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2007年6月29日 (金)

米 慰安婦決議 首相らの言動は世界の恥

【米下院 慰安婦決議案を可決 39対2で 表現の一部修正】
                    (6月27日 日本経済新聞 より)

 米下院外交委員会は26日午後(日本時間27日未明),旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で日本政府に責任を認めて謝罪するよう求める決議案を,一部修正し39対2の賛成多数で可決した。決議案は7月中に本会議に上程される見通しが強まっており,採決すれば可決の可能性が大きい。決議に法的拘束力はないが,日米関係に微妙な影響を与えそうだ。
 決議案は旧日本軍が「若い女性を『従軍慰安婦』として知られる性的奴隷」にしたと非難し,謝罪を求めている。民主党のマイク・ホンダ議員が1月末に提出した際の共同提案者は6人だったが,最終的には下院定数435の3分の1にあたる145人に上った。
 決議案は民主党のラントス外交委員長,共和党のロスリーティネン筆頭理事が共同で修正案を提示。「日本の首相は謝罪すべきだ」との原案の表現を「謝罪を公式の声明として出せば,これまでの声明の誠意について再三,繰り返されている疑問の解決に役立つ」に変えた。

【慰安婦問題に関する決議案の全文】
                    (6月27日YONHAP NEWSより)

 日本政府は1930年代から第2次世界大戦期間に、「慰安婦」と呼ばれる若い女性を日本軍に性的サービスを提供する目的で動員することを公式に委任した。日本政府による強制の軍隊売春制度「慰安婦」は、集団の性的暴行や強制流産、辱め、身体の切断や死亡、究極的に自殺を招いた性的暴行など、残虐性と規模で前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつだ。

 日本の学校で使われている新しい教科書は、慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の日本の戦争犯罪を縮小しようとしている。

 日本の公共、民間の関係者は、慰安婦の苦しみに対する政府の真剣な謝罪を盛り込んだ1993年の河野洋平官房長官の慰安婦関連談話を希釈したり撤回しようとする意図を示している。

 日本政府は、1921年に女性と児童の人身売買を禁止する条約に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響に関する国連安全保障理事会決議1325号も支持している。

 下院は、人間の安全と人権、民主的価値、法律の統治や安保理決議1325号への支持など、日本の努力を称賛する。

 日米同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益の礎で、地域安定と繁栄の根本だ。

 冷戦以降、戦略的な環境の変化にかかわらず、日米同盟はアジア太平洋地域で政治・経済的な自由と人権、民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保などを含む共同の核心利益と価値に基盤を置いている。

 下院は、日本の官僚や民間人の努力で1995年に民間レベルのアジア女性基金が設立されたことを称賛する。アジア女性基金には570万ドルが集まり、日本人の贖罪(しょくざい)を慰安婦らに伝えた後、2007年3月31日付で活動を終了した。

 以下は米下院の共同意見。

1.日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。

2.日本の首相が公式声明を通じ謝罪すれば、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。

3.日本政府は、日本軍が慰安婦を性の奴隷として人身売買を行った事実は決してないとする主張を、明確に、公開的に反論しなければならない。

4.日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育を行わなければならない。

【慰安婦決議 首相は深刻さを認識せよ】
                    (6月28日 朝日新聞社説 より)

