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2007年4月29日 (日)

地理から見えてくる「日本」のすがた

【佐藤裕治監修「地理から見えてくる日本のすがた」】
                      (2007年4月 中経出版

 日本という国を小・中・高で習う地理から見つめるという本でとても面白い本です。私が講演でしゃべっていたことの中にまちがいがあることにも気づきました。100のテーマに分けて楽しく読めるように工夫がしてあります。この本のデータをタネに物知り顔にしゃべることができますのでお手元に置くと便利です。1冊1680円です。私もこの本をタネに何回かブログでしゃべらせていただこうと思っていますが、今回は日本の自然についての客観的な記述をご紹介します。
  Tenki01
【世界の北限と南限の日本】

☆南北差の大きな日本

 日本における領土の南北に渡る広がりは、およそ北緯20~45度と約25度に及び、実際に人が住んでいる島でみると20度の緯度差がある。日本より南北の緯度差の大きな国土をもつ国には、アメリカ合衆国、ロシア、カナダ、中国、ブラジルなどの広大な国やチリ、ノルウェー、アルゼンチンなど南北に長い国などがある。しかし、これらの国のうち、サンゴ礁の海と氷で覆われた海の両方をもつ国は、日本のほかはアメリカ合衆国のみである。
 日本は亜熱帯から亜寒帯まで、南北の気候環境が大きく異なる。北緯30度以北でサンゴ礁が見られるのは、鹿児島の種子島付近と大西洋のバミューダ諸島のみであり、北緯45度以南で氷に覆いつくされた海が見られるのは、北半球では北海道沿岸のオホーツク海のみである。すなわち、日本は「北」の要素と「南」の要素が圧縮された位置にある。

【日本の川と自然特性】

☆まるで滝のような日本の河川

 明治政府が招聘した外国人の土木工学技師ヨハネス・デ・レーケ(オランダ、1842~1913)は、洪水後間もない常願寺川(富山県)を見て「これは川ではない、滝だ」と叫んだと伝えられている。最近の研究ではデ・レーケはそんなことを言ったわけではないようだが、この言葉が示すように日本の河川は勾配が急で、普段は水量が少ないものの、一度大雨が降るとまさに滝のように一気に流れ落ちる。常願寺川のような日本の河川を「河況係数が大きい」という。河況係数は最大流量を最小流量で割ったもので、これが大きい川は流量変化が厳しく、治水や利水に相当の努力を要する。信濃川(小千谷付近)での河況係数は「117」で、日本の河川としては小さな値だが、海外を見ると、例えばドナウ川(ウィーン付近)で「4」とケタ違いに小さい。なお、乾季に水が流れない乾燥地域の河川では河況係数が「∞」(無限大)となるが、常願寺川なども∞となっている。

【森林大国日本】

☆世界有数の森林率を誇る日本

 日本の国土の約2/3は森林であり、日本より森林率が高い国は10カ国程度に過ぎない。世界的にみると森林率の高い国は、ほとんどが熱帯や、亜寒帯にあり、温帯で森林質の高い日本は例外的である。これは、モンスーン地帯にあたる日本が温帯としてはきわめて降水量が多いため、森林の生育に必要な水が豊富であることのほか、山地面積割合が大きいためである。日本の森林はその大半が山地にみられ、山はほとんど森林におおわれている。平地は山裾まで水田、畑、集落などが広がり、盛り上がった山地は高山を除けば山頂まで森で覆われている。世界的には山が森でないところが多い。乾燥地域の山地は森林が形成されず岩がむき出しで、山麓の湧水がみられる地域でのみ樹木が生育している。ヨーロッパでも、アルプスなどの高山は森林限界を超え、岩肌が露出し、低山は山頂まで放牧地が広がる。タイガとよばれる針葉樹の純林やアマゾン川などの流域に広がる熱帯雨林はいずれも平地林である。

【日本の気温】

☆なぜ日本の四季ははっきりしているか

 日本は四季がはっきりしていて、それぞれの季節で独特の現象が生じる。これは、地球の自転軸である地軸が23.4度傾いた状態で365日周期で太陽の周りを回っている(公転)ため、太陽が直射する位置は、地球が公転する間に赤道を中心として南北に移動することと関係がある。日射が最も強い点が高緯度に達する限界は、緯度にして23.4度(地軸の傾きと同じ)、つまり南北の回帰線である。北緯25~45度付近に位置する日本は、夏には太陽が直射する位置に近く、冬にはこの位置から遠ざかる。そのため、私たちは日本にいながらにして1年の間に熱帯から寒帯までの天気を体感できる。

