2012年5月21日 (月)

第8回弁護士マイスター公開学習会のご案内

【公開学習会】

 学習会は主として弁護士や司法修習生を対象とする学習講座です。関心のある法律家や法律家をめざす方は積極的にご参加下さい。今回は企業法務が中心テーマの一つです。企業関係者の方も歓迎します。この学習会はご希望があれば誰でも歓迎します。
 この学習会は公開講座です。したがって、弁護士の方が具体的判例を発表する時は関係者のプライバシーに配慮して、Aさん、Bさんという仮名をご使用下さるようお願い致します。

第8回弁護士マイスター公開学習会・交流会 案内】

 第8回 弁護士マイスター公開学習会・交流会を以下の通り開催致します。

■ 日時 2012年4月21日(土) 午前9時~12時

■ 場所 築地社会教育会館 2階
      東京都中央区築地4-15-1(最寄り駅:東銀座駅徒歩5分)

■ テーマ 上場会社の定時株主総会を主催する側の立場に立って心がけるべきこと

■ 講演者  弁護士 清水建夫 他 

 * 株主総会は社長、役員、従業員が一丸となって、自社のこの1年間を総点検し改革・刷新するための好機と前向きに位置づけ、臨む。
 * 会社のウィークポイントは何か、どこをどう変えれば良くなるか、弁護士は第三者的立場から公正・中立・客観的に社長以下に率直に意見を述べ会社の人たちとともに考え総会を準備する。
(参考)
 2012年5月2日清水ブログ「弁護士提言1 株主総会は企業刷新の好機」
 2012年5月14日清水ブログ「弁護士提言2 株主総会法的瑕疵ゼロ作戦」

■ 参加費 (資料代)おひとり1,000円(司法修習生は無料)。

【弁護士マイスタープレゼミ】

 弁護士マイスタープレゼミを以下の通り開催致します。こちらも法律家に限定しませんので、みなさまの積極的な参加をお待ちしています。

■ 日時 2012年5月31日(木)  午後6時~
■ 場所 築地社会教育会館(地図) 3階 第3洋室
      (日比谷線・都営浅草線 東銀座駅徒歩5分)
■ テーマ 上場企業の株主総会への弁護士の関わり方、平成24年株主総会のトピック企業のコンプライアンスにおける弁護士の役割など

参考テキスト(PDF):  
  『平成24年度版株主総会なるほどQ&A』 三菱UFJ信託銀行証券代行部編(中央経済社)
 『株主総会想定問答集平成24年版(別冊商事法務353)』 河村貢ほか(株式会社商事法務)
 『弁護士清水建夫氏の提言(ブログ記事より)』

【事務局・お問い合わせ】

参加希望の方は、プレゼミは5月9日までに、弁護士マイスターについては5月23日までに銀座通り法律事務所 までメールかFAX・電話にてお問い合わせください。
 TEL:03-5568-7601 FAX:03-5568-7607
 E-mail:画像で表示しています 

 
 ※ 2ヶ月に1回、土曜の朝勉を継続します。
 
 ※ これまでに行った公開学習会・交流会はこちらをご覧下さい。

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2012年5月14日 (月)

弁護士提言2 株主総会法的瑕疵ゼロ作戦

【法的瑕疵ゼロ作戦の成功はそんなに難しくない】

 法的瑕疵ゼロ作戦というと大変ハードな作戦(目標)のように聞こえますが、実際はごくやさしい作戦(目標)です。その理由は“法的”な瑕疵をゼロにするということについて注意を払えば良く、あらゆる不備やミスをゼロにするということではないからです。
 不特定多数の株主を相手に招集する株主総会に一定の不備やミスは時に起こります。その不備があったからと言って頭をかかえて考え込んでしまっては先に進めません。その不備が決議取消事由となるような重大な瑕疵(不備)であるかどうかで割り切ればよいのです。決議取消事由にもならない不備は余り気にする必要はありません。その意味では“法的”瑕疵とはどのような不備をいうのかをまず頭においてゼロ作戦を練った方が楽です。一人で法的不備がゼロの株主総会を準備しようとすると体がもちません。

【決議取消の訴え、決議不存在確認の訴え、決議無効確認の訴え】

 株主総会の決議に瑕疵があるときは、株主はその決議を否定することができます。会社法は決議の効力を否定するための訴えとして、①決議取消の訴え、②決議不存在確認の訴え、③決議無効確認の訴え の3つを規定しています(830条、831条、834条16号 17号)。
招集手続きが法令又は定款に違反する場合は取消事由になります。招集通知は中14日間置いて発送しなければなりません。株主総会を木曜日に開くときは遅くても2週間前の水曜日には発送しなければなりません。たった1日の不足でも決議取消事由となります。決議事項については会社法や会社法施行規則の定める内容が記載されているかどうかをチェックする必要があります。この点の参考書として前回紹介した三菱UFJ信託銀行 証券代行部編の「平成24年度株主総会実務なるほどQ&A」が便利です。また三種類の訴えについては会社法の代表的解説書 前田庸著「会社法入門」(第12版2009年)の392頁~402頁にわかりやすく説明がありますのでご覧ください。
 招集通知状は今では招集通知状を印刷する株式会社プロネクサスや宝印刷株式会社がディスクロージャー専門会社として力をつけ、法的チェックもしてくれますが、会社担当者や顧問弁護士としては、自らも法的チェックをしておかないと総会当日質問にも立往生することにもなりかねません。

【株主総会当日における取締役の説明義務違反と決議の取消】

 「株主総会、役員報酬、資料の閲覧謄写請求等をめぐる判例」については、河村 貢著「株主総会想定問答集」(別冊商事法務平成24年版)125頁~151頁に詳しく記載されていますのでご覧ください。株主総会当日において取締役の説明義務が不十分であるとして決議取消が認められた事案は役員の退職慰労金を贈呈する件ばかりで、次の2件です。

[ブリヂストン事件]
 一審 東京地判昭和63年1月28日(商事法務1135号41頁、判例時報1263号3頁)---決議取消し---会社側敗訴
 二審 東京高判昭和63年12月14日(商事法務1168号54頁、判例時報1297号126頁)---訴え却下(訴えの利益消滅)---株主敗訴
 上告審 最判平成4年10月29日(資料版商事法務104号114頁、商事法務1303号48頁、判例時報1441号137頁)---上告棄却

[南都銀行事件]
 奈良地判平成12年3月29日(資料版商事法務193号200頁)。「金額を明確に公表せよ」という株主の要求を拒絶した結果、奈良地裁は判決で取消した。会社は翌年金額を開示して再決議をし控訴審で和解で終了した。

 最近では会社役員の報酬は開示する方向にありますので、総会当日株主があくまでも納得しない場合には、退職者に贈呈する予定額を開示するように私は指導しています。決議取消訴訟で争われることによる時間と費用のロスを考えると係争はできるだけ残さない方が賢明です。

【説明義務に関する判例の考え方】

(1) 説明義務に関する判例の考え方は次の一連の電力会社決議取消請求事件の判決で示されています。
 このうち九州電力決議取消請求事件を紹介します。

  福岡地判平成3年5月14日(資料版商事法務87号69頁、判例時報1392号126頁)---会社側勝訴

(2) 九州電力決議取消請求事件
 以下は、河村 貢著「平成24年版株主総会想定問答集」の原文のまま引用させていただきます。ただしアンダーラインは説明義務の範囲に関するものとして私が加筆したものです。

(この判決は株主の入場チェック、ゼッケン着用や写真撮影の禁止、質問状や説明義務の意義、一括回答の適法性、説明義務の限界、質疑打切りの適法性、議長の裁量権、動議の提出方法、決議の成立等株主総会において起こり得るさまざまな問題につき、従前からの実務上の取扱いを是認し、適切な判断を下している判決例である)
 (判決要旨)
1 非株主が本件総会に入場しようとする相当な蓋然性があり、なおかつ、現実にも多数の非株主を含む原告らグループが一かたまりになって入場しようとした状況の下では、被告(会社)が入場資格を確認する必要は是認される。
2 その方法として、議決権行使書用紙の提示を求め、なお、その提示者と議決権行使書用紙名義人との同一性に疑義が生じたときに、提示者に氏名、住所、持株数等を質問して株主本人か否か確認したことは、相当なものといえる。
3 (会社側がゼッケンの取外しを要求したことについて)ゼッケン着用それ自体一方的で継続的な発言ととらえられかねず、また、ゼッケン着用者が集団的行動をとれば他の株主に対する示威行為にもなりかねず、議事運営に混乱を来すおそれのあることを否定することはできない。
4 ・・・・・・・かかる状況において、秩序ある株主総会の議事を運営すべき立場にある被告がバッグを一時的に預けるよう要請し、これに応じない者については、バッグの中にこれらのものが入っていないことを確認しようとすることは、不当なものとはいえない。
5 会場内において不特定の株主が不規則に写真撮影を行うことは、プライバシーの問題から株主相互の不快感や軋轢の原因となりかねず、議場の平穏を乱すおそれがあるほか、自由な質疑討論の妨げにもなりかねない。したがって、被告が会場へのカメラ持込みを禁止することとしたことは・・・・・・被告の有する議事運営権の裁量範囲内にとどまるものであって、不当なものとはいえない。
6 事前の質問状の提出のみによっては、当該事前質問状記載の質問事項につき取締役等に説明義務は生じないものといわざるを得ない。
7 仮に報告事項について取締役等の説明義務違反があっても・・・・・説明義務違反という瑕疵がない別の目的事項の決議についてまで、これを理由に決議を取り消すことはできない。
8 取締役等の説明義務は、株主総会における決議事項につき、株主が賛否を決するための合理的判断をなすために必要な資料を提供することにある・・・・合理的な平均的株主が、株主総会の目的事項を理解し決議事項について賛否を決して議決権を行使するに当たり、合理的判断をするのに必要な範囲において認められる。

