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2007年6月29日 (金)

米 慰安婦決議 首相らの言動は世界の恥

【米下院 慰安婦決議案を可決 39対2で 表現の一部修正】
                    (6月27日 日本経済新聞 より)

 米下院外交委員会は26日午後(日本時間27日未明),旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で日本政府に責任を認めて謝罪するよう求める決議案を,一部修正し39対2の賛成多数で可決した。決議案は7月中に本会議に上程される見通しが強まっており,採決すれば可決の可能性が大きい。決議に法的拘束力はないが,日米関係に微妙な影響を与えそうだ。
 決議案は旧日本軍が「若い女性を『従軍慰安婦』として知られる性的奴隷」にしたと非難し,謝罪を求めている。民主党のマイク・ホンダ議員が1月末に提出した際の共同提案者は6人だったが,最終的には下院定数435の3分の1にあたる145人に上った。
 決議案は民主党のラントス外交委員長,共和党のロスリーティネン筆頭理事が共同で修正案を提示。「日本の首相は謝罪すべきだ」との原案の表現を「謝罪を公式の声明として出せば,これまでの声明の誠意について再三,繰り返されている疑問の解決に役立つ」に変えた。

【慰安婦問題に関する決議案の全文】
                    (6月27日YONHAP NEWSより)

 日本政府は1930年代から第2次世界大戦期間に、「慰安婦」と呼ばれる若い女性を日本軍に性的サービスを提供する目的で動員することを公式に委任した。日本政府による強制の軍隊売春制度「慰安婦」は、集団の性的暴行や強制流産、辱め、身体の切断や死亡、究極的に自殺を招いた性的暴行など、残虐性と規模で前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつだ。

 日本の学校で使われている新しい教科書は、慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の日本の戦争犯罪を縮小しようとしている。

 日本の公共、民間の関係者は、慰安婦の苦しみに対する政府の真剣な謝罪を盛り込んだ1993年の河野洋平官房長官の慰安婦関連談話を希釈したり撤回しようとする意図を示している。

 日本政府は、1921年に女性と児童の人身売買を禁止する条約に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響に関する国連安全保障理事会決議1325号も支持している。

 下院は、人間の安全と人権、民主的価値、法律の統治や安保理決議1325号への支持など、日本の努力を称賛する。

 日米同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益の礎で、地域安定と繁栄の根本だ。

 冷戦以降、戦略的な環境の変化にかかわらず、日米同盟はアジア太平洋地域で政治・経済的な自由と人権、民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保などを含む共同の核心利益と価値に基盤を置いている。

 下院は、日本の官僚や民間人の努力で1995年に民間レベルのアジア女性基金が設立されたことを称賛する。アジア女性基金には570万ドルが集まり、日本人の贖罪(しょくざい)を慰安婦らに伝えた後、2007年3月31日付で活動を終了した。

 以下は米下院の共同意見。

1.日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。

2.日本の首相が公式声明を通じ謝罪すれば、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。

3.日本政府は、日本軍が慰安婦を性の奴隷として人身売買を行った事実は決してないとする主張を、明確に、公開的に反論しなければならない。

4.日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育を行わなければならない。

【慰安婦決議 首相は深刻さを認識せよ】
                    (6月28日 朝日新聞社説 より)

 「日本政府は・・・・・歴史的な責任を公式に認め,謝罪し,受け入れるべきだ」
 米下院の外交委員会が,旧日本軍の慰安婦問題についての決議案を可決した。39対2の圧倒的多数だった。7月にも本会議で採択される見通しだ。
 日本が過去の過ちを反省していないと,米議会が国際社会の面前で糾弾している。その意味は重い。
 私たちは,首相の靖国神社参拝や慰安婦など歴史認識がからむ問題に,政治家が正面から取り組むべきだと主張してきた。戦前の行動や価値観を正当化するかのような言動は,日本の国際的な信用にもかかわることだからだ。
 それがこんな事態に立ち至ったことに,やりきれない思いである。日本がそんな国とみられているのかと思うと残念であり,恥ずかしい。
 決議案に疑問がないわけではない。歴代首相が元慰安婦におわびの手紙を出してきたことが触れられていないし,軍の関与を認めて政府として謝罪した河野談話の位置づけも不十分だ。
 しかし,決議案にあるように,河野談話を批判したり,教科書の記述を改めたりする動きがあったのは事実だ。慰安婦の残酷さを非難する決議案のメッセージは,真摯に受け止める必要がある。
 今回,決議案が採択の方向になったことについて,戦術的な失敗が指摘されている。今月,ワシントン・ポスト紙に決議案に反論する意見広告が掲載された。それが,沈静化していた問題に再び火をつけたという批判だ。
 確かに,40人あまりの与野党の国会議員とともに,安倍首相のブレーンの外交評論家まで名を連ね,決議案を「現実の意図的な歪曲」などと批判した全面広告は異様だった。4月の初訪米でおわびを述べた首相の言葉は台無しになったと言えるだろう。
 だが,問題の本質は,自らの歴史の過ちにきちんと向き合えない日本の政治自体にある。
 安倍首相は「米議会ではたくさんの決議がされている。そういう中の一つ」「コメントするつもりはない」と述べた。とんでもないことだ。日本に重大な疑念と非難が向けられているのである。河野談話やアジア女性基金などの取り組みを説明し,改めて認識を語るべきだ。
 首相は日米同盟の土台として「共通の価値観」を強調する。だが,決議案はその価値観にかかわる問題であることを,首相は分かっていないのではないか。
 日本は戦後,自由と人権を重んじる民主主義国として再生し,侵略と植民地支配などの過去を深く反省した。「過去の反省」が揺らいでいる印象を与えれば,価値観への疑念を招く。
 小泉前首相の靖国神社参拝以来,日本の歴史への取り組みに対する国際社会の目は厳しい。日本の民主主義は大丈夫なのか。今回の決議案はその警告として受け止めるべきである。

【「負の連鎖」招く恐れも】
                       (6月27日 朝日新聞 より)

