬がおわってしまった感があります。

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2007年8月 6日 (月)

公明参院選総括 立て直しへ展望開けず

【公明 立て直しへ展望開けず 政策の独自色にも限界】
                   (8月3日 日本経済新聞 より)

<参院選の総括に着手>
 公明党は2日、参院選後初の中央幹事会を開き、敗因分析を月内にまとめる方針を決めた。改選数を3議席割り込む大敗については、年金記録漏れや赤城徳彦前農相の事務所経費問題など自民党への批判の巻き添えをくった、との思いが強い。今後、政策面で独自色を強める方針だが、自民党と連立を組んでいる以上、限界があり、展望は開けていない。

<政治とカネで埋没>
 「(選挙結果は)大変厳しかった。心からおわび申し上げたい」。太田昭宏代表は中央幹事会で陳謝した。
 出席議員からは注文が相次いだ。やり玉に挙がったのは、自民党の中川秀直幹事長が1日に打ち出した政治資金規正法の再改正問題。「1円以上の領収書添付というなら最初からやればよかった、と地元支援者に言われた」。政治とカネの問題が起きるたびに繰り返される泥縄式の対応へのいら立ちが募る。
 この問題は公明が譲ることができない領域。それでも先の通常国会は参院選目前で自民との不協和音は望ましくないとの判断から「政治資金管理団体に限り経常経費の1件5万円以上の支出に領収書添付を義務づける」との内容で妥協した。公明幹部は「自民と同様に政治とカネの問題で動きが鈍いとみられたのかもしれない」と反省を口にする。

<内向きの総括>
 公明の総括は内向きの印象がぬぐえない。「愛知、埼玉、神奈川で過去最高得票。われらは大勝利」。公明の支持母体、創価学会は2日付の機関紙一面で公明候補が落選した3選挙区についてこう強調した。「大勝利」は学会の常とう句だが、仰々しい言葉の裏側には連呼しないと組織が緩みかねないとの不安がにじむ。
 太田氏や原田稔創価学会会長にとっては大規模な国政選挙は初めてだったが、大きくつまづいた。参院選敗北の責任のとり方があいまいな点も公明、創価学会の先行きを不透明にしている。

<安倍首相退陣論一時広がる>
 表立っては口にしないものの、首相への不満は強い。参院選投票日の7月29日。公明の一部に「自民が40議席を割れば首相の退陣は不可避」との見方が一時広がった。自民の出方が分からなかったため退陣論を自民より先行してぶつのはやめた経緯がある。
 参院選惨敗により、次期衆院選への危機感は深まる。仇敵である小沢一郎代表が率いる民主党に歩み寄る選択肢はなく、衆院選は現在の与党の枠組みで臨む公算が大きい。「参院選惨敗で自民は衆院選を『安倍首相』で戦うのはちゅうちょするだろう」。創価学会幹部は指摘する。埋没を避けつつ、存在感を発揮する-。公明の立ち回りは一段と厳しくなった。

【公明党惨敗 こんな総括でいいのか】
                     (8月5日 朝日新聞 社説)