9 株主総会の円滑な運営の観点から、あらかじめ質問状の提出のあったものにつき、改めて・・・・・・質問を待つことなく説明することは、総会の運営の方法の問題として会社に委ねられている・・・・・説明すべき質問事項を取捨選択し一括してする説明が、直ちに違法となるものではない。
10 議長は・・・・・・合理的な時間内に会議を終結できるよう、各株主の質問時間や質問数を制限できると解されるし、相当な時間をかけてすでに報告事項の合理的な理解のために必要な質疑応答がされたと判断したときは、次の目的事項に移行すべく質疑を打ち切ることができるものと解される。
11 議長は・・・・・株主総会のいかなる段階で株主の発言を許し、また、発言を禁止するかを決定する権限を有している。・・・・・その裁量が議長としての善良なる管理者の注意義務の範囲内にとどまる限りは、議事運営が不公平なものとなることはないと解すべきである。
12 株主が動議を提出するに当たっては、議長が明認することのできる方法により、適式に、その提出を求めなければならない。
13 会計監査人の総会出席を求める動議は・・・・・監査役の監査報告後・・・・・求めれば足りるのであって・・・・・総会の冒頭において右動議の提出を受理しなかったことをもって・・・・・不公正があったとはいえない。
14 株主総会においては、議案に対する賛成の議決権数が決議に必要な数に達したときに評決が成立するのであって、出席株主の明認し得る方法により評決がされれば、必ずしも挙手、起立、投票などの採決方法をとることまでを要しない。

【説明義務違反についての判例の考え方のまとめ】

(1) 仮に報告事項について取締役の説明義務違反が多少あっても、決議事項についてまでこれを理由に取り消すことはできない。
(2) 取締役等の説明義務は、株主総会における決議事項につき合理的な平均的株主が賛否を決するにあたり、合理的判断をするのに客観的に必要な範囲において行えば足りる。

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2012年5月 2日 (水)

弁護士提言1 株主総会は企業刷新の好機

【株主総会シーズン】

 日本の上場企業の多くは3月決算ですので、定時株主総会は6月下旬に集中しています。そのため6月は株主総会シーズンと言われます。総会日を6月28日に想定したケースの大会社の株主総会モデルはこちら(pdf)です(三菱UFJ信託銀行証券代行部編「平成24年度株主総会実務なるほどQ&A」232頁~237頁)。

 したがって、会社の経理部・法務部は3月下旬から総会に向けた準備に入っています。総会に出席する顧問弁護士に会社から相談があるのは大体4月下旬頃で、事業報告の概要と提案予定の議案の素案について相談を受けます。

【株主総会は正々堂々と王道を歩もう】

 上場企業から株主総会の運営指導の依頼を受けたときは、私は王道を極め正々堂々と正面突破をすることを基本理念として会社にアドバイスをしています。株主総会は会社をブラッシュアップ(刷新)するチャンス(好機)であり、このチャンスを大切にしてこの機会に会社の抱えている問題点を総ざらいするようアドバイスしています。
 長い間総会屋さんが企業の株主総会に顔を出していたため、総会屋対策イコール株主総会対策というイメージがありました。しかし今は株主総会に出席する株主はほとんど一般株主です。一般株主からの質問は招集通知をもとにしたやさしい質問がほとんどです。大きな社会問題を起こした企業は質問も多く内容も厳しいですが、それでもほとんどが最後は会社提案が通って終わっています。2011年の6月総会は2,000社近く開催されていますが、否決されたのは1社の1議案のみです。
 企業の経営権をめぐって役員側と大株主の側で熾烈な委任状合戦が行われている例外的な場合を除き、ほとんどの場合会社提案が通っています。どうせ勝つならこそこそした勝ち方をせず、会社についての株主の批判を真正面から受け止め正々堂々と王道を歩むべきだというのが私が常に基本と考えている点です。

【総会準備こそ自社をブラッシュアップ(刷新)するチャンス(好機)に生かそう!】

 株主総会当日の株主(一般株主)の質問はやさしい軟球がほとんどです。社長(議長)や他の役員にとりこれを打ち返すのはそんなに難しいことではありません。
 私は当日もさることながら、リハーサルを含む総会当日までの準備を重視しています。
 リハーサルにおける社長(議長)や取締役への質問は私は剛連球を役員がのけぞるような胸元すれすれのところに投げるように心がけています。会社側が作成した想定質問を参考にしますが、それにこだわらず独自に想定した質問を作成します。そのための基礎資料は過去3年間の決算の内容、3年分の招集通知書、この1年間の4半期決算報告と決算短信、競業他社との業績比較、経済界の動きなどです。これをもとに中長期計画と現状を分析し、目標としたものと結果を比較します。過去に発生した不適切な会計処理や違法行為や行政指導の内容と現在の状況も再点検します。
 そのうえでリハーサルではまずその会社の最高意思決定者(多くは議長である社長)に剛連球を胸元すれすれに投げます。弁護士からの剛連球を受けた後ですから、総会当日に一般株主の軟球を打ち返すのはたやすいことです。ただしリハーサルで役員を追いつめ、困惑させることが私の本来の目的ではありませんので、質問事項は事前に役員に送ってその回答の準備をお願いしています。それでも各役員の方々は胸元すれすれの剛連球から身をよけるのに苦戦しています。

【公正な企業ほど伸びる】

 不公正がまかり通る企業はいずれボロが出て衰退の道を歩むことになります。株主総会を企業が抱えている問題点を洗いなおす絶好のチャンスととらえて役員も株主も従業員も臨むべきであると思います。チャンスを活かすためには総会当日よりも準備段階こそ大切です。公正な企業ほど伸びるということは、成熟社会では当然のことです。企業コンプライアンスについて、私は当初どうせ上辺だけで終わると軽く見ていましたが、どうしてどうして企業コンプライアンスは企業経営の最優先事項となりつつあります。他国と比べて社長も一般社員も身分格差も経済格差も少ない日本社会の企業ならではこそと思います。なお株主総会の準備の仕方についての私の提言を6月下旬までに何回かに分けて掲載させていただきます。

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2012年4月10日 (火)

警察官の猿ぐつわと心肺停止と国賠責任

【判例紹介】
  銀座通り法律事務所 代表弁護士 清水建夫

<異常な挙動をした者を保護した警察官が猿ぐつわをして心肺停止をしたことに過失があったとして、国家賠償請求が認容された事例>
     (国家賠償請求事件 仙台高裁H23.11.8判決
                 判例時報 2139号23頁コメント より)

1 訴外Aは、体調不良及び情緒不安定により会社を休んでいたが、異常な行動をとったことから家族が救急車を要請したところ、救急隊員は自傷他害のおそれがあるとみて警察に臨場を要請した。警察官が、Aを取り押さえ、咬舌防止の措置として風呂敷で猿ぐつわをしたところ、Aの心肺が停止した。
 Aは、心肺停止による無酸素性脳症により四肢全廃の状態となったため、警察官らには必要がないにもかかわらず誤った方法により猿ぐつわをした過失があるなどと主張して、Y(県)等に対し、約2億4400万円の損害賠償を請求した。
 一審は、警察官らには過失が認められないとして、請求を棄却した。そこでAが一審判決を不服として控訴したが、Aは、控訴審係属中に発生した東日本大震災による津波に巻き込まれて死亡したため、Aの遺族であるXらが本件訴訟を承継するとともに、請求を約1億5000万円に一部減額した。
2 本判決は、警察官は、Aの口にタオルを入れ、その上から風呂敷で猿ぐつわをしたと認定した上、右の態様の猿ぐつわは明らかに過剰で危険な措置であり、保護措置の方法につき必要な最小限度を逸脱した過失があると判断し、かつ、右認定の猿ぐつわとAの障害との間に因果関係があると判断し、一審判決を変更した上、Yに対して、約1億2000万円の支払いを求める限度で、本件訴訟を認容した。
3 警察官は、異常な挙動等により自傷他害の危害を及ぼすおそれがある者を発見したときは保護する必要があるが(警察官職務執行法3条)、本件では、猿ぐつわをした警察官の行為の適否、猿ぐつわをしたことと被害者の心肺停止との因果関係が争点になった。
 一審は、警察官の行為に過失がないとしたが、本判決は、猿ぐつわの方法が窒息を招く可能性の高い極めて危険な態様であったとして、その過失を認めたものである。
 本判決は、口の中にタオルが入れられた状態で猿ぐつわをした警察官らの行為の危険性についても厳しく非難したものであり、もっぱら事実認定の問題といえるが、状況証拠を詳細に分析しタオルを口に入れたのは警察官であると結論付けた点において(なお、仮にタオルを入れたのが警察官でないとしても、口の中にタオルが入っていることを認識したものというべきであるし、認識していなかったとしたらそのこと自体が過失であるとも付言している)、実務の参考になるものとして紹介する。

【私の意見】Up63

 Aは差し歯を抜きとって飲み込むなどの異常行動があり、舌をかみ切る危険があるとの報告を受け、警察官は咬舌防止のための措置をとるべく、Aの母が用意した風呂敷を用いて猿ぐつわをしたとのことです。警察官はAが舌をかみ切るなどの自傷行為を防ぐ目的で行ったのですが、心肺停止による四肢全廃という重篤な結果となり、県に対する国家賠償責任が認められました。Aの挙動や猿ぐつわ後のAの状況につき慎重な配慮が欠けていたため、県に国家賠償責任が認められたものと思われます。そのAが東日本大震災による津波に巻き込まれて死亡したというのも私にとり衝撃的でした。

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2012年4月 1日 (日)

自律神経失調症患者に産業医が賠償責任

【判例紹介】

 自律神経失調症で休職中の患者に対する産業医の言動が注意義務に反するとして、その不法行為責任が認められた事例  [ 損害賠償請求事件  大阪地裁平23.10.25判決 ]