【日本の降水量】

☆世界平均の2倍も雨が降る日本

 日本の平均年降水量は1700~1800㎜であり、北陸地方や東海以西の西南日本では2000㎜を超える。これは、700~1000㎜とされている世界の平均年降水量と比べると2倍前後の値である。緯度別の平均降水量と比べると、日本の平均年降水量は熱帯と大差なく、しかも日本海側の地方を除いて夏を中心とする季節に集中する。これは温帯の大陸東岸に共通してみられるが、要因の一つは海からの高温多湿な夏の季節風である。また、降水量について特筆すべきは「数時間~数日の降水量の最大値は世界最高クラス」という点である。こうした激しい雨をもたらすのは、日本では特に梅雨や秋霖、台風の時期に発達しやすい積乱雲である。

【御礼】

 たいして面白くもない私のブログを時折覗いて下さりありがとうございます。おかげさまでアクセスしていただいた回数が1万回を超えました。

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2007年4月25日 (水)

臓器移植法改正案採決へ こわ~い動き

                   (2007年4月25日 朝日新聞より)

【今国会で採決を与党が合意】

 自民党の二階俊博、公明党の漆原良夫の両国会対策委員長24日、国会内で会談し、議員提案されたままになっている2本の臓器移植法改正案について、今国会で採決することで合意した。衆院厚生労働委員会の下に、両案を集中的に審議する小委員会を設置。意見集約を図ったうえで、党議拘束を外して採決するとしている。
 ただ、隔たりが大きい両案について、与党内でも議論が尽くされたとは言えず、民主党からも突然の方針に反発が出ている。実際に採決できるかは不透明だ。

【審議未了のまま】

 2本の改正案は06年3月に提出されたが、実質的な審議に入れない状態が続いている。昨年12月、衆院厚生労働委員会で参考人質疑が行われたが、心臓移植を待つ患者や家族、移植医らは早期の改正を求めて要望を続けていた。こうした情勢を踏まえて、二階、漆原両氏は「人の生命にかかわる法案であり、いつまでもたなざらしにはできない」として、今国会で採決すべきだとの考えで一致した。

【現行法・民主党の反発】

 現行法は臓器移植をする場合に限り、脳死を人の死と認める。臓器提供者は15歳以上とされているが、これに対する改正案は、①脳死を一律に人の死とし、15歳未満の臓器移植や本人の拒否がない場合の家族同意による臓器提供を認める ②現行法の枠組みを維持し、意思表示を認める年齢を現行の15歳以上から12歳以上に引き下げる-の2案が提出されている。

 民主党理事は「国論を二分する問題であり、1週間程度審議して採決するような話ではない」と反発している。

【私の意見】Up63_19

<現行法との対比>
 
現行法は「脳死」を臓器移植の場合に限っており、一律に人の死としてはいません。二法案は河野・福島案と斉藤案ですが、河野・福島案は「脳死」を一律に人の死とすることを前提としています。現行法と二法案の異同は次のとおりです。
---------------------------------------------
① 臓器移植の条件
② 脳死判定の条件 
③ 15歳未満の臓器提供
④ 親族への優先臓器提供
⑤ 運転免許証・健康保険証への記載による意思表示
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*現行法
 ① 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ② 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ③ 不可
 ④ 規定なし
 ⑤ 規定はないが可として事実上運用

*河野・福島案
 ① 本人が拒否した場合を除き家族の承諾で提供
 ② 本人が拒否した場合を除き家族の承諾で提供  
 ③ 家族の承諾で可能
 ④ 認める
 ⑤ 規定あり

*斉藤案
 ① 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ② 本人の書面による意思表示と家族の承諾
 ③ 12歳以上可能
 ④ 認める
 ⑤ 規定あり
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 法「改正」に先立ち厚生労働省は2004年12月、ドナーカードの記載不備のものも有効とし、さらなる形式変更すら検討しています。脳に重い損傷を受けたとき、患者の救命に専念するのが国や医療関係者の責務です。ところが「改正」を目論む人たちは記載不備のドナーカードでも有効な意思表示として臓器摘出を可能とし、拒否していなければ家族の承諾だけで摘出を可能とし、小児からも摘出を可能としようとしています。
 