 米国の知日派の間では,事態がこじれると「北朝鮮に対し,より柔軟な路線を取ろうとする人々に,日本の拉致問題をめぐる主張は道徳的信頼性に欠けると主張する口実を与える」(米戦略国際問題研究所のグリーン日本部長)という懸念が聞かれる。
 「中国との関係緊密化を狙う人々にも,日本は過去を反省しないので孤立する,あまり近づくべきでないと主張する根拠を与えかねない」という。米国の対アジア外交の中で日本がわき筋に追いやられてしまうかもしれないという見方だ。
 グリーン氏は「決議への反発は,日米関係だけでなく日本の戦略的立場をも傷つけることになる」と警鐘を鳴らす。
 米国で関心を集める日本の歴史問題は「慰安婦」にとどまらない。今年12月に70周年を迎える南京事件に対する関心もすでに高まっている。
 言われるような大虐殺はなかったという立場から,日本国内で国会議員の勉強会や映画を作る動きのあることに,米議会関係者は神経をとがらせている。今回の決議案可決の背景にはこの問題もあるという。
 米国内では一連の歴史問題は,あくまで日本と,中国,韓国との問題という見方がある一方で,「もう日米問題になっている」(ニクシュ氏)という声も出ている。

【私の意見】Up63_38

 2世,3世のボクちゃん議員たちの政治家としての資質の悪さには朝日新聞の上記社説同様とてもやりきれない気持ちです。安倍首相発言や意見広告を出した政治家たちの言動は日本の平和主義も基本的人権の尊重も少しも根付いていないことを世界に晒す結果となりました。米下院の共同意見は「日本政府は,国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い,現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育を行わなければならない。」としていますが,まさに首相らの祖父母(1世議員)や父母(2世議員)がこの教育を怠ったことのつけが,このような形で日本国民の恥を世界に晒す結果を招きました。
 首相は従軍慰安婦に関する発言について4月に訪米した際ブッシュ大統領に謝罪していますが,謝罪する相手を間違っているとともに,ブッシュ大統領に謝罪しさえすれば許されるとする態度に,米国民を甘く見ており,この軽々しさにもやりきれなさを感じます。

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2007年6月25日 (月)

買収防衛策導入と株主総会の多数派工作

【ニュースがわからん! 委任状争奪戦って何なの?】
                       (6月23日 朝日新聞 より)

 コブク郎 楽天とTBSがやっている「委任状争奪戦」って何なの。株主総会と関係があるみたいだけど・・・。
 A  会社の重要方針を決める株主総会が今月下旬に多くの企業で開かれる。総会には経営陣が役員選任や株主への配当などに関する議案を出すが、株主にも提案権がある。楽天は買収防衛策導入の厳格化と、三木谷浩史楽天社長らの社外取締役選任を求めている。
 株主は持ち株数に応じて議決権があるが、自分で行使することもできるし、ほかの株主に行使を委ねることもできる。委ねる場合の書類が委任状だ。議案の可否は株主の多数決で決まるため、ほかの株主に自分の提案に沿った行使をしてもらうか、賛同を求めて委任状を集めようとする。委任状は英語でプロキシというのでプロキシファイトとも呼ばれる。自らの方針への指示を訴える「多数派工作」だね。
 
 コブク郎 TBS以外にも争奪戦があるの?
 A  アデランスは5月の総会で買収防衛策の是非を巡って外資ファンドと争い、経営陣側が勝利した。ドトールコーヒーは今月下旬、同業他社との経営統合を巡って外資ファンドと経営陣が争う。役員選任や配当金額が争点の企業もある。
 日本企業は長年、経営にはあまり口をはさまない安定株主に支えられる持ち合い構造が続いてきた。最近は、注文をつける外資ファンドなどの保有比率が高まり、争奪戦が増えているんだ。

 コブク郎 どうやって指示を訴えているの?
 A  株主名簿をもとに株主に手紙を送ったり、電話をかけたりして委任状を集める。持ち株数の大きい株主には直接会い、自らの議案を説明するケースもある。選挙にたとえれば、持ち株数の大きい企業や大口投資家は、いわば多数の組織票を握る団体の幹部だ。これに対し、個人投資家は浮動票のようなものだ。

 コブク郎 争奪戦はこれからも増えるのかな?
 A  株主総会に詳しいアイ・アールジャパン社の寺下史郎さんは「日本は米国などに比べ、株主提案がしやすく、勧誘対象の株主も調べやすい」と言う。経営をチェックすることに関して株主の意識は年々高まっている。今後も争奪戦となるケースは増えていきそうだ。 (中川透)

【米スティール代表初の会見 「投資、3-5年が基本」】
                    (6月13日 日本経済新聞 より)

 米投資ファンドのスティール・パートナーズを率いるウォレン・リヒテンシュタイン代表が12日都内で記者会見した。「企業との関係を重視し、3-5年の長期投資を基本とする」と説明。スティールが仕掛ける買収に、新株予約権使った防衛策で対抗するブルドックソースには「反対(活動)を進める」と述べ、差し止め請求などにより法廷で是非を争う可能性も示唆した。
 リヒテンシュタイン代表は欧州系証券会社が主催するセミナーで講演するため来日。記者会見を開くのは世界で初めてだ。

<スティール・パートナーズ>

 1990年にウォレン・リヒテンシュタイン氏が中心となって米国で立ち上げた投資ファンド。「スティール」の名称は初めての投資先が鉄鋼株だったことに由来する。投資先企業に株主還元などを積極的に働きかける「モノを言う株主(アクティピスト)」として知られる。
 欧米のほか日本、韓国などで投資。日本では2002年にスティール・パートナーズ・ジャパンを設立し、日興証券出身の西裕介氏が代表を務める。日本企業への投資は「スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド」が手掛け、サッポロホールディングスや日清食品などの食品株のほか、シチズンホールディングスの大株主になっている。