<判例時報2138号81頁コメント>

1 X(原告患者)は,昭和62年から財団法人に勤務しているが,自律神経失調症により,平成20年6月30日から平成21年4月26日まで休職していた。
 Xは、休職中の平成20年11月26日、前記財団法人の産業医を務めていた医者であるY(被告産業医)と面談したが、YはXに対し、「それは病気やない、それは甘えなんや」「薬を飲まずに頑張れ」などと言い、前向きな生活をするよう励ました。
 しかし、Xは、Yとの面談後、病状が悪化し、精神的苦痛を被ったとし、Yに対して、530万円の損害賠償を請求した。
 これに対し、Yは、Xとの面談は、Xの復職判断のために行ったものではなく、相談的なものに過ぎず、Yの言動は、産業医としての注意義務に反するものではない、などと主張した。
2 本判決は、Yは、Xが自律神経失調症で休職中であることを知りながら、その病状を悪化させる危険性が高い言動を行ったのであるから、産業医としての注意義務に違反すると判断して、Yの不法行為責任を肯定し、Yに対して、慰謝料30万円等合計60万円の支払いを求める限度で、本請求を認容した。
3 産業医とは、事業者の委託により事業場で働く労働者の安全と健康の確保、災害の防止などを行う医師である(伊藤正男ほか編・医学大辞典962参照)。
 医師は、患者に対する情報提供と患者との対話を尽くして、患者が納得のできる治療方法を共同して決定できるように努力すべきであるとされているが、精神障害患者にあっては、意思決定能力が十分に備わっていない患者もあるため、病状の説明、治療の要否、その方法などの説明に当たっては、特段の配慮が必要であろう(中村哲「医師の説明義務とその範囲」新・裁判実務体系(1)69以下参照)。
 本判決は、自律神経失調症により休職中の者と面談した産業医の言動が注意義務に違反するとして、その責任を認めた珍しい裁判例であり、実務上参考になろう。

<注意義務違反についての判決の判示>

 これに関する判決文をそのまま以下に引用します。

2 本件面談における被告の言動が注意義務に反するものであったか
 (1) 前記1(3)、(4)、で認定した事実によれば、被告は、原告が自律神経失調症であり、休職中であるという情報を与えられた上で、原告との面談に臨んでいたにもかかわらず、原告に対し、薬に頼らず頑張るよう力を込めて励ましたり、原告の現在の生活を直接的な表現で否定的に評価し、その克服に向けた努力を求めたりしていたことが認められる。
 (2) ところで、被告は、産業医として勤務している勤務先から、自律神経失調症により休職中の職員との面談を依頼されたのであるから、面談に際し、主治医と同等の注意義務までは負わないものの、産業医として合理的に期待される一般的知見を踏まえて、面談相手である原告の病状の概略を把握し、面談においてその病状を悪化させるような言動を差し控えるべき注意義務を負っていたものと言える。
 そして、産業医は、大局的な見地から労働衛生管理を行う統括管理に尽きるものではなく、メンタルヘルスケア、職場復帰の支援、健康相談などを通じて、個別の労働者の健康管理を行うことをも職務としており、産業医になるための学科研修・実習にも、独立の科目としてメンタルヘルスが掲げられていることに照らせば、産業医には、メンタルヘルスにつき一通りの医学的知識を有することが合理的に期待されるものというべきである。
 してみると、たしかに自律神経失調症という診断名自体、交感神経と副交感神経のバランスが崩れたことによる心身の不調を総称するものであって、特定の疾患を指すものではないが、一般に、うつ病や、ストレスによる適応障害などとの関連性は容易に想起できるのであるから、自律神経失調症の患者に面談する産業医としては、安易な激励や、圧迫的な言動、患者を突き放して自助努力を促すような言動により、患者の病状が悪化する危険性が高いことを知り、そのような言動を避けることが合理的に期待されるものと認められる。
 してみると、原告との面談における被告の前記(1)の言動は、被告があらかじめ原告の病状について詳細な情報を与えられていなかったことを考慮してもなお、上記の注意義務に反するものということができる。

【私の意見】Up63

1.自律神経失調症は「神経症やうつ病に付随する各種症状を総称したものであり、疾患名ではなく、器質的病変もない]とされています。Yは自律神経失調症を軽んじておりこれが前記言動となったと思われます。

2.しかし好き好んで会社を休む人はいません。従業員の側にストレスが重なり休職せざるを得ない事情がどこかにあるはずです。その原因につき医師の立場から考慮の上、原因が企業の側にあるときは企業に職場環境の改善を要求し、本人の側にも原因がある場合は本人の生活改善を求めるのが産業医の役割と言えます。YはXの話を聞くことなく「それは病気やない。それは甘えなんや」と決めつけており、医師としての注意義務違反を問われてもやむを得ないと思われます。

3.産業医はかつては事業主目線で従業員を管理するという視点の人が少なくありませんでした。メンタルヘルスケアが重視されるようになり、従業員の立場を理解するすぐれた産業医が増えてきました。しかし、主治医と比べると、今なお産業医は管理者の目線で従業員を見ている傾向は否定できません。

4.当事務所に自律神経失調症で休職中の労働者から職場復帰の相談を受けることは少なくありません。その場合、まず主治医に“なぜ、うつ病ではなく自律神経失調症と診断したのが”“自律神経失調症の原因は何か”“職場復帰のため何をどう改善する必要があるのか”を尋ねます。本人が自分で会社と話し合うことが可能であれば、弁護士は職場復帰に向け本人にアドバイスする立場に徹します。本人がこの問題にかかわることが更にストレスを増すようであれば弁護士が代理人として交渉することになります。

5.以下には「自律神経失調症」についての医学辞典の記載と、産業医についての厚生労働省のパンフレットを参考までに紹介します。

【自律神経失調症】

<南山堂「医学大辞典」より>

 一般に種々の身体的自律神経性愁訴をもち、しかもこれに見合うだけの器質的変化がなく、原因も不明であり、自律神経機能失調に基づく一連の病像をいう。
 思春期から40歳代の間に好発し、男性より女性に多い。症状としては、自覚的なものが多く、頭痛、めまい、疲労感、不眠、ふるえ、四肢冷感、発汗異常、動悸、息切れ、胸部圧迫感、胸痛、食欲不振、胃部膨満感、便秘、下痢など多彩である。臓器選択制をもつ場合もあり、心臓神経症、胃腸神経症、呼吸神経症などの名称がある。診断は、まず器質的疾患がないことを確かめなければならない。つぎに心因の有無を知るため面接や心理検査を行い、さらに自律神経系の検査を施行する。治療の基本は精神療法であり、補助的に精神安定薬および自律神経遮断薬などを併用する。

<「ウィキペディアより」>

[概念]
日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と暫定的に定義されている。
 この病気は昭和36年ごろに東邦大学の阿部達夫が定義したものであるが、現在も医学界では独立した病気として認めていない医師も多い。疾患名ではなく「神経症やうつ病に付随する各種症状を総称したもの」というのが一般的な国際的理解である。
 この病気は実際にはうつ病やパニック障害、過敏性腸症候群や身体表現性障害などが原疾患として認められる場合が多く、原疾患が特定できない場合でもストレスが要因になっている可能性が高いため、適応障害と診断されることもある。また、癌などであっても似たような症状が表れることがある。

また、原疾患を特定できない内科医が不定愁訴などの患者に対し納得させる目的でつける、と言う否定的な見解もあり、内科で自律神経失調症と診断された場合は心療内科・精神科などでカウンセリング・投薬治療を受けることを勧められている。

[治療]
 多くの患者は内科ではなく心療内科や神経科に通院する。治療には抗不安薬やホルモン剤を用いた薬物療法や、睡眠の周期を整える行動療法などが行われている。最近では体内時計を正すために強い光を体に当てる、見るなどの療法もある。
 西洋医学での改善が認められない場合は、鍼灸・マッサージ・カウンセリングなどが有効な場合もある。
 
成長時の一時的な症状の場合、薬剤投入をしないで自然治癒させる場合もある。また、自ら自律訓練法を用いて心因的ストレスを軽減させ、症状を改善させる方法もある。

【産業医について~その役割を知ってもらうために~】
      (厚生労働省 安全衛生関係リーフレット等一覧
                        「産業医について」より)

<産業医の選任>

 事業者は、事業場の規模に応じて、以下の人数の産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければなりません。
(1)労働者数50人以上3,000人以下の規模の事業場 ・・・ 1名以上選任
(2)労働者数3,001人以上の規模の事業場 ・・・ 2名以上選任
 また、常時1,000人以上の労働者を使用する事業場と、特定の業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。

<産業医の職務>

 産業医は、以下のような職務を行うこととされています。
(1)健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること。
(2)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
(3)労働衛生教育に関すること。
(4)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。また、産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないこととなっています。

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2012年3月28日 (水)

第7回弁護士マイスター公開学習会のご案内

【弁護士危機の時代はチャンスの時代】

 弁護士過剰の時代とか弁護士危機の時代と言われています。しかし危機の時代はチャンスの時代でもあり、厳しい現実の中で将来ある若い法律家の方々がたくましく成長していくのを頼もしく思います。

【1日修習】

 現在、銀座通り法律事務所では司法修習生の方の1日~2日の短期修習を受け入れています(人数に制限があることをご了承下さい)。短期修習をご希望の司法修習生の方は、現在の修習先の了解を得るか、現在の修習に影響のない日を選んでお申し込み下さい。

【公開学習会】

 学習会は主として弁護士や司法修習生を対象とする学習講座です。関心のある法律家や法律家をめざす方は積極的にご参加下さい。この学習会はご希望があれば法律家以外の一般の方も歓迎します。
 この学習会は公開講座です。したがって、弁護士の方が具体的判例を発表する時は関係者のプライバシーに配慮して、Aさん、Bさんという仮名をご使用下さるようお願い致します。

第7回弁護士マイスター公開学習会・交流会 案内】

 第7回 弁護士マイスター公開学習会・交流会を以下の通り開催致します。

■ 日時 2012年4月21日(土) 午前9時~

■ 場所 築地社会教育会館 2階
      東京都中央区築地4-15-1(最寄り駅:東銀座駅徒歩5分)

