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2007年7月17日 (火)

中流層こそ日本の「宝」

【分裂にっぽん】
                      (3月29日 朝日新聞 より)

<生活ぎりぎり 展望も見えず>
 取材班は暮らしの変化を直視するよう努めた。昨年2月にとりあげた大都市勤労者の典型的マイホーム,東京・高島平団地の地域には,会社や家族という共同体の弱まりでリストラと老後不安に漂う団塊世代,孤島のような高層棟でぎりぎりの生活を強いられる高齢者,社会参加どころか展望のない生活を続ける30歳フリーターらがいた。

<成長と安定の「バランサー」>
 資本主義経済では,中流層は労働と消費の「核」として「成長を支えると同時に経済を安定させるバランサー」(佐伯啓恵・京大教授)で,民主主義の安定装置としても機能してきた。

 中流育成にいち早く成功した「戦後日本」は幸運だった。だが90年代以降の地球規模の市場経済化とIT(情報技術)化は中流層の育成と維持を難しくする。わずかな差で先んじれば利益が膨らみ,富が一部に集中しがちだからだ。

 日本もこの競争から逃れるわけにはいかない。だが,バブル崩壊後の経済の長期停滞を脱するためだったとはいえ,市場メカニズムに委ねる「改革」の負の作用を軽視。中流層の分厚さを「悪平等。貧富差が小さいとやる気をそぐ」とし,格差拡大を「活力」と勘違いしていたのではないか。
 中流層の崩れを食い止めるには,将来を見通せる雇用確保が不可欠で,企業の役割は大きい。ところがこの10年で正社員数は1割減,非正社員数は6割増。非正社員が働き手の3分の1を占めるまで膨らんだ。長期安定雇用による連帯感は日本型経営の強みで,消費者層の維持にもつながった。非正社員を酷使する「低コスト経営」競争にどんな未来があるのか。

<グローバル化 政府は対策を>
 「短期の結果を追う米国流社会ではいつ解雇されるかわからず,企業への忠誠心を失う。長期発展への技術開発もおろそかになり,いずれ成長も衰える。安定した中流層は重要」とノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は警告する。
 技術や産業構造の変化にあわせ,働き手が新たな技能を身につけて再び仕事を得るには,職業訓練の充実など政府の支援も必要だ。貧困の再生産を防ぐには,公教育による底上げも欠かせない。貧しくても教育を受けて努力すれば進路が広がり,それで厚みを増した中流層から自然とエリート層も生まれる・・・・。だが現場では「競争は敗者をつくるが,いったん敗者になった学校や子どもに手をさしのべる施策がない」(高島平の公立中学校長)との声は強い。
 グローバル化の「果実」を得るためにも,分厚い中流層こそ日本の「宝」だと,いま一度気づくべきだ。

【「格差」の6年】
                       (7月8日 朝日新聞 より)

 6年前の参院選の光景を思い出す。確かに首相は叫んでいた。「改革には痛みを伴う」と。
 あのとき有権者は「恐れず,ひるまず,とらわれず」という首相の掛け声に応じて,痛みの中身を知らないままに支持した。その結果の小泉旋風が,時代の変わり目だった。
 「強い人がいれば弱い人を守ることができる」と訴えて,小泉首相は改革の旗を振った。製造業への派遣労働の解禁,1円起業の制度化などは,その典型例だ。
 だが,どうだろう。企業が最高益を更新しても,パートなどの非正規雇用が増えた。生活保護世帯も増えている。一方で,過疎化と高齢化が重なる。65歳以上が5割を超す過疎集落は全国で7800を超える。
 いまや「格差」は,所得,雇用,都市と地方など,さまざまな言葉と結びついて語られる。
 振り返れば,まるで「格差」の6年だ。そんな「格差」の現場で,参院選はどう語られているのか。

<アルバイト>
 東京・山谷。三門洋丈さん(21)は6月から,1泊1500円の2畳半で暮らす。「サウナやマンガ喫茶でも過ごしたけど割高だった」。仕事は引っ越し会社のアルバイト。18歳の夏から同じ職場で,日当は6500円。休みは月平均3日ほど。「いつ切られるか不安」。今春,妻子と別れ養育費を払う。

<タクシー業>
 熊本市中心部。客待ちの長い列にタクシー乗務員・菊池満穂さん(55)が並ぶ。月収は約19万円。02年の規制緩和で台数が増えた業界は,全国で運転手の待遇が悪化し,料金値上げ申請が相次いでいる。

<産科医不足>
 まもなく2人目を出産予定の主婦舘山乃奈さん(27)は青森県五所川原市の助産所に通う。助産師は福士レイ子さん(75)。だが,ここも来春で閉所される。高齢の嘱託医が産科を扱わなくなるからだ。「子どもが少ないから産め,産めと世間は言うけれどお医者さんがいない」。青森県の産婦人科・産科医は00年102人が04年94人に減った。人口10万人あたり6.3人で全都道府県で45番目。

<進む高齢化>
 石川県輪島市の輪島塗職人の大江喜八郎さん(71)は,3月の能登半島地震で自宅を失った。4畳半2間の仮設住宅に妻と住む。滞在できるのは長くて2年。「自宅を建てたいが,年をとって借金もできない」
 輪島市の65歳以上が人口に占める高齢化率は,00年の31.8%(全国平均17.3%)から,05年には35.0%(同20.1%)に。

【私の意見】Up63_43

 再び1億総中流社会をめざそう
 格差拡大の国会論戦で小泉前首相は「言われているほど日本社会に格差はない」「格差は悪いこととは思っていない」と言い張りました。各国のジニ係数を比較し,日本の格差は小さいと指摘する論調もあります(2006年12月6日 日本経済新聞)。しかし現実の格差は無視して良い差とは到底言えません。明らかに不平等であり,不公正です。同じ人として,同じ国民として格差のない社会をめざすのが国の本来の姿だと思います。今からでも私たちは再び1億総中流社会をめざしていきましょう。総中流社会はなまけ者が楽をし,才能のある人が埋もれるというのは市場原理主義を推進する政治家や「学者」たちがつくりあげたデマゴギーです。
 

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