<臓器を提供する海外の子供の命は
            どのように扱われているのでしょうか>

 心停止による死は生命体としての全ての終了であり、生命体を構成している細胞も自壊します。「脳死」はこれとまるで違います。いくら法律で「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたもの」ともっともらしく規定しても、「脳死」と判定された人の心臓は動き、血液が流れ、各臓器、細胞は今までと変わらず働き、顔面も紅潮しているのです。医師より「脳死」状態と言われた患者の中には、脳低温療法等の医学の力で社会に復帰した人も少なくありません。
 「脳死」患者の臓器を求める患者のために「脳死」状態の患者の救命医療をおろそかにしてはなりません。マスコミは心臓手術を求め海外に行く子供の姿を大々的に報道しますが、術後の現実には厳しいものがあります。提供する海外の子供の命はどのように扱われているかについて思いをいたしたことがあるでしょうか。現在の臓器移植法そのものが問題であるにもかかわらず、これを更に改悪し、患者本人の意思表示がなくとも「脳死」臓器移植を許容する社会は人の心臓等を部品の交換のように扱う恐い社会です。

   論文: 
      「尊厳死」法制化と臓器移植法「改正」の恐い動き

                 2005年8月8日 弁護士 清水 建夫 

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 ■安楽死・尊厳死法制化を阻止する会

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2007年4月21日 (土)

視野の狭い経団連「希望の国,日本ビジョン」

【希望の国、日本ビジョン2007】 
           
((社)日本経済団体連合会、2007年1月より)

 社団法人日本経済団体連合会(経団連)は2007年1月「希望の国、日本 ビジョン2007」を発表しました。その内容を紹介します。

【はじめに】

 21世紀に入ってから日本は改革を進めてきた。道のりは苦しく険しいものだったが、ようやくその成果が現れてきている。
 嵐の日々は過ぎ、そこここに木漏れ日が射している。眼差しを上げて行く手を望めば、明るい青空も見える。

 バブルの崩壊の後、長く低迷していた経済は力強さを取り戻している。2002年度以来、実質成長率は4年連続プラスとなっている。雇用情勢も大きく改善している。長引いたフロー、ストック両面でのデフレもようやく終息しつつある。
 企業部門の立ち直りはめざましい。ヒト、モノ、カネの三つの過剰にあえいでいた1990年代とはさま変わりし、引き締まった筋肉質の企業体質が形成されている。
 政府部門の改革も進んでいる。難攻不落に思えた郵政事業は民営化されることになった。年金など社会保障制度の見直しもようやく始まり、地方分権改革も動き出した。

 そして今、われわれの前で道は大きく二手に分かれている。一方には、先行きをさまざまに思い悩み、弊害が最も小さくなる道を進むことを主張するひとびと(弊害重視派)がいる。弊害重視派は、所得格差の拡大、都市と地方間での不均衡など不平等の問題を厳しく指弾する。そして、改革を中断しても、その是正を急ぐことを訴える。税や社会保障を通じた所得再分配の拡充や公共事業の拡張が弊害重視派の処方箋である。

 他方には、ベストのシナリオにチャレンジするひとびと(成長重視派)がいる。成長重視派は、いわゆる弊害は、グローバル化や少子化などがもたらす歪みであり、改革の手綱を緩めれば、かえって事態は悪化すると考える。改革を徹底し、成長の果実をもって弊害を克服する、これが成長重視派の基本スタンスである。
 もちろん、現実には、折衷的な立場が最も多い。しかし、いずれを重視するかで、道は分かれる。矢が的のすぐ傍らを通り過ぎるのと、的に命中するのでは結果は大きく異なる。
 経団連は、現実を重視し、冷静慎重に制度設計を行うことが必要と考える。その上で、2006年5月の定時総会において、「INOVATE日本」の旗印の下、科学技術を基点とする狭義のイノベーションのみならず、経済や社会のシステム、そしてその根底にある教育や国・地方のあり方、憲法などの改革(広義のイノベーション)に勇敢に取り組み、より豊かな経済社会を実現する、との方針を打ち出したように、弊害重視派の指摘に耳を傾けつつも、基本的に成長重視の選択を提言する。
 今後10年間を視野に入れた本ビジョン「希望の国、日本」では、なぜ経団連が成長重視の選択をするのか、その目標はなにか、目標の実現のためになにをなすべきか、を明らかにする。
                        (1~3頁)

【労働市場改革】

 労使の果たすべき役割も大きい。遅々としたものであったが、これまでの規制改革の結果、企業の外では、専門的技能や知識を適正に評価する流動性の高い労働市場が形成されつつある。「格差是正」の名目の下に、これを年功型賃金、定期昇給に代表される旧来型の枠組みに抑え込むようなことがあってはならない。労使も、労働の流動性を高め、再チャレンジのチャンスを拡げる観点から、もはや形骸化した「春闘」や、正規・非正規の区別にとらわれることなく、多様な就労・雇用ニーズへの対応、役割や仕事、業績に応じた人事・報酬制度の整備をはじめ、それぞれの企業において「内なる改革」を進めていかなければならない。
                        (73~74頁)