 「私たちの実績、政策について支持があった」「安倍首相の続投は私どもも了とし、言うべきことは言うという姿勢を高めていきたい」
 公明党の太田代表の発言である。自民、公明両党は参院選で歴史的な敗北を喫し、過半数を失った。その直後、公明党はこんな総括で首相の続投容認、自公連立の継続をさっさと決めた。
 ちょっと結論を急ぎすぎていないか。昨秋に発足した太田代表、北側一雄幹事長の執行部体制を、とにかく維持したいという気持ちなのだろう。だが、今回の結果には公明党として総括すべきことが山ほどあるはずだ。
 まず、なぜここまでの敗北となったのか。支持母体とする創価学会の会員数などをもとに、公明党は地方選挙を含め、自党の候補者がほとんど当選する「完勝」型の選挙を続けてきた。なのに今回は、目標の13議席に遠く及ばない9議席にとどまり、98年以来の最低水準になってしまった。
 さらに比例区では、自民党の協力を得て、投票率も上がったというのに、前回より100万票近くも得票が減った。
 年金記録をめぐる社会保険庁の不手際や閣僚の失言、失態などで「反自民」の逆風が吹き荒れ、そのあおりを食った面はあるだろう。それにしても、深刻な党勢の衰退である。
 党の基本姿勢に揺らぎはなかったか。たとえば「政治とカネ」で、自民党と一緒になって抜け穴だらでの政治資金規正法の成立に手を貸した。クリーンが売り物の公明党なのに、不透明さを温存する側に身を置いてしまったのは、戦術の重大な誤りではなかったか。
 安倍首相は、憲法9条の根幹にかかわる集団的自衛権の解釈見直しを進めている。自衛軍を持てるよう、憲法改正を主張する。そうした、公明党の基本路線と矛盾する方向を打ち出している政権を支え、そして惨敗を喫したことに、末端の支持者や党内は戸惑っているのではないか。自民候補の応援に走り回った学会員らは立つ瀬があるまい。
 そもそも公明党は「大衆とともに」を立党の精神とし、「清潔、人権、平和、福祉」を党是とする。それに照らして、果たして安倍政権との連立は正しかったのか。政策や国会運営での連携も含め、連立の妥当性をいま一度、党内で真剣に議論する必要がある。
 なのに、太田代表らの態度は「まず連立の継続ありき」といわんばかりである。連立は創価学会に対する権力の攻撃を逃れるのが目的であり、政策は関係ない。そんな見方が、これでは勢いを増してしまうことにもなりかねない。
 「憲法より生活の重視を」「政治とカネの問題はもっと厳しく」。太田代表は選挙後、連立継続を確認するための安倍首相との会談で、こう注文をつけた。言葉だけでなく、その結果を出してみせなければ、だれも納得しないだろう。

【私の意見】Up63

 私は4月の東京都区議会議員選挙で4名の女性候補を応援しました。私の地元の大田区で3名を推薦しましたがいずれも大政党には属さない1人だけの女性候補でした。もう1人は大田区とは別の区の公明党の女性候補者Iさんです。Iさんは20年以上前からの知りあいで、今年になりIさんが久しぶりに事務所に見え、Iさんが区議会議員に立候補することを知り、Iさんに一言応援メッセージを送りました。私は陰ながら公明党が政権党の側でなくいつか大衆の側にもどってきてほしいという思いがあり、応援メッセージを送りました。Iさんは予想どおり余裕をもって当選し地域の安全や福祉のために走り回っています。堅い組織票をもつ公明党が今の自民党の改憲・成長路線と手を組むのか、本来の平和・福祉路線に立ち返り大衆の側にもどるのかで日本の政局は一挙に確実に大逆転します。これまで小泉前首相がイラクに派兵ができ、安倍首相が国会で強行な運営ができ、選挙でも参院選までは勝ち続けることができたのは最後は公明党が一緒に行動してくれたからです。私のかかわりからいいますと、天下の悪法・障害者自立支援法の成立に福祉の公明党が成立させる側にまわったのはとても残念でした。障害者自立支援法についての私の意見は私の小論「ノーマライゼーションに逆行する障害者自立支援法」をご参照下さい。
 公明党が自民党との連立に疑問をもち解消してくれることを期待します。

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2007年8月 3日 (金)

韓国女性労組「非正規」支援へ複合体

                    (8月1日 朝日新聞夕刊 より)

【越境する女性労組 非正規支援へ複合体】

 「韓国女性労働者会(KWWA)」「韓国女性労働組合」「働く女性のアカデミー」・・・・。
 ソウル市西部。6階建ての細長いビルの入居者表示に,「女性」をかぶせた組織名がずらりと並ぶ。女性労働の「複合連合体」が,そこにある。
 複合体誕生のきっかけは,97年のアジア通貨危機だ。失業者の急増に対応するため派遣労働も解禁され,女性を中心に不安定な非正規雇用が一気に拡大した。
 悲鳴の受け皿となったのがKWWAだ。軍事政権下に労働運動で解雇された女性らが,女性の労働運動支援を目指して87年に発足。そのホットライン「平等の電話」に通貨危機後,解雇された女性の相談が殺到した。
 自殺や一家離散など,男性の悲劇は次々報道された。「でも,女性は夫がいるから,と問題にもされなかった」。KWWA副代表のチョン・ムンジャさん(46)は振り返る。「理解を得るにはまず事実から」。アジア女性労働者委員会(CAW)事務局から戻って代表になったイ・チョルスンさん(53)らが失業対策本部をつくり,調査を始めた。
 夫の病気や母子家庭などで一家を担う女性が2割もいた。6割の女性が零細企業に働くため失業手当がない。地域の人脈頼みで仕事を探すので失業率も実際より低く出る。こうした実態を公表し,深刻さを訴えた。