<ブルドックの買収防衛策 反対を言明>

 スティールにTOB(株式公開買い付け)を仕掛けられたブルドックは7日、新株予約権で対抗する方針を発表。24日に開く株主総会で出席株主の3分の2以上の賛成が必要な特別決議に諮る。スティールに割り当てる新株予約権は行使させない条項を盛り込んでおり、同代表は「会社法の株主平等の原則に反する」と批判した。
 また日本の産業界で、株式大量購入者に目的や事業計画などの開示を求めたうえで対抗策を発動する、「事前警告型」の防衛策を導入する企業が増えていることについて「世界の中でも最悪(の手法)」と強調した。
 同代表はスティールが「(保有株を投資先企業に買い取らせる)グリーンメールをやったことはなく予定もない」と高値での売り抜けを狙ったファンドではないと説明。日清食品が実施した明星食品のTOBに応じて、利益を得たことに対しては「経営陣が日清食品に売るように言ったからだ」と主張した。
 「資本構造や経営が非効率で、企業価値に比べ株価が割安な企業」を投資対象にすると表現。株価引き上げのための意見を会社に提出し、「反応がない場合はその意見を公開し、経営陣を交代させることや全株式を取得することもあり得る」と述べた。
 スティールが買収を提案したサッポロホールディングスなどからは「過半数の株式取得を目指しながら、実際の経営をする意思がない」との声も聞かれる。これに対し同代表は「企業のオーナーになることと経営者になることは別」と反論。「オーナーとして経営陣に権限を渡し、しっかりやってもらう」と述べた。
 「敵対的」とみられることが多い点については、「我々の要求は敵対的ではない。経営陣に前向きにとらえてほしい」と訴えた。

【ゴーン社長 矢面総会】
                       (6月21日 朝日新聞 より)

 カルロス・ゴーン社長就任後、初の営業減益となった日産自動車の株主総会が20日、横浜市で開かれた。「世界販売420万台」などの必達目標(コミットメント)の達成を1年先送りしたことに対する株主の視線は厳しく、ゴーン社長の辞任や役員報酬の削減を求める声が上がった。
 出席した株主は昨年より393人多く、過去最多の2135人だった。質問に立った株主は8人で、うち4人はゴーン社長の経営手法の問題点をただした。「ゴーン氏のだれも寄せ付けないカリスマ性が、社員の愛社精神を低下させている。ゴーン社長の役目は終わったのではないか」などの厳しい指摘も出た。

<減俸要求に拍手>

 取締役9人で計25億円という年間役員報酬額の削減を求める意見には、大きな拍手が上がった。
 さらに「日産にはなぜハイブリット車がないのか」など、トヨタ自動車やホンダが先行している環境技術面での遅れを指摘する意見も多かった。
 ゴーン社長は「目標未達という結果を真剣に受け止める」とあいさつ。前年、常勤取締役4人に計3億9千万円を支払った役員賞与を今年は支給しないことを表明した。
 それでもゴーン社長は「経常利益や営業利益率などは高水準だった」と反論。トヨタや本田に比べて「株価水準で過小評価されている」といらだちものぞかせた。
 07年4~6月の業績は前年同期を下回るとしながらも、08年3月期は世界で10車種の新型車を投入する効果などが見込まれるとして「当初予測は変更しない」と強気の見通しを示した。記者会見では、インド市場向けに1台3千ドル程度の超低価格車の開発が可能か、仏ルノーと共同調査していることも明らかにした。
 総会後の懇親会では、株主に囲まれてサインを求められるなど、人気の高さは相変わらず。ゴーン社長は「想定外のことも、驚くべきこともなかった。ご信任いただけたと思う」と話した。

【私の意見】Up63_37

<最近の株主総会もよう>

 このところ株主総会ラッシュで、これに関連する記事を3つ掲載しました。これまで日本の会社の株主総会と言えば、各企業は特殊株主としてマークする暴力団系株主による混乱を防ぐことに主力を注ぎ、それさえ防げばその他の株主は会社(取締役会)の提案にほとんど賛成していました。いわゆるシャンシャン総会がほとんどでした。ところがライブドアや村上ファンドの活躍(?)を契機として、ここ数年敵対的買収も増え一般株主の争奪戦が展開され、裁判闘争にもなっています。ブルドックソースの件では会社(取締役会)側の買収防衛策導入が6月24日の株主総会で3分の2以上の賛成を得て可決しました。しかし、スティール側は裁判所へ買収防衛策差し止めの申立てをしており、裁判所の判断が注目されます。裁判所は少数派株主の持分割合を多数派株主の決議で減少させることは、特段の理由がないかぎり認めないという立場をとってきましたので3分の2以上の賛成があったということでブルドック側の買収防衛策をみとめるかどうか微妙なところです。日産のゴーン社長に対する厳しい質問は昨年までとは違い、手のひらを返したようで非情のようにもみえますが、これが現実です。ただ大多数の株主はゴーン社長の提案には賛成しています。

<私と株主総会>

① 私が顧問をしている東証1部上場会社3社と未上場の大会社1社の定時株主総会が6月22日(金)から6月28日(木)の1週間に集中しています。5月後半から各社が株主に送付する招集通知状、事業報告書、計算書類、議決権行使のための参考書類等の事前チェックを行い、総会開催日が近づくと想定質問、リハーサル、総会当日の進行についてのアドバイスに追われます。今回ブログの更新が1週間空いてしまいましたのはこのためです。ご了承下さい。

② 私は、一方ではうつの労働者や障害のある労働者の代理人として他の企業を相手に内容証明郵便を送って労働者の立場で交渉し、訴訟も行っています。そんなこともあって私の顧問会社には、仮に労働問題が発生したときは私は代理人にはならないので他の弁護士に代理人を依頼していただくようお願いし了承してもらっています。なお私が顧問会社の労働者側の代理人となって顧問会社を相手方とすることは弁護士法上禁じられています。

③ 私の顧問会社の1つである㈱アシックスは、6月22日(金)に株主総会がありすでに終了しましたが、その準備のときに想定質問として、a,うつ病により休職している労働者の数と会社のメンタルヘルス対策 b,障害者の実雇用率について私から事前に書面で質問しました。回答は従業員4230名のうちうつ病による休職者は数名ということです。少ない方だと思います。障害者の実雇用率も法定雇用率をみたしていました。法務部長によるとCSR(企業の社会的責任)を重視し、各社員がボランティア活動を行っているとのことです。