【教育再生、公徳心の涵養】

 自らの国を愛する心がなければ、他国の国民感情を理解し、尊重する心は生まれない。愛国心を持つ国民は、愛情と責任感と気概をもって、国を支え守る。しかし、愛国心は、侵略や軍国主義とは無縁である。むしろ、諸国民が、健全な愛国心を持ち、他国の国民と対等に接し、協力・強調することが正義と秩序を基調とする国際平和につながる。
 愛国心は、改革を徹底していく前提でもある。これからわれわれが進む道は決して平坦ではない。石くれやいばらも多く、痛みも覚悟しなければならない。国民に国を愛する心がなければ、「希望の国」に至る道筋を歩み続けることはできない。
                        (82~83頁)

【政治への積極的参画】

 経団連は、役職を問わず広く企業人の政治意識の深化・向上に努め、積極的な投票を呼びかけていく。また、民主政治を支え、真摯に政策の企画・立案・実施に取り組む政党を支援するため、政党の政策評価を実施するとともに、会員企業にCSRの一環として自発的な政治寄付を促していく。さらに、政党との政策対話をより深めていくとともに、政策人材や政治任用者などの育成の場を充実させていく。
                        (88頁)

【憲法改正】

 政治の基本的な枠組みは憲法である。戦後、日本は、現行憲法の下、自由と民主主義に基づく開かれた社会を築き、奇跡的な復興と経済発展を成し遂げた。しかし、現行憲法が一度も改正されずにきたなかで、規定と現実の乖離、国際平和に向けた主体的活動の制約など、多くの問題が生じている事実を直視しなければならない。
 まず、安全保障の問題が挙げられる。東西冷戦の終了後も、日本を含む東アジア地域においては、北朝鮮の核開発・ミサイル実験など、安定的な安全保障環境が必ずしも確保されていない。また、国際テロなど新たな脅威に対して国際社会が団結して取り組む必要が高まっている。国民の安心・安全を確保するために必要な安全保障政策を再定義し、その展開を図っていくことが求められている。しかし、自衛隊や集団的自衛権の憲法上の位置づけが不明確であり、実効ある安全保障政策の展開が制約されている。
 自衛隊による国際貢献活動にも影響が出ている。日本は、国際社会の一員として、世界平和や国際社会が抱える課題解決に主体的にかかわっていくことが求められている。しかし、国際貢献に関する基本的な考え方が不明確で、問題が起こるたびに特別措置法を制定していたのでは、国際社会の期待や情勢の変化に応じて積極的かつ機動的に対応することもままならない。自衛隊が国際社会と協調して国際平和に寄与する活動に貢献・協力できる旨を、憲法上、明示する必要性が高まっている。
 1946年の制定当時と比較し、内外情勢も、国民意識も大きく変化している。憲法の歴史的価値をたな卸しし、引き継ぐべきもの、新しく創造するもの、変えるものを整理し、より国家理念にふさわしい憲法に改正していく必要がある。経団連は、2010年代初頭までに憲法改正の実現をめざす。
                        (89~90頁)

【キャノンの今期純利益5200億円 8期連続最高益更新】
                  
(日本経済新聞 4月20日より)

 キャノンの収益拡大が続いている。2007年12月期の連結純利益(米国会計基準)は前期比14%増の5200億円前後と8期連続で過去最高を更新する見通しだ。従来予想を約250億円上回り、初めて5000億円を超える。複写機やデジタルカメラなどの販売が好調なため。純利益が5000億円以上の国内企業(05年度実績、金融機関は除く)は、トヨタ自動車、NTTドコモ、ホンダ、日産自動車の4社にとどまっている。

【私の意見】Up63_18

 財界も日本政府も成長重視、愛国心教育、労働の規制改革(非正規雇用の拡大の容認)、憲法9条改革と正に瓜二つです。キャノンは空前の利益を挙げる中、偽装請負や派遣労働者を増やし続け民主党が御手洗富士夫氏(経団連会長、キャノン会長)の証人喚問を求めていました。「希望の国、日本」が述べるように確かに大企業には明るい青空が見えているかもしれませんが、中小企業は視界不良で倒産が今なお増えています。大企業の好業績と国民の幸福が一致しないことは、大企業において働き盛りの正社員に増え続けているうつ病、低賃金で働かされる請負、派遣労働者の拡大からも明らかです。残念ながら今の大企業経営者の中に幅広い視野をもつ人が少なくなってしまい、自企業の目先の利益しか考えられない人が多数派となりました。経済界や日本政府に卓越した識見と幅広い視野をもったリーダーが登場するのは一体いつの日なのでしょうか。

