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2007年4月25日 (水)

臓器移植法改正案採決へ こわ~い動き

                   (2007年4月25日 朝日新聞より)

【今国会で採決を与党が合意】

 自民党の二階俊博、公明党の漆原良夫の両国会対策委員長24日、国会内で会談し、議員提案されたままになっている2本の臓器移植法改正案について、今国会で採決することで合意した。衆院厚生労働委員会の下に、両案を集中的に審議する小委員会を設置。意見集約を図ったうえで、党議拘束を外して採決するとしている。
 ただ、隔たりが大きい両案について、与党内でも議論が尽くされたとは言えず、民主党からも突然の方針に反発が出ている。実際に採決できるかは不透明だ。

【審議未了のまま】

 2本の改正案は06年3月に提出されたが、実質的な審議に入れない状態が続いている。昨年12月、衆院厚生労働委員会で参考人質疑が行われたが、心臓移植を待つ患者や家族、移植医らは早期の改正を求めて要望を続けていた。こうした情勢を踏まえて、二階、漆原両氏は「人の生命にかかわる法案であり、いつまでもたなざらしにはできない」として、今国会で採決すべきだとの考えで一致した。

【現行法・民主党の反発】

 現行法は臓器移植をする場合に限り、脳死を人の死と認める。臓器提供者は15歳以上とされているが、これに対する改正案は、①脳死を一律に人の死とし、15歳未満の臓器移植や本人の拒否がない場合の家族同意による臓器提供を認める ②現行法の枠組みを維持し、意思表示を認める年齢を現行の15歳以上から12歳以上に引き下げる-の2案が提出されている。

 民主党理事は「国論を二分する問題であり、1週間程度審議して採決するような話ではない」と反発している。

【私の意見】Up63_19

<現行法との対比>
 
現行法は「脳死」を臓器移植の場合に限っており、一律に人の死としてはいません。二法案は河野・福島案と斉藤案ですが、河野・福島案は「脳死」を一律に人の死とすることを前提としています。現行法と二法案の異同は次のとおりです。
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① 臓器移植の条件
② 脳死判定の条件 
③ 15歳未満の臓器提供
④ 親族への優先臓器提供
⑤ 運転免許証・健康保険証への記載による意思表示
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*現行法
 ① 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ② 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ③ 不可
 ④ 規定なし
 ⑤ 規定はないが可として事実上運用

*河野・福島案
 ① 本人が拒否した場合を除き家族の承諾で提供
 ② 本人が拒否した場合を除き家族の承諾で提供  
 ③ 家族の承諾で可能
 ④ 認める
 ⑤ 規定あり

*斉藤案
 ① 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ② 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ③ 12歳以上可能
 ④ 認める
 ⑤ 規定あり
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 法「改正」に先立ち厚生労働省は2004年12月、ドナーカードの記載不備のものも有効とし、さらなる形式変更すら検討しています。脳に重い損傷を受けたとき、患者の救命に専念するのが国や医療関係者の責務です。ところが「改正」を目論む人たちは記載不備のドナーカードでも有効な意思表示として臓器摘出を可能とし、拒否していなければ家族の承諾だけで摘出を可能とし、小児からも摘出を可能としようとしています。
 
<臓器を提供する海外の子供の命は
            どのように扱われているのでしょうか>

 心停止による死は生命体としての全ての終了であり、生命体を構成している細胞も自壊します。「脳死」はこれとまるで違います。いくら法律で「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたもの」ともっともらしく規定しても、「脳死」と判定された人の心臓は動き、血液が流れ、各臓器、細胞は今までと変わらず働き、顔面も紅潮しているのです。医師より「脳死」状態と言われた患者の中には、脳低温療法等の医学の力で社会に復帰した人も少なくありません。
 「脳死」患者の臓器を求める患者のために「脳死」状態の患者の救命医療をおろそかにしてはなりません。マスコミは心臓手術を求め海外に行く子供の姿を大々的に報道しますが、術後の現実には厳しいものがあります。提供する海外の子供の命はどのように扱われているかについて思いをいたしたことがあるでしょうか。現在の臓器移植法そのものが問題であるにもかかわらず、これを更に改悪し、患者本人の意思表示がなくとも「脳死」臓器移植を許容する社会は人の心臓等を部品の交換のように扱う恐い社会です。

   論文: 
      「尊厳死」法制化と臓器移植法「改正」の恐い動き

                 2005年8月8日 弁護士 清水 建夫 

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 ■安楽死・尊厳死法制化を阻止する会

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