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2007年5月 9日 (水)

市場競争原理とフランス大統領選

【仏大統領にサルコジ氏 右派勢力を結集】                  
                    (5月7日 朝日新聞 夕刊 より)

 フランス大統領は6日決選投票があり、即日開票の結果、民衆運動連合(UMP=右派)のニコラ・サルコジ前内相(52)が、初の女性大統領を目指した社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相(53)を破って初当選を果たした。両候補とも、2期12年務めたシラク大統領(74)の時代からの脱却を前面に打ち出したが、決断力、実行力を強く印象づけたサルコジ氏に、仏国民は「変化」への期待を託した。

 サルコジ氏は、この5年間、内相や財務相など重要閣僚を歴任し、実績を重ねた。右派を結集した厚い組織力も背景に、今年1月以降、ほぼ一貫して支持率トップを維持。4月22日の第1回投票では31.18%を獲得し、ロワイヤル氏の25.87%に差をつけていた。
 経済政策では「もっと働き、もっと稼ごう」をスローガンに、「週35時間労働」の見直しや解雇条件の緩和など、雇用の流動化や企業の裁量を拡大する方針を表明。硬直した社会保障制度の改革も訴え、財界の支援を取り付けた。
 一方でサルコジ氏は移民への規制強化を繰り返し表明。内相として不法入国や犯罪に対する強硬姿勢を鮮明にし、移民排斥を掲げる右翼の支持層を取り込んだ。強圧的とも受け取れる態度に左派や人権団体は反発を強めたが、綿密なメディア戦略も展開、同氏の経験と手腕に対する期待は、懸念を上回った。

【仏、競争力強化に軸足 雇用・税制見直しへ】
                    (5月8日 日本経済新聞 より)

競争 「もっと働き、もっと稼ごう」
 フランスは雇用創出をめざして週35時間労働制を導入したが、年間労働時間が米国や他の欧州諸国を下回るという状況を招いた。失業率は中高年層で低下したが、なお8%台。若年層では20%を超える。サルコジ氏は35時間制が競争力強化の妨げになっているとみて、事実上の撤廃を掲げた。
 仏政府はこれまでも35時間制をはじめとする雇用契約に関する法制度の問題を指摘されながら、労組や世論の抵抗を受け思い切った見直しができなかった。このためサルコジ氏は9月にも政府主催で労組、企業経営者を交えた会議を開き、改革への道筋をつける考えだ。
 さらにサルコジ氏は法人税の引き下げも検討している。ほかの主要国企業との競争上の不利をなくすとともに、投資意欲を高めるのが狙いだ。同氏が推進する改革路線は福祉重視から、市場メカニズムに基づく米英流の競争政策に軸足を移したように映る。

【グローバル化が選択迫る】

 フランス国民がこれほど悩んだ大統領選はなかっただろう。市場競争と移民。グローバリゼーションを象徴する二つの難題に、どう対処すべきなのか。誰もが「正解」だと納得する指針を示せた候補者はいなかった。
 米英流の市場至上主義には生理的な拒否感情がある。移民の野放図な流入にも抵抗がある。だが硬直的な経済構造をこのまま放置すれば、祖国は世界の大国の座から引きずり下ろされてしまうかもしれない・・・。
 グローバル化の厳しさに目覚めた仏国民の焦りは記録的に高い投票率となって表れた。同時に、第一回投票の前日まで指示する相手を決められなかった有権者は全体の35%にも上る。社会制度について保守的な仏国民が迷いに迷った末に選んだ指導者が、競争重視のサルコジ氏である。

 今回の仏大統領選は、仏国内と欧州だけの政治イベントではない。世界各国が挑戦すべき共通の課題をあぶり出し、押し寄せるグローバル化の大波への対応を先進各国に厳しく問う選挙だった。
 欧州では、まず英国でサッチャー元首相が高福祉から市場主義に路線を切り替えた。ドイツでは2年前にメルケル政権が誕生し、力強く米英流の改革を推し進めている。そして今、フランスが続こうとしている。
 手厚い労働者保護と高度な福祉政策は、同国の誇りでもあった。その仏国民が競争重視、構造改革の道を選び取った。仏大統領選の結果の意味は日本にとっても重い。

【私の意見】Up63_22

 日本政府や経済界は仏大統領選挙の結果をもとに“競争重視・労働の規制改革・法人税の引き下げは世界の流れである”という大合唱を声高に言いはじめることでしょう。しかし、私は日本企業が日本の労働者をリストラしながら海外の一番賃金の安いところ(東ヨーロッパ・中国・インドなど)に工場を移し、相対的に低価格の製品をそこからヨーロッパ市場で売ったことがヨーロッパの企業を脅かしていると思います。日本企業の徹底したドライな合理性が、ヨーロッパの国民に負け組になるかもしれないという危機感・不安感をいだかせたと思います。仏大統領選の結果がこれからの日本に影響を与えるのではなく、これまでの日本の企業行動が仏大統領選に影響を与えたと私は思います。グローバリゼーションの時代に日本政府と日本の大手企業が一早く対応し、世界の勝ち組になりつつあるのが現在ではないかと思います。
 しかし、日本企業が世界の勝ち組になっても、世界の人々は少しも幸せにならず、世界の人々に生活の破壊をもたらしています。これまでフランスは先進国にもかかわらず出生率が高く子だくさんの国と言われました。昨年7月ころ衛星放送でフランス2(フランスの放送局)の映像を見ていると、一家6人のバカンス準備におわれている母親や子どもたちの映像が映り、親や子どももとても幸せそうでした。フランス国民どころか日本企業が勝ち組になっても日本国民も多くの人は不安定な生活に追い込まれています。このことは何度も言っていることですが働き盛りに激増するうつ病や自殺者の多さに如実にあらわれています。

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