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2007年4月20日 (金)

全家連について破産手続開始を申立

 新聞・テレビ等で報道されましたが、去る4月17日精神障害者の家族の方を中心とした全国組織である財団法人全国精神障害者家族会連合会(全家連・ぜんかれん)について、私他 銀座通り法律事務所の弁護士が代理人として破産手続開始の申立をしました。
  全家連は精神障害者のための最大の障害者団体でした。1994年(平成6年)7月精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第51条の2に基づき,厚生大臣(当時)から「精神障害者社会復帰促進センター」(全国を通じ1個に限る)の指定を受けるなど国もその存在を認知していました。
 補助金の目的外使用が発覚して全家連が存亡の危機を迎えた4年前から私は相談を受けてきました。家族は苦しい中で2000円募金をして8000万円位になりましたが負債の返済には到底届かず今回力尽きて破産手続開始申立という苦渋の選択をしました。
 全家連は4月17日をもって41年余の歴史を閉じたことになります。“ぜんかれん誌”は孤立しがちな全国の精神障害者と家族の心の支えの役割を果たしてきました。全家連が閉じたのちも,精神障害者及びその家族にとって,心の支えとなる全国的な組織が不可欠です。
 特に今日,障害者自立支援法の施行など,障害者福祉制度の改革が進むなか,全国の精神障害者及びその家族は連携をとって制度の改善に取り組む必要があります。

 近い将来,全家連に代わる新たな全国組織が結成されることを期待しています。

【お詫び】

 この手続き等のためブログの更新ができなかったことをお詫びします。

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2007年4月 8日 (日)

景気回復と無縁の中小企業経営と倒産

【東京地方裁判所民事20部(破産・再生部)】

 東京地方裁判所には、行政部、労働部、知的財産部、交通部等の専門部があります。企業や個人の破産事件を扱う破産専門部が民事20部です。企業や個人の再生(再建)を図る法的手続きを定めた民事再生法が2000年4月1日に施行され、これも民事20部が扱うことになりました。それまで民事20部のことを破産部と称していましたが、名称も破産・再生部に変更されました。企業再建のための法的手続きとしては別に会社更生法にもとづく会社更生手続があり、これは主として大型の企業が経営危機に陥ったときの再建手続で東京地方裁判所では民事8部(商事部)が扱っています。しかし、民事再生法施行後は大型の企業再建事件についても民事再生手続が利用されるようになりました。現に私が裁判所から選任されて監督委員(再生手続が公平・誠実に行われているか監督する者)に就任した株式会社池貝、株式会社川奈ホテル、ジャパン石油開発株式会社をとってもいずれもビッグな会社の再建事件です。

【ある中小企業の民事再生申立事件】

 私個人として3月22日にヘビーな労働事件の証人尋問が終わりやれやれ少しゆっくりできるかなと思っていましたが3月下旬から4月にかけて企業や個人の再建や破産で民事20部に頻繁に足を運ぶことになりました。
 ある中小企業(A社)が3月末の手形決済資金が足りず、再生手続開始の申立てをしました。ある都市の歴史ある企業であり、工場をもち経営者も真面目な人柄で取引先からも信頼されていましたが、力尽きて法的再建の道を選ぶ結果となりました。その都市も歴史の深い静かな都市で、裁判所に申立てた日は丁度桜が満開で、落ちついたまちなみと桜の花の美しさに一瞬みとれました。国は大企業や大銀行だけを手厚く保護しておきながら、こんな静かなまちのこんな真面目な中小企業まで存亡の危機に追い込む国の政策に強い憤りを覚えました。

【中小企業の開廃業・倒産の動向】
        (2006年版「中小企業白書中小企業庁編より)

 中小企業白書にもとづいて、中小企業の現状を見てみます。

【中小企業の減少】             (同書28~29頁より)