■ テーマ 消費者問題、株主訴訟などの講演と若手弁護士らによる事例研究

■ スケジュール
  9:00~11:00 消費者問題、株主訴訟などの講演と質疑応答
             弁護士 米川長平氏
 11:00~12:00 事例研究
           新63期、新64期の弁護士数名による事例の研究・検討を予定しております
 12:15~ 昼食会
 

<弁護士 米川長平氏 プロフィール>

・ 所属弁護士会:東京弁護士会 1983(昭和58)年4月登録
・ 取扱分野:交通事故、賃貸借物件トラブル、金銭トラブル、不動産取引事件、離婚事件、相続事件(遺言,遺産分割等)、詐欺に遭った事件(悪質商法上トラブル)、刑事事件(起訴前弁護、法廷弁護)消費者問題全般(取引被害・製造物責任・株式先物被害事件)、独占禁止法事件(不適正行為・損害賠償)商法関係のトラブル、金融商品取引法関連事件
・ 経歴
    1950(昭和25)年11月 群馬県に生まれる。
    1975(昭和50)年3月 明治大学法学部卒業
    1983(昭和58)年4月 弁護士開業(第二東京弁護士会登録)
              柏原晃一法律事務所所属
    1985(昭和60)年 東京弁護士会登録変更
    1986(昭和61)年10月 米川長平法律事務所設立
    2006(平成18)年10月 よねかわ法律事務所と改称
    活動
    昭和58年5月 先物取引被害全国研究会参加
    昭和59年10月 豊田商事被害事件に関与
    昭和60年 三和信託被害弁護団事務局長
    昭和60年4月 東京弁護士会消費者問題特別委員会加入
    昭和61年9月 抵当証券問題東京研究会設立(事務局長)
    平成元年~ 東京弁護士会消費者問題特別委員会委員
    平成3年8月 茨城カントリークラブ被害者東京弁護団事務局長
    平成5年2月 飯塚国際ゴルフ倶楽部被害者弁護団
    平成6年~ 製造物責任(PL)東京弁護団所属
    平成6年7月 シャトーヴェールCC権利を守る会弁護団事務局長
    平成6年~ オリックス・クレジット被害者弁護団長/商工ローン被害者弁護団所属 平成元年4月~平成14年3月終了 東京都消費者センター消費者相談アドバイザー
    平成24年2月
     東京弁護士会消費者問題特別委員会委員
     東京都消費被害救済委員会所属
     東京弁護士会独占禁止法研究会所属
     東京先物取引研究会所属
     製造物責任(PL)東京弁護団団長代行
     パロマ被害対策弁護団・上嶋班事務局長
     ライブドア株主被害弁護団長
     欠陥住宅関東ネット所属
     ワールドオーシャンファーム被害対策弁護団副団長
     シンドラー被害事件原告事務局長
     FOI被害弁護団所属
     オリンパス株主被害弁護団長
  平成24年3月現在の活動
     東京弁護士会消費者問題特別委員会委員
     東京都消費被害救済委員会所属
     東京弁護士会独占禁止法研究会所属
     東京先物取引研究会所属
     製造物責任(PL)東京弁護団団長代行
     パロマ被害対策弁護団・上嶋班事務局長
     ライブドア株主被害弁護団長
     欠陥住宅関東ネット所属
     ワールドオーシャンファーム被害対策弁護団副団長
     シンドラー被害事件原告事務局長
     FOI被害弁護団所属
・ 執筆
    消費者のための製造物責任法(日本評論社)
    集団訴訟の実務(商事法務・2010年2月18日)
    ライブドア東京地判平成21年5月21日判例紹介(消費者法ニュース2009.10.P226)
    抵当証券をめぐって(ジュリスト1987.3.15)座談会

・ よねかわ法律事務所 http://www.yonekawa-law.jp/profile/index.html

※ ご参加いただける方は、銀座通り事務所までご連絡ください。     
※ 2ヶ月に1回、土曜の朝勉を継続します。

■ 事務局・申込み先 銀座通り法律事務所までメールかFAX・電話にてお問い合わせください。
 TEL:03-5568-7601 FAX:03-5568-7607
 E-mail:画像で表示しています 

 ※ これまでに行った公開学習会・交流会はこちらをご覧下さい。

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2012年3月21日 (水)

ユニクロ銀座店と銀座通り法律事務所三軒隣

20120321ginzadorilawuq【ユニクロ世界最大の旗艦店「ユニクロ銀座店」】
  (3月16日 産経ニュース より)

 ファーストリテイリングは16日、カジュアル衣料「ユニクロ」では世界最大となる旗艦店「ユニクロ銀座店」を東京・銀座にオープンさせ、午前10時に開店する前から約1000人が並ぶにぎわいを見せた。小売店でも百貨店などで「日本最大」に集客効果を期待するケースがある。ただ長引く不況と少子高齢化で、消費の市場は先細りが指摘される。果たして「最大」は吉と出るか凶と出るのか。

 「近所のユニクロより洗練されていて品数も多く、また来たい」。埼玉県からユニクロ銀座店に友人と来た主婦(43)はそう話す。

 ユニクロはアジアを中心とした海外展開を進めており、ファーストリテイリングは銀座店を「ブランド戦略」の一環として位置づけている。日本有数の商業地である銀座に世界最大の旗艦店を置き、「ユニクロ」ブランドを世界にアピールし、世界各国で集客につなげる狙いだ。

 12階建てで総売り場面積が約5千平方メートル、6カ国語対応、世界的人気ブランド「アンダーカバー」との共同企画商品も扱う。「年商は目標100億円」と柳井正会長兼社長の鼻息は荒く、「銀座は『ジャパニーズ・ドリーム』の象徴。アジアでも最高の場所で、銀座店は世界でナンバーワンになれる」と意気込む。

 百貨店やショッピングセンターで、「最大」を一つの看板とすることは多い。

 日本最大級として約8万6800平方メートルの松坂屋名古屋店(名古屋市)を傘下に持つJ・フロントリテイリングは、「何かを探す際に、まずはあの店に行こう、と思ってもらえる」とメリットを強調する。

 「海外のスーパーブランドは、その地域で最大の集客が見込める店舗にしか出ない」(大手百貨店)ともいい、売り場の“華”を獲得する上でも、スケールメリットが重要になる。

【障害者雇用のフロントランナー、ユニクロの理念】
        (2010年7月5日 日経ビジネスオンライン より)

 従業員数5000人以上の大企業の中で、障害者の法定雇用率が最も高いのはどこか。それは、カジュアル衣料品ブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングである。2009年6月1日現在の雇用率は8.04%。障害者雇用促進法が定めた1.8%の法定雇用率をはるかに上回り、産業界の中でも突出した水準を達成している。このことは障害者問題に詳しい人を除けば、意外に知られていない事実であろう。

 ファーストリテイリングが積極的な障害者雇用に乗り出したのは、業容が急拡大する一方で法定雇用率が1%台に低迷していた2001年3月。柳井正社長(現会長兼社長)の号令一下、「1店舗1人」の障害者雇用を目指す取り組みを開始し、翌2002年には一気に6%台の雇用率を達成。

 それ以降、現在まで着実に雇用実績を伸ばしてきた。その推移は、ユニクロそのものの急成長とまさしく軌を一にする。

<あくまでも戦力としての雇用>

 注目すべき点は2つある。1つは、すべての人が現場の店舗に配属されており、ファーストリテイリングは特例子会社を設置していないこと。もう1つは、全盲の人と車いす使用者が、現在は在籍していないこと。

 これらはファーストリテイリングの障害者雇用に当たっての考え方を明快に示している。一言で言えば、「障害者の採用は福祉目的で行っているのではなく、あくまでも企業の戦力になってもらうため」「障害のあるなしに関係なく、ユニクロで力を発揮でき、継続して働いてもらえる人」なのだ。

 ファーストリテイリング東京本部CSR部産業カウンセラーの重本直久さんは「障害のある人の中には残念ながら、当社には活躍できる場所がない方もいらっしゃいます。そうした人たちを雇用率目的で採用するといようなことは一切ありません」と、方針を説明する。

【ユニクロで買い物をした後法律相談はいかが!】

 ユニクロ銀座店は以前には小松ストアがテナントを集めて直営しており、1階にはエノテカのスタンドバーがあり、時折私はシャンペンをひっかけていました。そこにユニクロが入るということを聞いて楽しみがなくなるようでちょっとさびしく思いました。
 でも柳井正会長兼社長は日本を代表するすぐれた経営者、障害者雇用率の高さはやはり並なものではありません。
 銀座通り法律事務所とユニクロは三軒隣、ユニクロ銀座店の成長にあやかりながら、銀座通り法律事務所も質量ともに伸びることができればと願っています。
 ユニクロで買い物をしたあと、銀座通り法律事務所でサクッと法律相談というのはいかが?(相談料30分5000円) ただし、原則として事前申し込みをお願いします。

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2012年3月12日 (月)

堀田力氏 「震災で得たものは絆でしょうね」

【幸せな生活 ゼロから築く さわやか福祉財団理事長 堀田 力氏】
                     (3月11日 日本経済新聞 より)