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2007年6月18日 (月)

生命の終わり どう迎える

                   (2007年6月18日 読売新聞 より)

【尊厳死を考える】

 私の主張が日本尊厳死協会の井形昭弘理事長の主張とともに写真入りで読売新聞に掲載されましたので、紹介をかねてブログに転載させていただきます。

<「延命中止」のルール必要>
 
  日本尊厳死協会 井形 昭弘 理事長(78)

 延命治療の技術が進歩し、末期になっても命を長引かすことができるようになった。反面、闘病生活に苦しむ人には苦痛が続くことになる。
 本人が無意味な延命治療を拒否し、人間らしく自然の経過に任せて一生を終えたいと願うなら、その意思は尊重されるべきだ。
 これまでは、「途中で治療を打ち切ることは医学の敗北」と言われていた。私は神経内科医で、多くの患者をみとってきたが、植物状態になった人が延命装置で生かされている姿をみて、「本当に幸せなのか」と疑問を感じていた。
 治療をどこで打ち切るのか、患者と家族、医師との間にある「あうんの呼吸」で決められることは多い。だが、最終的に判断した医師が刑事罰に問われたり、問題視されたりするケースが後を絶たない。
 そうした事態を避けるためにも尊厳死の法制化を訴えている。延命治療を中止した時、誰もが納得できるようなルールを作る必要がある。
 反対派は、法制化によって生きる権利が奪われると考えているが、そうではない。苦しい治療を拒否する患者に、それを無理矢理押しつけないようにする必要があるという主張だ。
 ただ、意思の撤回はいつでも自由だ。延命治療を受けたいという人は十分な治療を受けていいと思う。

<「生」の根本に反する>

  安楽死・尊厳死法制化を阻止する会世話人
                   弁護士 清水 建夫

 尊厳死と聞くと、言葉の響きはいいが、根底には「動けなくなった人間は生きる価値がない」という発想がある。苦しい思いをしてして長生きをするなら、死んだ方がいいというのは、「生」の根本に反する。たとえ、どんな状況になっても、生きている喜びを感じ、周りの人もそれを支えるべきだ。
 リビングウイル(書面による生前の意思表示)によって延命治療をしないように求める人は、「末期には人に迷惑をかけたくない」という思いがある。残りの命がわずかになった時、周囲の人が「本人は延命治療を望んでいない」と言っても、「もっと生きたい」と気持ちが変わっているかもしれない。リビングウィルが必ずしも本心を示すものかは分からない。
 日本尊厳死協会は、尊厳死の法制化を求めているが、これが社会の中でルール化されれば、「見苦しい死に方をしてはいけない」という考え方が支配的になっていく。病気で苦しんでいる人の自殺が増える恐れもある。
 尊厳ある生き方はあっても、尊厳ある死はない。生きたくても生きられない人もいる。尊厳死のあり方を考える前に、末期の患者が十分な医療・介護サービスを受けられて、家族などの負担を減らせるようにするにはどうしたらいいかを考えるべきではないか。

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2007年6月15日 (金)

小さな教育大国フィンランド 学力世界トップ

                    (1月14日 日本経済新聞 より)

【小さな教育大国 受験競争無縁】

 国際的な学力調査で、日本を上回る世界トップ水準を誇るフィンランド。人口わずか520万人、国土の4分の1は北極圏にある国が、学力で世界のトップに位置する原動力はどこにあるのか。少人数のクラスや集中的な補習でやる気を引き出す、受験競争とは正反対の「落ちこぼれ」を徹底的になくす取り組みが、小さな教育大国を支えている。
 「テレビゲームなどの自由な時間があるから勉強する気になる」
 「それを文章でどう表現するか考えてみなさい」
 10人足らずの生徒たちと、担任教師のリュミンさん(36)が、ゲームの影響で子どもの勉強時間が減っているという新聞記事を片手に議論している。ヘルシンキ市の市立アルピラ中学校での授業風景。この日の課題は、自分の意見をどう表現するかだ。
 基本的なカリキュラムは全国共通だが、問題の解き方を教えるのではなく、議論しながら自分の頭で問題を解く方法を考えることを重視する同国では、1クラスの生徒数は10~26人と少ない。典型的な公立校の同校は、372人の生徒に40人の教師がいる。

【苦手克服へ集中補習】

 15歳の子どもの読解力や数学的応用力などを調べた経済協力開発機構(OECD)の「学習到達度調査(PISA)」で2000年、03年と2回連続、主要分野のトップを占めた同国だが、塾や受験競争とは無縁で、学力格差を極力なくす手厚い制度が特徴だ。
 授業についていけない子どもに対する集中的な補習授業はその柱の1つ。通常のクラスの中で特に読解力が劣ったり数学が苦手な生徒は、10人ぐらいずつのクラスで補習を受ける。
 「家庭の事情などで読解力が劣る子がいるのは当たり前」とカララハティ校長(62)が言うように、同国では補習は特別なことではない。全小中学生の2割が何らかの補習を受けており、幼稚園にも補習クラスがある。補習を受ける子も「私は勉強が遅れているのでこのクラスに入った」と恥ずかしがらずに話す。
 「重要なのは生徒のやる気をいかに引き出すか」ど同中学校で補習クラスを担当する教師、イハライネンさん(47)。補習での学習指導のみならず、生徒の集中力を高めるためのコンサルティングを行ったり、「生徒とのコミュニケーションが大切」と、インターネットなども使い家庭と連絡を取り合うことも。
 こうした教育は保護者にも大方、好評のよう。「子どもたちが伸び伸びし過ぎて規律が少し足りない」と苦笑する母親(37)も「教師は熱心で、いかに子どもの興味を高めるかに努力している」と評価。別の母親(53)も「どこの学校も教育水準が高いので、競争も必要ないのでは」と話す。
 教育省のピルフォネン部長は「資源のない小国なので人材を無駄にできない。問題を抱えた子どもを放っておかないことが最も重要だ」と強調する。
 ただフィンランドも迷いがないわけではない。現在の水準を維持するためにと、試験をより重視する改革案が同省内で浮上。「金のたまごを産むガチョウを脅かす介入だ」(英紙)と、教育大国の動向は海外からも注目されている。