 我が国の廃業率は、近年は上昇傾向にあり、中でも2001年から2004年の期間においては企業数ベースで年平均6.1%と過去最高の水準になっている。この結果、開業率がわずかに上向いてることを差し引いても、廃業率が開業率を大きく上回り、その差は事業所数ベースで2.2%、企業数ベースでは2.6%と更に拡大し、この統計が取り始められた1947年以降いずれも最大となっている。
 こうした開廃業の動向を実際の企業数ベースでも見てみよう。開業企業数は1994年から1996年に年平均14.3万社まで減少した後増加に転じ、2001年から2004年には年平均16.8万社となっている。一方、廃業企業数は同じ期間で年平均17.2万社から29.0万社に増加しており、2001年から2004年をとるとその差は実に12.2万社にのぼっている。この結果、1986年のピーク時には535.1万社を数えた我が国企業数(全企業数ベース)も、2004年では433.8万社まで減少している。同じく1986年から2004年の間に、中小企業数も532.7万社から432.6万社まで減少した。

【法的倒産件数の増加】          (同書40~41頁より)

 我が国の倒産件数自体は、2001年の19,164件をピークに低下を続けてきており、2005年には12,998件と大きく減少、バブル崩壊後の最低水準となった。これを形態別に見ると、近年は銀行取引停止処分による倒産件数の減少が大きく、全体的に手形をはじめとする企業間信用が減少している中、不渡り手形を出して銀行取引停止処分となる企業が減少している可能性も考えられる。
 全体として倒産件数に一服感が出ていることは事実であろうが、一方で法的申立による倒産件数自体は破産を中心に増えていることからも、先に見た足下の倒産件数の減少をただちに倒産件数の改善であると直結して判断するには注意が必要である。

 注) 手形の利用が激減し、東京地方裁判所でも手形部という専門部を縮小しました。手形を利用しないため手形不渡りという倒産事件は減りましたが、実質的に破綻した企業は減っていないと言えます。

【私の意見】Up63_17

 多くの中小企業は金融機関の不良債権処理でなぎ倒されました。不良債権の発生には金融機関の側にも大きな責任がありましたが、金融庁は金融機関の保護を最優先し徹底した貸しはがしを指示しました。それでも生き残ってきたA社のような中小企業も大企業ばかりが強くなって厳しい経営を続けさせられてきました。A社はバブル期も踊ることもなく、堅実な経営を続けていました。しかしゆとりのできた大企業が自社で製造するなどにより取引額が大幅に減少しました。その上、原油価格の高騰により仕入れ価格が高騰しましたが買い手は価格の上乗せを認めてくれず、働いても働いても損失が拡大していきました。A社ではこの間都内の本社社屋を売却し、地方都市にある工場の3分の1の土地を売却してしのいできましたが、それでも自力で生き延びることはできませんでした。日本の製造業の強みはいぶし銀のような中小企業が創意・工夫のもとにすぐれたモノづくりを支えていたところにありました。今存続している中小企業も大企業の顔色をうかがいながらなんとか生きているというのがほとんどです。働いている日本人の7割が中小企業で働いています。個人だけでなく企業も明らかな格差社会となってしまいました。輸出型大企業やメガバンクばかりを保護する日本政府の政策では、多くの人々に笑顔がもどることはありえないことでしょう。

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2007年4月 3日 (火)

幼稚な安倍外交と「美しくない国」日本

【日韓外相会談 にじむ対立 かすむ協調
        米韓接近の影響も「歴史」「拉致」が火種に】

                 (3月27日 日本経済新聞より)

 日韓の外相はリゾート地を舞台にノーネクタイで会談し、日韓協調の演出に努めた。だが、直前に従軍慰安婦問題が再燃して対立の構図が浮上。北朝鮮政策でも拉致問題を優先する日本と、支援を本格再開した韓国の足並みの乱れという火種がくすぶる。「金融制裁」を解除した米国も従軍慰安婦問題で対日批判を強めるなか、米韓接近ムードが「日米韓連携」にも微妙に影響しつつある。

【会談直前に韓国の態度が変化】

 当初、韓国は対日関係の修復を優先し、歴史や領土といった個別懸案で論戦を仕掛けない構えだった。
 しかし、雲行きは会談の直前になって変わった。日本政府内から従軍慰安婦問題を巡って発言が相次ぎ、韓国政界やメディアなどで対日批判が拡大したためだ。宋外通相は間接的に安倍晋三首相らの言動を批判。「歴史を直視する必要がある」「屈曲した鏡を通して正しい未来を見ることはできない」と強い調子で懸念を示した。