 ---被災地の現状はどうか。
 「震災直後に支援物資を送り、昨年5月から被災地に入った。震災から3、4か月以降は復興支援。現在、ようやく大体の市町が復興基本計画をたてて居住地や産業地をどこにと決め、これから具体的な作業が始まる」
 「阪神大震災や新潟県中越地震でも支援活動をしたが、当時は3、4か月で自宅に移っていく生活再建の時期に入った。だが、今回は津波で根こそぎ町が流され、ゼロからの再建。非常に厳しい作業が要求されるが、ゼロから最も幸せな暮らしをつくることもできるのではないか」
 ---財団の具体的プランは。
 「医療、介護を24時間届け、最期まで自宅で暮らせる『地域包括ケアの町』を被災地で提案している。訪問サービスなどソフトを生かし、老人ホームなどのハードよりお金もかからない。管直人首相(当時)に話もし、昨年7月の国の国の復興基本方針にも取り入れられた」
 「地に足の着いた暮らし方をしている女性たちなど被災住民の意見を聞くことが必要だ。岩手県釜石市や宮城県山元町など9つのモデル地域を定め、地域ごとに議論の場を設けているが、ここに病院を、こども園をと具体的な意見がどんどん出る。それを自治体に早く実行に移すよう働きかけている」
 ---支援で感じた課題は。
 「国の支援策が遅い。政治は具体的、大局的判断ができず、『政治主導』で各省庁はすくんだ。第3次補正予算の成立は昨年11月、復興庁の発足は今年2月。財源論を巡る政争、政局で無駄な時間を使った。半年は復興を早く進められたと思うと本当に悔しい。東北の被災者は非常に我慢強く耐えており、それが遅さを救っている」
 ---震災で多くを失った。あえて得たと言えるものは。
 「絆でしょうね。日本の戦後社会は自助や公助がしっかりするにつれ競争社会になり、助け合いやご近所のコミュニティーを壊した。一番足りないのが共助、つまり絆。震災は人間や文明のもろさを感じさせ、絆がないと安心して暮らせないと教えてくれたことが一番大きい」
 ---今後、首都圏直下型地震や東海地震も想定されている。
 「阪神、中越の経験はボランティアなど支援側に受け継がれている。だが今回、孤独死が懸念される仮設住宅で入居を集落ごとでなく抽選にしたり、支援物資が被災者に届かなかったり、過去に洗い出された問題を学んでいない自治体があった」
 「思い切ってボランティアに任せた自治体では支援は上手に機能した。業務が集中する国は自治体に、自治体はボランティア、民間に任せることが重要だ」

【私の感想】Up63

 東日本大震災後の東北地方の人たちを中心とする共助に、私も久々に絆を感じました。一人ひとりの行動と言葉に、ぎりぎりの生活の中から生まれる重さと崇高さがあり、感動しました。本当に厳しいのはこれからですね。阪神大震災を経験した神戸の私の知人たちの苦労を見るとそう思わざるを得ません。福島県民の方々の原発被害の深刻さには想像を絶するものがあります。私は岩手、宮城、福島の水産加工業者の方々と接する機会が多いのですが、法律家として何ができるのか立ちすくんでいるのが現状です。ボランティアを中心とする堀田氏の考え方には同調できないと思っていたのですが、国の無策の中で、堀田氏の存在が光り輝いてみえました。

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2012年2月21日 (火)

看護職をめざす方へ 故廣澤克江 “夢支援”

【東日本大震災により被災された方へ】

 生涯を看護教育のために捧げられた廣澤克江先生は平成22年5月2日に83歳で亡くなられました。廣澤克江先生は看護教育のために役立てて欲しいと遺言執行人である弁護士清水建夫に財産を託されました。
 この間、遺言執行人と遺族は廣澤先生の意思を尊重し、どのような形にしたら生きた活用ができるか考えてきました。そして、看護を学び、看護師になり、社会に貢献したいとの思いを抱き、勉学をはじめる方々のお役に立てることが廣澤先生の生前の思いにそえるのではないか、との結論に至りました。
 本年3月11日の東日本大震災により被災された看護職をめざす学生さんを対象に入学支度金を支給させていただこうということになりました。すでに入学許可を得ている方、これから受験される方、国立の後期試験の受験など、すべての学校の入学試験結果がでるのは3月末になると思われますので、結果がでるまでお待ちします。
 この支援金は悲惨な大震災を乗り越えて看護学生になられる皆様への門出のお祝い金です。それぞれの方に一番有効な使い方をしていただければ廣澤先生も喜ばれることと思います。返済していただく必要はなく、使途も自由です。

故廣澤克江先生 夢支援 事務局
東京都中央区銀座6-9-7 近畿建物銀座ビル7階
銀座通り法律事務所
電 話:03-5568-7603

故廣澤克江先生 夢支援
世話人代表 大河原 シゲ子(故廣澤克江先生同僚。元東京女子医科大学看護短期大学教員)
世話人 弁護士 清水 建夫(故廣澤克江先生遺言執行者)
遺族代表 田中 青美(故廣澤克江先生遺族代表)

【「日本で看護師」今度こそ  インドネシアの3人が再受験へ】
                     (2月17日 朝日新聞 より)

 国際協定に基づき日本の看護師国家試験を受け、不合格になったインドネシア人3人が再受験のために名古屋市で猛勉強を続けている。両国の民間支援で再来日にこぎつけた。日本で看護師になる夢をかなえようと19日の試験に挑む。
 ユリ・フィトゥリヤニ・チャディクさん(27)はイスラム教のお祈りを終えて会議室に戻ると、パソコン画面の問題に向き合った。「伏臥位(ふくがい)ってわかる?」。講師の問いかけに笑顔で答えた。「うつぶせ」。正解だ。名古屋市の医療法人「偕行会」の事務所で、同じく再受験を目指すウィディヤンティ・ジュリアールさん(31)、ダセップ・サエプル・アンワールさん(30)の男女2人とともに朝9時から夜9時まで勉強を続けている。
 インドネシアで看護師をしていたユリさんは両国間の経済連携協定(EPA)に基づく看護師候補第1陣として2008年に来日した104人のうちの1人。愛知県内で看護助手として働き、10年から2年続けて試験に挑んだがかなわず、昨年夏に帰国した。
 昨年秋、転機が訪れた。日本大使館が催した帰国者向けの慰労会で、日系企業のヘル・サントソ副社長と出会い、同社の施設で日本語や試験勉強を教わることになったのだ。偕行会が渡航費も負担して受け入れることも決まり、1月下旬に再来日した。「また受験できるなんて夢のよう。日本での3年間を無駄にしたくない」と話す。
 医療現場にはインドネシア人の受け入れで看護師不足を補えるとの期待があるが、日本語で課される試験が壁になり、第1陣の合格者は15人にとどまった。偕行会の河原真・事務補佐は「新たに合格者が出れば後に続く人の励みになる」と期待する。 

【私の感想】Up63

 私に託されたのは、総額で5000万円ですが、そのうち2000万円を看護職を目指す学生の方に差し上げることになっています。100人程度でお一人10~30万円くらいのお祝い金を差し上げる予定です。インドネシアやフィリピンから日本に来られた看護師や看護職を目指す学生の方にも差し上げられればと思っていましたが,支援をしたい側と受ける側がうまくつながっていず,日本の方に限らせていただくことになりました。志をもって看護職をめざす学生の方は是非応募してください。

 

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2012年1月24日 (火)

第6回 弁護士マイスター公開学習会のご案内

【弁護士危機の時代はチャンスの時代】

 弁護士過剰の時代とか弁護士危機の時代と言われています。しかし危機の時代はチャンスの時代でもあり、厳しい現実の中で将来ある若い法律家の方々がたくましく成長していくのを頼もしく思います。

【1日修習】

 現在、銀座通り法律事務所では司法修習生の方の1日~2日の短期修習を受け入れています(人数に制限があることをご了承下さい)。短期修習をご希望の司法修習生の方は、現在の修習先の了解を得るか、現在の修習に影響のない日を選んでお申し込み下さい。

第6回 公開学習会

 学習会は主として弁護士や司法修習生を対象とする学習講座ですが、関心のある方は法律家でなくともどなたでも参加できます。関心のある方は積極的にご参加下さい。この学習会はご希望があれば法律家以外の一般の方も歓迎します。

【テーマと日時・場所】

<テーマ 「海外にかかわる弁護士の役割」>

 第6回 弁護士マイスター公開学習会は、海外にかかわる弁護士の役割をテーマに若手の弁護士や司法修習生の方々に、中国、ラオス、カンボジア、米国等々の経験を語っていただき、みんなでディスカッションをしたいと思います。

1.中国(北京)での留学生活
   61期 弁護士 荒井俊英 氏
 昨年9月から中国・北京にて語学研修を行っており、この2月からは大学で中国法の基礎を学ぶとともに、現地の律師事務所にて法律事務の研修を行う予定です。中国の律師が懸命に日本法を勉強している姿を見て、私も負けてはいられないと思いを新たにしました。研修の成果を将来の仕事に活かせるよう精進しますので、今後とも応援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

2.ラオス盲人協会のモニタリングと視察
   新64期 弁護士 甲斐悠子 氏
 昨年12月より銀座通り法律事務所において勤務させていただくことになりました甲斐悠子と申します。
 途上国の視覚障がいの方の支援に携わっていらっしゃる方(ご自身も視覚障がいをお持ちの方です)のラオス盲人協会のモニタリング・視察に同行し、1月7日から16日までラオスに行って参りました。
 現地ではラオス盲人協会の具体的な活動内容・取り組みや、首都地域、地方の視覚障害者の方々の現状を見せていただきました。
 9日間のラオス滞在を通じ、他の国を支援することの難しさ、教育の大切さ、障がいのある人が障がいのない人と同等に教育を受け、働く機会を得られる環境が不十分であることについて考えさせられました。

3.米国での高校生活と司法修習生活で経験した渉外事件
   新64期 弁護士 藤木和子 氏
   ※レジュメ 米国での高校生活と司法修習生活で経験した渉外(婚姻)事件

4.大学院時代にかかわったカンボジアにおける人身売買事件
   新65期 司法修習生 森澤絵美 氏
   ※レジュメ 弁護士マイスター公開学習会の発表内容について

5.企業の海外事業と条約の重要性
   新64期 企業内弁護士
  

<日時・場所>

日時: 2012年2月4日(土) 午前 9時~12時

場所: 銀座スペース アルコイリス
      東京都中央区銀座4-13-11 銀座M&Sビル(地図

 ※ 学習会の後は、昼食会を予定しています。食事代:2000円(司法修習生は1000円)

 ※ ご参加いただける方は、銀座通り事務所までご連絡ください。     
 ※ 2ヶ月に1回、土曜の朝勉を継続します。

■ 事務局・申込み先 銀座通り法律事務所までメールかFAX・電話にてお問い合わせください。
 TEL:03-5568-7601 FAX:03-5568-7607
 E-mail:画像で表示しています 