【国際学習到達度(PISA)ランキング】

[OECD調査。03年の「読解力」]

① フィンランド
② 韓国
③ カナダ
④ オーストラリア
⑤ リヒテンシュタイン
⑥ ニュージーランド
⑦ アイルランド
⑧ スウェーデン
⑨ オランダ
⑩ 香港
⑪ ベルギー
⑫ ノルウェー
⑬ スイス
⑭ 日本
⑮ マカオ

【私の意見】Up63_34

 日本の中学生が数学でも理科でも世界一になったのは遠い昔となりました。日本人の心の中に大国意識が芽ばえ、それが次第次第に大きくなっていくとともに足元はどんどん崩れ落ちていっています。

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2007年6月13日 (水)

日本の子供は「孤独」 自殺者も増加

【日本の子供は「先進国の中で最も孤独」
                    ユニセフが先進国比較】

                    (2月15日 日本経済新聞 より)

 日本の子供は「先進国の中で最も孤独」。国連児童基金(ユニセフ)が14日発表した先進国に住む子供たちの「幸福度」に関する調査報告書で、こんな実態が浮き彫りになった。
 報告書は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち25カ国について各種指標を比較。子供の意識に関する項目の中で「孤独を感じる」と答えた日本の15歳の割合は29.8%で2位のアイスランド(10.3%)以下、フランス(6.4%)や英国(5.4%)などに比べ飛び抜けて高かった。「自分が気まずく感じる」との回答も、日本が18.1%とトップだった。
 子供の物質的な教育環境面でも、日本は先進国中で平均以下との結果が出た。学習用の机やコンピューター、インターネット接続など教育環境の充実度を示す八品目のうち、六品目未満しか持たない15歳が日本では53.3%に上り、ギリシャに次いで高かった。

【自殺、学生・生徒で最悪】
                     (6月7日 日本経済新聞 より)

<自殺者総数9年連続3万人超>
 昨年1年間に自殺した人は3万2千155人で、9年連続で3万人を超えたことが7日、警察庁のまとめでわかった。前年より397人(1.2%)減ったものの、依然として高水準。60歳以上の高齢者が健康問題を理由に自ら命を絶つケースが目立った。若い世代では19歳以下が前年を上回り「学生・生徒」の自殺が過去最多となった。
 警察庁によると、男性の自殺者は前年比3.1%減の2万2千813人で全体の70.9%を占めた。女性は同3.7%増の9千342人で過去4番目の高水準。人口10万人あたりの自殺者数を示す「自殺率」は男性が36.6で、自殺者数が3万人台に乗った1998年以降では2番目に低い。女性は14.3。

<60歳以上も目立つ>
 年代別では60歳以上が最も多く、同2.1%増の1万1千120人。次いで50歳代(7千246人)、40歳代(5千8人)の順で、40歳以上の中高年で全体の72.7%を占めた。60歳以上のほかに前年を上回ったのは19歳以下。2.5%増の623人で、2年連続で600人を超えた。
 職業別では会社員など「被雇用者」が前年比1.8%減の8千163人、自営者が同3.6%減の3千567人、主婦・主夫が同1.7%減の2千658人など軒並み減る中、学生・生徒だけが同2.9%増の886人で、統計を取り始めた78年以降、最多だった。
 遺書があった1万466人の原因・動機をみると、「健康問題」が4千341人で最も多く全体の41.5%。60歳以上が半数近くを占めた。次いで多かった「経済・生活問題」は3千10人で、40、50歳台では原因・動機のトップ。増加率が最も高かったのは、学業不振や学友との不和などの「学校問題」で28.2%増の91人だった。

【私の意見】Up63_33

 物質的には世界一豊かで、世界一安全な国の子どもたちが世界一孤独で、自ら死を選ぶ数が増え続けているという現実を私たちはどう受け止めればよいのでしょうか。戦後62年間日本は豊かで安全であり続けましたから日本人は一見すると誰でも一人で生きていけるように見えます。そのことから“他人にめいわくをかけないで生きる”というのが日本人の一種のモラル感となり、支配的な意識として形成されたように思います。“他人にめいわくをかけないで生きる”というモラル感は、他人にめいわくをかける人を蔑視し冷たい目線で見ることにつながります。戦後でも昭和20年代のようにみんながどうして生きのびるかという時代には他人の子どもでもふかしたじゃがいもやおにぎりを分けてくれるお母さんがいっぱいいました。今の日本では他人の子どもを気づかう大人は少数派になってしまったように思います。私たち日本人はあふれるモノとひきかえに大切なものを失ってしまっていないでしょうか。

    ** [平成18年中における自殺の概要資料] 警察庁生活安全局地域課

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2007年6月10日 (日)

ニッポンの教育 かすむ志乏しい意欲

                     (2月8日 日本経済新聞 より)

【「易き」選ぶ医学生】

 東京都内の医学部専門予備校は毎年1月、面接対策として受験生に医学部の志望理由を書かせている。ところが最近、これを満足に書けない生徒が出てきた。「何で医師になりたいのかわからない」「ある程度稼げれば医師じゃなくてもいいとも思う・・・・」
 
 新潟大医学部では数年前、学生の5%、約数十人が留年。大学の調査に、学生は「気力がない」「医師になる目的意識が持てない」などと悩みを訴えた。「患者と向き合う医師の仕事はきれい事だけではすまない。成績だけ良くても耐えきれない生徒が出る」。黒木登志夫岐阜大学長(71)は指摘する。一例が医師の偏在問題。負担が重い産科や小児科、脳神経外科などを避け、患者の生死にかかわることが少ない眼科などの志望者が増えている。
 昨春、臨床研修を終えて脳神経外科を選択した医師は4年前より2割減った。「10年後には脳梗塞(のうこうそく)や脳出血で倒れた人を送る病院がなくなる」。“易(やす)き”に流れる医学生の増加が、医療の近未来に暗い影を落とす。