【韓国女性労働者会が運営する自立支援センター】

 韓国南部の馬山。10人近くの女性がリサイクル用空きびんの選別に忙しい。KWWAが運営する自立支援センターだ。
 女性の失業に目を向けさせたKWWAは,当事者の支援にもその翼を広げた。政府の失業対策事業の委託を受け,この地区では介護や弁当作りも含め7事業を始めた。肉体労働中心だった事業に,女性もできる福祉・家事労働を取り入れた。
 労働教育の拠点「働く女性のアカデミー」と連携し,自信を失いがちな失業者のカウンセリングや職業訓練も行う。
 「失業で孤立感を味わっていたが,ここで仲間ができた」と40代の女性。「公営住宅の手付金が出せなかったときは,仲間が持ち寄ってお金を貸してくれた」
 失業から抜け出せたとしても安心ではない。ワーキングプアを生む非正規雇用は,働く女性の7割に。多国籍企業が集まる馬山の輸出加工区の女性行員の間では,「必要なときに必要な人手を」の労務管理で1ヵ月契約の細切れ雇用が横行。更新されない不安から月末に体調が悪くなる「月末ストレス」も広がる。

【非正規職保護法の施行・有期労働者の無期雇用化の実現】

 99年に発足した「韓国女性労働組合」も,そんな働き手の支援が目的。失業者でもパートでも会社と交渉できる労組が女性には必要,との現実主義が「なぜ女性だけ?」とのスジ論に勝った。
 結成直後,「43歳定年制で解雇される」と駆け込んだのがゴルフ場のキャディーたちだった。「社員でなく自営業」と会社は交渉を拒否した。「ここで負けたら後はないと必死でした」と同労組の委員長パク・ナムヒさん(44)。キャディー労組をつくり,議員やマスコミに働きかけて「実態は労働者」とキャンペーン。正社員と同じ定年に引き上げさせた。
 7月1日,活動に押される形で非正規職保護法が施行された。2年以上続けて働く有期労働者の無期雇用化や,正社員と同等の仕事をする有期労働者の差別禁止が盛り込まれた。政府も6月末,公務部門の非常勤職員のうち約7万人の無期雇用への転換を発表した。
 非正規化,サービス業化が進む韓国。「女性の問題に向き合っていたら,男性も含む新しい働き手の運動モデルができてしまった」。ナムヒさんは笑う。           (編集委員・竹信三恵子)

【私の意見】Up63

 日本の労働組合は企業別労働組合で,大企業の経営幹部の中には労組幹部を経験した人が少なくありません。経営者だけでなく労働組合も“わが社が他社に負けず勝ち残ることこそが第一優先”であり,会社がつぶれると元も子もないという共通認識のもとに労使協調の労働組合がほとんどです。ストライキという言葉は日本では今や死語に等しくなりました。これら労働組合の組合員は大企業の正規社員が中心で,労働者の組織率はとっくに20%を割っています。非正規の労働者の男性も女性もカヤの外で,日本の労働組合は会社と一体となって恵まれた労働者の既得権を守っているだけだという批判が生まれるゆえんです。
 衛星放送で韓国の労働者がデモやストライキを強行し,機動隊と激しくぶつかっている映像をよく見ます。闘わない日本の労働組合に対し韓国の労働組合は警察による逮捕をモノともせず闘っていると,その違いに驚きます。韓国女性労組についてのこの記事を見て韓国は女性たちも底辺に埋没しそうな女性労働者を支えながら複合運動体を築いていることを知りました。
 日本の場合は,女性はまだまだ男性の影に押しこまれ“家計を助けるために働く”という補助型にはめられています。日本ではゴルフ場のキャディの女性がストライキをしたり,団結して権利要求をするなどおよそ考えられません。そんなことが起ころうものならゴルフ場の会員である「紳士」たちが“わが名門ゴルフ場の名をけがすもの”とマユをひそめて,結果的には支配人とキャディーたちが職を失うのがおちでしょう。
 私は,でも,いつかある日,日本の女性労働者たちが一斉にゼネストをしてくれる日を夢見ています。男性たちは経営者に首根っこをつかまれていて,元気がなく多くを期待できませんが,今の閉そくした労働環境を打ち壊すのは女性労働者しかないのではないかと期待せざるを得ないからです。

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