 ※ これまでに行った公開学習会・交流会はこちらをご覧下さい。

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2012年1月 9日 (月)

緒方貞子氏 “繁栄の孤島”あり得ない

【私の意見】Up63

 緒方貞子氏は国連日本政府代表部公使、国連難民高等弁務官などを歴任し、現在国際協力機構(JICA)理事長を務めています。緒方貞子氏の発言はやはり鋭く、重く、しかしやさしい!と思いました。日本経済は円高に見られるように欧米が苦しむ中で安定しています。とりわけ日本企業は潤沢な手元資金を元手に、海外で次々とM&Aを展開しています。私にとって、これまで多国籍企業とは米欧の企業という思いがしみ込んでいました。今や日本企業が欧米企業にとってかわる勢いで多国籍化しています。しかし私たちが“繁栄の孤島”だけを追求するとやがて単なる“孤島”に変わってしまいます。緒方氏の指摘を重く受け止め、私たちはアジアの人々がこの島で生活をエンジョイできる社会にchangeする必要があります。
 欧米を意識しての英語は多くの日本人の生活感覚から浮いたところにありましたが、アジア人とのコミュニケーションを図るための英語には生活のにおいがします。ネイティブな英語でなくとも、お互いにブロークンな英語でもとにかく意思の疎通を図ることが第1です。そう思うと英語が身近なものに感じられ、私も中学校の英語の教科書のおさらいからでも始めようかなという気になってきました。

【“繁栄の孤島”あり得ない 緒方貞子 国際協力機構理事長】
                   (1月8日 日本経済新聞 より)

 東日本大震災で日本は世界各国から多大な支援を受けた。発展途上国への援助を国際貢献の軸に据えた従来の立場とは異なる経験だ。世界を見渡しても経済における米欧の優位は揺らぎ、新興国の存在感が強まる。激動する世界に旧来の発想でいいのか。国際情勢の変化を肌で感じる国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長に聞いた。

【おがた・さだこ】

 63年米カリフォルニア大バークレー校で政治学博士号。国連日本政府代表部公使、上智大外国語学部長などを経て91~00年に国連難民高等弁務官。03年から現職。東京都出身、84歳。

 ---東日本大震災では日本は支援を与える側から受ける側に回りました。
 「様々な国や国際機関から物資や人員で助けていただき、いろんなことを学んだ。驚いたのはこれまで援助してきた発展途上の国や地域が義援金を集めるなど、熱心に支援してくれたこと。アフガニスタンではイスラム原理主義の旧タリバン政権に破壊された大仏の跡があるバーミヤンで、日本の復興を祈る人たちがいた。途上国とは持ちつ持たれつの関係だと改めて思う」
 ---日本の援助への“恩返し”なのでしょうか。
 「援助に近視眼的な見返りを求めるのは誤りだ。例えば、アフリカ諸国への支援がすぐに日本の国益につながるはずはない。でも、その地域が安定し、人々が安心して生活できるようになれば、日本製品を買えるほど経済力が高まるかもしれない。ワクチン配布で子供たちが健康に育てば、進出企業が労働力を確保することもできる」
 「中長期の視点が欠かせない。その意味で、財政悪化を理由に日本の政府開発援助(ODA)が1990年代後半から一貫して減る現状には危機感を覚える」

<新興国と共存を>

 ---途上国と共存共栄することが重要というわけですね。
 「日本だけが利益を得る“繁栄の孤島”という考え方は通用しない。アジア新興国が台頭しているが、日本の製造業にとって欠かせない存在になった。昨年起きたタイの洪水で、こうした国々が部品などのサプライチェーン(供給網)の大切な一部だと再認識できた。それに製品は国内だけで売るわけではない。途上国の民生向上で“買える人”を増やすことが重要だ」

<「時代は変わった」>

 ---日本が援助してきた途上国は新興国として発言力を強めています。2008年のリーマン・ショックを受けて20カ国・地域(G20)という新たな枠組みができました。
 「欧州債務危機をみるまでもなく、多くの先進国の財政は悪化している。先進7カ国にロシアを加えた主要8カ国の枠組みだけでは世界の問題に対処しきれない。新興国をG20という枠組みに迎え、発言力を与える代わりに責任を分担させる仕組みは適切だ。G20には多くのアジア新興国が参加する。その代表的な中国には07年度を最後に新規の円借款を停止した。『時代は変わった』と強く思う」

【変わる秩序 統治改革を】

 ---グローバル化が進むなか、昨年はロンドンや米ウォール街など先進国で暴動やデモが発生しました。
 「経済運営において、富の配分に良識が働かなくなった結果かもしれない。自由な社会だけど、一部の人だけ裕福になる。これまで有効だった税制という手段だけでは再分配ができなくなってきた」
 「暴動やデモに加わった若者らは格差の実態をなんとなく気づいてはいたが、インターネットなどIT(情報技術)を通じ具体的に知った。チュニジアで始まった北アフリカや中東の民衆による反政府デモ『アラブの春』にも通じる。アラブの民衆はネット上のフェイスブックやツイッターを通じ国境を越えて情報を共有、独裁的な政権に異議を申し立てた」
 「ITの発達は16世紀ごろの大航海時代に匹敵する情報革命だと思う。政府側としてはガバナンスの改革が必要なのではないか。政府の正当性を納得してもらうような改革、あるいは、このように変えたいといったような提案をしていく。不公平を改善するような努力をしていかないと、人々がITで情報を確保する時代には対応できない」

<英語の役割重要>

 ---世界が激動しているのに、海外への留学生が減るなど日本では内向き傾向が強まっているようです。
 「大学3年になってすぐに就職活動でそわそわしては留学どころではない。企業は海外の大学院に社員を留学させてきたが、人間性を高めるのなら、もう少し若い時期に大学などに留学する方がいい。企業は採用の仕組みを変えるべきだ。また海外からも多くの留学生を受け入れなければ世界と日本はつながれない」
 「やはり英語の役割は重要だ。海外に活路を求める企業はグローバル人材の育成に懸命だが、英語を話すことが国際化の第一歩になる。周辺のアジアには英語の上手な人が随分増えた。日本が『繁栄の孤島』と呼ばれているうちはまだ良い。そのうち『繁栄』がとれ、単なる孤島になってしまうことを恐れる」

【ODA・留学生 右肩下がり】

 日本からの政府開発援助(ODA)や留学生の推移をみる限り、「内向き」という印象はぬぐえない。
 ODAは一般会計の当初予算ベースで1997年度の1兆1687億円をピークに右肩下がりを続けている。2012年度の政府予算では5612億円に落ち込んだ。
 ODAには政府から発展途上国へ直接支援する2国間援助と国連など国際機関への資金拠出がある。有償資金協力(円借款)、技術協力を含む2国間援助の多くを国際協力機構(JICA)が担う。
 海外の大学など高等教育機関に在籍する日本人留学生の数も04年の約8万3000人を最高に減っている。経済協力開発機構(OECD)などの調査をまとめた文部科学省の資料は08年の6万6833人が最新だが、その後も減少傾向に歯止めがかからないとみられている。
 一方、日本の高等教育機関に在籍する外国人留学生数(各年5月現在)は10年が14万1774人で、00年の2倍以上に膨れた。
 政府は教育研究機関の国際競争力を高めるため20年をメドに外国人留学生数を30万人に増やす目標をたてている。海外に留学生獲得のための拠点を設ける大学も目立ってきた。だが、東日本大震災で帰国者が出るなど、今後10年で倍増できるかとうかは不透明だ。

【日本の政治、危機感薄く】

 11年の日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)は計5兆円を超え、過去最高になった。人口減を背景に縮小必至の国内市場を見限り、新興国などに活路を求める企業の姿勢は明確だ。一方、競争力強化へ制度改革を進めるべき政府の腰はなお重い。緒方氏は「政府のスタッフの大半がグローバル人材でないといけない」と述べ、懸念をにじませた。
 ITで世界が狭まり、欧州債務危機が瞬時に東京市場に打撃を与えるような時代に入ったのに、日本では政府も政治家も、どこか人ごとのようだ。危機感は薄く、国の借金を重ねて痛みの伴う改革を先送りする。世界からの遊離は深刻だ。(編集委員 加賀谷和樹)
 

 

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2012年1月 1日 (日)

A HAPPY NEW YEAR, 2012!

 旧年中はひとかたならずお世話になりました。

 2012年は、私も銀座通り法律事務所もフル・モデルチェンジをします。
 空洞化ニッポンでリストラにあう可哀想な青年たち、経営難に苦しむ中小企業を法的にサポートするという思想を進化させ、青年たちや企業とともに海外とりわけアジアに飛び出てアジアの国々の人々とともに社会に貢献できる存在になることをめざします。そのために今私や銀座通り法律事務所にできることは海外で役立とうとする若者の応援です。

 弁護士登録者が3万人を超え、弁護士過剰の時代あるいは弁護士危機の時代とも言われています。危機の時代はチャンスの時代です。過剰と言われるマン・パワーを結集すれば新しい可能性が開けるものと期待しています。
 今の私にすぐできることは次世代の法律家の応援です。その意味で弁護士マイスターは今年も重要です。
 企業との関係もフル・モデルチェンジをし「良い会社」の応援にシフトしたいと思います。銀座通り法律事務所は事業再生や企業法務で企業とともに歩んできましたが、障がいをもって働く労働者やうつの労働者のサポートでは立場上対立関係が生じます。それは代理人弁護士としての責務であり当然のことで今後ともその姿勢は堅持していきます。
 ただ日本の企業の多くは労働者を大切にする創業者によって発展してきました。「当社の今日は社員の諸君のおかげである。」と言ってはばからないのが日本の創業者たちでした。その伝統を受け継ぎ、労働者を大切にする企業は今なおわが国において主流です。今年は企業と私及び銀座通り法律事務所の関係は対立関係ではなく、「良い企業」「良い企業をめざす企業」に役立つ弁護士業務にも力を入れていきたいと思います。