【忘れられた「知の基盤」】

 司法研修所に14年間在籍した加藤新太郎新潟地方裁判所長(56)は、“受験勝ち組”の気質の変化を肌で感じる。①試験に必要なことだけを予備校で要領よく学ぶ効率型学習の弊害 ②公的な職業に就くという意識の乏しさ ③人生をどう生きるかといったビジョンを語れない の3点だ。
 特に深刻なのが効率型学習の弊害で、試験に無関係な知識が驚くほど欠如している。研修所は2004年度から2年間、3年生判事補向け研修で古典を読ませた。05年度の課題図書は「ソクラテスの弁明」「武士道」「君主論」など。以前なら定番だったはずの古典を、司法研修生の最優秀層とされる裁判官の大半が読んでいなかった。

【学びがねじれ、劣化している】

 医学部や司法試験は受験社会の頂点。合格者は社会的地位や高収入が半ば保証されるだけに、学力に加え、高い志と豊かな人間性が求められる。その根幹が揺らぐのは、どこかで学びがねじれ、劣化しているからだ。
 劣化は他の分野でも進む。「大学院に進んだがテーマが見つからない」「就職が決められず、とりあえず入った」。大学院進学率が高まり院生が26万人になる中、学ぶ目的を持てない学生が増えている。

【リベラルアーツ】

 「本来必修の世界史を履修から外すと学内で決めたとき、世界史教師はなぜ怒らない。プライドはないのか」。昨年表面化した高校の必修科目未履修問題。ある大学教授は受験対策至上主義の高校にあきれ返る。
 どうすれば学びの本質を取り戻せるか。一つの答えは古代ギリシャにある。「リベラルアーツ」。教養科目と訳される。
 論理学や幾何、天文学などを重視した古代ギリシャが源で、実利より学びの面白さを尊び、論理的・科学的思考の育成をめざしてきた。これが「知の基盤」となり、現代の科学技術文明の発達を支えてきた。
 「深い人間理解が欠かせない医師や法曹など高度な専門職にこそリベラルアーツが必要だ。欧米ではリベラルアーツを基礎に専門教育があるが、日本にはそれがない。教養教育といいながら専門科目の初歩を教えるだけだった」。東大名誉教授で大学教育学会長の寺崎昌男氏(74)は指摘する。

【私の意見】Up63_32

 “学力に加え、高い志と豊かな人間性が求められる”というのは医師や法曹にかぎったことではなくいずれの分野にも共通することです。私が感じることは志と人間性がないと学力さえも伸びず日々劣化するということです。とりわけ医師や弁護士のように若くしても専門家風(かぜ)を吹かすことができる職業の場合には、他者に批判される機会が少なく、その分劣化のスピードがこわいほど早いと感じています。

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2007年6月 6日 (水)

自民憲法改正2010年発議を公約に明記

(6月5日 日本経済新聞 夕刊 より)

【改憲案2010年に発議】

 自民党は5日、7月の参院選に向けた政権公約(マニフェスト)を決めた。安倍晋三首相が争点に掲げる憲法改正について、2010年の国会での改正案発議を目標として明記。年金記録漏れ問題では「政府・与党一体で再発防止のための調査・検証を早急に行う」と対応を急ぐ方針を示した。人口減社会でも持続的に民間主導の成長を促進し、2%台半ばの実質成長を目指すとした。

 公約は「美しい国の礎を築く」「美しい社会と暮らしのために」「美しい郷土をつくる」「美しい国・日本の指針を世界に示す」の4章155項目で構成。

【自民参院選政権公約要旨】

1、 美しい国の礎を築く
 [新憲法制定] 2010年国会で憲法改正案を発議
 [安全保障] 官邸の司令塔機能強化のため国家安全保障会議を設置 秘密保持を強化 集団的自衛権問題を含め憲法との関係を整理し安全保障の法的基礎を再構築
 [行政改革案] 07年度をメドに消費税を含む税体系の抜本改革を実現 中央省庁再編後の状況を検証し改革
 [公務員制度改革] 官民人材交流センターを設置 人事制度全般を見直す改革基本法案を次期国会に提出 労働基本権など制度のあり方を幅広く検討
2、 美しい社会と暮らしのために (略)
3、 美しい郷土をつくる (略)
4、 美しい国・日本の指針を世界に示す (略)

【私の意見】Up63_31

<いつか来た道>
 憲法「改正」についての安倍晋三の執念があっという間に自民党の公約として堂々と明記されるまでに至りました。あれよ、あれよという感があります。しかも自衛隊を米軍とともに対等に闘える軍隊に改編することを彼らネオ・コン(新保守主義)政治家たちは本気でめざしています。私は年配の方たちが“日本はいつか来た道を歩みはじめている”と発言するのを聞いて、かつては“まさか今の日本人は誰も昔の軍国主義国家の復活を望んでいない”いつか来た道というのは大げさすぎると否定的に考えていました。しかし今は“いつか来た道を歩みはじめている”とひしひしと感じます。

<最強の国日本をつくり祖父たちの夢を実現へ>
 現在の日本の政治の中枢にいる2世、3世の政治家たちは戦争による悲惨と平和がもたらした幸福を真剣に考えるという政治家として当然で必要な冷静な判断能力を著しく欠いています。祖父信仰という非論理的なものが彼ら3世政治家をつき動かし、日本をおじいちゃんたちが夢見て果たせなかった世界最強の国ニッポンに変えようとしています。