【アジアには過去、強制的に動員された
                数多くの横田めぐみさんがいる】

 北朝鮮政策での連携も不透明感が漂う。安倍首相は「拉致問題が進展しない限り北朝鮮支援はない」と主張する。宋外通相は会談で「日本の判断を尊重する」と反論せず、北朝鮮支援で中長期的に日本の経済力に期待する思惑をのぞかせた。
 しかし韓国には「アジアには過去、強制的に動員された数多くの(横田)めぐみさんがいる」(韓明淑前首相)などと、慰安婦問題と拉致問題を絡める潜在的な主張が根強い。仮に北朝鮮が核放棄を進めても、拉致問題が進展しなければ「日韓が支援問題で対立するのは避けられない」(ソウルの外交筋)。

【米は対北政策軟化】

 「慰安婦」と「拉致」の問題は日米韓の連携にも影を落とす。米国は拉致問題で日本の立場を支援するが、慰安婦問題では鋭い矛先を向けつつあるからだ。
 従来、北朝鮮を巡る日米韓の関係は、日米が緊密に連携して北朝鮮に融和的な韓国のつなぎ留めに腐心する構図だった。
 しかしブッシュ政権が対北政策を軟化。最近は「拉致問題解決にこだわる日本が六カ国協議で孤立するのを、米韓が懸念する図式に変わった」(六カ国協議筋)との分析も出ている。

【美しい国へ】
  (安倍晋三著「美しい国へ」2006年7月 文芸春秋 最終頁より)

 わたしたちの国日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の文化をもつ国だ。そして、まだまだ大いなる可能性を秘めている。この可能性を引きだすことができるのは、わたしたちの勇気と英知と努力だと思う。日本人であることを卑下するより、誇りに思い、未来を切り拓くために汗を流すべきではないだろうか。
 日本の欠点を語ることに生きがいを求めるのではなく、日本の明日のために何をなすべきかを語り合おうではないか。

【私の感想】Up63_16

 いくら美しい自然に恵まれていてもそこに住んでいる人々や政治家が美しいとはかぎりません。日本国民は森、小泉、安倍と他国のことを顧みない首相を3代続けて選んできました。そのようなリーダーが「勇気と英知と努力」とか「誇りに思い、未来を切り拓くために汗を流すべきではないだろうか」といくら力んでも空疎な響きしか残りません。それどころかアジア諸国では、過ちを認めない日本人としての評価はすでに確固たるものとなっています。
 アメリカのブッシュ政権すら日本政府の頑なな態度にへきえきとしはじめています。2年後のアメリカが民主党政権になれば日本政府は手のひらを返してアメリカ政府や韓国政府にすり寄るのでしょうか。
 日本政府は経済が日本の強力なカードと思って強気な態度に出ていますが、経済援助ができなくなり、経済取引がなくなって一番困るのは日本です。北朝鮮はすでに開き直っています。日本の首相が今後も歴史を否定する発言を続ければ中国や韓国も日本に見切りをつけるでしょう。アジアの国々にとって日本は欠くべからざる国ではありません。いつまでも政冷経熱が続くと思っっていたら大間違いです。
 私たち日本人もそろそろ幼児外交から脱却して、せめて少年外交に成長するべきではないでしょうか。このまま幼稚なリーダーを頂き続けていると日本人は世界の笑いものになり、世界一の嫌われ者になるでしょう。今すでに日本人を嫌いだと思う外国の人々が少なくないことは悲しい現実なのです。私たち国民はタカ派の政治家の言動に脳天気に拍手喝采を送り続けていると、取り返しがつかなくなることを肝に命じるべきです。

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2007年4月 1日 (日)

ソニー創業者盛田昭夫の信念・情熱・夢

(盛田昭夫論文集「21世紀へ」 2000年11月ワック株式会社より)

【はじめに】

 本書は井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。
 終戦の翌年、焦土の上に前身企業である東京通信工業を設立して以来、盛田は井深とともに半世紀にわたってソニーを慈しみ育て、国内外のあらゆる意味でのトップ・ビジネスへと導いてきた。その間に日本は、国際社会への復帰、高度経済成長への発展、そして世界レベルの貿易市場への参入など、一流国家への道に付随する幾多の課題と問題点に挑んできた。
                   
 改めて読み返してみると、その時代のソニーとわが国の経済環境を的確に表現しているのはもちろんだが、基本原則を見抜いて合理的に発展させるという盛田特有の能力によって、論の主旨は現在でも十分な鮮度を保っていることに驚かされる。いやそれどころか、世界が本格的なボーダレス社会に突入した今日こそ、国際人・盛田が放った言葉が本格的な意味を持つといっても決して過言ではない。