 「日本政府は・・・・・歴史的な責任を公式に認め,謝罪し,受け入れるべきだ」
 米下院の外交委員会が,旧日本軍の慰安婦問題についての決議案を可決した。39対2の圧倒的多数だった。7月にも本会議で採択される見通しだ。
 日本が過去の過ちを反省していないと,米議会が国際社会の面前で糾弾している。その意味は重い。
 私たちは,首相の靖国神社参拝や慰安婦など歴史認識がからむ問題に,政治家が正面から取り組むべきだと主張してきた。戦前の行動や価値観を正当化するかのような言動は,日本の国際的な信用にもかかわることだからだ。
 それがこんな事態に立ち至ったことに,やりきれない思いである。日本がそんな国とみられているのかと思うと残念であり,恥ずかしい。
 決議案に疑問がないわけではない。歴代首相が元慰安婦におわびの手紙を出してきたことが触れられていないし,軍の関与を認めて政府として謝罪した河野談話の位置づけも不十分だ。
 しかし,決議案にあるように,河野談話を批判したり,教科書の記述を改めたりする動きがあったのは事実だ。慰安婦の残酷さを非難する決議案のメッセージは,真摯に受け止める必要がある。
 今回,決議案が採択の方向になったことについて,戦術的な失敗が指摘されている。今月,ワシントン・ポスト紙に決議案に反論する意見広告が掲載された。それが,沈静化していた問題に再び火をつけたという批判だ。
 確かに,40人あまりの与野党の国会議員とともに,安倍首相のブレーンの外交評論家まで名を連ね,決議案を「現実の意図的な歪曲」などと批判した全面広告は異様だった。4月の初訪米でおわびを述べた首相の言葉は台無しになったと言えるだろう。
 だが,問題の本質は,自らの歴史の過ちにきちんと向き合えない日本の政治自体にある。
 安倍首相は「米議会ではたくさんの決議がされている。そういう中の一つ」「コメントするつもりはない」と述べた。とんでもないことだ。日本に重大な疑念と非難が向けられているのである。河野談話やアジア女性基金などの取り組みを説明し,改めて認識を語るべきだ。
 首相は日米同盟の土台として「共通の価値観」を強調する。だが,決議案はその価値観にかかわる問題であることを,首相は分かっていないのではないか。
 日本は戦後,自由と人権を重んじる民主主義国として再生し,侵略と植民地支配などの過去を深く反省した。「過去の反省」が揺らいでいる印象を与えれば,価値観への疑念を招く。
 小泉前首相の靖国神社参拝以来,日本の歴史への取り組みに対する国際社会の目は厳しい。日本の民主主義は大丈夫なのか。今回の決議案はその警告として受け止めるべきである。

【「負の連鎖」招く恐れも】
                       (6月27日 朝日新聞 より)

 米国の知日派の間では,事態がこじれると「北朝鮮に対し,より柔軟な路線を取ろうとする人々に,日本の拉致問題をめぐる主張は道徳的信頼性に欠けると主張する口実を与える」(米戦略国際問題研究所のグリーン日本部長)という懸念が聞かれる。
 「中国との関係緊密化を狙う人々にも,日本は過去を反省しないので孤立する,あまり近づくべきでないと主張する根拠を与えかねない」という。米国の対アジア外交の中で日本がわき筋に追いやられてしまうかもしれないという見方だ。
 グリーン氏は「決議への反発は,日米関係だけでなく日本の戦略的立場をも傷つけることになる」と警鐘を鳴らす。
 米国で関心を集める日本の歴史問題は「慰安婦」にとどまらない。今年12月に70周年を迎える南京事件に対する関心もすでに高まっている。
 言われるような大虐殺はなかったという立場から,日本国内で国会議員の勉強会や映画を作る動きのあることに,米議会関係者は神経をとがらせている。今回の決議案可決の背景にはこの問題もあるという。
 米国内では一連の歴史問題は,あくまで日本と,中国,韓国との問題という見方がある一方で,「もう日米問題になっている」(ニクシュ氏)という声も出ている。

【私の意見】Up63_38

 2世,3世のボクちゃん議員たちの政治家としての資質の悪さには朝日新聞の上記社説同様とてもやりきれない気持ちです。安倍首相発言や意見広告を出した政治家たちの言動は日本の平和主義も基本的人権の尊重も少しも根付いていないことを世界に晒す結果となりました。米下院の共同意見は「日本政府は,国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い,現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育を行わなければならない。」としていますが,まさに首相らの祖父母(1世議員)や父母(2世議員)がこの教育を怠ったことのつけが,このような形で日本国民の恥を世界に晒す結果を招きました。
 首相は従軍慰安婦に関する発言について4月に訪米した際ブッシュ大統領に謝罪していますが,謝罪する相手を間違っているとともに,ブッシュ大統領に謝罪しさえすれば許されるとする態度に,米国民を甘く見ており,この軽々しさにもやりきれなさを感じます。

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コメント

決議は
慰安婦制度は日本政府による軍用の強制的な売春」と決めつけるなど、多くの誤りを含んでいます。

朝日の社説は
誤りがあっても何でもそのまま
ご無理ごもっともとして
認めろなんていうのだから
話になりませんね。

投稿: yamaguti | 2007年6月29日 (金) 16時30分

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