<国民の慣れを狙っている>
 朝日新聞は自民党のマニフェストを「安倍首相が争点に掲げる憲法改正を冒頭にあげ、『2010年の改正案発議』を打ち出したが具体性は乏しく、急浮上した年金問題や生活対策にかじを切った形だ」と評していますが(6月5日同紙夕刊)、これは政権党の公約として冒頭に掲げられたことの重大性を甘く見すぎていると思います。公約を掲げていると日本国民は徐々にその公約に慣らされて抵抗感が次第に薄れるというのが悲しいかな現実です。日本国民の政治的、社会的成熟度は決して高いものではありません。
 平和ボケした日本人には憲法9条のありがたみがわからなくなっています。“北朝鮮の脅威”とか言われれば、“日本が侵略されないためにも強い軍隊をもたなければ”という考えにいとも簡単に流れる傾向があります。ネオ・コンたちは公約を3年間掲げれば日本国民がこれに慣れてくるのを狙っているのは明らかです。そして数の論理で有無を言わせず強行するのが彼らのいつもの手口です。

<この3年間に草の根の反対運動を着実にひろげよう>
 さあ、憲法9条をめぐる闘いは具体的な政治日程にのぼってきました。私たちはこれからの3年間憲法9条を一語たりとも変えさせない草の根の運動を着実に広げていきましょう。論ずるだけではなく行動で憲法9条を守らなければならない時がきました。

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2007年6月 5日 (火)

さまよう15歳 成績「中ぐらい」層が崩壊

【ニッポンの教育】
                     (2月9日 日本経済新聞 より)

【年6万人が中退】

 「彼女とディズニーランド行くにも1万円以上はかかる。最低限のお金は稼げないと」。東京都の都立高校校長(55)が、学校を辞めたいと言い張る一年生男子と説得する母親の間に割って入った。結局、「決めたんだから」という以上の理由を明かさないまま、生徒は学校を去った。

 同校の偏差値は都内で最下位グループ。大多数は勉強よりバイトに熱心で、夜間のビル清掃や工事現場で稼ぐ者もいる。2005年度の中退率は10%。校長は「退学後はバイト生活に入る子が多い。『何とかなる』と楽観しているが・・・・・」と気をもむ。
 全国の全日制高校の中退率は約1.7%(05年度)。年間約6万1千人の高校生が一度は選んだ学校を離れた。

【下位層がじわじわと厚みを増す】

 41カ国・地域の15歳を対象にした経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(03年)。読解力分野で日本は、「基本的な読解力に危うさの残る」最下層の生徒割合が00年調査より4.8ポイント上昇。7.4%に達し、参加国平均を上回った。上位層は低下していない一方、下位層がじわじわと厚みを増す。

【生徒が若年寄のように見える】

 「成績が中ぐらいの生徒は、アルバイトと遊びに時間とエネルギーが向けられる」と埼玉県の県立高校教諭(58)。高校生の6割を占める中間層の動きを懸念する。
 卒業しても安定しない先輩の暮らしぶりや親の苦労を間近に見て、学びと将来が関係づけられない。「父親がリストラされた話は学校でも珍しくない。友達が『いい大学に入っても仕方ない』と口にする」と都内の区立中学三年の男子。都立高校校長は15歳で入学した生徒が「若年寄のように見える」と嘆いた。

【「さまよう15歳」から目をそらして教育再生は語れない】

 東大の本田由紀・助教授(42)は学力が伴わないまま進学させる現在のシステムの問題性を指摘し、「放置された子供への対応が必要」と説く。それには「小中学校で進級時に学力の到達度をチェックすることも検討していい」と、小中高校を通した抜本的対策の必要性を訴える。
 教育現場が直面する中間層の崩壊は、義務教育から大学へとつながる教育システムの矛盾の縮図。教育再生を掲げる安倍晋三首相は「すべての子供に必要な学力を身に付ける機械を保証する」と明言した。「さまよう15歳」から目をそらして教育再生は語れない。

【私の意見】Up63_30

 さまよう15歳といい、うつ病に苦しむ30代といい私たち大人は次世代、次々世代を余りにも粗末にしすぎていると思います。問題は若者の側ではなく、私たちの側にあります。このブログでも若者や教育について少しとりあげていきたいと思います。

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2007年6月 3日 (日)

教育再生会議 一から出直したら

【本田由紀 教育再生会議を批判する】
                 (1月29日朝日新聞 時流自論 全文)

 安倍政権下で慌ただしく「教育再生」が進められようとしている。教育基本法がどたばたと「改正」された次のステップは、首相直属の教育再生会議を通じた、文科省にも諸審議会にも縛られることのない「機動的」な改革の実施である。
 教育再生会議では、昨年12月21日の総会で事務局が提出した第1時報告案に対し、インパクトを欠くとの不満がメンバーから続出した。それを踏まえて今月24日に決定された同報告書では、ゆとり教育の見直しと学力向上が筆頭にあげられ、授業時間数の1割増などを含む「基礎学力強化プログラム」やいじめをした児童生徒への出席停止措置の活用、奉仕活動の必修化などが盛り込まれた。確かに見事なほどインパクトだけはある報告となっている。
 教育についての科学的な検証に従事している者をひとりも含まないメンバーから成る教育再生会議が、インパクト重視でまとめた報告書。その提言が、将来この社会を担うすべての子どもたちの毎日の生活を大きく左右しかねないことに対して、計り知れない危機感を感じる。