 日本が経済面をはじめとして行くべき方向を見失っているいまこそ、すべての経営者およびビジネスマンはもちろん、その他、日本のリーダーを志す人々への力強い助言となるだろう。
 1993年11月30日、盛田は早朝テニスのプレー中に脳内出血で倒れた。奇しくもその日は、経団連の平岩外四会長から盛田に対し、次期会長への就任要請が行われる日であった。
 しかしその席に着かぬまま。六年後の1999年10月3日、あの世に旅立った。盛田昭夫には「21世紀が見たい」との強烈な思いがあったに違いない。彼の意志は、そのまま日本と日本人に与えられた重要課題なのである。
(編集部)

【繁栄のための経営理念】              (1982年)

 経営理念という言葉の意味は、非常に漠然としている。だから、経営者に「あなたの経営理念は何か」と質問すれば、人によってじつにさまざまな答えが返ってくる。

 私の経営理念は「ソニーと関係あるすべての人を幸福にすること」である。これは理念というよりも、経営者としての私の使命というべきかもしれない。そして、その使命を果たすためには、さまざまな経営技術を駆使して利益をあげていかなければならない。つまり、理念を実践するために、いろいろな戦術が必要になる。

 ソニーに関係のあるすべての人に幸福になってもらうことが私の念願であるが、とりわけ、社員の幸福は、私の最大関心事である。なんといっても社員は、一度しかない人生のいちばん輝かしい時期をソニーに委ねる人たちであるから、絶対に幸福になってもらいたい。
 もし、その人が死ぬときに「おれは大事な人生を、あんなところでムダに過ごしてしまったな」と思ったら、これほど不幸なことはない。やはり、「おれはソニーで働けて幸せだった」と思って死ねるようにしてあげることが、社員に対する最大のつとめだと思う。
 だから、私は新入社員の入社式でいつも次のようにいうことにしている。
「君たち、ソニーに入ったことをもし後悔するようなことがあったら、すぐに会社を辞めたまえ。人生は一度しかないんだ」

【経営者はレイオフの権利があるか】

 私は、アメリカやヨーロッパで経営者連中を前に講演するとき、よく次のような話をする。「あなた方は、不景気になるとすぐレイオフをする。しかし景気がいいときは、あなた方の判断で、工場や生産を拡大しようと思って人を雇うんでしょう。つまり、儲けようと思って人を雇う。それなのに、景気が悪くなると、お前はクビだという。いったい、経営者にそんな権利があるのだろうか。だいたい不景気は労働者が持ってきたものではない。なんで労働者だけが、不景気の被害を受けなければならんのだ。むしろ、経営者がその責任を負うべきであって、労働者をクビにして損害を回避しようとするのは勝手すぎるように思える。われわれ日本の経営者は、会社を運命共同体だと思っている。だから、いったん人を雇えば、たとえ利益が減っても経営者の責任において雇い続けようとする。経営者も社員も一体となって、不景気を乗り切ろうと努力する。これが日本の精神なのだ」
 こういう話に対し、彼らは非常に興味を示す。私は話だけでなく、実際にサンディエゴの工場で実践もしている。ちょうどオイル・ショックのとき、サンディエゴ工場には約250人の従業員がいた。アメリカ人のマネージャーが、さっそく私にレイオフの提案をしてきた。そこで私は彼にいった。
「うちは絶対にレイオフしちゃいかん。利益が下がってもいいから、全員をキープしろ。その代わり、不景気の間を利用して社員教育を行う」
 それ以降、工場の清掃から始めて、日本式の社員教育を徹底的に実施した。レイオフを免れた250人の社員は、非常に感激し、熱心に社員教育を受けた。その結果、彼らは、現在数千数百人いる従業員のなかでも中核的な存在となって、大いに会社に貢献している。
 そういうときに、アメリカの経営者なら、当然レイオフして従業員を減らしているはずである。しかい、サンディエゴ工場ではクビ切りをやらなかったおかげで、従業員のモラールが大いに高まったのである。
 日本人も外国人も結局は同じ人間である。日本で通用する理念や原則は、世界でも通用するのである。

【盛田 昭夫(もりた あきお)】

ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。46年、井深とともにソニーの前身・東京通信工業を設立。ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。海外の経済界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。99年死去、享年78。著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新現実主義』(文藝春秋)『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』(共著、光文社)等がある。

【私の感想】Up63_15

 わが国が盛田昭夫氏のような経営者を輩出したことをとても誇りに思います。それにしても、「なんといっても社員は、一度しかない人生のいちばん輝かしい時期をわが社に委ねる人たちであるから、絶対に幸福になってもらいたい」と心の底から思っている経営者が今どれだけいるのでしょうか。

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