 本年もよろしくお願い申し上げます。
 2012年1月1日

 弁護士 清水建夫

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2011年12月21日 (水)

弁護士マイスター 新年会のご案内

【1月14日 弁護士マイスター 新年会】

■ 日時:2012年1月14日(土) 13時~16時30分
   (遅刻・早退自由。立食ですのでお昼はあまり食べないでお越し下さい。)

■ 場所:銀座ブロッサム ジャスミンの間 (地図
   東京都中央区銀座2丁目15番6号  TEL:03-3542-8585

■ 会費(立食):弁護士 6,000円
           (ただし2011年度に登録した方は3,000円)
           司法修習生・未登録の方 3,000円
           (ただし新65期は1,000円)
           法律家以外の方 4,000円
■ テーマ:
 <私の得意分野とこれからの抱負>
 自己紹介、並びに自分のすぐれた点とこれから取り組みたいことを積極的にアピールして下さい。まず弁護士マイスターの仲間に自分をどんどん売り込んで下さい。ここでは謙遜は美徳とみなしません。

<プロジェクト>
 さまざまなプロジェクトを立ち上げチームを組んで積極的に研究し、出版も視野におきたいと思います。ご自分がやりたいプロジェクトをご提案下さい。

<弁護士マイスターの今後の方向性と引き受けていただく役割>
 弁護士マイスター がどうあれば良いか、率直なご意見をお聞かせ下さい。
 また弁護士マイスターで役割を引き受けていただけるのであればご希望の役割をお教え下さい。

<お互いの情報の共有化>

 差しつかえない範囲で自己紹介・得意分野・抱負・プロジェクト(これからやりたいこと)・弁護士マイスター の方向性と引き受けていただける役割などに関する記述をA4版で銀座通り法律事務所にメール等でお送り下さい。よろしければ顔写真も歓迎します。ただしご自分の情報を提供するかどうかはそれぞれの方の自由な判断におまかせします。

※ ご参加いただける方は、銀座通り事務所までご連絡ください。     
※ 2ヶ月に1回、土曜の朝勉を継続します。

■ 事務局・申込み先:銀座通り法律事務所までメールかFAX・電話にてお問い合わせください。
 TEL:03-5568-7601 FAX:03-5568-7607
 E-mail:画像で表示しています 

※ これまでに行った公開学習会・交流会はこちらをご覧下さい。

【弁護士の卵の就職 超就職難】

 12月16日の朝日新聞 に司法修習後の弁護士志望者の2割が弁護士登録を見送っているという記事が報道されていました。記事を紹介します。

<司法修習後の弁護士志望者 未登録2割 過去最悪>

 新司法試験に合格し、14日に司法修習を終えた弁護士志望者のうち約2割が弁護士登録をしなかったことが日本弁護士連合会のまとめでわかった。弁護士急増による「就職難」で弁護士会費などを払える見通しがたたず、登録できない志望者が多いとみられる。未登録者の割合は、新司法試験合格者が就職を始めた2007年以降の同時期で最悪となった。

 卒業試験に合格して司法研修所での修習を終えると、定員がある裁判官と検察官への採用が決まった修習生以外は通常、弁護士になる。弁護士として活動するには全国52の弁護士会の一つと日弁連への登録が義務づけられており、毎年、修習終了直後に一斉に登録する。今年は15日が登録日だった。
 日弁連によると、卒業試験に合格した1991人のうち70人が検察官に採用される。裁判官の採用数は未公表だが、昨年並みの98人と仮定すると残りは1823人。15日に弁護士登録したのは1423人で、21.9%にあたる400人が未登録となる計算だ。
 一斉登録時の未登録数は年々増加しており、この4年で約18ポイント増えた。政府は18年ごろに法曹人口を5万人にする目標を掲げているが、新試験合格者が増加した結果、01年に全国で約1万9千人だった弁護士は今年、3万人を突破。一方で裁判官や検察官の数はそれほど増えておらず、企業や地方自治体での弁護士需要も当初の想定ほどは伸びていないことなどが就職難の背景にある。

<弁護士の卵 仕事なし 月数万円の会費「払えない」>

 日本弁護士連合会が15日にまとめた弁護士の登録状況。弁護士を志望しても5人に1人が登録を見送らざるをえない現実が浮き彫りになった。深刻化する「就職難」で、弁護士としての一歩を踏み出せない人たちが増えている。
 「高額な入会金や会費は、収入なしではとても払えない」。首都圏で法律事務所への就職を目指す30代後半の男性は、登録しなかった一人だ。修習中の昨秋から就職活動を続けても、まだ就職先が決まらない。
 20代の成績優秀な修習生には大手事務所から声がかかり、次々と内定が決まっていった。自分は履歴書を送っても、面接さえ受けられない。求人1人に数百人が応募する状況。「話だけでも聞いてほしい」と事務所を回っているが、それさえ断られることが多い。
 「増え続ける弁護士を採用してきた結果、受け入れる側にも余裕が残っていない」と男性は感じる。固定給なしで事務所の机だけ借りる「軒弁」の口なら1か所だけ見つかったが、「仕事が見つからなければやっていけない」。もうしばらく、就職先を探すつもりだという。
 各地の弁護士会と日弁連に入るには計数万~数十万円の負担が必要で、毎月の会費も数万円かかる。就職できない人が登録をためらうのは、定期収入を得られる見通しがたたなければ、こうしたお金を払うのが難しいからだ。
 日弁連も、相談会を開催するなどして就職未定者の支援を進めている。ただ、今年の司法試験に合格した修習生もすでに来年に向けた就職活を始めており、「状況は年々厳しくなる」という。
 関西で司法修習を受けた30代の女性は10月、都内の事務所にやっと就職が決まった。就職活動中に印象に残ったのは、どこの事務所も「弁護士が増えすぎて仕事がない。だから新人を雇えない」と嘆いていたことだ。女性は「事務所を構えて顧客を持つこれまでのスタイルはもう限界。弁護士の側にも意識改革が必要だと思う」と話す。

【私の意見】Up63

 私のまわりの修習生も本当に就職難にあえいでいます。しかし逆境はチャンスでもあります。彼ら若い法律家のマンパワーを結集できる素地が逆にあるように思います。
 私自身はアジアの人々やアジアで働く日本人・企業をサポートする弁護士のプロジェクト・チームを構築できるといいなと思っています。
 海外案件は大手事務所の案件と思いがちですが、大手事務所も実務の多くは日本企業の企業法務案件であって、仕事のレベル・内容とも中小事務所と大差ありません。同じ日本の司法試験に受かった同じ日本人なので当たり前のことです。弁護士マイスターに参加する若い法律家の中には、海外の新興国のボランティア活動に参加した人もそれなりにいるいることがわかりました。たくさんの人材が結集すれば面白いこともできるのではないかと思います。ビジネスとしてだけではなく、国際NGOなど社会貢献の道との両方を追求できるかもしれません。
 若い人たちに期待するところ大です。

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2011年12月 7日 (水)

危機後の良い会社とは?共生こそ経営の要

【私の意見】Up63

1 日本経済新聞が実施した企業総合評価NICES(ナイセス)の結果が発表されました。NICESは企業を取り巻く様々なステークホルダー(利害関係者)に着目、それぞれの視点ごとに企業を総合評価しこれらを合算して総合ランキングを作成する仕組みです。

2 1位はNTTドコモ、2位は武田薬品工業、3位はキャノンでした。キャノンが雇用で1位の評価を受けていたのは意外でした。偽装請負などでマイナスのイメージが強かったのですが、創業者の精神が基本的には貫かれているのだなと見なおしました。

3 この十数年、会社法の世界はコーポレート・ガバナンスばかりが強調されてきました。横文字(カタカナ)に弱い日本人は横文字だけが一人歩きし、それがすべてになる傾向があります。しかし、この十数年間叫ばれ続けてきたコーポレート・ガバナンンスは企業における株主利益であり株主支配の徹底でした。これは投資家の保護を優先する米国社会の論理です。米国でもこの論理が破綻しつつあります。

4 日本では30年前までは、企業は人なりという経営哲学が経営者の口から当然のごとく語られていました。株の取引をする人を投資家と言わず“株屋”と呼んで冷やかにみる傾向がありました。小泉・竹中両氏が推進した「構造改革」以後、日本人のかなりの層が「投資家」となり株価に一喜一憂する国となりました。でも現在でも、東日本大震災で立ち上がれない人々や、工場労働者や、女手一つで必死に子育てをしている女性にとり投資(株取引)など思いもよらないことです。

5 日経総合評価NICESはステークホルダーとしての投資家や取引先を重視しており、その意味では株主の視点が強い面がありますが、従業員や社会の評価項目も重視しており「良い会社」とは何かを考える上で貴重な材料を提供してくれると思います。
 以下、少し長くなりますが日本経済新聞(11月30日)の新聞記事を引用します。

【NICES(ナイセス)】

 企業を取り巻く様々なステークホルダー(利害関係者)に着目、それぞれの視点ごとに企業を評価し、これらを合算して総合ランキングを作成する仕組み。日本経済新聞社が日経リサーチ、日本経済新聞デジタルメディアと共同で開発した。評価の側面は5つで各200点満点。合計1000点満点で総合評価する。2010年12月に2010年度版を掲載し、本格的に作成を始めた。