 報告書の中で危うい論点は多々あるが、その中でここでは「ゆとり教育」への決別と「学力向上」を意図した授業時間数の増加に焦点を当てよう。
 それに関する問いの第一は、授業時間数を増大させることによって「学力向上」は達成されるのか、ということである。
 ある研究グループが、学校の授業時間数と国際学力調査の成績との関連を分析した結果によれば(03年7月1日、中教審初頭中等教育分科会教育課程部会総則等作業部会、第3回会合提出資料)、授業時間数と成績との間に関連は認められない。特に初等教育に関しては、成績が上位にある日本、フィンランド、韓国、イギリスなどは、いずれも授業時間数の短い国々である。
 この結果は、「学力向上」のために授業時間数増加を持ち出す必然性はないということを示している。むしろ日本では学校週5日制の導入で、ただでさえ平日の授業時間数が長くなり、児童生徒も教師も多忙感や疲弊を強めている。さらに授業時間数を増やすことはプラスの効果が期待されないだけでなく、すでにある問題をも深化させかねない。かといって土曜授業の安易な復活は、生徒・家庭・教師・地域のいずれにとっても再び混乱を招く恐れがある。
 第二に、そもそも「学力向上」の必要性の根拠となっている「学力低下」は現実に生じているのか。05年4月に発表された03年度の小・中学校教育課程実施状況調査結果によれば、同年度調査では01年度の調査と比べて上昇傾向がみられ、93~95年度調査と比べても明確に低下してはいない。
 つまり現在の体制のもとでも、「学力低下」が直線的に生じているわけではない。日本の児童生徒の学力は、国際的に見ても総じて非常に高い水準をいまだ維持している。
 ただし、04年12月に発表された経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査」(PISA調査)の読解力の結果では、日本の成績上位層には低下が見られないが、成績下位層比率と点数低下傾向が増大しており、全体ではなく下方に「底が抜ける」形での低下が危惧されることは忘れてならない。
 それに加えて、様々な調査結果で日本の児童生徒の顕著な特徴として必ず見いだされるのは、勉強が「好きだ」「楽しい」と答える者や、将来の仕事と結びつけて勉強していると答える者の比率が際立って低いことである。日本の教育の最大の問題は、子どもが教育内容に生活や将来との関連性や意義を見いだし得ていないことなのだ。

 これは近年のみの傾向ではなく、数十年来指摘され続けている、いわば宿痲である。しかし日本の子どもたちは、従来は「いい成績→いい学校→いい会社→幸福」というストーリーに従って、とりあえず勉強し続けてきた。若者の中で不安定就業や失業・無業が3人に1人に達している現在、そうした動機付けのストーリーはかつてほど子どもの全域を覆うほどの強い威力を発揮しえなくなっている。
 それならば、今まさに必要になっているのは、ひとつには子どもが学ぶことの意義を中身に即して実感できるような教育内容の質的な改善、もうひとつには下方への「底抜け」が生じることを防ぐための制度的なしくみの導入である。
 前者については、教育内容において実生活や仕事との関連性を強化し明示することが必要である。後者については、生徒が一定の習得水準に達したことを確認した上で進級・進学を認めるしくみの導入、すなわち履修主義から習得主義への転換を図ることが求められる。
 これらはいずれも、教育の中身としくみに関する課題である。今の日本の教育は、授業時間増といった量的な「改革」でもって何かが良くなるような状況にはない。問題は量ではなく質なのだ。この点で再生会議が今後いかなる提案を行うかを注意深く監視していく必要がある。今回の報告のように手前勝手に「愛」や「規律」「奉仕活動」を押しつけても、子どもたちはいっそう内面的な離反を強めるだけである。

本田 由紀:ほんだ・ゆき 東京大学助教授(教育社会学)。64年生まれ。著書に「多元化する『能力』と日本社会」など。]

【朝日新聞社説 教育再生会議 一から出直したら】
                    (6月2日 朝日新聞 社説 全文)

 21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を図るため、教育の基本にさかのぼった改革を推進する。
 これが、安倍首相によって内閣に設けられた教育再生会議の目的である。
 その高らかな宣言と、以下の2次報告書の内容との落差は、どうしたことか。
 ・夏休みや土曜授業を活用して授業時間を1割増やす。
 ・すべての子どもにわかりやすく、魅力ある授業にするため、教科書の分量を増やし、IT化などを推進する。
 ・徳育を教科化する。
 昨秋発足した再生会議は、各界の有識者17人が起用された。学力と規範意識を高めるという狙いに、異論は少ないだろう。私たちは社説で、斬新で骨っぽい提言を求めた。
 だが、今年初めの1次報告書に続いて、今回もやはり期待はずれだった。
 長い議論を経て学校が週休2日制になったのは、ほんの5年前のことだ。学力が低下したから土曜授業で補う、というのは安易過ぎないか。
 再生会議の席上、陰山英男・立命館小学校副校長は、土曜授業の復活に反対したといい、会議後、「何時間かけてこれをやらせれば、こんな風に学力が上がるとかそんなもんじゃない」と語った。現場を知る人の率直な思いだろう。
 学力をめぐる最大の問題は、できる子とできない子の格差が広がっていることだ。授業についていけない子を、時間数を増やすだけで救えるとは思えない。
 教科書を厚くしてIT化を進めれば、魅力的な授業になるというのも、いささか的はずれではないか。
 「道徳の時間」を徳育として教科化することにも疑問がある。検定教科書を使うことになれば、政府の考える価値観を教室で押しつけることになりかねない。
 規範意識で思い起こすのは、高熱水費問題などでの故松岡前農水相の説明と、かばい続けた首相の態度だ。子どもが規範を学ぶのは、教室だけではない。
 それにしても、名だたる有識者がそろいながら中身が薄っぺらになってしまったのはなぜだろう。会議の進め方とメンバー構成に問題がありはしないか。
 議事録を読む限り、委員は印象論や体験をもとに提言することが多い。だが、その提言の良しあしをデータに基づいて検証し、論議を深めている様子は伝わってこない。
 その例が「母乳で育児」を提言しようとした「親学」だろう。きちんと論議を詰めていないので、批判されると、あっさり引っ込めてしまった。
 再生会議はさらに論議を重ね、年末に3次報告を出すという。それなら、せめて二つの提案をしたい。
 会議を公開する。論議に緊張感が生まれ、国民の関心も呼びやすくなる。
 オブザーバーとして教育研究の専門家を置く。教育の歴史の中で、提言の良しあしを検証することができるだろう。

【私の意見】Up63_29

 本田 由紀氏が指摘するとおり、日本の教育において今まさに必要なのは①子どもが学ぶことの意義を中身に即して実感できるような教育内容の質的な改革 ②下方への「底抜け」が生じることを防ぐための制度的なしくみの導入です。教育再生会議の「有識者」たちは子どもたちの悩み、不安を今の子どもたちの立場に立って考えるという視点を欠き、「いい成績→いい学校→いい会社→幸福」という自分たちの狭量なサクセスストーリーの視点から見る能力しかありません。国民の代表でもない「」付きの有識者に教育を語らせ、日本の教育の大綱をきめるのはとても危険なことであり、容認することができません。

 

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