【認知度・働きやすさ・潜在力 「良い会社」ドコモ1位 総合評価NICES】

 日本経済新聞社は29日、総合企業ランキング「NICES(ナイセス)」の2011年度版をまとめた。業績の変動に加えて消費者の認知度、従業員の働きやすさなど幅広い観点から上場企業を評価するシステムで1位はNTTドコモ、2位は武田薬品工業、3位はキヤノンだった。強固な顧客基盤や製品力をテコに、積極投資で成長戦略を加速する企業が上位に並んだ。
 NICESは5つの視点から企業を総合評価する。配当や株式時価総額など「投資家」、認知度など「消費者・取引先」、女性や多様な人材活用といった「従業員」、雇用者数や社会貢献という「社会」、将来の成長力を測る「潜在力」の5側面。各側面のランキングを作成し、合計して総合順位を決める。
 1位のNTTドコモは携帯電話事業で高い利益率を確保している。純利益の4割超を配当に回すなど株主配分にも前向きで「投資家」で高得点を獲得。定年後の人材の活用も推進しており「従業員」でも評価が高い。
 2位の武田薬品工業は海外M&A(合併・買収)に積極的で「潜在力」で最高の評価を獲得した。3位のキャノンは「消費者・取引先」と「社会」で特典が高い。
 「投資家」などで評価が上昇した花王は11位から4位に順位を上げた。東日本大震災や円高の影響を強く受けた自動車や電機では順位を落とす企業が目立った。

【危機後の「良い会社」は 共生こそ持続的経営の要】

 米ウォール街でわき起こった大規模デモは、2008年のリーマン・ショックの爪痕がいかに大きいかを見せつけた。
 リーマン・ブラザーズなどの投資銀行は、目先の収益競争を意識するあまり住宅への過剰投資にまい進した。そうして膨らんだバブルが崩壊した結果、米国は3年後の今も9%の失業率に苦しんでいる。デモは、企業が経済という公器を傷つけた反動ともいえる。
 企業の評価軸は、危機を経て変わりつつある。「公益資本主義」「持続的経営」。経営者や株主はこんな言葉を使い始めた。目先の利益は犠牲にしても、幅広いステークホルダー(利害関係者)と共生してはじめて安定的に経営できると気づき始めたからだ。
 新しい発想というわけではない。米ジョンソン・エンド・ジョンソンが経営理念「我が信条」を制定したのは1943年のことだ。
 同社は、ステークホルダーに対する責任に優先順位をつけた。顧客、社員、社会、そして最後に株主。幅広く目配りすれば利益は自然についてくるし、それこそが健全な利益という考え方だ。
 この発想が浸透していれば、ウォール街の投資銀行はバブルとその崩壊を生む競争投資から降りていたはずだ。もちろん日本にも当てはまる。オリンパスは、ステークホルダーすべてを欺く損失隠しに手を染めなかっただろう。
 今回の調査で総合首位はNTTドコモ。項目別に見ると「投資家」の視点で首位だっただけでなく「消費者・取引先」「従業員」「社会」でも1ケタ台の高順位となり、順位もそれぞれ昨年より上げた。危機後の「良い会社」の典型といえる。
 危機は、米一極経済から極が多数ある経済へという世界経済の地殻変動も決定づけた。
 米国は住宅バブル崩壊の重荷に今も苦しんでいる。ライバルの欧州も、膨大な政府債務を圧縮しながら成長する難題に直面する。日本には人口減や電力不足の逆風が吹き付ける。先進国の低成長が避けられないなかで、新興国が中国を筆頭に存在感を増している。
 ランキングも「西から東へ」という経済の重心の移動を映し出した。中国への収益依存度が高い企業を見ると、コマツが7位、ダイキン工業が11位と上位に顔を出した。コストの安いアジア各国を生産拠点として業容を拡大する家具チェーンのニトリホールディングスは、103位から33位へと大幅に順位を上げた。
 日本経済の課題もちらついている。上位には老舗企業ばかりが目立ち、若い会社の存在感が小さい。上位10社の「平均年齢」は60歳だ。
 もちろん老舗も変革を繰り返して成長できる。創業100年を超える日立製作所は、機械やインフラ事業へのシフトで業績を伸ばし、48位も順位を上げて13位に入った。
 だがそれだけだと「日本の起業家精神はどこに?」との疑問も浮かぶ。例えば危機後もベンチャー精神が根強い米国なら、創業100年のIBMとともに、若い会社が上位に並ぶのではないか。

【内需企業、順位を伸ばす】

 日本経済新聞社が日経リサーチ、日本経済新聞デジタルメディアと共同で開発した上場企業の総合ランキング「NICES(ナイセス)」2011年度版では、NTTドコモが1位になるなど、内需型企業の順位上昇が目立った。

 企業のステークホルダーに着目し、「投資家(Investor)」「消費者・取引先(Consumer)」「従業員(Employee)」「社会(Society)」という4つの基本的な指標と、これらを補完し、革新性や将来性をみる「潜在力」の指標から、企業を総合評価するのがNICESの狙い。4つの基本指標の英語の頭文字を先頭に日本経済新聞社の「N」を付けて名称としている。
 ランキング1位のNTTドコモは前回の4位から順位を上げた。ほかに4位になった花王(前回は11位)、5位の資生堂(同6位)、6位のセブン&アイ・ホールディングス(同32位)など、収益基盤の多くが国内にある企業の躍進が目立った。
 これらは国内の消費者の厳しいニーズに対応して製品やサービスを改善させ、業績は比較的安定している。内需だけでなく、新興国などへの海外進出も加速している。「投資家」や「消費者・取引先」の得点が高いのが特徴だ。
 上位100社のうち、約7割を製造業が占めた。円高や政界的な景気減速の影響で全般に順位を下げたものの、3位のキャノン(同1位)や8位のホンダ(同2位)などグローバルに事業を展開している企業は引き続き上位に名を連ねている。これらはブランド力が強く、雇用の面でも社会的な貢献が大きい。キャノンは「消費者・取引先」などでホンダは「潜在力」や「社会」などで高い評価を得た。
 電機は100位以内に15社が入り、業種別では最も多かった。金融危機後の業績悪化などで「投資家」の得点は相対的に低く抑えられたが、「潜在力」の高得点でカバーした面がある。
 今期業績が最高益をうかがうユニ・チャームは前回の16位から9位に、同じくクラレは23位から20位に順位を上げた。規模の面では自動車や電機に劣るため「社会」の項目での評価はさほど高くないが、そのほかでバランスよく得点を稼ぎ、上位に入った。

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2011年11月29日 (火)

「彼女がいない」6割突破、半数交際望まず

【「彼女いない」6割突破 うち半数弱、交際望まず 人口問題研調査】
                 (11月26日 日本経済新聞 より)

 交際している女性がいない未婚男性が初めて6割を超えたことが25日、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」で分かった。交際相手のいない未婚女性も半数に迫り、過去最高を更新。このうち半数弱は交際自体を望んでいなかった。結婚の意思がある人は9割弱で横ばいだが、「一生結婚するつもりはない」と考える独身志向の未婚者は増えた。

 同調査は原則5年に1度実施しており、今回は昨年6月に実施、18歳以上35歳未満の未婚者約7千人の回答を分析した。
 「交際している異性はいない」と回答したのは2005年の前回調査に比べて男性は9.2ポイント増えて61.4%、女性は4.8ポイント増えて49.5%だった。このうち「特に異性との交際を望んでいない」と答えたのは男性は45.0%、女性は45.7%に上った。
  未婚者全体では「いずれ結婚するつもり」と答えたのは、男性が86.3%(前回調査比0.7ポイント減)、女性が89.4%(同0.6ポイント減)と、これまで同様9割前後で横ばい状態。ただ「一生結婚するつもりはない」という男性は2.3ポイント増の9.4%、女性も1.2ポイント増の6.8%で、「態度不明の割合が減り、独身志向を表す未婚者が増えた」(同研究所)。
 独身でいる理由(複数回答)を尋ねたところ、20代半ばまでは男女とも約4割が「必要性を感じない」「仕事(学業)に打ち込みたい」などと回答。20代後半~30代前半は約5割が「適当な相手に巡り合わない」など結婚の条件が整わないことを理由とする回答が多い。
 前回調査は将来ほしいと考える子供の平均数が男女とも初めて増加に転じたが、今回は女性は2.12人で0.02人増加したものの、男性は2.04人と0.03人減少した。
 希望する結婚年齢は男性が30.4歳(前回30.0歳)、女性が28.4歳(同28.1歳)と上昇が続いている。結婚相手との年齢差は平均で男性が「2.2歳年下」、女性が「2.1歳年上」。男女とも年齢の近い相手を希望する人が増えており、特に男性は「同い年」が35.8%(同29.4%)で最も多く、同研究所は「同い年志向の増加が著しい」と指摘している。

【私の感想】Up63

1 実際私のまわりでも異性の友人のいない男性も女性も増えています。弁護士の世界も同じです。お金がないから結婚しないのではなく、今の若い人たちには結婚をしてわずらわしい思いをするよりも、今の気楽な生活の方が居心地がよいという傾向があります。

2 米国社会の場合一人で生活することは(レストランで食事をすることを含めて)危険ととなりあわせのところがあります。ですから離婚しても再婚する女性が多く転婚市場(?)が発達しています。日本の女性の場合、離婚すると男はもうコリゴリと子どもを連れて実家を頼り再婚しない女性が少なくありません。

3 私はかつて、父親と母親が別々の人と再婚し、その中で苦しむ子どもたちのことを可哀想だと思った時期がありました。米国社会のテレビで母親と生活している10歳の少年が、父親と別の女性と一緒に生活している場で1カ月間すごしている映像を見ました。女性が別の男性との間の2人の子どもをつれて一緒に過ごし、10歳の少年とその子どもたちとは喧嘩が絶えなかったのですが、父親とその女性との結婚式に少年も出席し「ぼくは父の結婚式に出席できてうれしい」とはっきりと語っていました。その女性の子どもたちは別として、その女性は1カ月後に少年が実の母親の元に帰る日に泣いて別れていました。日本は子の安定した生活を優先させる余り、男(父親)と女(母親)ががまんし、結果的には独立心を欠くひ弱な子どもたちに育ってしまう傾向があります。私は最近では離婚する女性には実家に帰らず新しい人をみつけるよう勧めるようにしています。

4 そうそう今のは離婚の話でした。結婚をしなければ離婚はありません。昔あちこちに居た見合いの写真をもった世話焼きお米(よね)は今の時代も必要かもしれません。私も若い人たちのために世話焼きお米(よね)を心がけようと思うことがないではありません。

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